開成中学校 入試対策
2024年度「開成中学校の理科」
攻略のための学習方法
開成中の満点は70点、知識問題も見られるが、問題文・図・グラフ等を読み取った上で答える問題が中心である。適語を答える問題・記号選択問題・計算問題が中心、図を描く問題も見られたが、記述を必要とする問題は見られなかった。
攻略のための学習法として、まずは基本知識を固めるここと。知識のみで正答できる問題が意外と多い。さらに、計算問題や実験・観察問題を中心とした問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の総合問題の演習もしっかり行って頂きたい。
実験器具の使い方や時事問題が出題された年もあるので、念のために対策をしておきたい。
分野毎の学習法は次の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は昆虫についての出題であった。かなり長めの会話文を読んでから答えるという形ではあるが、すべてが知識のみで解答可能な問題であった。ここ数年では、人のからだの働き(血液循環など)・植物・昆虫・動物と各単元から幅広く出題されている。この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらきを中心に、生物に関する基本知識をしっかり固めることが最優先である。生物分野の学習をする上では、日頃から図鑑や資料集を見ながら学習する習慣が大切である。また、実験や観察について考えるタイプの問題演習もしっかり行って欲しい。
地学分野 本年度は天体と暦に関する出題で、問題に書かれてある内容の理解が大きなポイントとなる出題であった。過去の出題傾向を見ると、天体に関する出題頻度が最も高く、気象・地層・地震に関しての出題も見られる。この分野の学習方法としてまずは、太陽・月・星の動きを中心に基本事項をしっかり固めることに力を入れて欲しい。天体の動きに関しては、なぜそのように動くのかの理屈を理解した上で覚えて欲しい。本年出題された地層・地震・火山・岩石に関しても知識をしっかり固めること。
物理分野 本年は電気回路と電熱線による発熱についての出題であった。ここ数年を見ると、振り子・てこ・滑車・ばねなどの力のつり合いに関する出題頻度が高く、電気回路、空気の膨張と収縮等に関する出題も見られた。この分野の学習方法として、特に力のつり合いについての学習に力を入れて欲しい。ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。また電気回路については、豆電球の明るさに加え、電熱線の発熱、電流と磁界(電磁石・方位磁針の振れ)についても基本的な原理を理解した上で演習をしっかり行うこと。
化学分野 今年度は水溶液の性質とものの溶け方について出題された。水溶液についての正確な知識とものの溶け方についての基本的な計算手法が試される内容であった。ここ数年では、物質の構造、物の溶け方、気体の性質と発生、溶解度などに関する出題が見られる。また、ガスバーナーなどの実験器具の使い方についても頻繁に問われている。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。また、実験器具の使い方、実験の進め方もしっかり学習して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2024年度「開成中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は25題程度で70点満点。試験時間は40分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、図を描く問題も見られた。記述問題は見られなかった。
今年度の合格者の平均点は60.2点で昨年よりは下がっているが、今年も8割以上の高得点が求められる出題となっている。
知識問題と思考力や計算力を試す問題のバランスが取れた出題になっている。難関校の開成中学ではあるが、基本的な知識問題も意外と多い。試験時間は十分あるので、問題文をしっかり読み取って考えることや計算問題の処理をしっかり行いたい。
過去問等の時間を意識した問題演習もしっかり積んでおくこと。
【大問1】 化学 水溶液の性質・ものの溶け方
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 加熱して何も残らなかったので気体または液体が溶けている。また、青色リトマス紙を赤色に変えたことから酸性である。さらににおいがなかったことから、炭酸水であると考えられる。
問2 酸性でにおいがあることから、塩酸とわかる。
問3 実験1~3では石灰水と重そう水の判別ができていない。二酸化炭素を吹き込んだときに白く濁る方が石灰水とわかる。
問4 50℃の水80gに8.8gのホウ酸が溶けているので、50℃100gの水に対しては、8.8×100/80より11gのホウ酸が溶ける。
問5 25℃80gの水に4gのホウ酸が溶けるので、7gのホウ酸を溶かすためには、80÷4×7より140gの水が必要。従って、水を40g追加すればよい。
