｢漢字の読み書き｣｡｢書きとり｣(７問｡｢送りがな｣のある場合はそれも書く)と｢読み｣(３問)｡

本校としては標準的な難易度。注意すべきものを確認したい。

③｢落ち着いて試合にノゾム｣＝臨む⇒｢文脈｣を正確に読み取って｢同訓異字｣に注意せよ。④｢ジュンシンな子ども｣＝純真⇒知らなかった諸君は｢心にけがれのないこと｣という意味も合わせて覚えておくこと。⑥｢タイマイをはたいて買う｣＝大枚⇒これは難解だ。｢大枚(＝大金)をはたく｣という表現で使われることが多い。⑦｢ヨウサン業を営む｣＝養蚕⇒｢社会｣で習ったはず。｢蚕｣＝｢かいこ｣の｢読み書き｣も定着させよ。⑧｢明晩に出発する｣＝みょうばん⇒｢ミョウ｣という｢音読み｣に注意。⑩｢郷に入っては郷に従え｣＝ごう⇒｢風俗や習慣はその土地によって違うから、新しい土地に来たら、その土地の風俗や習慣に従うべきだ｣という意味の｢故事成語｣、｢入って｣＝｢いっては｣という｢読み｣にも注意したい。基礎から応用までの｢漢字力｣は確実に培っておきたい。

＜時間配分目安：全問で２分＞

｢総合的知識問題｣｡誰もがやったことがあるはずの｢クロスワードパズル｣だ。｢ヒント｣をもとに｢パズル｣を完成させ、(Ａ)～(Ｅ)に入る｢ひらがな｣をそれぞれ答える。｢文学史｣｢慣用句｣｢俳句の季語｣など、多彩な｢国語知識｣が問われている。なかなか難問だ。本校が求める｢高度な語彙力｣の一端が分かる。分かりづらい｢ヒント｣を検証してみる。[たてのヒント]の(１)｢戦争を描いた野坂昭如(のさかあきゆき)の小説｣＝｢○○○の墓｣⇒｢答え｣は｢ほたる｣⇒映画で知っているかも。同(３)｢漢字の点や画(かく)をくずさない書き表し方｣＝｢○○○〇｣⇒｢答え｣は｢かいしよ(ょ)｣⇒｢楷書｣だ。[よこのヒント]の(５)｢どちらにつくこともできない苦しい立場のこと｣＝｢○○ばさみになる｣⇒｢答え｣は｢いた｣⇒｢板ばさみ｣という｢慣用句｣。同(７)｢相手につけこまれやすいことをたとえた、体の一部を使った言葉｣＝｢○○が甘い｣⇒｢答え｣は｢わき｣⇒これも｢慣用句｣で｢脇が甘い｣。同(８)｢客を集めて落語や漫才(まんざい)などを行う場所｣＝｢○○｣⇒｢答え｣は｢よせ｣＝｢寄席｣は｢漢字の読み書き｣でも頻出。本問全体の｢答え｣としては、(Ａ)＝｢ほ｣、(Ｂ)＝｢し｣、(Ｃ)＝｢つ｣、(Ｄ)＝｢き｣、(Ｅ)＝｢よ｣となる。本校では、あらゆる分野についての｢知識力｣が求められていると心得よ。

＜時間配分目安：全問で２分＞

中学１年の｢塚原マチ｣は、自分の意見を主張できない性格を直したいと思っている。ある日、図書室で本をめくっていると、一枚の紙が滑り落ちた。そこには、丁寧な文字で｢サクラチル｣と書かれていた。その後も何度か同じようなメッセージを見つけた｢マチ｣は、勇気を振り絞って、返事を書いた――中高生が抱える胸の痛み、素直な想いを、みずみずしく描いた作品。本文では、｢マチ｣がクラスメイトの｢琴穂(ことほ)｣、｢みなみ｣とともに文化祭で発表する合唱の練習をする様子が描かれている。平易な文章で内容も分かりやすいが、｢抜き出し｣｢空所補充｣｢語句記述｣｢総合的知識問題｣などが､目まぐるしく展開する。スピード感を持って次々と解き進めていきたい。以下、いくつか確認する。

