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海城中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「海城中学校の社会」
攻略のための学習方法

〇出題構成

海城中学校の社会の入試問題は、他校に類を見ないユニークな形式となっている。
大問は一つで、あるテーマにもとづく1000文字を超える長い本文の中に、
  選択問題や用語記入などの基本的問題7~10問
  写真や統計・グラフなどを読み取って50字あるいは150~200字程度の記述にまとめる問題1~3問が含まれていて、総問題数10~12問程度の総合問題形式で出題される。

〇基本的問題

上記の基本問題については問題数も少なく、難易度も海城中学の高い偏差値を考えれば特別に難しい問題ではない。
出題範囲に偏りはなく、歴史・地理・政治経済すべての分野からひろく選ばれている。
受験勉強はともすると、覚えることの多い歴史分野に時間をかけがちだが、海城対策としては各分野の基本事項をまんべんなく学習し、それらのことがらの背景・原因や、もたらした結果・他のできごととの関連など、少し掘り下げてまとめて覚える必要がある。
ヨーロッパ・アジア・中東の地理なども出題されているので、白地図や資料集に普段から親しんで、使われている写真や図表に慣れて、歴史・政治のできごとと絡めて覚えれば得点源となるはずである。
一問の配点が大きいので取りこぼしを少なくし、速やかに答えて長文記述に時間を多く配分できるよう、過去問で練習しておきたい。

〇長文記述

上記の長文記述については、テキストの単純な暗記では対処できない点がやはりやっかいなところである。
テーマとなる話題はユニークでバラエティ豊かだ。口蹄疫感染疑いの家畜の殺処分が遅れた理由(2021年度・第一回)や経験が評価される入試に対してどんな批判があるか(2021年度・第一回)など、普段あまり考えたことのないようなテーマが取り上げられ、最初は面食らうかもしれないが、新しい物語を読むような気持ちで、楽しんで本文を読み進めるくらいの心構えが欲しいところである。
そして、テーマに沿った資料やグラフが示されるのだが、注意したいのは資料を通り一遍に読み取っただけでは不十分だということである。資料Aと資料Bのこの数値に差がある、といった程度の指摘にとどまらず、その差から推測できるCという結論を導き出す分析力こそが海城中学校が受験生に求めている能力なのだ。
だからといって、資料・データの分析ばかりに気を取られて、本文の読み取りをおろそかにしてはいけない。
1000文字超と量が多いので、慌てて読んでしまいがちだが、実際の設問を見てみると、「本文と資料1・資料2を参考にして・・・・・・」といった表現がよく見られる。
実は、この長い本文の中に解答に使える重要なデータや出来事が多く説明されているのが、海城の社会の一大特徴なのである。
先ほど例として挙げた「Cという結論」も、本文に手がかりがある場合が多い。
本文をよく読んで重要点をまとめ、指定された資料と合わせて読み取れば適切な解答を構成できるように問題が作られていて、難解な知識や細か過ぎる情報を求められているわけではないのだ。
簡潔にまとめると、海城中学校の社会の記述問題に向けては、以下のような力をつける訓練が必要となる。

1000文字を超える長文を読み、解答に必要な部分を抜き出してまとめる読解力。
本文を読みながら線を引いたり、余白に書き出したりしておけば最後にまとめる時に作業がはかどる。

与えられた資料・データを読み取りその一歩先まで考える分析力。
よく資料が引用される『日本国勢図会』などに目を通し、データの特徴やその背景なども考えるようにしよう。

上記2点の内容を100字や200字でまとめる構成力。
そして、実際に試験に臨んだ時には、設問で指定された条件を必ず守り、示された資料をしっかり活用することが良い解答を得る一番の近道であることを意識して欲しい。
他校の社会の問題には見られない長い本文や200字あまりも要求される解答に、気後れしてしまう人もいるかもしれないが、先にも述べたとおり、テキストにも載っていないような難しい知識や細部にこだわった情報は必要ないのである。「自由に自分の考えを述べなさい」といった問題とも異なっている。あくまで、本文を正確に読み、資料と比べて簡潔にまとめる「論理的」な思考力を期待されているのだ。
普段の学習において、「なぜそうなったのか」とか「この先どうなるのか」というように論理的に考える癖をつけておくことが大事である。また、過去問に積極的に取り組み、本校の特殊な出題形式に慣れておくことも大切であることはいうまでもない。

