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鎌倉女学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「鎌倉女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法

[スライド式学習]
「鎌女対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。
「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れないこと。

完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。
時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。

その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。

6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか?
実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。
「地理」の比率が高く「詳細な知識」も求められる鎌女ではなおさら。そこで、独自の「復習」が必要となる。
塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。
「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。
バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。
ましてや、鎌女定番の「ちょっとした難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」

「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。
1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。

単元も無視する。
もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。
その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
無論、鎌女で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「鎌女攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。
そこから「考えるヒント」を見つけ出す。

そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。

導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。
後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

[意識継続式学習]
いついかなるときも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄だ。
その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして、何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
鎌女の入試本番では45分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。

だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「鎌倉女学院中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

※本年度も昨年度に引き続き、全設問に対する[注意事項]として「漢字を使用すべきところは指定されていないところも含めて、漢字で書きなさい」と付記されている(一昨年度までとは異なり、原則的に「全問漢字指定」が定着したと考えたい)。

大問は「地理」(ただし、1問のみ「時事」的要素あり)
「『都道府県』を紹介した5枚のカード」についての、「地図」や「統計資料」などからの出題。小問は全18問(解答数21)、「選択肢」(「不適切」「位置特定」あり)、「事項(地名)記述」(「空所補充」あり)、「地図記入」。

大問は「歴史」
「各時代の7つの史料」からの出題。小問は全18問(解答数21)、「選択肢」(「不適切」「空所補充」「複数完全解答」、「時期特定」あり)、「事項(人名)記述」、「説明記述」(「字数指定」なし)。

大問は「公民」(ただし、「時事」が1問)
「『まちの公共施設』についての図版」と、「『衆議院議員総選挙の年代別投票率の推移』のグラフ」からの出題。小問は全11問(解答数22)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(「ひらがな」や「カタカナ」の指定あり)、「正誤判別」、「説明記述」(「字数指定」なし)。

時間配分としては、「説明記述」に各1分、その他は1問あたり約40秒のペース(約2分で3問)。

【大問1】地理 (ただし、1問のみ「時事」的要素あり)

  • 難度:
  • 時間配分:15分

「都道府県」を紹介した[Ⅰ]~[Ⅴ]のカードに関する出題([Ⅴ]の「広島県」以外は「都道府県名」が伏せられている)。「地図」や「統計資料」で、「地理」の多彩な分野が問われている。
また、一部「時事」(「国際関係」の分野)の要素が含まれる小問もある。昨年度同様に、この大問は平易な問題ばかり。本校志望者であれば、即断即決で「全問正解」したい。先ずは、伏せられている「都道府県名」を、各カードの「キーワード」から特定しておく。

[Ⅰ]⇒「淡路島」「神戸港」=「兵庫県」、[Ⅱ]⇒「阿蘇山」「八代平野」「公害病」=「熊本県」、[Ⅲ]⇒「中尊寺」「南部鉄器」=「岩手県」、[Ⅳ]⇒「原油産出」「稲作地帯」「小千谷・十日町」=「新潟県」。何の問題もないはず。万が一、ひとつでも不安なものがあった諸君は、基礎事項が未だ未定着だと心得よ。では、以下、少し気になる小問だけを検証する。

[4②] 「紹介文の下線部に関連する統計資料選択肢設問」(3択)

「兵庫県」についての紹介文。示されている「工業地帯の工業生産額比率」(2014年)を表したグラフの中で、下線部(c)「神戸港」が含まれる「阪神工業地帯」(=[問4①]の「答え」)の「比率を示すもの」を答える。

各選択肢は、(ア)「17.8%」、(イ)「10.3%」、(ウ)「8.5%」。

「三大工業地帯」の「工業生産額」は、「中京」→「阪神」→「京浜」だということは誰でも知っているはずで、「答え」は(イ)だ。尚、「工業地域」も含めると、「中京」→「阪神」→「瀬戸内」→「関東内陸」→「京浜」→「東海」→「北陸」→「京葉」の順になることも押さえておきたい。

<時間配分目安:30秒以内>

[] 「紹介文の下線部に関連する選択肢設問」(4択)

