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開智中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「開智中学校の算数」
攻略のための学習方法

[出題されやすい内容]

試験時間は60分、大問4問に小問15~19。
この数年間で問題の質が変わり、標準的な問題指向となった開智「先端A」の算数。
本年度はやや難度を戻したといっても後半の大問に難度の高いものが散見するだけで、全般としてはそれほど高難度とは言えない。
標準的な設問がメインである傾向が4年続いたことによりこの水準は確定されたと思われるので、来年度も以前のように難易度の高い問題が多数出てそれにとまどうことはないだろう。

出題されやすい内容は
「割合・場合の数・平面図形・立体図形・速さ」の5分野である。
ただ基本的な公式が理解できるではなく、いわゆる応用が利くよう少し難問にまで手を染め,いわゆる典型題はいつでも正解を出すことが出来る、くらいの自信が欲しいところだ。
教材としては、塾で使用している問題集などがよいだろう。たとえば「A(平易)→B→C→D→E(難問)」となっているものであれば、「A~D」クラスの問題である。

[過去問演習]

この段階を経て次にやることは、過去問の徹底演習である。
「開智(先端A)」の算数とはどういうものか、ということをよく知っておきたい。
学力があっても(偏差値が良くても)、受験でいい結果が出せないという受験生の大半は、志望校対策が不十分だからだ。
「力はあるのだからその場で解けるはず」と判断してよいのは、算数の偏差値が常時70以上はあるか、対象としている学校が自分の偏差値よりも10以上低い場合に限る。あとは対策次第で合格する割合はかなり変動する。

「先端A」の場合,大問のスタイルはだいたい似ている。
【大問1】は小問集で標準レベルの一行問題が並ぶ。
以降の大問は1つの大問に3つの設問。そして、設問のレベルが徐々に上がっていく。
前半の設問が1つないし2つが勉強してきた成果が生かせる「標準的」な設問,最後の設問はかなり応用力を要求されるものになっている。
本年度では【大問3】(2)③がそれにあたる。また、【大問4】(3)も一筋縄ではいかない設問だった。
しかし、合格だけを考える場合には、前半の2問をそつなくこなせれば十分に可能性がある。
ただし、「標準的」とはいうもののその難度はなかなかのものだ。
基本的なものだけを解いてきたという勉強法では【大問1】の小問から足をすくわれかねない。それでは合格などまだまだだ。

また,(1)の解き方または答えが次の設問のヒントになっている場合が多い。
一見関係なさそうに見える問題でも実はその前の設問が使えることが分ったときの「なるほど」感にはなかなかのものがある。
そういう設問をうまく見つけて、算数を解く楽しさも味わっておきたい。

[場合の数]

「場合の数」にはいろいろな解き方がある。「和の法則」「積の法則」などの有名な公式をふくむものから始まり、「道順の問題」「トーナメントとリーグ戦」「円順列」などさまざまな解き方がある。
それらはいずれも「すべて書き出さなくても計算を使えば、またはやり方を知っていればうまく解けるよ」と言うものである。合理的でしかも時間の節約につながる。

しかし、「先端A」はあくまでも「場合わけをして,細かく調べていく」にこだわる。そういう設問があることを肝に銘じておかないと受験生としても覚悟が決まらない。

「先端A」でも他の分野の出題はスマート、または巧妙な構成をもった問題が多い。良問の宝庫と言える。しかし「場合の数」は時間をかけて丹念に調べてあげていくという解き方にこだわるようだ。
ここは従うしかない。テストに出たら、時間をかけて場合わけをし、調べていく。これを実践するしかない。そういう作業をいとわない精神力も必要になるだろう。
このようなテスト形式である以上、どのような生徒がこのテストに向いているかと言うことはおおよそ見当がつくだろう。
それは、「ねばり強く問題にあたれる生徒」ということである。
書き出しをふくむ、細かい作業の積み重ねに耐えうる、またはそういった算数が好きという生徒には格好のテスト問題だと思う。自分はとてもよい「作品」だと思っている。

「先端A」の算数は本命校が待つ2月校の力試しにはもってこいの内容を持った良問である。しっかり対策をして、自分の納得がいく点数が取れるようがんばってみよう!

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2019年度「開智中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

60分で大問が4,小問が19
本年度はここ2年間見られた「問題易化」傾向にやや歯止めがかかり、大問を中心に難易度が若干上がった。それは受験者に平均点にも表れており、男子が60.7点(前年70.9)点、女子が48.4点(前年57.9)点と10%以上下がっており、この3年間ではもっとも低い平均点となった。それで、とっておきたい算数の点数は120点満点中70点とした。
時間は十分に与えられているので、冒頭の【大問1】で点数を落とさず、【大問2】以降の標準的な設問をきちっとおさえていけば決して難しい注文ではない。

【大問1】小問集(計算・差集め算・速さと比・数の性質・場合の数・立体図形・相似・面積)

