｢2020年の東京オリンピック開催｣に向けて､｢紀元前９世紀以降の古代オリンピックまでさかのぼっての歴史や、それにまつわる政治･国際情勢｣などについての｢先生｣と｢生徒｣との｢会話文｣からの出題。

｢歴史｣の基本的事項が中心だが、中にはひとひねりしたものやディープな知識を求める出題もある。｢大学入試レベル｣の問題は｢捨て問｣でいいのだが、戦術的にそれが即座に判別できるかがポイントとなる。尚、冒頭の小問がいくつもの｢オリンピック開催都市｣の｢位置特定｣という厄介なもので、気勢をそがれることは必須だ。以下、いくつかの｢設問｣を検討してみよう。

[問１]　｢下線部の都市の地図上での位置特定選択肢設問｣(全10問/26択)。

｢国際地理｣単元｡会話文中の下線部(あ)～(こ)の都市の｢位置｣を､示されている｢世界地図｣に記された(Ａ)～(Ｚ)の中で特定する。

答えるべき｢都市｣は、｢アテネ｣｢ロンドン｣｢ベルリン｣｢モスクワ｣｢メキシコシティ｣｢リオデジャネイロ｣｢パリ｣｢ロサンゼルス｣｢バルセロナ｣｢シドニー｣｡無論、すぐに特定できなくてはいけない都市が多いが、中には紛らわしいものもある。特に、示されている｢世界地図｣では同じ国にいくつかの選択肢があったりするので、判別に悩むはずだ。いずれにしても、これら10都市はもちろん､本校では｢世界地理｣が必出なので､｢世界地図｣になじんでおくことは不可欠だ。

＜時間配分目安：4分以内＞

[問２(１)]　｢下線部についての年代整序選択肢設問｣(４択/複数完全解答)。｢歴史｣単元｡

会話文中の下線部①の｢東京｣の歴史について、示されている｢江戸で15世紀から18世紀までに起こった出来事｣を古い順に並べかえて答える。

各選択肢を確認し、｢時期｣を特定していきたい。
(ア)｢浅間山の大噴火による火山灰が降った｣⇒｢浅間山の大噴火｣といえば｢天明の飢饉｣⇒｢田沼意次の失脚｣と結びつくはず(18世紀後半)
(イ)｢太田道灌が江戸に城を築いた｣⇒｢太田道灌｣？　かも知れないが、｢江戸に城｣であって｢江戸城｣ではない⇒江戸時代以前で決定(ちなみに､15世紀半ば)
(ウ)｢玉川上水がつくられた｣⇒これも特定しづらいか？　ただ、江戸の人口が増えて水不足になったと考えればいい⇒江戸時代前半と判断(17世紀の半ば)
(エ)｢日比谷入谷が埋め立てられた｣⇒日比谷といえば東京(江戸)の中心で、江戸城も近い⇒江戸の町づくりでも初期のはず(17世紀初期)｡
したがって､｢答え｣は｢(イ)→(エ)→(ウ)→(ア)｣になる。｢年代整序｣では､無理やり曖昧な｢年代の数字｣でつなげるのではなく、｢流れ｣で判別することが肝要だ。また、たとえ未知の事項であっても、上記のように既知のことから類推して判断することが肝要。

＜時間配分目安：1分半＞

[問２(３)]　｢下線部に関連する不適切選択肢設問｣(４択)。

｢歴史｣単元｡会話文中の下線部①の｢東京｣の歴史に関連して、｢浮世絵｣についての説明で｢誤っているもの｣を答える。各選択肢を確認し正誤判別していく。

(ア)｢絵師･彫師･刷師などの分業｣⇒即｢適切｣と判別可能
(イ)｢１枚の版木で多色刷りの浮世絵を作る｣⇒｢多色刷りの浮世絵｣＝｢錦絵｣で｢適切｣？　が、｢１枚の版木｣？⇒色ごとに版木が必要なはずなので｢不適切｣
(ウ)｢大量に刷られて安く売られた｣⇒｢版画｣なので当然｢適切｣
(エ)｢オランダの画家ゴッホが歌川広重の浮世絵を模写した｣⇒｢オランダ｣｢歌川広重の浮世絵｣などは知らないかもしれないが、｢浮世絵｣が｢印象派｣の画家に影響を与えたことは習得したはず⇒｢消去法｣で考えても｢適切｣｡よって､｢答え｣は｢(イ)｣。知識が曖昧な場合は、｢消去法｣を活用すること｡

＜時間配分目安：１分＞

※尚、[問２(２)]の｢五街道で日本橋を出て最初の宿場町として誤っているもの｣(｢答え｣は(ウ)の｢目黒｣)は｢捨て問｣で構わない｡ちなみに、他の選択肢の(ア)｢千住｣＝｢日光街道｣､(イ)｢板橋｣＝｢中山道｣､(エ)｢品川｣＝｢東海道｣のそれぞれ｢最初の宿場町｣だ。