「兵庫県」についての紹介文。下線部(d)「地場産業」に関連して、「灘(なだ)でさかんな地場産業」を答える。

各選択肢は、(ア)「酒」、(イ)「タオル」、(ウ)「陶磁器」、(エ)「刃物」。

さあ、どうだろうか?そもそも「灘」という地名がインプットされていない諸君もいると思う。意外と難問かも。「灘」は西宮市と神戸市の沿岸に広がる地区で、昔から日本酒をつくる醸造業が発達している。よって、「答え」は(ア)になる。
ちなみに、(イ)の「タオル」は「今治市」(愛媛県)、(ウ)の「陶磁器」は「瀬戸市」(愛知県)など、(エ)の「刃物」では「堺市」(大阪府)が有名だ。「地方創生」が唱えられている昨今、各地の「地場産業」については確実に習得しておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

[13] 「カードについての地図記入設問」

「カードⅣ」が示す「都道府県」を「解答欄の地図をぬりつぶすこと」で答える。

「地図」は「中部地方」の「都道府県境」を示した「白地図」だ。「カードⅣ」が「新潟県」だということは前述した。「新潟県」の位置は誰もが知っているはずで、その部分を丁寧にぬりつぶせばいい。ただ、注意したいのは「佐渡島」を忘れてはいけないことだ。当然、「新潟県」に含まれている。同種の問題でも要注意だ。尚、本校ではさまざまな「記入問題」が出題されることがあるので、予め練習しておきたい。

<時間配分目安:30秒以内>

[15] 「紹介文の下線部に関連する統計資料記述設問」

「新潟県」についての紹介文。下線部(k)「稲作地帯」に関連して、示されている「稲の品種の作付面積割合」(2015年)を表したグラフ中の(Y)に「あてはまる品種名」を答える。

(Y)は、「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」といった「2位」以下を引き離しての断トツの「1位」(36.1%)だ。であれば、無論、「答え」は「コシヒカリ」だと判断できるはずだ。「稲の品種名」などと問われて、一瞬戸惑ったりしないことが肝要。尚、「稲の品種」は続々と新しいものが登場してきているので、最新のデータで確認しておくこと。

<時間配分目安:30秒以内>

[16] 「紹介文の下線部に関する不適切選択肢設問」(4択)

「時事単元」的要素を含む小問。「新潟県」についての紹介文。下線部(l)の「中国」に関する説明として、「誤っているもの」を答える。先ずは、「不適切選択肢」だということを確実に意識することが重要。その上で各選択肢の正誤判別をしていく。確認する。

(ア)「日本の最大の輸入相手国(2015年)」⇒無論、「中国」がトップ(2002年以降2017年の直近まで。それ以前はアメリカ)=適切、
(イ)「現在の国家主席は江沢民」⇒「時事」を習得していれば当然、現在は「習近平」だということは常識=不適切(ちなみに、「習近平」の前は「胡錦濤」で、その前が「江沢民」)、
(ウ)「首都は北京」⇒即OK=適切、
(エ)「漢民族が人口の約9割」⇒そもそも、「中国」は「漢民族」の国だということは知らなくてはいけない=適切。

よって、「答え」は(イ)となる。尚、「貿易相手国」だが、「輸出」については2009年~2012年の間は「中国」がトップで(それ以前と以降は2017までアメリカ)、「総額」では2007年以降トップは「中国」だということは押さえておきたい。

<時間配分目安:30秒>

【大問2】歴史 (「複数完全解答」、「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:15分
  • ★必答問題

「弥生時代」から「昭和時代」までの、「政治」や「社会」、「法令」などに関連する[A]~[G]の「史料」からの出題。問われているのは「歴史」の「基礎的事項」がほとんどだが、「事項記述」→「人名記述」→「不適切選択肢」→「説明記述」→「複数完全解答」→「国名記述」……と、設問内容が目まぐるしく入れ替わるので、混乱しないことが必須条件。その上で、一気呵成に得点を重ねていきたい。以下、注意すべきいくつかを検討したい。

[] 「史料中の空所補充選択肢設問」(4択)

史料[C]の空所( c )に「あてはまる語」を答える。空所前後を確認する。「諸国の( c )の仕事は、京都の警備に出むくよう御家人にうながすことと、殺害人などの取りしまりであり、そのほかで、国司や地頭の仕事をさまたげてはならない」となっている。あまり馴染みのない文言が並んでいるに違いない。どうする?史料[C]は何なのか?少ない「手がかり」を頼りに、せめて「時代」くらいは特定したい。「御家人」とあるので「武士の時代」であることは相違なく、「地頭」ともあるので……、「鎌倉時代」だと考えていいのではないか。
ここで、各選択肢を確認したい。

