鎌倉女学院中学校 入試対策
2017年度「鎌倉女学院中学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「鎌女の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか? 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ずは「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。
塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「オノマトペ」といった「基礎の基礎」までも押さえておきたい(実際に出題されている)。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000字程度。解答時間は45分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。
やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。鎌女に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
解法
鎌女の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。
特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「鎌女の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。40~50字程度で書いてみる(鎌女の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか?
解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)。
意識
いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漠然と机に向かっていても無意味だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか?「条件」に合致しているか?「細部」は大丈夫か?「必要な要素」は満たしているか?つまらないミスはないか?といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
45分という時間で解き進めていく鎌女では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2017年度「鎌倉女学院中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「漢字の読み書き」。小問なし(解答数10)。2分程度で丁寧に終えたい。
大問二は「総合的知識問題」。「熊本と文学の関連についての説明文」(文字数約430字)からの「文学史」(「海外作品」含む)の出題。小問は全5問(解答数7)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「語句記述」(「地名」あり)。2分ほどで終えたい。
大問三は「小説」、出典はにしがきようこ「川床にえくぼが三つ」(文字数約4400字)。小問は全12問(解答数15)。「選択肢」(「空所補充」「組み合わせ」あり)、「抜き出し」、「語句記述」、「説明記述」(「字数指定あり」2問)、「総合的知識問題」。問題文は6分弱で読み、設問を17~18分で解きたい。
大問四は「説明文」、出典は高槻成紀「野生動物と共存できるか」(文字数約2900字)。小問は全6問(解答数18)。「選択肢」(「不適切」「空所補充」あり)、「抜き出し」、「語句記述」、「総合的知識問題」。問題文は4分弱で読み、設問を14~15分で解きたい。
【大問一】漢字の読み書き
- 難度:やや難
- 時間配分:2分
「漢字の読み書き」。「書きとり」(7問。「送りがな」のある場合はそれも書く)と「読み」(3問)。昨年以上に、本校が求めている「高度な語彙力」求められている。確認したい。
①「ハガネのように強い意志」(=「鋼」)⇒知っておきたい「慣用表現」。
②「トトウを組む」(=「徒党」)⇒「ある目的のために集まった仲間や一味」という意味も覚えておきたい。
③「主役をツトメル」(=「務める」)⇒これはできて当然。
④「大きなゴサン」(=「誤算」)⇒知っているはずの熟語。
⑤「口で言うのはヤサシイ」(=「易しい」)⇒「同訓異字」に注意。
⑥「校庭をカイホウ」(=「開放」)⇒「同音異義語」の要注意語句。
⑦「一日センシュウの思いで待つ」(=「千秋」)⇒「四字熟語」の定番。
⑧「手間を省く」(=「はぶ(く)」)⇒これは平易のはず。
⑨「知己」(=「ちき」)⇒「難読熟語」としてお馴染み、⑩「故なく断る」(=「ゆえ」)⇒「文脈」を的確に判断せよ。「漢字力」は確実に培っておきたい。
<時間配分目安:2分>
【大問二】総合的知識問題
- 難度:やや難
- 時間配分:2分
「総合的知識問題」。「文学史」に関連する問題だけでの大問で、しかも、「熊本と文学の関連についての説明文」の「読解問題」になっているという稀有で意欲的な良問。「国語(一般)常識」を重視する本校の本領発揮だ。
「海外作品」や「文学作品の冒頭特定」も含んでおり、難易度は高い。いくつか検証してみる。
[問二(2)] 「俳句の空所補充記述」(「平仮名」指定)。傍線部②「大学時代の友人である正岡子規と再会し、俳句の指導を受けています」に関連して、示されている「正岡子規」作の「柿くへば が鳴るなり法隆寺」と、本文中の( ① )(=「夏目漱石」⇒[問一]の「答え」)作の「 つけば銀杏ちるなり建長寺」という2つの空所に共通して入る「同じ言葉」を「平仮名」で答える。
前者の「正岡子規の俳句」の方は「文学史」の知識として当然、定着していなくてはいけないものなので、「答え」は「かね」だと分かるはずだ。「夏目漱石」と「正岡子規」の関係なども「文学史」の一環として押さえておきたいものだ。
<時間配分目安:30秒>
[問二(3)] 「俳句に関する地名記述」(「市」指定)。[問二(2)]で示されている「二つの俳句」が詠まれた場所の近くにはそれぞれ「有名な大仏」があるが、「( ① )(=「夏目漱石」)の俳句」が詠まれたのは「どこの市か」を答える。「社会」かと見紛う問題だ。
同俳句には「建長寺」とあるので、そこから「答え」を導き出すことになる。「臨済宗」の寺院で「鎌倉五山の第一位」であるということは「歴史」の知識として定着しているはずだ。であれば当然、「答え」は「鎌倉(市)」となる。「文学史」の背景としては「歴史」「地理」も関連してくる。
まさに「一般常識」が問われているわけだ。本校では、「教科」の枠をも超える「常識」が求められていると心得よ。
<時間配分目安:30秒>
[問三] 「海外作品についての選択肢」(5択)。傍線部③「英国留学」に関連して、イギリスの作家・シェークスピアの「作品」を答える。さすがに、超有名作家なので知っているか?