[問4(1)]　｢下線部に関連する不適切選択肢設問｣(４択)。

会話文中の下線部④の｢中国｣と日本の関係に関連して、｢遣唐使｣に随行した人物として｢誤っているもの｣を答える。

各選択肢は、
(ア)｢阿倍仲麻呂｣
(イ)｢吉備真備｣
(ウ)｢鞍作止利｣
(エ)｢最澄｣
これはもう、｢消去法｣で｢答え｣は(ウ)だと判別できるはず。ちなみに､｢鞍作止利(くらつくりのとり)＝止利仏師｣は飛鳥時代の仏師で、法隆寺の｢釈迦三尊像｣の制作者。覚えておきたい。

＜時間配分目安：30秒＞

[問８(３)]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元｡

会話文中の下線部⑧の｢ナチスの絶大な権力｣について、｢ナチスによる迫害を受けていた多くの人々を救うため、当時の日本の外務省の方針に反して、大量のビザ(査証)を発行した日本人｣を答える。

各選択肢は、
(ア)｢小村寿太郎｣
(イ)｢陸奥宗光｣
(ウ)｢井上馨｣
(エ)｢杉浦千畝(ちうね)｣
人物および時代の特定をしていく。｢小村寿太郎｣⇒｢ポーツマス条約｣｢関税自主権の回復｣＝｢明治時代末期｣､｢陸奥宗光｣⇒｢治外法権の撤廃｣｢下関条約｣＝｢明治時代後半｣､｢井上馨｣⇒｢鹿鳴館外交｣＝｢明治時代中期｣とここまでは楽勝のはず。したがって､これまた｢消去法｣で｢答え｣は(エ)となる。ちなみに、｢杉浦千畝｣は1940年当時のリトアニアの領事代理で、ナチスに迫害されたユダヤ人を中心とする6000人以上の避難民の命を救った(｢映画｣にもなった)｡尚、｢人物｣であっても｢時代｣との結びつきで判別できる場合があると心得よ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問11]　｢下線部に関連する不適切選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元｡

会話文中の下線部⑪の｢古代オリンピック｣が開かれていた｢紀元前９世紀から紀元後４世紀頃｣の｢日本と中国｣について示されている説明で､｢誤っているもの｣を答える。

各選択肢の｢キーワード｣で正誤判別したい。
(ア)｢大陸から稲作が九州北部に伝えられ｣｢やがて東日本にまで広がった｣⇒｢縄文時代末期｣～｢弥生時代｣＝｢紀　　　　元前５～４世紀｣以降から｢紀元後４世紀頃｣＝｢適切｣
(イ)｢倭には100余りの国｣｢漢に使いを送る国もあった｣⇒｢漢書地理志｣＝｢紀元前１世紀頃｣＝｢適切｣
(ウ)｢倭の奴国の王が隋に使い｣｢金印を授けられた｣⇒｢後漢書東夷伝｣＝｢紀元後１世紀｣＝｢適切｣だと早とちりしてはいけない⇒｢時期｣はいいが、｢金印｣は｢漢委奴国王｣､つまり、相手は｢隋｣ではなく｢漢(後漢)｣＝｢不適切｣。(エ)｢邪馬台国｣｢女王卑弥呼｣｢魏に使い｣｢親魏倭王の称号｣⇒｢魏志倭人伝｣＝｢紀元後３世紀末｣＝｢適切｣｡
したがって､｢答え｣は(ウ)｡｢時期特定｣の問題であっても｢その他の要素｣の確認も疎かにしてはならない。

＜時間配分目安：１分半＞

[問12(２)]　｢下線部に関しての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元｡

会話文中の下線部⑫の｢人種差別反対｣に関して、｢アメリカで黒人差別と戦い、最後には暗殺された､『私には夢がある』の演説で有名な人物｣を答える。

各選択肢の｢人物｣で、
(ウ)｢ガンジー｣＝｢インド独立運動の指導者｣｢非暴力主義｣､(エ)｢スーチー｣＝｢ミャンマー民主化運動の指導者｣｢ノーベル平和賞｣はすぐに結びつくはずだ。だが､(ア)｢マンデラ｣と(イ)｢キング｣は､｢歴史｣｢公民｣｢時事｣､どの単元からも抜け落ちている可能性がある。｢マンデラ｣＝｢南アフリカでの反アパルトヘイト運動の指導者｣｢ノーベル平和賞｣､｢キング｣＝1960年代にアメリカで広がった公民権運動の指導者｣｡｢私には夢がある｣の演説はオバマ前大統領も引用しており､とてもよく知られている。押さえていなかった諸君は覚えておくこと。よって､｢答え｣は(イ)だ｡尚、各単元の｢すきま｣になってしまう事項が結構あり、それらを問われることもままあるので、テキストの隅にある｢囲み情報｣なども必ずチェックしておきたい。