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2024年度「海城中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

記号選択と適語記入の問題が計8問、記述問題が2問で計350字という構成で、例年と大きな変化はない。2000字ほどのリード文と適語記入・選択肢の問題は15分程度で済ませて、記述問題に十分な時間を残したい。

【大問】総合問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:45分
  • ★必答問題

大学入学共通テストを題材に、能力の評価のしかたについて考えさせる問題。

問1 イ. 足利学校は平安時代(鎌倉時代とも)に下総国(現在の栃木県足利市)に創設されたと伝えられる日本最古の学校とされる機関で、藩校ではない。室町時代には儒学の中心としておおいに栄え、明治元年まで存続した。

問2 ・自由民権運動
・五日市憲法は明治時代初期に東京の五日市町で民間人によってつくられた憲法の私案で、国民の権利に重きを置いた草案となっていた。

問3 エ. 平安時代には各地で武士が興り、武技の熟達を求められたのは役人ではなく武士たちであった。

問4 (1) 東京23区を例にとれば、住民が区議会選挙で区議を選出する(・区議会)。区議会は役所()が作成した予算や計画を議決・承認する。また、役所は国や都()に対して要望や申請を行い補助金や支援を得て区政に役立てる。
    (2) 議員1人あたりの有権者数では、選挙区では2000人、選挙区では4000人と倍の差があり、の方が1票の価値が高いことになる。選挙区の住民は同じ価値を望んで定数を6人に増やすことを望む()ことが考えられ、の選挙では死票が多くなる()という現実の問題も起こっているわけである。

問5 (1) ウ. 福岡県では島に試験会場は置かれていない。
        オ. 福岡県の方が3000人・2000人規模の会場が多い。
    (2) 北海道・新潟など雪の多い地域に□マークが多い。また、人身事故は人口が多く運行本数も多い都市部で多く発生している▲マークと考えられ、残る●マークが強風となる。

問6 共通テストでは50万枚もの答案を20日間という限られた日数で採点する必要があるため、採点者が1万人ほども必要になり、多くの会場に分かれて採点が行われる。記述式問題では問題に対してさまざまな解答の書き方が考えられ、正解が一つとは限らない。正答の条件は示されているが、多くの採点者が多数の会場で採点するので、採点の基準の統一が難しく、全体の調整も事実上不可能なので、不公平が生じる恐れがあると考える人もいるのである。

問7 従来型入試は能力を評価する基準として、答えが1つで客観的に点数化しやすい学力を用いていたので、本人の努力が結果に表れやすいという利点があった。しかし、新型入試で、たとえば留学・ボランティアなどの校外活動も評価される場合、受験生の家庭の経済状況や通っている学校の留学やボランティアへの取組みなど、本人の努力以外の要素で経験は大きく異なることが考えられ、学力以外の部分の入試結果への影響が大きくなりすぎるのではないかという懸念が生じるわけである。

攻略のポイント

本校を受験する生徒のレベルから考えて、記号選択・適語記入問題は全問正解できるくらいの実力は必要とされる。
その上で記述問題でどれだけ得点を積み上げられるかの勝負になる。超難問というほどでもないので、類似問題を数多くこなしてコツを掴んでおこう。資料を読み取る問題は頻出である。統計・グラフの読み取りをよく練習し、データから原因や結果を推測する思考力を養っておこう。
社会の出来事に広く関心を持ち、その背景や周囲への影響などをよく考える習慣を持てば実力アップに大きく資するということは、強く指摘しておきたい。

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