(ア)「摂政」、(イ)「守護」、(ウ)「郡司」、(エ)「里長」だ。

「鎌倉時代」で「諸国の○○の仕事」といえば、「答え」は(イ)の「守護」だと判別できるはずだ。ちなみに、この史料にある鎌倉時代の「守護の仕事」は「大犯三箇条(だいぼんさんかじょう)」と呼ばれている。尚、「設問」のどのような細部であっても「手がかり」として見逃さないことが肝要。

<時間配分目安:1分>

[] 「史料についての事項記述設問」

史料[C]は「武士が初めてつくった法」だが、その「名前」を答える。「武士が初めてつくった法」=「答え」は「御成敗式目(貞永式目)」と、瞬時に反応できるはず。以上、終了なのだが、ここで指摘したいのは、大いに悩んだ[問]のことだ。同一の「史料」なので本問に先に目を通しておけば、すぐに「時代」を確定できたのだ。教訓としては、「小問どうしは連関していると心得よ」ということだ。尚、「御成敗式目」は別名の「貞永式目」を含めて定着させておくこと。「字数指定」で問われる場合があり、その際、一方だけを覚えていては対応できない。

<時間配分目安:30秒弱>

 [12] 「史料についての説明選択肢設問」(4択)

史料[D]が「定められた時代の文化に関する説明」を答える。先ずは、史料の「キーワード」から「時代」を特定したい。「安土城下」「楽市」⇒無論、「安土桃山時代」と即答できなくてはいけない。
各選択肢の「キーワード」を確認する。

(ア)「菱川師宣」「浮世絵」
(イ)「出雲の阿国」「歌舞伎踊り」
(ウ)「杉田玄白」「解体新書」
(エ)「雪舟」「水墨画

「桃山文化」なので迷うことなく、「答え」は(イ)と判別可能なはず。

ちなみに、(ア)=「元禄文化」(江戸時代前期)、(ウ)=「化政文化」(江戸時代後期)、(エ)=「東山文化」(室町時代中期)。尚、「文化史」については苦手な諸君が多いので、それぞれの「文化の名称」と「時代(時期)」「特徴」「代表的事項」とを結びつけて、しっかりと習得しておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[14] 「史料の下線部に関連する条件付き説明記述設問」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)

史料[E]の下線部(h)「大阪で騒動」に関連して、「この騒動は幕府に大きな衝撃を与えたが、それはなぜか」を説明する。「条件」は「騒動を起こした人物の経歴にふれて説明」すること。史料[E]には「天保のききんが起こり」とあるので、「大阪で騒動」=「大塩平八郎の乱」(=[問14]の「答え」)だと判断できる。「この騒動」のポイントは何か?しっかりと思い出したい。「天領である大坂(大阪)」で、「元町奉行」の「大塩平八郎」が民衆を率いて「武力で反乱」を起こした。だからこそ、幕府に大きな衝撃を与えたのだ。こうした「要素」をもらさずにまとめていきたい。たとえば、「天領である大坂で元町奉行の大塩平八郎が武力で反乱を起こしたから。」といった「答え」だ。

「社会」の「説明記述」では、「必要な要素」に的確な「用語」を用いることが肝要だ。無論、「条件」にも適切に合致させること。

<時間配分目安:1分強>

[17] 「絵図についての説明選択肢設問」(複数完全解答/5択)

示されている「絵」は「19世紀の東アジアの対立を表現」し、絵中の(X)~(Z)はそれぞれ関連する「国」を示しているが、「この対立の後の出来事」として「ふさわしいもの」を「すべて」答える。示されているのは周知の「風刺画」だ。19世紀末、「日清戦争」直前の東アジア情勢を描いたもの。「朝鮮」を示す池の魚(X)を、武士姿の人物(=「日本」)と中国服の人物(Y)=「清」とが釣り上げようとしており、奥の橋の上では(Z)=「ロシア」が横取りをねらっているという有名な絵図だ。各選択肢の「正誤判別」をしていく。

