開智中学校 入試対策
2023年度「開智中学校の算数」
攻略のための学習方法
6年夏・秋までの学習
やはり全分野についてムラなく標準レベル+αまで仕上げたい。算数が苦手であれば秋までずれ込んでも、である。ここでいう標準レベル+αとは、⑴〜⑶まである大問ではなく、単問で出されるレベルである。その中でのひとひねり。ふたひねりを数多く経験して理解しておきたい。
6年夏以降の分野別学習
本校の頻出分野である「速さ」「場合の数」「平面図形」「立体図形」「数の性質」「比」については特に深掘りして実力を高めたい。
「速さ」は6年連続で大問として出題されており、特に重要である。一部の学校では近年「ダイヤグラム」の利用が流行しているが、本校ではそれよりも「状況図」を正確に描き、逆比を使った解き方などを得意になるまで高めておきたい。「旅人算」のほか、「流水算」「通過算」「時計算」など特に重要である。「速さと比」の単元も繰り返し説いてみてほしい。
「図形」分野でもこれまでのところ近年の流行とは比較的無縁で、立体図形の複雑な切断などは優先度が低いようだ。その代わり、作図の正確さが合否を分けるような出題が目立つ。昨今の大手塾では作図そのものの指導をあまりしないようだが、フリーハンドでそれなりに正確な図を描けるよう練習してほしい。ノートに描く前に、一度テキストの図をなぞってみるのも有効である。「転がり移動」「回転移動」「平行移動」などは特に備えておきたい。
「場合の数」では2年連続で難易度の高い「数の性質」の要素を含んだ「場合の数」が出題された。苦手な人の大変多い「場合の数」であり、「速さ」や「図形の移動」を先に仕上げる方が現実的かも知れないが、決して諦めずに取り組んでみてほしい。
中学受験の「場合の数」は、高校の「確率・統計」と異なり、例外に気をつけながら数え上げる能力が重要である。樹形図をはじめ、数え上げる作業を大切にしてほしい。塾では式だけを教わる事も少なくないが、数え上げられてこそ式の意味も深く理解しやすくなる。
その上で、式を使ってスマートに解くことを徐々に覚えていってほしい。
過去問演習
本校の大問1の難易度のばらつきと特定分野への出題の偏りは、是非早めに経験して対策への意識を高めたいところだ。
夏休み前に1回分解いてみるのはモチベーション上も刺激となるし、9月以降も第1志望だからと後回しにせず、2〜3回分なら早めに解いてみて良いだろう。その中で手応えと課題を見つけ、残りの数回分をいったん横に置いて、対策を進めと良いだろう。
時間配分のコツはまずはいったん早めに飛ばすこと。そこを覚えるとどんな入試でも怖くなくなる。
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2023年度「開智中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間60分で小問集の後に大問3つという構成は、特にスピードを求められてはおらず、後半の大問にじっくり取り組んでほしいという学校側の思いを感じる。
大問1を25分、大問2〜4を各約10分とし、残る5分を予備タイムとすればバランス良く取り組めるだろう。平均点が高くない中、小問集である大問1に手強い問題も少なくないので、手こずりかけたら早めにいったん捨てて先へ進む勇気が重要となる。
【大問1】小問集(必答問題は(1)・(2)・(3)・(7)・(8))
- 難度:易〜やや難
- 時間配分:25分
- ★必答問題
例年通り問題数が8問で、逆算・濃度・差集め算・数の性質・速さと比・場合の数・ニュートン算・回転体からの出題となった。昨年は例年に比べ易化したが、本年は以前のように難易度の高い小問が増え、半ば戻った。
⑴の逆算はごく標準的であり、慌てず正解したい。
⑵の濃度算も、比を使って解く基本レベル。
⑶の差集め算も典型問題だが、このひとひねりが苦手な受験生は意外といるかも。
⑷が苦戦しそうな問題である。3つ以上の数の最小公倍数を求める際の特徴を突いていて難しい。諦めて飛ばしても全く構わない。
⑸は速さと比の典型問題だが、少し解きにくさがあるかも。
⑹はカードを使った場合の数で典型的だが、2の倍数と3の倍数両方の条件を満たし、そう少なくない正解に速やかに辿り着くのは意外と厄介だろう。
⑺は、苦手な受験生の多いニュートン算の中では、かなり易しめ。
⑻は立体の相似への理解と計算力を試される回転体の問題で、体積比と結合法則を使ってスマートに解ければベスト。地道な計算でも構わないが、正確に解き切りたい。
【大問2】通過算(必答問題は(1))
- 難度:易〜難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
「速さ」の一分野である「通過算」からの出題。具体的な単位を伴った長さや速さが示されない為、比の整理によって解くほかなく、その点で難易度が上がったと言える。(1)はまだ典型的な標準問題である。比だけで解く事になるが、まずは正解したい。 (2)は考え方自体は問題文に沿って辿ってゆけば難しくないが、トンネルの長さも比で整理しながら解いてゆく中、数字がスッキリ整数とはならず、見慣れた形でもない為、混乱した受験生は多いだろう。
(3)を前に、新たに長めの問題文があり、問題状況が変わり条件も追加される。実際の入試では、よほど「速さ」に自信がない限り、ここでスキップして先に進むのが賢明だろう。解法は作図・立式で状況を整理する段階が複雑だが、それが出来れば計算等は易しいが、捨て問と判断して間違いない。
【大問3】平面図形(必答問題は(1))
- 難度:易〜やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
「3:4:5」の直角三角形を使った大問であるが、相似は表れない。各種移動の小問集とも言える。
⑴は基本的な典型問題。さすがにミスも許されないだろう。
⑵は回転移動の問題としては少し珍しく、初見で正確な作図と立式が出来るかを試される。苦戦した受験生が多そうだ。
⑶は考え方自体は標準的で計算も平易だが、やや慣れない形ではあるので作図力が問われている。的確に図を描ければ難しくはない。
【大問4】場合の数
- 難度:標準〜難
- 時間配分:15分
3ケタの整数の中で、各位のいずれかに「1」が現れる数について調べる問題。発展分野として類題を解いた経験のある人も多いだろうが、理解して定着まで至っている人は多くないだろう。
⑴ は2〜3の簡単な式で解ける。ただ「1」が現れない場合を求めて引くのが早いと見抜く発想がないと長い調べ上げが必要になる。
⑵ は奇数に限定されるので、一の位のみ考え、「1」の場合とその他の奇数の場合とで分けて整理すれば難しくはない。
⑶ は一気に難易度が上がる。受験生にとっては完全な捨て問である。「差」だけ問われる場合の通例で、それぞれの和を求めて最後に引くわけではない。相当困難な作業が要る。
攻略のポイント
大問1の小問集でも典型問題を少しひねった出題の多い本校では、典型問題を正しく理解した上で、ひねりの要素に正確に対応する力が求められる。
大問2の「通過算」では、未知数を言葉を使って表した式を書いたりして対応したい。
大問3の「図形の回転・転がり移動」においては、円の転がり移動で辺に対して円の直径が垂直をなす図を各箇所で描く作図力を持っていれば、弧の中心角も正確に求められる。
大問4の「場合の数」では、状況を正確に踏まえてスマートに式を立てる力と、具体的にイメージして場合分けを行い数え上げる力との両方を求められているようだ。
「速さ」「場合の数」といった本校の頻出分野でも、既存のパターンを身につけるだけでなく、その場の自己判断で柔軟に立式や作図を行いたい。
また重ねて述べるが、大問1で苦手な問題をうまく捨てる柔軟さが、本校の入試では特に重要となっている。
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