問6 この実験だけで判断できることを選択すること。例えば、市販の酢にスチールウールを入れる実験は行っていない。
前半は水溶液の判別問題で中学入試頻出。水溶液も基本的な性質を理解できていれば容易に正答可能。後半はものの溶け方についての計算問題だが、特に難しい計算は含まれていない。「答えが整数にならない場合は、小数第1位を四捨五入」という指示があるが、いずれも割り切れて整数になるので惑わされないこと。
【大問2】 地学 天体と暦
- 難度:標準
- 時間配分:10分
問1 昔の暦(太陰暦)と現在の暦(太陽暦)の違いに関する出題。太陰暦については問題文の中に「1か月が新月から新月まで」と書かれてある。
問2 (30+29)×6 より、354日。
問3 4で割り切れる年はうるう年、ただし、100で割り切れる年はうるう年ではなく、400で割り切れる年はうるう年となる。
問4 新月の6日後の月なので、上弦の月の少し前になる。
問5 問2の354日は1年に約11日足りない。従って、約30/11年に1回うるう年をはさめばよいことになり、最も近いものは19年に7回となる。
問6 40.7-(40.7-35.7)×0.9=36.2 35.8は36.2より小さいので、スーパームーンと言える。
問7 作図問題。8月2日から8月31までの間に、地球は太陽のまわりを約30度反時計回りに公転している。地球の位置を固定させて考えると、太陽の位置が時計回りに約30度回転することになる。また満月なので地球をはさんで太陽と月は正反対に位置する。
天体と暦に関する問題。太陰暦・うるう年・スーパームーンについては、問題文の読み取りがポイントとなる。当然、月の動きや満ち欠けなど天体に関しての基本知識は必須である。
【大問3】 生物 昆虫
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 節足動物の中で、体が頭・胸・腹の3つに分かれ、足が6本のものが昆虫である。オカダンゴムシとジョロウグモはこれに該当しない。
問2 ナナホシテントウ・アキアカネ・ギンヤンマ・オオカマキリ・ジョロウグモの5つが他の昆虫を食べるもので最も多い。
問3 昆虫の冬越しの姿を問う問題。モンシロチョウはさなぎ、ナナホシテントウは成虫、カブトムシは幼虫、オオカマキリとエンマコオロギは卵で冬越しする。
問4 さなぎになる、つまり、完全変態の昆虫を選択する問題。モンシロチョウ・カブトムシ・クロオオアリが該当。
問5 昆虫の幼虫の住む場所を問う問題。モンシロチョウ・ショウリョウバッタは葉の裏。カブトムシ・アブラゼミは土の中、アキアカネは水の中。
かなり長めの会話文を読んで答える問題だが、各設問は昆虫についての基本知識を問う問題であり、知識の正確さが問われる内容。
【大問4】 物理 電気回路と電熱線による発熱
- 難度:標準
- 時間配分:10分
問1 ウの回路は乾電池2つが直列につながり、最も明るく点灯する。
問2 オの回路はスイッチ2つを閉じると乾電池2つと豆電球1つが直列につながる回路になる。
問3 イの回路は2つ目のスイッチを閉じると乾電池が並列につながる回路になるが、乾電池を並列に増やしても豆電球の明るさは変わらない。また、ウの回路はスイッチを1つだけ閉じても2つ閉じても乾電池2つと豆電球が直列につながる回路であることに変化がない。
問4 グラフの読み取り問題だが、知識問題とも言える。水の上昇温度は電流の大きさに比例し、直列につないだ電熱線の本数に反比例する。
問5 電熱線が1本だけつながる回路dに流れる電流が最も大きく、上昇温度も最も大きくなる。
問6 モーターに乾電池2つが直列につながる回路dのモーターが最も速く回転する。
問7 回路図を完成させる問題。スイッチが上を向いた時に乾電池1つだけがつながり、右を向いた時に乾電池2つが直列につながるようにすればよい。
電気回路と電熱線の発熱に関する出題。スイッチ回路を考える問題で思考力は要求されるが、際立った難問は見られない。電気回路の基本が身についていれば正答できる問題が中心。
攻略のポイント
合格者の平均点は約60.2点で、昨年同様高い正答率が求められる入試であった。実際にすべての大問において難問と思われる問題は全く見られず、得点しやすい問題が多かった。超難関校の開成中学とはいえ、理科の出題においては意外と標準レベルの出題が多く、基本知識を問う問題も多く含まれる。攻略ポイントとしては、まず各分野まんべんなく基本知識を固めることである。
出題の内容を見ると、例年同様に実験や観察の結果の読み取りや長めのリード文を読んで答える問題が中心で、問題文に書かれてある内容の理解がポイントとなる問題が多い。
学習を進める上では、基本知識をしっかり身につけた上で、実験や観察の結果に基いて考えるタイプの問題や長めの問題文を読んで考える問題の演習量を十分に確保して欲しい。
入試直前には過去問等を使って時間を意識した問題演習も行うこと。
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