(ア)と日本の三国で同盟」⇒「朝鮮」と「清」と「日本」との同盟など無論、存在しない=不適切、
(イ)が中心となってへリャオトン半島を返すことを日本に要求」⇒「下関条約」に対する「三国干渉」のことだ=適切、
(ウ)が日本と結んだ講和条約の中での独立を認めた」⇒「下関条約」で「清」が認めたのは「朝鮮の独立」=不適切、
(エ)が中心となって日本とに宣戦布告」⇒「日清戦争」は「朝鮮」で起きた「甲午農民戦争(東学党の乱)」がきっかけ=不適切、
(オ)と日本がをめぐって戦争⇒「朝鮮」の支配権をめぐって起きたのが「日清戦争」=適切。

したがって、「答え」は(イ)(オ)となる。「複数完全解答」では細部を詳細に検討して取りこぼしがないようにしたい。

<時間配分目安:1分強>

【大問3】公民 (「時事」1問あり。「説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:15分

(Ⅰ)「『まちの公共施設』の名称が[A]~[M]で示された図版」(ただし、[E][F][G]は名称が記されていない)」と、(Ⅱ)「『衆議院議員総選挙の年代別(20~60歳代)投票率の推移(平成15年~26年)』のグラフ」からの出題。「公民」単元の「日本国憲法」「行政」「司法」「地方自治」などの分野や「現代社会」、そして、「時事」単元、さらには「一般常識」までをも問う多様な小問が並んでいる。大問】【大問に比して、やや難易度が高い。また、「年代」について、「平成」と「元号」で記されており、「西暦」で覚えることが一般的な諸君にとっては戸惑いがあるに違いない。尚、来年度(2019年)入試では「平成」を中心として「元号」の「年代」が本校に限らず頻出すると考えられる(無論、2019年に「平成」という「元号」が終わるからだ)。したがって、「西暦」だけではなく「元号」も意識して定着させることが求められる。以下、いくつかの「設問」を確認してみよう。

[] 「図版についての選択肢設問」(全3問/6択)

(Ⅰ)の「図版」に示されている[A]「図書館」、[B]「博物館」、[C]「特別養護老人ホーム」では、「専門の資格を持った職員が働いている」が、「何と呼ばれる職員なのか」をそれぞれ答える。「専門職の名称」が問われている。まさに、「一般常識」の問題だ。「記述問題」であれば、ほぼお手上げ状態だろうが、「選択肢」なので何とか「消去法」でこなしていきたい。
各選択肢は、

(ア)「司法書士」
(イ)「介護福祉士」
(ウ)「司書」
(エ)「学芸員」
(オ)「保育士」
(カ)「公認会計士」

それぞれの「答え」を確認していく。
[A](ウ)の「司書」、[B](エ)の「学芸員」、[C](イ)の「介護福祉士」となる。本校では、こうした意表を衝くような出題があると心得よ。

<時間配分目安:3問で1分強>

[5①] 「図版についての事項記述設問」(「漢字5文字」指定)

(Ⅰ)の「図版」の[I]「清掃工場」について、「家庭から出るごみは一般廃棄物」だが、「工場から出るごみは何とよばれるか」を「漢字5文字」で答える。決して難問ではないが、このような問われ方をされたときに瞬時に「用語」が思い浮かぶかどうかだ。「家庭ゴミ」=「一般廃棄物」に対して「工場のゴミ」は……、そう、「答え」は「産業廃棄物」だ。知らなかった諸君は覚えておくこと。さまざまな「事項」を単に「一問一答形式」で覚えるのではなく、それぞれの「内容」を的確に理解して、どのように問われても結びつけられるようにしておくことが肝要だ。尚、「廃棄物」の「棄」の漢字にも注意せよ(「戦争放棄」の「棄」と同じだ)。

<時間配分目安:30秒>

[] 「図版についての選択肢設問」(4択)

(Ⅰ)の「図版」に示されている[J]「小学校」・[K]「中学校」で「すべての国民は教育を受ける権利がある」が、「日本国憲法」では「教育を受ける権利」と「義務教育」について「何条で定めているか」を答える。「教育を受ける権利」も「義務教育」も当然、知っている。が、「何条か」となると意外と抜け落ちているのではないか?
各選択肢は、