「答え」は選択肢(ウ)の「ロミオとジュリエット」だ。尚、他の選択肢の作者は、(ア)「星の王子さま」=サン・テグジュペリ、(イ)「あしながおじさん」=ウェブスター、(エ)「ハリー・ポッターと賢者の石」=ローリング、(オ)「レ・ミゼラブル」=ユゴー。本校では、国内だけではなく海外の「文学史」についても確認しておく必要がある。
<時間配分目安:1分以内>
[問五] 「文学作品の冒頭特定選択肢」(5択)。傍線部⑤「枕草子」の「冒頭の文」を答える。各選択肢を確認する。(ア)「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく……」=無論、これが「枕草子」(平安時代中期)で「答え」、(イ)「ゆく河の流れは絶えずして……」=鴨長明の随筆「方丈記」(鎌倉時代初期)、(ウ)「祇園精舎の鐘の声……」=軍記物語の「平家物語」(鎌倉時代前期)、(エ)「月日は百代の過客にして……」=松尾芭蕉の俳諧紀行文「おくのほそ道」(江戸時代前期)、(オ)「いまは昔。竹取の翁といふもの……」=物語文学の「竹取物語」(平安時代初期)。「文学作品の冒頭」は本校に限らず、よく出題されるので確認しておきたい。
<時間配分目安:30秒>
【大問三】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
【大問三】
主人公の「文音(あやね)」は中学2年の夏休み、友だちの「華(はな)」とともに叔母の「楓子(ふうこ)」の研究について行き、インドネシアに8日間滞在し「遺跡の発掘調査」に参加した。初めての海外に期待は高まるが、不安もいっぱい――「文音」が出会った「カルチャーショック」と「冒険と友情」の物語。
本文は、「文音」が50万年前の「ジャワ原人」のものだと考えられる「足あと」を「川床」で発見し、感動する様子が描かれている。「抜き出し」「空所補充」「説明記述」「総合的知識問題」などが、目まぐるしく展開する。スピード感を持って次々と解き進めていきたい。以下、いくつか確認する。
[問二] 「条件付き内容説明抜き出し」(「初めの5字」指定)。傍線部②「首をかしげるしかできなかった」について、このような動作をしたのは「華に対してどう思っていたからか」が分かる「箇所」を抜き出し、「はじめの五字」を答える。「条件」は「『文音』の言葉より見つける」こと。
「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。ここでの「内容」は、「首をかしげる」のだから「華に対して」、「よく分からない」と思っていることになるはず。「範囲」は「条件」の通りだ。傍線部は「文音」と「楓子」との「会話のやりとり」なので、「文音」の言葉をたどっていく。
すると、4行目に「華が何を思ってるのか、あたし、わかんなくなっちゃった……」という「箇所」がある。まさに、そのものズバリだ。したがって、「答え」は「華が何を思」となる。「抜き出し」の「解法」に従って解いていけば、難なく解ける問題だ。
<時間配分目安:1分以内>
[問三] 「心情説明の語句選択肢」(5択)。傍線部③「発見って、人と人との関係をこわすほど力のあること」について、「『発見』によってどのような心が生まれたのか」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。「人と人との関係をこわすほど力」によって生まれる「心」=「心情」の「原意」と直接結びつかないものを「消去」したい。
各選択肢を確認する。(ア)「信仰心」、(イ)「好奇心」、(ウ)「向上心」、(エ)「依存心」、(オ)「嫉妬心」。「人と人との関係をこわす」のだから、「嫉妬心」以外は即「消去」できるはずだ。よって、「答え」は(オ)になる。「一発消去」だ。「原意消去」は絶対に活用すべし。
<時間配分目安:30秒>
[問五] 「語句の意味の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。傍線部⑤「気おくれ」の「意味」を答える。こんなの誰でも知ってるじゃん! そう、その通り。
だが、各選択肢は、(ア)「弱気になる」、(イ)「がっかりする」、(ウ)「遅くなる」、(エ)「我慢する」、(オ)「慎重になる」、ここで、あれれ? となってしまう諸君がいるのではないか? 「弱気になる」でも「慎重になる」でもいいのではないか? どちらでもあてはまる? 確かにそうかも。
が、「気おくれ」の「原意」(=「相手の勢いやその場の雰囲気などに押されて、心がひるむこと」)を的確に押さえていれば、「答え」は(ア)の「弱気になる」だと判別できるはずだ。「弱気になる」⇒「慎重になる」とつながるが、そもそもの「原意」を答える必要があるということだ。本校では、的確かつ正確な「語彙力」が求められていることの典型だと心得よ。
<時間配分目安:30秒>