＜時間配分目安：1分以内＞

[問13]　｢下線部に関連しての国名記述設問｣(全２問/漢字指定)。｢歴史｣単元｡

会話文中の下線部⑬の｢約200の国と地域｣に関連して、｢台湾が『地域』とされる背景｣にある｢ふたつの中国｣ついて示されている､｢表｣と｢説明文｣の中の空所( １ )( ２ )にあてはまる｢国名｣を｢漢字｣で答える。

この問題の｢答え｣自体は容易く分かるはず。｢表｣には、( １ )＝｢中国(大陸)｣･｢指導者｣は｢毛沢東｣･｢共産党｣､( ２ )＝｢台湾｣･｢指導者｣は｢蔣介石｣･｢国民党｣とある。であれば、( １ )＝｢中華人民共和国｣､( ２ )＝｢中華民国｣であることは自明だ。ただ、｢説明文｣の内容に関しては知らない諸君も多いと思う。重要な事柄なので確認しておく。｢国際連合設立当初、『中国』の代表は『中華民国政府』｣で、後に方針転換し｢1971年以降､『中国』の代表が『中華人民共和国政府』｣になった｡したがって、1971年までは｢常任理事国｣の｢中国｣＝｢中華民国｣(｢西側諸国｣の一国)であったということになる。しっかりと押さえておきたい。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問15]　｢下線部についての州名記述設問｣(カタカナ指定)。｢時事｣単元｡

会話文中の下線部(け)｢バルセロナ｣について、｢2017年、バルセロナを中心とする州で分離独立の賛否についての住民投票が行われ、独立賛成が反対を大きく上回った｣が、この｢州の名前｣を｢カタカナ｣で答える。

典型的な｢時事問題｣だ。しっかりと習得さえしていれば、難なく｢答え｣は｢カタルーニャ(州)｣だと分かるはず。無論、｢時事問題｣をなおざりにしていれば全く歯が立たないに違いない。本校では｢時事問題｣が必出。しかも相当にディープなものも問われる。確実にチェックしておきたい。

＜時間配分目安：30秒

｢気候｣｢都道府県｣｢各産業｣｢防災｣などに関連しての、｢統計資料｣｢図版｣等からの出題。

｢地理｣を中心とした｢総合問題｣だが、｢時事｣についても問われ、後半には｢公民｣が控えている。基本的知識で対応可能な問題が主だが、難易度の高い曲者も紛れている。
以下、いくつかの｢設問｣を検証する。

※尚、[問３(１)]は｢天気図｣を踏まえた上での｢東北６県｣の｢７月の平均気温･日照時間｣と｢米の作況指数｣を示した｢統計資料｣に関する出題で、とにかく｢読み取り｣に手間と時間がかかる。あまりにも非効率なので、｢捨て問｣で構わない｡また、[問５(２)]＝｢漁港別水揚量５位以内のうちの４漁港の主要水揚品目｣と､その位置を示す｢経度｣とを結びつける問題も、難易度が高すぎるので｢捨て問｣でいい｡

[問１]　｢統計資料読み取り選択肢設問｣(全２問/４択)。｢地理｣単元｡

示されている｢2016年８月１日～31日の日最高気温の推移｣を表した｢折れ線グラフ｣の(ア)～(エ)は､｢札幌｣｢東京｣｢多治見｣｢那覇｣のいずれかだが、その中で｢東京｣と｢那覇｣にあたるものをそれぞれ答える。

｢日最高気温の推移｣など馴染みのない｢グラフ｣だろうが、要は｢８月の日の最高気温｣だ。
先ずは、最も低い(イ)が｢札幌｣ということは即決でいい。次に、最も高い気温を記録しているのが内陸の｢多治見｣なのも分かるはず。残りは、｢35度｣以上や逆に｢25度｣もあるという(エ)と､｢30～35度｣で比較的安定している(ア)だ。であれば、｢答え｣は｢東京｣＝(エ)､｢那覇｣＝(ア)だと判別できなくてはいけない(｢南西諸島の気候｣では夏の気温は安定している)｡
｢雨温図｣に限らず、｢気候｣に関連する｢統計資料｣は定番なので、様々な｢資料｣に触れておくことが肝要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問４(１)～(５)]　｢内陸県の特定に関する各種設問｣(全解答数６問/｢都市名･自然地名記述｣及び｢選択肢･不適切選択肢｣)。｢地理｣単元｡

