｢漢字の書きとり｣(全10問)。傍線部の｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。

本年度は｢書きとり｣だけだが、難易度は例年並み｡本校志望者は｢全問正解｣したい。

やや悩そうなものだけ確認する。

①｢明日は晴天だというロウホウが届いた｣＝｢朗報｣⇒｢ロウ｣は｢郎｣ではないので注意。

③｢リンジョウ感にあふれている｣＝｢臨場(感)｣⇒｢実際その場に身を置いているかのような感じ｣という意味も押さえておくこと。

④｢ホケツに選んでもらう｣＝｢補欠｣⇒｢部首｣は｢しめすへん＝礻｣ではなく｢ころもへん＝衤｣､勘違いしないこと｡

⑦｢モミジ狩りに出かける｣＝｢紅葉(狩り)｣⇒｢モミジ｣は｢慣用読み｣なので要注意。｢紅葉狩り｣＝｢紅葉を見物する行楽｣だということも知っていたい。

⑨｢ネフダを見れば良い｣＝｢値札｣⇒｢札｣と｢礼｣とを混同しないこと。ひとつでも曖昧(あいまい)な漢字があれば、改めての習練が不可欠。

｢空所補充の漢字記述｣(全５問｡｢漢字１字｣指定)｡｢総合的知識問題｣｡｢ことわざ｣｢故事成語｣など｡

示されている①～⑤の｢文｣の｢空所｣にあてはまる｢自然に関する漢字一字｣を答える。

①｢井の中の蛙大□を知らず｣⇒｢井の中の蛙大海を知らず｣＝｢答え｣は｢海｣⇒｢知識、見聞が狭く広い世界があることに気づかいこと｣のたとえ。

②｢河童の□流れ｣⇒｢河童の川流れ｣＝｢答え｣は｢川｣⇒｢その道の名人でも、時には失敗することがあること｣のたとえ。

③｢□の上にも三年｣⇒｢石の上にも三年｣＝｢答え｣は｢石｣⇒｢がまん強く辛抱すれば必ず成功すること｣のたとえ。

④｢背□の陣｣⇒｢背水の陣｣＝｢答え｣は｢水｣⇒｢一歩もひけないような絶体絶命の状況の中で、全力を尽くすこと｣のたとえ。

⑤｢□降って地固まる｣⇒｢雨降って地固まる｣＝｢答え｣は｢雨｣⇒｢もめごとなど悪いことが起こったあとは、かえって基盤がしっかりしてよい状態になること｣のたとえ。

どれも基本的なものばかり。意味も含めて定着していることが本校合格には必須だと心得よ。

本を読むことの意味は何？　案外答えにくい問いに｢読書によって○○の力がつく｣という形で考え、｢コミュニケーションの力｣｢人間を理解する力｣との関わりを提起し、自分をつくり、鍛え、広げることが、読書とどう結びついているかを考察している。本文では、読書をすると｢脈絡のある話し方｣ができるようになり、｢コミュニケーションの力｣が上がると論じている。

特に難解な語句もなく内容は分かりやすい。多彩な出題が並ぶが、難易度は標準的だ。手際よく得点を重ねていきたい大問だ。以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢語句の空所補充選択肢｣(全３問/６択)。本文中の　Ａ　～　Ｃ　の空所に｢当てはまる語句｣を答える。各選択肢は、全て｢接続詞｣(昨年度は｢副詞｣が混在していた)。

｢接続詞｣は本校に限らず定番の問題。中でも｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。順に空所に｢当てはまる語句｣を確認していく。

  Ａ  には｢転換｣の｢接続詞｣である(オ)の｢では｣(｢それでは｣の略)､

  Ｂ  には｢順接｣の｢接続詞｣である(ウ)の｢すると｣､

  Ｃ  には｢添加｣の｢接続詞｣である(イ)の｢しかも｣がそれぞれ入ると分かるはずだ｡

｢逆接｣以外では、いくつかの｢候補｣をしっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要だ。

＜時間配分目安：全問で２分弱＞

[問二]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択)。｢総合的知識問題｣｡二重傍線部(ａ)｢社会性｣､(ｂ)｢合理的｣の｢意味｣を答える。

これらの｢原意｣(本来の意味)を忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、本文中での意味を意識し過ぎると､間違ってしまう可能性があるので、要注意。それぞれの｢答え｣を確認したい。