[問七] 「原因説明の語句選択肢」(全2問/6択)。傍線部⑥と⑪の「ふるえ」は、それぞれ「何によるものか」を答える。先ずは「原意消去」をしたいが、同じ「ふるえ」であり、その「原因」なのでさすがに無理だ。
そこで、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)で、「手がかり」を探す。傍線部⑥は「手のふるえが止まらない、反対の手でふるえる手でおさえた」となっている。
「手」で何をしているのか? 「直前直後」から「状況」を確認する(「小説では同一場面の直前直後に根拠あり」、これは「小説」の「最重要解法」)。「ジャワ原人」のものだと考えられている「足あと」を、「手」にとった筆で確認しようとしているところだと分かる。
各選択肢は、(ア)「恐怖」、(イ)「感動」、(ウ)「寒気」、(エ)「焦燥」、(オ)「歓喜」、(カ)「緊張」。であれば無論、「ふるえる手」は「緊張」によるものだと判別できるはず。⑪は「一文の全部」なので「直前直後」でチェックすると、直後に「涙がじわっとわいてきた」とある。当然、「感動」のなせる業だ。
したがって、「答え」は、⑥=(カ)、⑪=(イ)となる。適切な「解法」に則して読み取ることが肝要だ。
<時間配分目安:2分>
[問十] 「条件付き換言説明記述」(「20字以内」指定)。傍線部⑨「胸をはってもいい大きな存在なのだとつきあげてくるように思う」について、「自分を『大きな存在』だととらえられるようになった」とは「どういうことか」を「二十字以内」で説明する。「条件」は「自分で考え」ること。「自分で考える」?
唐突にそんな「条件」を示されても、どうしたらいいのやらと思う諸君が多いはず。先ずはもちろん、「解法」から「考えるヒント」を得ることになる。傍線部の「同一場面」を読み解いていきたい。
直前に「あたしは本当にちっぽけだ。……だけど、そのちっぽけなあたしの存在は、気の遠くなるような過去からの命の連なりの結果で……あたしの命が、大なき生命の流れへと続いていると気づかされる」とある。「ちっぽけなあたしの存在」⇒「大なき生命の流れへと続いている」=「大きな存在」だと分かるはずだ。
あとは、「自分の言葉」でまとめていきたい。たとえば、「自分も生命の歴史の一部だと気づいたこと。」といった「答え」だ。「自由記述」であっても、「手がかり・ヒント」は「本文」に求めることが鉄則。
<時間配分目安:1分半>
【大問四】説明文の読解
- 難度:易
- 時間配分:18分
- ★必答問題
漁業に被害を与えるという理由でラッコが駆除されたが、漁獲量が減ったのはなぜか? 怖いクマや爆発的に増えるシカと、本当に共存できるのか?――新しい学問である「保全生態学」のさまざまなチャレンジから、私たちが野生動物とどう関わればいいかを説明している。
本文では、野生動物を絶滅から守る努力のひとつとして、「アホウドリ」の例を紹介している。ジュニア向けに記されているので、内容は理解しやすいはずだ。本大問は【大問三】と比して概して平易だ。一気呵成に解き進んで高得点を狙いたい。以下、いくつか検討してみたい。
[問一] 「理由説明抜き出し」(「20字以内」の「はじめと終わりの3字」指定)。傍線部①「アホウドリという鳥がいます。ひどい名前ですね」について、「どうしてこのようなひどい名前がつけられたのか」を「二十字以内」で抜き出し、「はじめと終わりの三字」を答える。
「抜き出し内容」は設問そのものだ。「抜き出し範囲」は「同一意味段落」(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。探していく。2行後に「なぜ『アホウ』になったかというと」とあり、以下で「理由」が説明されている。確認すると「それ(=「斜面や風を利用して飛び上がる」こと)ができないように人が近づけばかんたんに捕まってしまうから」とまとめられている。
「字数」も合致する。よって、「答え」は「人が近~うから」だ。ここは「理由説明」なので、「~から」までを抜き出すこと。
<時間配分目安:1分以内>
[問二] 「熟語の空所補充の漢字記述」(全3問/各「1字」指定)。「総合的知識問題」。「打消しの接頭語」だ。傍線部②の「不安定」のように、示されている「熟語」の空所に入れる「打ち消す漢字」を答える。それぞれの「熟語」に入れる「答え」を確認していく。(1)「□成年」⇒「未(成年)」、(2)「□制限」⇒「無(制限)」、(3)「□日常」⇒「非(日常)」。本問はとても平易だったが、「接頭語」の「無・未・非・不」や「接尾語」の「的・然・化・性」は本校に限らずよく出題される。しっかりと定着記させておくことが肝要。
<時間配分目安:30秒>
[問三] 「慣用句の空所補充の漢字記述」(全3問/各「漢字1字」指定)。「総合的知識問題」。「慣用句」。傍線部③の「頭が下がります」のように、示されている「慣用句」の空所に入れる「体の一部を表す漢字」を答える。それぞれの「答え」を確認する。