[問三]　｢語句の空所補充選択肢｣(５択)。本文中の空所　③　に｢入る言葉｣を答える。

先ずは、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で空所前後を確認する。｢とっさに飛び出した声が我ながら　③　聞こえて、驚いた｣となっている。次に、｢同一場面｣から｢状況｣を読み解いていく(｢小説では同一場面の直前直後に根拠あり｣、これは｢小説｣の｢最重要解法｣)｡直前から、｢声｣は｢マチ｣が｢琴穂｣に対して発した｢ちゃんと練習、しようよ｣という言葉だと分かる。また、直後では｢(琴穂がその言葉に)ショックを受けた｣と説明されている。

ここで、各選択肢を確認する。

(ア)｢冷たく｣､(イ)｢元気に｣､(ウ)｢優しく｣､(エ)｢おだやかに｣､(オ)｢情けなく｣。

｢琴穂｣が｢ショックを受けた｣のだから当然、その｢声｣は｢冷たく聞こえた｣と考えられる。したがって、｢答え｣は(ア)だ。｢小説｣では、｢同一場面｣の｢文脈｣から｢状況｣を捉えることが肝要だ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問五]　｢漢字の空所補充記述｣(全５問/各｢漢字１字｣指定)。｢総合的知識問題｣｡｢ことわざ｣等だ。

傍線部⑤｢百科事典｣の｢百｣は｢たくさん｣という意味だが、示されている(１)～(５)の空所に｢漢字一字｣を入れて｢『百』を使った言葉｣を完成させる。

それぞれの｢答え｣をチェックする。

(１)｢百□は一見に如(し)かず｣⇒｢百聞は一見に如かず｣⇒｢答え｣は｢聞｣。

(２)｢酒は百□の長｣⇒｢酒は百薬の長｣⇒｢答え｣は｢薬｣。

(３)｢可愛さあまって憎さ百□｣⇒｢可愛さあまって憎さ百倍｣⇒｢答え｣は｢倍｣。

(４)｢百害あって一□なし｣⇒｢百害あって一利なし｣⇒｢答え｣は｢利｣。

(５)｢百獣の□｣⇒｢百獣の王｣⇒｢答え｣は｢王｣。

もし、これらの中にひとつでも曖昧(あいまい)なものが合った諸君は、｢知識｣の習得が不十分だと心得よ。

＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問六]　｢換言説明の空所補充抜き出し｣(全２問/｢８字｣と｢12字｣指定)。

傍線部⑥｢琴穂が無理をしているんじゃないか｣について、示されている｢『無理をしている』とはどのようなことか｣を説明した｢文｣の空所　　Ⅰ　　･　　　Ⅱ　　　に｢当てはまる言葉｣を、それぞれ｢字数にしたがって｣抜き出して答える。

示されている｢文｣は｢琴穂が　　Ⅰ(八字)　　ことを隠して、　　　Ⅱ(十二字)　　ふるまっていること｡｣となっている。｢抜き出し問題｣では、｢抜き出し内容｣を特定した上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいくことが鉄則｡ここでの｢内容｣を､｢同一場面｣の｢状況｣から読み取っていく。すると、前述の[問三]の続きで、｢琴穂｣は｢マチ｣から｢ちゃんと練習、しようよ｣と｢冷たく｣言われたにもかかわらず、｢さあ、練習するよ｣と｢明るい声｣を出したことが｢無理をしているんじゃないか｣と、｢マチ｣が｢気になった｣ことが分かる。｢抜き出し範囲｣は無論、｢同一場面｣。｢指定字数｣を意識して丁寧に探していくと、｢マチの言葉｣の直後に｢琴穂｣が｢ショックを受けたのだ｣とあり、その後、｢何事もなかったかのように｣｢明るい声を出した｣とある。したがって、｢答え｣は　　Ⅰ　　が｢ショックを受けた｣で　　Ⅱ　　は｢何事もなかったかのように｣ということになる。｢抜き出し｣の｢解法｣に従って確実に解いていきたい。

＜時間配分目安：全問で２分半＞

[問七]　｢理由説明の選択肢｣(５択)。

傍線部⑦｢何度も何度も読んでから、お守りのように、そっと胸に当てた｣について、｢それはなぜか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ここは｢理由説明｣なので、各選択肢の｢文末｣(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)が､｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣していきたい｡それぞれ確認する。

