鎌倉女学院中学校 入試対策
2019年度「鎌倉女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「鎌女対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。
「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れないこと。
完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。
時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。
6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか?
実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。
「地理」の比率が高く「詳細な知識」も求められる鎌女ではなおさら。そこで、独自の「復習」が必要となる。
塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。
「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。
バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。
ましてや、鎌女定番の「ちょっとした難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。
「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。
1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。
単元も無視する。
もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。
その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
無論、鎌女で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「鎌女攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。
そこから「考えるヒント」を見つけ出す。
そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。
後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
[意識継続式学習]
いついかなるときも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄だ。
その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして、何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
鎌女の入試本番では45分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。
だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2019年度「鎌倉女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
※本年度も昨年度同様に、全設問に対する[注意事項]として「漢字を使用すべきところは指定されていないところも含めて、漢字で書きなさい」と付記されている(原則的に「全問漢字指定」が定着したと考えたい)。
大問1は「総合」(主に「歴史」で、一部「地理」「公民」「時事」あり)。「鎌倉市が提携関係を結んでいる4つの都市」についての「リード文」からの出題。小問は全25問(解答数35)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」、「年代整序」あり)、「事項(地名)記述」(「空所補充」あり)、「地図記入」。
大問2は「地理」。「北海道」「関東地方東部」「四国地方」、「3つの地図」からの出題。小問は全11問(解答数16)、「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「自然地名記述」。
大問3は「公民」(ただし、一部「歴史」「時事」あり)。「明治時代から現在までの2つの年表」からの出題。小問は全13問(解答数15)、「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「ひらがな」や「アルファベット」、「数字」の指定あり)。時間配分としては、1問あたり約40秒のペース(約2分で3問)。
【大問1】「総合」(「歴史」メイン。「地図記入」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
「鎌倉市が姉妹都市などの提携関係を結んでいる国内外の都市のうち、足利市・萩市・敦煌(とんこう)市(中国)・ワイマール市(ドイツ)の4つの都市」についての「リード文」からの出題。「歴史」単元が中心の「総合問題」で、「地理」「公民」「時事」からも問われている、多種多様な小問がランダムに並んでいる。基礎的な問題多いので、手際よく一気呵成に解き進めていきたい大問だ。以下、いくつかの設問を検証する。
