海城中学校 入試対策
2019年度「海城中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
文学的文章1題と説明的文章1題で大問2題という構成が定形となっている。
文量は計7000~9000字ほど。2019年度では10000字を超えている。漢字も含めた総解答数は25問前後。
50~100字超ほどの記述問題が2問出題されるのもここ数年の通例となっている。選択肢の問題数が多いのも特徴である。選択肢ひとつひとつが長めであるのも特色で、全体として読む分量が多くなっている点、留意して準備する必要がある。
長文読解
近年、文量が多くなる傾向にある。意識して読むスピードを上げる訓練をしておこう。
素材文の内容は読みやすいものが多い。文学的文章は、人物の設定が受験生にも理解しやすい年齢や境遇となっているものが使われ、難易度が配慮されている。
説明的文章も学生に向けて語りかける随筆のようなものが多いが、社会科学など分野的にやや高度な内容のものも見られる。全体としては難しすぎるということはない。
読解力が十分にあれば正解できる問題が多いので、国語の基本力をまずは充実させたい。
文学的文章であれば、場面分けを的確にする。時間・場所・人物の移動などに着目し、場面の変わり目をマークする。人物の言動や情景などにも注意しながら、心情を読み取る。
予断を持たず、あくまで文中の手がかりに沿って考える。そして全体を通して作者の描きたかったこと・主題を考える。
説明的文章であれば、段落の整理。形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の大まかな内容を小見出しとしてつけておくとわかりやすい。要点の抽出。段落の最初と最後が大事とはよく言われることである。あとで見つけやすくまとめやすいように傍線などで目立つようにしておくと楽である。
要点をまとめて要旨・要約へといたる。記述問題で使える部分もここに含まれることが多い。
選択肢問題・記述問題
選択肢問題は数が多く、ひとつひとつの文も長い。ただし、各選択肢の違いが明確で、無理に迷わせるような意地悪なものではない。読解がしっかり出来ていれば正解できる、実力が正確に現れる問題となっている。
選択肢の中の正誤のポイントを見落とさないよう、類似問題を多くこなして十分に練習し、注意力を養っておこう。
記述問題は設問の条件をよく見ることが大事である。条件自体が文中の大事なポイントを見つける手がかりになっている場合が多い。使えそうな部分の見当が付いていれば、それを条件に合うように整えれば良い形でまとめられるようになっている。
いずれにしろ、まずは素材文をしっかり読解できていることが大事なので、国語力をつけた上で、なるべく多くの過去問をこなし、試験の特徴に慣れておいていただきたい。
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2019年度「海城中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は26問。文量は10000字超もあり、選択肢ひとつひとつの文も長い。全体として読む分量がかなり多いので、スピードはつけておこう。
記号選択問題が18問あるが、選択肢はポイントがはっきりしていて本文の読解ができていれば迷わず選べるので、ここでなるべく時間と得点を稼ぎたい。
2題の記述問題も、条件に沿って書く部分を的確に選べればまとめるのはそれほど難しくない。配点が高い部分なので、なるべく時間を多く割り当てて高得点を狙いたい。
【大問1】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:32分
- ★必答問題
転校してきて周囲に合わせることを気にしたばかりに先輩を傷つけてしまった主人公は、司書の先生に励まされ、本当の気持ちを歌に詠んで先輩に伝える。
問一 吟行に行きたくないのではなく、それを周囲に知られることが嫌なのであることをとらえる。朋香の誘いは断るのだが、その本当の理由を言いたくないということなので、エが合う。
問二 ア. 吟行には行きたいと思っている。みんなから怖がられている佐藤先輩と仲が良いと思われたくないだけである。
イ. 佐藤先輩は皆からどう思われているか自分でわかっていることが述べられている。
エ. 木曜の吟行を優先させるつもりで、バスケ部に入ろうとは思っていない。