(ア)「第3条」
(イ)「第14条」
(ウ)「第26条」
(エ)「第45条」

「第14条」が「法の下の平等」だということは知っているだろうが、他はどうか?「第3条」は「天皇の国事行為(内閣の助言と承認)」、「第26条」が「『教育を受ける権利』と『義務教育』」、「第45条」は「衆議院議員の任期」をそれぞれ定めている。よって、「答え」は(ウ)だ。

「日本国憲法」の条文では、誰もが覚えるであろう「前文」、「第1条」(天皇の地位)、「第9条」(戦争放棄)、「第11条」(基本的人権の享有)、「第14条」(法の下の平等)、「第25条」(生存権)、「第41条」(国会の地位)、「第96条」(憲法改正)、「第98条」(最高法規)、「第99条」(憲法擁護義務)以外でも、本校志望者は習得しておく必要があるということだ。

<時間配分目安:30秒強>

[10] 「グラフ読み取りの選択肢設問」(複数完全解答/5択)

(Ⅱ)の「グラフ」を「正しく読み取っているもの」を「すべて」答える。
各選択肢の「正誤判別」をしていく。

(ア)「平成21年には日本の人口の半分以上の人が投票」⇒そもそも、この「グラフ」は「有権者総数に対する投票者の割合」である「投票率」を示しており、「人口」に対しては不明=不適切、
(イ)「平成26年には若者の選挙への参加が増加」⇒「平成26年」は「平成24年」に比して、全ての年代で低下している=不適切、
(ウ)「毎回20歳代の有権者の半分以上の人が投票を棄権」⇒「20歳代」の「投票率」は、35.6%→46.2%→49.5%→37.9%→32.6%と推移している=適切、
(エ)「毎回60歳代の投票率が一番高い」⇒一目瞭然、「60歳代」の「投票率」は、平成15年~26年で常にトップだ=適切、
(オ)「どの年代も平成15年より平成24年の投票率の方が高い」⇒「平成24年」の方が「投票率」が「高い」のは「20歳代」だけだ(35.6%→37.9%)=不適切。

したがって、「答え」は(ウ)(エ)になる。「統計資料読み取り問題」では先入観を持たずに、「統計資料」の「数字」だけを正確に読み取ることが肝要。

<時間配分目安:1分強>

[11] 「グラフに関連する不適切選択肢設問」(4択)

(Ⅱ)の「グラフ」に関連して、「衆議院の優越が認められるもの」として「あてはまらないもの」を答える。「衆議院の優越」、本校以外でも頻出で、完全習得済み、お手のものに違いない。「不適切選択肢」だということをしっかりと意識して、各選択肢の「正誤判別」をしていきたい。

(ア)「法律の議決」
(イ)「内閣総理大臣の指名」
(ウ)「予算の先議」
(エ)「条約の締結」。「法律」・「内閣総理大臣」・「予算」・「条約」

あれれ、全て「衆議院の優越」が成立するのではないか?そんなはずはないのだが……。改めて、確認する。(エ)に注目したい。「条約」の「締結」となっているではないか。そう、「条約の締結」は、そもそも「国会」ではなく「内閣」の仕事だ。「衆議院の優越」が認められるのは「条約の承認」だ。よって、「答え」は(エ)だ。本小問は本年度の最終問題だ。くれぐれも時間に追われて細部を読み違えるようなことがないようにしたい。

<時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

  • ●「制限時間」と「解答数」を考え合わせると、最大の「攻略ポイント」はやはり「戦術」。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟が必要、「捨て問」を瞬時に判別して「次の得点」を押さえることが求められる。

もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は8割強と高い(過去4年間の「合格者平均得点率」は78.7%、本年度は一気に上昇して83.2%)。「取れる問題」をいかに落とさないかが「合格への近道」だ。

●数ある「設問」の中で時折、顔を出す「難問」。「捨て問」でもいいのだが、できけば「攻略」したい。どうするか?「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」を押さえておきたい。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ(必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されているので、「自らの知識」と多角的に結びつけること)。

●「時事問題の攻略」もポイント。過去1年間ほど(できれば数年前から)の「時事ネタ」は、細大漏らさず確実に整理して覚えておくこと。日々の「新聞」をしっかりと確認する。「見出し」「リード」は必ずチェックして、知らない「ネタ」があったら「スクラップ」しておきたい。

「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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