(ア)｢はずかしかったから｣→｢そっと胸に当てた｣､

(イ)｢感動したから｣→｢そっと胸に当てた｣､

(ウ)｢胸の高鳴りをしずめようと思ったから｣→｢そっと胸に当てた｣､

(エ)｢勇気をもらったから｣→｢そっと胸に当てた｣､

(オ)｢お守りとして持っていようと思ったから｣→｢そっと胸に当てた｣。

｢そっと胸に当てた｣のだから(ア)と(ウ)はすぐに｢消去｣できるはずだ。そして、傍線部では｢お守りのように｣と｢比喩表現｣になっているので、実際に｢お守りとして持っていよう｣と説明されている(オ)も｢消去｣だ。次に、｢同一場面｣の直前には｢――がんばって｡読んだ瞬間、胸が熱くなった｣とある。残りの２択、(イ)は｢手紙の文が長いことに(感動したから)｣なので｢消去｣し、｢新しい一歩を踏み出す(勇気をもらったから)｣となっている(エ)が｢答え｣だと判別できなくてはいけない。ここでは｢段階的消去｣となったが、先ずは｢原意消去｣を試みることが鉄則だ。

＜時間配分目安：１分強＞

[問九]　｢内容説明の語句記述｣(｢５字｣指定)。

傍線部⑨｢気づくことがあった｣について、｢『マチ』は誰の何に気づいたのか｣を｢５字｣で答える。｢同一場面｣を確認して｢状況｣を読み取りたい。直後で、｢気づいた内容｣が説明されていることが分かる。そこでは｢琴穂｣のことが述べられている。｢誰｣＝｢琴穂｣だ。そして、｢琴穂がみんなが嫌がる役を進んで引き受けてくれたのではないだろうか。だとすれば、それはとても勇気があることだと思う｣と記されている。ということは、｢５字指定｣なので、｢琴穂の勇気｣以外には｢答え｣はないと判断できるはずだ。改めて、｢同一場面の直前直後｣の重要性を肝に銘じよ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問十二]　｢小説の判別選択肢｣(５択)。｢総合的知識問題｣｡

｢文学史｣、しかも｢海外作品｣だ。傍線部⑪の｢ナルニア国ものがたり｣とは｢イギリスの子ども向け小説の総称｣だが、示されている｢作品｣の中から｢そのうちの一つ｣を答える。これはとてつもない難問だ。流石(さすが)に知らなくても不思議はない。作者はＣ･Ｓ･ルイスで、｢答え｣は(ウ)の｢ライオンと魔女｣。

尚、他の作品は、(ア)｢木を植えた男｣はフランスのジャン･ジオノ、(イ)｢はてしない物語｣はドイツのミヒャエル･エンデ、(エ)｢ハムレット｣はイギリスのシェークスピア、(オ)｢不思議の国のアリス｣はイギリスのルイス･キャロルが作者だ。本校では｢文学史｣が頻出、｢海外作品｣もある程度はフォローしておきたい。

＜時間配分目安：30秒＞

この地球上にはなんとさまざまな生物がいることか――30もの視点で｢いきもの｣の不思議を追った、動物行動学の第一人者による論考集。本文では、人間以外の動物たちも｢自意識｣を持っているはずで、かなりのことを｢考えて｣いるはずであり、そのように思って｢彼ら｣をしっかり見直してみることが必要だと論じている。具体例が多く文章も平易で、内容は難なく理解できる。｢内容読解｣の間に｢総合的知識問題｣がはさまれているという小問構成で、特徴的な｢設問内容｣も散見される。以下、いくつか検討してみたい。

[問三]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各５択)。｢総合的知識問題｣｡

傍線部②｢至福｣･④｢消息｣の｢意味｣をそれぞれ答える。後者はともかく、前者は｢中学入試｣ではなじみの薄い言葉かもしれない。いかにも本校らしい。｢答え｣を確認したい｡

②｢至福｣＝｢きわめて幸せなこと｣⇒｢答え｣は選択肢(イ)｢この上ない幸せ｣となる｡④｢消息｣＝｢人や物事の、その時々のありさま。動静。状況。事情。状況や用件などを手紙などで知らせること｣⇒｢答え｣は(エ)｢安否｣だ｡尚、後者のような｢多義語｣には特に注意すること。全ての意味を定着させることは困難なので、本文中で用いられている｢文脈｣を踏まえて｢類推｣することも肝要だ。