｢内陸県｣で｢県庁所在地名が県名と異なる４県(漢字とひらがなの読みが同じ場合は、同じ名前とする)｣について示されている､(Ａ)～(Ｄ)の｢説明文｣に関する(１)～(５)の枝問だが、｢４県｣と｢説明文｣が結びつけられれば何の問題もない。
先ずは｢内陸県｣だ。本校に限らず頻出なので、｢栃木｣｢群馬｣｢埼玉｣｢山梨｣｢長野｣｢岐阜｣｢滋賀｣｢奈良｣の｢８県｣は知っておく必要がある。
その中で､本問の条件で｢県庁所在地名が県名と異なる４県｣は、｢栃木(宇都宮)｣｢群馬(前橋)｣｢山梨(甲府)｣｢滋賀(大津)｣となる。その上で、｢説明文｣の｢キーワード｣からそれぞれを特定していく。
(Ａ)｢片品川｣⇒？　かも知れない
(Ｂ)｢那珂川から取水した用水｣⇒｢那珂川｣といえば｢茨城県｣は周知のはず、であれば隣の｢栃木｣に違いない
(Ｃ)｢明治期にこの県にある湖から隣接する都道府県へ疏水が建設｣⇒当然｢琵琶湖疏水｣なので｢滋賀県｣
(Ｄ)｢笛吹川は釜無川と合流して富士川｣⇒これは即｢山梨｣と特定可能。となれば、(Ａ)は｢群馬｣となる。

※尚、本大問[(２)]の｢琵琶湖疏水を設計･監督した人物｣を判別する｢選択肢設問｣は超難問で｢消去法｣も使えないので､直ちに｢捨て問｣で構わない｡

[問６(２)]　｢事項記述設問｣(漢字指定)。｢地理｣単元｡

｢ある一定の地域に、特定の業種の中小企業が集積する｣場合があるが、｢このような産業を何というか｣を｢漢字｣で答える。

この問題は本校の求めている｢知識レベル｣の典型となっている。これが定着しているかどうかが、本校対策のひとつの｢指標｣となるのだ。｢答え｣は｢地場産業｣だ。どうだったろうか？押さえていただろうか？　未定着だった諸君は｢未だ習得不十分｣と自覚して精進して欲しい。

＜時間配分目安：30秒＞

[問６(３)]　｢上記関連の不適切組み合わせ設問｣(５択)。｢地理｣単元｡

上記[問６(２)]の｢地場産業｣について、｢地域と産業｣の｢組み合わせ｣として｢誤っているもの｣を答える。

各選択肢は、
(ア)｢今治(愛媛)―タオル｣
(イ)｢堺(大阪)―自転車部品｣
(ウ)｢鯖江(福井)―洋食器」
(エ)｢高岡(富山)―銅器｣
(オ)｢丸亀(香川)―うちわ｣

(ア)(オ)は｢適切｣､(ウ)は｢不適切｣(｢鯖江｣といえば｢眼鏡フレーム｣が常識｡｢洋食器｣は無論、新潟の｢燕｣)､よって｢答え｣は(ウ)と即断できるのが当然だ(できなければ｢ヤバイ｣と認識せよ)｡さて、確認したいのは(イ)と(エ)だ。特に｢大阪(堺)｣と｢自転車部品｣は抜け落ちやすいので要注意だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問６(４)]　｢上記関連の説明記述設問｣(字数制限なし､｢30字ほど｣の解答欄)。｢地理｣単元｡

上記[問６(２)]の｢地場産業｣について、｢同業者のライバルが増えるというデメリットがあるにもかかわらず、一定の地域に集積するのは立地上の利点がある｣からだが、この｢利点として考えられるもの｣を説明する。

平易な問題なのだが、本年度唯一の｢説明記述｣なので考えてみる。[問６(３)]で確認したように､多くの消費者にとって｢地名｣と｢具体的産業名｣が直結しているのが｢地場産業｣の特徴だ｡つまり、｢地名｣そのものが｢特定の産業｣として｢ブランド化｣されているわけだ。そうしたことについて説明すればいい。たとえば、｢地名そのものが特定産業のブランドとして消費者に知られている｡｣といった｢答え｣になる。｢説明記述｣､本年度は１問のみであったが、決した対策を怠ってはならない。

＜時間配分目安：１分半＞

※以降、[問８]～[問10]は｢公民｣単元の設問だが、どれも基礎的なものばかりなので｢全問正解｣したい。ただし、近年本校では｢公民｣からの出題が少なかったので､準備が行き届いていなかった諸君がいるやも知れぬ。やはり｢過去問傾向｣だけに頼るのではなく､全単元の制覇が欠かせないということだ。特に、[問10]の｢日本国憲法条文の空所補充｣などは他校でも頻出なので、的確に定着させておく必要がある。