開智中学校 入試対策
2016年度「開智中学校の算数」
攻略のための学習方法
[出題されやすい内容]
試験時間は60分、大問4問に小問15。
平成28年度から大幅に問題の質が変わった開智「先端A」の算数。
といっても「先端A」の歴史は浅く、まだコースがスタートして数年目なので、受験生に対して適切な問題選びに試行錯誤しているところといったほうがいいかもしれない。
出題されやすい内容とは
「割合・場合の数・平面図形・立体図形・速さ」の5分野である。
ただ基本的な公式が理解できるではなく、いわゆる応用が利くよう少し難問にまで手を染め、いわゆる典型題はいつでも正解を出すことが出来る、くらいの自信が欲しいところだ。
教材としては、塾で使用している問題集などがよいだろう。たとえば「A(平易)→B→C→D→E(難問)」となっているものであれば、「A~D」クラスの問題である。
[過去問演習]
この段階を経て次にやることは、過去問の徹底演習である。
「開智(先端A)」の算数とはどういうものか、ということをよく知っておきたい。
学力があっても(偏差値が良くても)、受験でいい結果が出せないという受験生の大半は、志望校対策が不十分だからだ。
「力はあるのだからその場で解けるはず」と判断してよいのは、算数の偏差値が常時70以上はあるか、対象としている学校が自分の偏差値よりも10以上低い場合に限る。あとは対策次第で合格する割合はかなり変動する。
「先端A」の場合、大問のスタイルはだいたい似ている。
本年度は【大問1】が小問集だったのでその部分は例外であるが、1つの大問に3つの設問。そして、設問のレベルが徐々に上がっていく。
前半の1問ないし2問が勉強してきた成果が生かせる「標準的な」設問、最後の設問はかなり応用力を要求されるものになっている。
そして、合格だけを考える場合には、前半の2問をそつなくこなせれば十分に可能性がある。ただし、「標準的」とはいうもののその難度はなかなかのものだ。基本的なものだけを解いてきたという勉強法では【大問1】の小問から足をすくわれかねない。それでは合格などまだまだだ。
また、(1)の解き方または答えが次の設問のヒントになっている場合が多い。一見関係なさそうに見える問題でも実はその前の設問が使えることが分ったときの「なるほど」感にはなかなかのものがある。そういう設問をうまく見つけて、算数を解く楽しさも味わっておきたい。
[場合の数]
「場合の数」にはいろいろな解き方がある。 「和の法則」「積の法則」などの有名な公式をふくむものから始まり、「道順の問題」「トーナメントとリーグ戦」「円順列」などさまざまな解き方がある。それらはいずれも「すべて書き出さなくても計算を使えば、またはやり方を知っていればうまく解けるよ」と言うものである。合理的でしかも時間の節約につながる。
しかし、「先端A」はあくまでも「場合わけをして、細かく調べていく」にこだわる。そういう設問があることを肝に銘じておかないと受験生としても覚悟が決まらない。
「先端A」でも他の分野の出題はスマート、または巧妙な構成をもった問題が多い。良問の宝庫と言える。しかし「場合の数」は時間をかけて丹念に調べてあげていくという解き方にこだわるようだ。
ここは従うしかない。テストに出たら、時間をかけて場合わけをし、調べていく。これを実践するしかない。そういう作業をいとわない精神力も必要になるだろう。このようなテスト形式である以上、どのような生徒がこのテストに向いているかと言うことはおおよそ見当がつくだろう。
それは、「ねばり強く問題にあたれる生徒」ということである。
書き出しをふくむ、細かい作業の積み重ねに耐えうる、またはそういった算数が好きという生徒には格好のテスト問題だと思う。「先端A」の算数は2月校に負けることのない、大変に優れた内容をもっている。しっかり対策をして、自分の納得がいく点数が取れるようがんばってみよう!