＜時間配分目安：全問で１分弱＞

[問五]　｢条件付き内容説明抜き出し｣(｢15字以内｣指定)。

傍線部⑤｢もう出ていく、と言っているのだ｣について、｢そのあとに作者がネコのためにするであろう行動｣を、｢15字以内｣で抜き出して答える。｢条件｣は｢傍線部⑤より前から抜き出す｣こと。なんとも｢不可思議｣で｢特徴的｣な問題内容ではないか。｢するであろう｣ということは｢推量｣だ。この後に｢する｣のであれば｢これより後｣のはずなのに、｢条件｣は｢前｣となっている。ということは、｢この後では行動していない｣ことになる。では、どのような｢行動｣が｢推量｣できるのか？｢同一意味段落｣に｢手がかり｣を求めたい(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡直前から｢ネコは戸口のところで伸びをし、床に爪を立てて｣、｢もう出ていく｣と｢言っている｣ことが分かる。つまり、｢ネコは戸口のところ｣で｢出ていきたい｣と訴えているのだ。それに対して、｢作者がネコのためにするであろう行動｣が｢抜き出し内容｣ということになる。｢抜き出し範囲｣は無論、｢同一意味段落｣の｢傍線部⑤より前｣だ。丁寧に探していく。すると、本文冒頭から３段落目に｢立っていってドアを開けると、ネコはありがとうとも言わずに……｣とある。｢作者のネコのための行動｣で｢内容｣、｢字数｣ともに合致している。したがって、｢答え｣は｢立っていってドアを開ける｣(12字)になる。

尚、｢抜き出し候補｣はひとつとは限らないので、｢範囲｣を全て探してみることが肝要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問七]　｢換言説明の選択肢｣(５択)。

傍線部⑦｢この問題は方法論的にむずかしすぎる｣とは｢どういうことか｣を答える。典型的な｢換言説明選択肢｣だ。先ずは｢原意消去｣が原則だが、その前提として｢指示語｣があるので開いておく(｢指示語｣が出たら即開くこと)直前から、｢この問題｣＝｢ある人々が、大型類人猿なら仲間の気持ちなり『心』を推測することができると考えている問題｣だと読み取れる｡ここで、各選択肢の｢文末｣を確認すると、全てが｢むずかしい｣となっており｢消去｣不可能。だが、短い｢選択肢説明｣の何かに気づくはずだ。冒頭が、(ア)(イ)は｢たくさんの研究者たちの意見｣、(ウ)(エ)(オ)が｢動物たちに『心』がある｣と２つに分かれているのだ(つまり｢２択｣になる)。当然、前述の｢指示語内容｣からして、(ア)(イ)は｢消去｣できることになる。次に、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で確認すると、直前の｢けれど｣という｢逆接｣の｢接続詞｣の後に｢他の人々は｣と続き、直後には｢思っている｣とある。要は、｢ある人々｣は｢推測することができると考えて｣いるが、他の人々｣は｢むずかしすぎる｣と｢思っている｣わけだ。残りの選択肢は、

(ウ)｢推測することは(むずかしい)｣、(エ)｢否定することは(むずかしい)｣、(オ)｢証明することは(むずかしい)｣。であれば、(ウ)(エ)は｢消去｣で、｢答え｣は(オ)だと判別できるはずだ。本問のように、｢選択肢説明｣の｢共通部分｣で、ざっくりと｢消去｣できる場合もあると心得よ。

＜時間配分目安：１分強＞

[問十]　｢結論の抜き出し｣(｢一文のはじめの５字｣指定)。

｢文章のはじめの波線部『動物に[自意識]なんてあるのだろうか？』に対する筆者の結論がわかる一文｣を抜き出して、｢はじめの五字｣を答える。｢抜き出し内容｣は無論、｢動物に『自意識』なんてあるのだろうかという問題提起に対する筆者の答え｣だが、｢抜き出し範囲｣には注意する必要がある｡波線部は｢序論部分｣なので、｢序論部分｣＋｢結論部分｣が｢範囲｣になる(｢論説文では序論と結論が対応している｣という｢重要解法｣)。探していくと、｢結論部分｣(本文では｢最終段落｣のみ)の冒頭に｢こう考えてみると、人間以外の動物たちも相当な自意識をもっているはずである｡｣という｢一文｣がある。まさに、｢動物に『自意識』なんてあるのだろうか？｣の｢答え｣になっている。よって、｢答え｣は｢こう考えて｣だ。｢序論で問われたら結論、結論で問われたら序論に着目せよ｣ということだ。

＜時間配分目安：１分以内＞