問三 ア. 朋香に言われるまで誘われていたことを忘れていたので、「ここ数日我慢してきたイライラ」は合わない。
イ. 短歌を詠むこと自体を恥ずかしいと思っている様子は描かれていない。
エ. 「朋香と同じクラブに入るため」が合っていないし、この時点で佐藤先輩との約束を破ると決定したわけではない。
問四 「口をとがらせる」は怒りや不満をこめた表情。ウの吟行を楽しみにしていたというのは間違いではないが「ずいぶん長い間」や「残念に思う」がやや合わないので選ばない。
イも「はい」と返事をしているので×。
問五 佐藤先輩は自身も転校生であった経験から主人公を気遣い、吟行を通じて親しくなろうとしていた。実際、二人だけの時には主人公も打ち解けていたことが推察される。
しかし、「ほんとは迷惑」という言葉で周囲に合わせることを優先した主人公を、「自分の身を守りなよ」と突き放すような気持になっている。
問六 主人公は本心では吟行に行くことを楽しみにしていて佐藤先輩と二人きりの時には仲良くしたいと思っている。しかし、変わり者と怖がられている先輩と同じ仲間だと思われたくないために、本心とは異なる言葉で先輩を傷つけてしまった。
先輩の気持ちも考えず本心を隠して周囲に合わせようとしている自分の「ずるさ」のようなものが自分でも嫌だったのだろう。
問八 マレーシアにいたころの自分と現在の自分の対比をしっかり書こう。
マレーシアでは周囲と違っていることが当たり前で、無理に同調しない「開放感」に満ちていた。
日本では「周りの目ばかりを気にして」「人とちがうこと怖がって、否定して」そんな自分が嫌だと思い、「マレーシアにいたころの自分」にもどりたいと思っている。
問九 七海さんは主人公の心中を考えて声をかけている。自分もかつてその本が心の支えになったと、主人公を励まそうとしている。
問十 「それ」は直前の「マレーシアにいた時は日本の本があることにほっとした」ことを指している。
問十二 短歌はもう一度いっしょに散歩したいという意味で、これはもちろん「吟行」を指している。
問十三 イ. 「自分が理不尽に腹を立てて」「『わたし』はまったく悪くない」などがおかしい。
ウ. 「人前」であるなどとは、はっきり書かれていない。
エ. 短歌に反応して会話してきているので、「どうでもいい」は合わない。
【大問2】論説的随筆文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
「選択的注意」について解説し、そのかたよりが芸術を生み出すこともあり、また知識が増えれば察知能力も上がることなどが述べられている。
問二 「注意したことしか気づかない(認識しない)」ということなので、「目に入っているがゴリラに気づかない」というアが選べる。エは「ゴリラを認識していても」がおかしい。
問三 「しっかり見ようとする→注意の対象」「見えなくなる→注意の対象外のもの」という図式である。
問四 通常、人は要・不要の「要」の対象しか注意しておらず、「不要」のなかにも「おもしろい」ものがあることに気づかない。
芸術家は「不要」な対象にも注目して美やおもしろさを認識し、表現として他の人に示してくれるのである。
問六 キノコとバードウォッチングのエピソードで説明している。対象についての知識が増えると「『なにか』として認知する、つまり意味処理される前」に注意を向けられるため早く察知できるようになるのだと考えられるので、イの説明が合っている。
問七 問六とも関連する「意味処理される前の認知過程で注意を向けている」ことを指しているので、アが合う。
問八 「選択的注意」は、その人が何を優先的に注意しているかによって認識できるものが違ってくるし、察知能力もその人の知識の分野・量によって異なるので、人それぞれ見ているものは違うということになるのである。
攻略のポイント
素材文と設問(選択肢)の文量の多さには注意が必要である。本文と設問の細部にまで注意を途切らせずに、とにかく全ての問題に目を通すスピードを身につけたい。
出題数の多い選択肢問題は得点しやすい問題も多いので類似問題で十分に練習し、その上で記述問題でも得点を積み上げられるよう、過去問・類似問題で経験値を上げておこう。
全体としては極端に難しい文章や問題ではないので、読解力があれば合格点に到達できる。試験対策のみにとらわれず、国語の地力といったものを十分に高めておこう。
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