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2016年度「開智中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
60分で大問が4、小問が15。各8点で120点満点。
本年度は昨年度までの反動か、問題の質が大幅に易化した。受験者平均点が男女とも約1.5倍になるという変動ぶりだ。合格点は70点くらいと予測される。
この水準で推移すると考えると、問題量に対してテスト時間は十分にあり、合格ラインまでの点数も望める。
【大問1】小問集(計算・速さ・倍数・つるかめ算・分数・差集め算)
- 難度:易
- 時間配分:10分
【大問1】の(1)から難易度高しという、昨年までの先端Aの問題に比べると、なんとつつましいテストの幕開けであろう。
しかも(1)から(6)まで、標準的な問題ばかり、解いたことがある問題ばかりだ。「これ、開智の問題?」と首をかしげながらも受験生たちは問題に取り組んだであろう。
そうは言っても基礎レベルではない。(2)は速さの平均、(3)は「どれで割っても3不足」とまとめる解き方、(4)は面積図の使えないつるかめ算、(6)も不足数がいくつもあるので(12-5)の7で割れるものを見つけなければならない。
しかし、開智対策を行ってきた生徒にとっては全問正解が絶対必要で、ここで勢いをつけて後半の大問に挑みたい。
【大問2】割合と比
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
(1)はほんの小手調べで、問題は(2)のほう。
(ア)階段の1段の高さを「1」とおくと、4回目にはね上がった長さは「5」となる。あとは3 回目と5回目の高さが同じ「5」であることがわかればよい。ただし、間違えて1:1と書かないこと。「床からの高さ」である点に注意する。
(イ)84cmから逆算すると5回目に落とした高さは105cmとなり、これが階段「6」段分にあたるので割り算をして答えを求める。
(2)の導入で間違わなければ解ける問題だ。
【大問3】立体図形(六角柱の体積)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
これもやさしいと言えばやさしい問題だが、一風変わったところがあり、解いていて面白い。(1)(2)は(3)を解くためのヒントとなっている。
(1)は三角すいの高さも直角二等辺三角形の1辺の長さと同じ、とわかれば誰でも解ける。
(2)は正方形に対角線を引いてしまうと小学4年生でも解けてしまうのではないか…
(3)は(1)のことを応用すると六角柱の高さがわかるのであとはさらっと。
考え方はユニークだが計算は楽なので時間はかかるまい。
【大問4】分数の数列(約数の問題)
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
まだ時間は40分くらい残っているはず。
最後でやっと「開智」らしい、数え上げていく問題に遭遇した。
しかし、2016を素因数分解したものが問題文に書かれていてサービス過剰だ。
本年度は約数が多い「2016」という西暦を使った問題がそこかしこに見られた。しかし、はじめから素因数分解してある学校を見たのは初めてだ。
(1)は分母が7なので、分子は1から6まで。よって、6個。
(2)は、分母が63なので、分子は1から62まで。よって、62個。とならないところがミソで、(1)とは異なる。62までの中に、63を約分できる数がいくつもあるからだ。それを除くか、またはあり余った時間を使って、分子だけ書き上げていけばよい。63は3または7の倍数で割れるので1から62までの「3または7で割れる数」の個数を求めて62個から引く。
ここでようやく点差が開いたか。
(3)は場合わけが大変であり、本来ならばスルーしてもいい問題だが、まだ時間は30分くらいあるので、地道に調べ上げていくのもいいものだ。
攻略ポイント
テスト時間は60分で120点満点。
受験者平均点は男女で異なり、男子73.5点、女子65.0点で、この得点を上回っていればだいたい合格できる。昨年度は目標とする点数は40%だったが、本年度のものは60%と大幅に上がった。
平成28年度の「先端A」はいわゆる「第1回」の問題レベルになっていて、解く側の生徒にとっては大変負担の少ないテストになっている。来年度もこの水準で推移するとすれば「先端の算数は難しい」と敬遠していた受験生たちも安心して願書を出して入試に取り組めることだろう。学校の狙いもそこにあると思うが、さすがに昨年度のものは難しすぎた。もう少し骨の折れる設問が多くてもよいとは思うが、全般としては本年度の問題はバランスよく感じられた。問題集などで、中~やや難くらいの問題にあまねくあたっていけば、合格への道は開けよう。
ただし、「先端A」の特色になっている「数え上げる場合の数」への免疫力をつけておきたい。全部数えて正解を出すという覚悟さえあれば、時間は十分に与えられている。こつこつとていねいな作業が好きな生徒には向いている。
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