(ａ)｢社会性｣＝｢ 他人との関係など、社会生活を重視する性格。社会生活を営む素質･能力｣のことなので、選択肢(イ)｢他人と関わって生活していく素質｣｡

(ｂ)の｢合理的｣＝｢道理や論理にかなっているさま。無駄なく能率的であるさま｣のことなので、(ウ)｢無駄のない様子｣｡こうした｢語句の意味｣では、｢原意絶対優位の原則｣を徹底させることが肝要だ。

＜時間配分目安：全問で１分以内＞

[問三]　｢比喩換言抜き出し｣(｢２字｣指定)。傍線部①の｢幹｣とは｢何のたとえか｣を､｢二字｣で抜き出して答える。

｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を捉えた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。傍線部だけでは､なんのこっちゃ！なので､｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要｣という｢重要解法｣)で｢てがかり｣を確認する。

直前直後は｢人の話には幹と枝葉がある｣となっている。つまり、｢幹｣は｢人の話｣に関する｢比喩｣であって、｢枝葉｣と対比されているわけだ。よって、｢抜き出し内容｣は｢人の話｣で｢幹｣にあたるものとなる。

そして、｢抜き出し範囲｣は｢同一意味段落｣になる(｢説明文(論説文)｣では｢同一意味段落に根拠･手がかり｣がある)｡ここでの｢同一意味段落｣を段落冒頭の｢接続詞｣や｢指示語｣などで特定すると、傍線部の段落からの４段落だと分かるはず。その｢範囲｣を｢抜き出し内容｣を意識して丁寧に探してく。

すると、なんと傍線部の前文に｢相手の話の要点をつかみ、……｣とあるではないか。｢人の話｣の｢幹｣＝｢要点｣､｢字数｣もＯＫだ。したがって、｢答え｣は｢要点｣だ。本問ではすぐに見つかったが、｢抜き出し｣では｢範囲｣の絞り込みがポイントとなり、その際にはさまざまな｢解法｣を駆使しなくてはいけないと心得よ。

＜時間配分目安：１分＞

[問六]　｢指示語換言説明記述｣(｢65字以内｣指定)。傍線部④の｢この程度のこと｣とは、｢どのようなことか｣を説明する。

典型的な｢指示語換言｣だ。無論、｢指示語｣を開くことが最優先。

ここで注意したいのは、傍線部が｢段落の冒頭｣だということ。｢段落頭の指示語は前段落全ての内容を指し示す｣という｢解法｣(鉄則)を忘れてはいけない。直前だけを捉えても｢指示内容｣とはならないのだ。したがって、前段落の｢要点｣をまとめていくことになる。

前段落は｢会話をしていて相手が喜ぶ｣ことについて述べており､それは｢自分のいった話が無駄に終わらずきちんと相手に届いて、しかも生かされていると感じる場合｣だと指摘し、｢具体的にはっきりするのは、相手の話の中に自分のキーワードが入り込んでいるかどうか｣を論じている。こうした｢内容｣を｢指定字数｣に応じて的確にまとめていきたい。

その際、注意すべきは｢指示語換言｣なので、指示語の部分に｢代入可能｣なように｢文脈｣を調える必要があるということだ。傍線部の一文は｢この程度のことならば､読書をしなくても何とかできるかもしれない｡｣｡したがって、｢自分の話の中に相手の言ったキーワードを使い、相手の話が無駄に終わらずきちんと自分に届いて、生かされていることを伝えて喜ばせること｡｣(65字)といった｢答え｣だ。尚、｢指示語｣に関しては､本問のように直接問われていなくても、必ず即開くことが肝要。

小さな映画館｢月舟シネマ｣と十字路に建つ｢つむじ風食堂｣､そして、｢笑う犬｣を目指す｢ジャンゴ｣――なぜ神様は犬に笑顔を授けてくれなかったのか？　｢ジャンゴ｣の思いをよそに、雨が町を濡らし、人に事件を運ぶ物語。本文では、｢つむじ風食堂｣の｢あるじ｣や｢古本屋の親方｣の言葉に心を動かされた｢月舟シネマ｣の経営者｢直さん｣が､映画館の最後の上映作品を一番好きな映画のロングランに決める姿が描かれている。

｢人物関係｣がやや複雑だが、｢前説｣や｢※注｣を活用すればつかめるはずだ。設問は比較的解きやすい。以下、いくつかを検討してみよう。

[問三]　｢理由説明選択肢｣(４択)。傍線部②｢ひとつ決めたんだけど、何が何でも死ぬまで古本屋をやってやろうと思って｣について、｢なぜか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣を試みたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ここは｢理由説明｣なので、｢死ぬまで古本屋をやってやろうと思って｣の｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣していく。各選択肢の文末を確認する(選択肢の説明でのポイントは｢文末｣だ)｡