  • 難度:標準
  • 時間配分:24分
  • ★必答問題

本年度の【大問1】は問題数が8問に増えていて、どの設問も基本~標準レベルの問題なので、できれば全問正解、悪くても1問のミス程度にとどめたい。

(2)は差集め算の典型的な問題で、一定の難易度はあるもののほとんどの受験生は解いたことのある問題だろう。

(3)は、それぞれの速さから逆比(時間の比)を求め、その比の差が4分(2+2)となることを使うか、(2)とは違うタイプの差集め算としてあつかうことが出来る。

(4)【大問1】の中でも特に平易な公約数の問題。もう少し手が込んでいてもいいくらいだ。

(5)の「一筆書き」の問題は解いたことがないと調べるのに多少時間がかかるかもしれない。
4つの頂点に集まる辺の数について調べてみると、「左上」と「右下」の頂点には3本、その他2つの頂点には2本の辺が集まっている。
頂点に集まる辺の数が奇数のところを「奇点」、偶数のところを「偶点」と呼ぶ。
すべての頂点が「偶点」の場合はどこからはじめても一筆書きができるので問題にならない。一筆書きは「奇点」からはじまり「奇点」で完結する。
「左上」の奇点からはじまる一筆書きの数を調べ、「右下」からも同様の数ができるので2倍する。
【大問1】では、この(5)で正解不正解が分かれたと思う。

(6)はどんな割合の問題かと思うととても平易な設問で安心する。

(7)では、直角三角形の辺の比が「2:1」になることを利用して求める。

もはや(8)程度の設問には引っかからないだろう。「台形」の面積と「四分円」の面積の差をとれば良い。

【大問2】速さ(流水算)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

本年度のテストで最も合否を分けたのがこの【大問2】であることは間違いない。
内容は比を使った流水算の標準的な問題なのだが、(1)が解けないと先に進めない点が大きい。
あとの【大問3】【大問4】は前半の設問がやさしいので部分的に得点できることは可能だがここでは「流水算+比」の問題が苦手な生徒は全問不正解が考えられ、逆にあとに行っても設問のレベルが変わらないので(1)がスムーズに解けた生徒はここで大きく得点できたはずだ。

(1)(2)太郎と花子の、下りの速さの比をまずとる。そしてそれを使ってA地点からB地点までの距離を整数でおく。その距離を太郎と花子は27分で出会うことから27で割ると2人の静水の速さの和が求まる。下りの速さの和から静水の速さの和をひき、それを2で割ると流速が求まる。
これらの数値を最後まで使っていけばすべての解答に納得がいくことになる。
ただし(1)を解答するまでにミスが出ると全敗につながる。上の解き方だと流速が分数になるので慎重に計算を行いたい。

(3)は若干難易度が上がるものの(2)までこなせた生徒ならばなんとか正解にこぎ着けるのではないか。特には計算することなくあてておきたい。

【大問3】場合の数(順列)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

この大問では、(2)③が難問なので前半の平易な設問にしっかりと答えておくことが大切だ。
【操作】の内容をよく読み理解してその通りカードを動かしていけば良い。

(2)①②は結果的に場合の数が少ないだけに正解しておきたい。

【大問4】和と差の文章題(平均算)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

最後の平均を使って求める問題は、開智中を受ける受けないではなく、ぜひ解いておきたい良問である。

(1)は、平均の面積図を使う問題で、(A+B)とCに分けて面積図を書くと平均点の差から人数の比が求まり、C組の人数も求まる。標準的な問いだが3組を2組にまとめて考えられるかが応用力を試されるところである。

(2)では今度はA組とC組の面積図を作成する。A組の合計点がA組を表す面積になるので比は求まらないものの実際に計算していくことでA組の平均点が求まることになる。

(3)(2)までに比べるとやや難しく、ここも【大問3】(2)③と同じく失点もやむを得ないかもしれない。
B組の合計点から上位10人を取り除いた合計点をひくと815点となり、これが上位10人の点数の和である。そうすると、100点の人数は8人以下と考えられる。
しかし、仮に100点が8人いたとすると他の2人の和は15点とになってしまい、とても上位10人の点数ではなくなってしまう。
少なくても63点以上の点数ではないと上位10人には入れない。そこで、100点の人数が8、7、6…と減らして考えていくと、100点が5人のとき、残りの5人の合計点が(815-100×5=)315点となり、5で割って平均点が63点となるので上の条件に合う。

(1)(2)はしっかりと復習しておこう。

攻略のポイント

テスト時間は60分で120点満点。算数の得点だけが120点で、国語は100点、理社はそれぞれ60点と変則的な点数配分になっており、算数重視であることは間違いない。
受験者平均点から考えると、本年度は120点中70点(60%弱)が合格するための目標点になる。これは以前しめしていた目標点とほぼ同じである。
しかし、それでもかつての「先端A」の問題群に比べればその難度は下がっており、満点はのぞまないとしても、80点くらいは取れてもらわないと実際には困るレベルである。合格を確実にするためには算数でできるだけ得点しておきたい。
当面、この難易度で推移していくものとすると、来年度も「標準」または「やや難」レベルの問題を数多くこなし自分のものにしていくことがなによりも大切である。

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