(1)「広すぎて一人でそうじするには□に余る」⇒「手(に余る)」=「物事が自分の能力以上で、その処置ができない」こと、(2)「彼は足が速いことを□にかけている」⇒「鼻(にかける)」=「自慢する。得意がる」こと、(3)「彼女の歌の上手さにはみんな□を巻いた」⇒「舌(を巻く)」=「あまりにもすぐれていて、ひどく驚く」こと。もし、ひとつでも不明なものがあったならば、確実に復習しておくこと。
また、「ことわざ」「故事成語」なども習得が不可欠だ。
<時間配分目安:1分以内>
[問四(2)-①] 「内容説明抜き出し」(「6字」指定)。示されている「アホウドリの絶滅危機から復活までの年表」の中の傍線部(b)「天然記念物に指定され保護」について、「アホウドリ」は「どのような様子がすばらしいと本文では言っているか」を「六字」で抜き出して答える。「抜き出し内容」は「アホウドリのすばらしい様子」を示すもので問題はない。ただ、「抜き出し範囲」はというと、注意が必要だ。
なぜなら、傍線部自体が「本文」ではないからだ。「年表」では「天然記念物に指定され保護」されたのは「一九五六年」となっている。したがって、「一九五六年」に「天然記念物に指定され保護」されたことが説明されている部分の「同一意味段落」となる。確認する。
すると、その部分から2つ前の「形式段落」に「その(「アホウドリ」の)姿はとても美しく、とくに飛んでいる姿は翼が長く、じつにすばらしいものです」とある。「じつにすばらしい」とあるのだから、「答え」は「飛んでいる姿」だと分かるはずだ。一筋縄ではいかない問題であった。本校では、「抜き出し問題」に限らず、こうした少々ひねった設問もあり得ると心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問四(6)] 「時期特定の選択肢」(全2問/6択)。示されている「2つの出来事」の「時期」を特定し、「年表」(上記[問四(2)-①]と同じ)の中の【A】~【F】のどの「時期」にあてはまるかを答える。まるで、「社会」の「年代特定問題」のようで、一瞬とまどうかも知れない。そこは冷静になって、しっかりと読み解いていけばいい。
「2つの出来事」を確認する。①「鳥島のアホウドリが一〇〇〇羽に達した時期」⇒「そして一九九五年の一一月、」で始まる段落の最後に「一九九九年には鳥島のアホウドリは……、念願の一〇〇〇羽に達しました」とあるので、「年表」の「一九九三」と「二〇〇五」の間にある【F】が「答え」だ。
そして、②「長谷川博さんが鳥島を訪れた時期」⇒「さいわい、一九七三年になって」で始まる段落に「イギリスのティッケル博士が調査の訪れたこと」が記されており、その次の段落で「長谷川さんは苦労して鳥島を訪れ」ている。その後、「長谷川さん」は「アホウドリの生活」を明らかにしていくが、「一九八八年」に「鳥島」を「土石流」が襲ったことが説明されているので、「年表」の「一九七三」と「一九八八」の間にある【D】が「答え」になる。
本校では、たまにこうした意表を衝く問題がある。心してかかること。
<時間配分目安:2分半>
攻略のポイント
●「総合的知識問題」は要注意だ。「高度な語彙力」だけではなく、「韻文」「文法」や「国語(一般)常識」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが必要。
●「指定字数」が少なく、かえって難しい本校の「説明記述」。「攻略ポイント」は結局、実直に「記述」の「練習」を続けることに尽きる。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが肝要。
本校では1~2つ程度の「要素」でまとめることに慣れておきたい。「合格ライン」は7割強と高い(過去3年間の「合格者平均得点率」は74.7%、本年度は近年になく高くなり77.2%)。「説明記述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ。
●定番の「抜き出し」などの「攻略」にとって、最も重要なのが「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで解き進めていくこと。従って、様々な基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。
●試験時間は45分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で7000字程度(本年度は約7700字)。「解答数」を考えても、当然、速く正確に読み取ることが徹底的に求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要。
志望校への最短距離を
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