(ア)｢つづけることが大切だと気づいたから｣､

(イ)｢言葉にすることが重要だと気づいたから｣､

(ウ)｢理由が必要だと思いこんでいたが、そうではないと気づいたから｣､

(エ)｢好きだからというだけでも良いのだと気づいたから｣｡

｢死ぬまで古本屋をやってやろう｣⇒｢続けよう｣ということなのだから、(ア)以外は｢消去｣できると判別したい。他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣は(ア)になる。｢一発消去｣！　畏るべし！｢原意消去｣､は必ず習得して活用すること。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問四]　｢換言説明選択肢｣(４択)。傍線部③｢サエコさんの声が、いつもよりずっと静かに食堂に染み渡った｣について、｢どういうことか｣を答える。

無論、｢原意消去｣から。ここは｢換言説明｣なので、｢声が、いつもよりずっと静かに食堂に染み渡った｣の｢原意｣と結びつかないものを｢消去｣する。

各選択肢の文末は、

(ア)｢常連客さえも来ていないということ｣､

(イ)｢誰も声を発しなかったということ｣､

(ウ)｢落ちこんでしまったということ｣､

(エ)｢静かに感じられるということ｣｡

｢声が、静かに食堂に染み渡った｣ということは｢音｣に関する説明なので、(ア)(ウ)は｢消去｣でいいと判別できなくてはいけない。残りは２択。

次に、｢同一場面｣から｢状況｣を読み取りたい(｢小説は同一場面直前直後に根拠あり｣、｢小説｣の｢最重要解法｣)｡直前の｢お待たせしました｣が｢サエコさんの声｣であり、その声が発せられる前は｢タモツさんも直さんも親方も、それぞれ､宙の一点を見つめていた｣と説明されている。｢宙の一点を見つめていた｣⇒｢誰も声を出していない｣のだから、ここで(エ)が｢消去｣となる。

他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣は(イ)だ。ここでは、｢原意消去｣→｢文脈消去｣という｢２段階消去｣となったわけだ。無論、こうしたこともあると心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問五]　｢条件付き心情説明記述｣(｢90字以内｣指定)。傍線部④｢以前よりずっと声が弾んでいた｣について、このときの｢直さんの気持ち｣を説明する。

｢条件｣は｢以前と今の違いを踏まえる｣こと。｢原意絶対優位の原則｣から、｢声が弾んでいた｣＝｢楽しい｣｢うれしい｣などといった｢明るい気持ち｣に決まっている。

次に｢状況｣を捉えたい。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣に｢てがかり｣を求める。すると、直前に｢しかし｣という｢逆接｣の接続詞がある。ということは、前の部分で｢以前｣との対比が説明されているはずだ。

確認する。｢(直さんは)以前よりずっと長い時間をかけてパンフレットの説明文を書くようになった｣｢あらかじめ文字数を決めることをやめて､いかにその映画が素晴らしく面白いか、いかに自分が魅了されているか、……、きりがないくらい長々と書いた｣などと述べられている。つまり、｢パンフレットの説明文を以前とは違うやり方で書くようになって、楽しく明るい気持ち｣になっているわけだ。こうした内容をまとめていけばいい。

たとえば、｢以前は文字数を決めてパンフレットの説明文を書いていたが、今は何も決めずに、その映画の素晴らしさや､いかに自分が魅了されているかを長々と書くようになり、そのことを楽しんでいる気持ち｡｣(90字)といった｢答え｣になる。尚、｢説明記述｣では､必ず｢最重要要素｣を｢文末｣とすること。

＜時間配分目安：２分半＞

[問七]　｢具体的指示内容選択肢｣(４択)。傍線部⑥の｢厳しい現実｣とは｢具体的に何を示しているか｣を答える。

｢具体的内容｣を問われているので、流石(さすが)に｢原意消去｣は無理だ。先ずは、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で｢状況｣を確認する。直後に｢いよいよ本格的に(月舟シネマの)客足が遠のき始めた｣とある。

各選択肢は、

(ア)｢＜月舟シネマ＞のいちばんのロングラン｣､

(イ)｢月舟町の住人の苦労｣､

(ウ)｢配給会社の倒産｣､

(エ)｢映画館の閉鎖｣｡

｢客足が遠のき始めた｣＝｢月舟シネマの客数の減少｣なのだから、｢答え｣は(エ)だと判別できるはずだ。ここでは｢消去法｣を用いるまでもなく｢答え｣が特定できたことになる。設問に応じて臨機応変に対処せよ。

＜時間配分目安：１分以内＞