[問1] 「下線部についての会話文中の空所補充事項記述設問」(全2問)。「歴史」単元。
「足利市についてのリード文」中の下線部(a)の「栃木県」にある「藤岡貝塚は関東地方最北部の貝塚として知られている」が、これに関する「会話文」の空所( A )・( B )に「あてはまる語」をそれぞれ答える。「会話文」は「栃木県には( A )がないのに、どうして貝塚があるのかしら?」「縄文時代に( B )が上がって、( A )面が高くなったからだと考えられているよ」となっている。一瞬、なんのこっちゃ?と戸惑うかもしれないが、瞬時に冷静さを取り戻し「思考」したい。「貝塚」⇒「海岸付近」⇒「栃木県は内陸県で、海がない」⇒「縄文時代には海があった」ことになる⇒なぜか?⇒「海水面の上昇」だ⇒その原因は?⇒「気温上昇」だ。ということで、「答え」は( A )=「海」、( B )=「気温」となる。「空所」の「文脈」がやや捉えにくい。難問かも知れないが、落ち着いて判断したい。
<時間配分目安:全問で1分強>
[問5①] 「下線部に関する時期特定選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。
「足利市についてのリード文」中の下線部(e)「足利氏は、のちに鎌倉幕府の御家人となりました」に関して、「源頼朝は1192年に征夷大将軍に任ぜられている」が、「これより前の出来事」として「正しいもの」を答える。
各選択肢の「キーワード」で時期特定および正誤判別をしていきたい。
(ア)「承久の乱」⇒源氏の将軍が3代で途切れた後、2代執権「北条義時」の時(1221年)=不適切、
(イ)「保元の乱」⇒「院政」の頃の、「後白河天皇」と「崇徳上皇」との争い(1156年)。天皇方が勝利し、その後の「平治の乱」(1159年)を経て「平氏政権」が始まる=適切、
(ウ)「モンゴル軍が博多湾上陸」⇒無論、鎌倉時代後半の「蒙古襲来」(元寇)の「文永の役」(1274年)=不適切、
(エ)「平氏が博多湾で源氏と戦い、滅亡」⇒平氏が滅んだのは当然、鎌倉幕府成立以前の「壇ノ浦の戦い」(1185年)だが、場所は山口県の「下関市」で「博多湾」ではない=不適切。
したがって、「答え」は(イ)だ。尚、こうした「時期特定」の「正誤判別」では、「時期」だけに着目していると「事実関係」での見逃しがあるので、注意すること。
<時間配分目安:1分弱>
[問5③] 「下線部に関する年代整序選択肢設問」(4択/完全解答)。「歴史」単元。
「足利市についてのリード文」中の下線部(e)「足利氏は、のちに鎌倉幕府の御家人となりました」に関して、「鎌倉幕府が倒れてから5年後、足利尊氏が室町幕府を開いた」が、「この後に起こった出来事」を「古いものから順番に並べ替えて」答える。
それぞれの「出来事」の「流れ」を捉えて時期を特定する。
(ア)「銀閣が建てられる」⇒8代将軍「足利義政」と結びつく、
(イ)「長篠の戦い」⇒「織田信長」と「徳川家康」の連合軍と「武田勝頼」との戦い(1575年)、初の本格的な鉄砲隊による戦いで信長側が勝利したことは誰でも知っているはず、
(ウ)「金閣が建てられる」⇒3代将軍「足利義満」と結びつく、
(エ)「桶狭間の戦い」⇒言わずと知れた「織田信長」の「全国デビュー戦」、2万5千人ともいわれる大軍を率いた「今川義元」を破った戦い(1560年)。
したがって、「答え」は(ウ)→(ア)→(エ)→(イ)になる。「年代整序」では正確さが危うい「年代」の「数字」だけに頼るのではなく、「背景」や「流れ」を理解した上で「整序」していくことが肝要だ。
<時間配分目安:1分>
[問6] 「下線部に関する都市名選択肢設問」(4択)。「地理」単元。
「足利市についてのリード文」中の下線部(f)「(足利市は)織物のまち」に関して、「隣接する市も織物業で有名だ」が、「それはどこか」を答える。
各選択肢は、(ア)「久留米市」、(イ)「秩父市」、(ウ)「金沢市」、(エ)「桐生市」。
悩む間もなく、「答え」は(エ)だと判別できるはずだ。「桐生織」(絹織物)が知られている。ただ、ひとつ注意したいのは、両市は「隣接」しているが、「足利市」は「栃木県」で「桐生市」は「群馬県」だ。
<時間配分目安:30秒弱>
[問16] 「下線部に関する『線』の地図記入設問」。「歴史」単元。
「萩市についてのリード文」中の下線部(p)「交通が整備されました」に関して、「江戸時代には海上交通が発達した」が、「酒田から大阪までの航路(西廻り航路)」を「解答欄の地図中」に「線」で描く。「解答欄の地図」は、北海道以北と九州北部以南を省いた日本地図。江戸時代前半に河村瑞賢によって開かれた航路だということは誰もが知っているはず、「西廻り航路」は、「酒田」(山形県)から「西」へ、つまり「日本海側」を南下し、関門海峡から瀬戸内海へと進み「大坂(大阪)」へ至るので、そのように「線」を描けばいい。ちなみに、「東廻り航路」は、「酒田」(山形県)から北上して、津軽海峡経由で「太平洋側」を南下し「江戸」へ至るルートだ。尚、本校ではこうした「地図記入」の問題が頻出なので、十分に練習しておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問17①] 「下線部に関する人物説明選択肢設問」(複数完全解答/4択)。「歴史」単元。
「萩市についてのリード文」中の下線部(q)の「松下村塾」の出身である「伊藤博文に関する説明」で、「正しいもの」を答える。
各選択肢の「キーワード」で正誤判別をしていく。
(ア)「内閣総理大臣を務めた」⇒初代内閣総理大臣ということは常識=適切、
(イ)「自由党結成」⇒「自由党」といえば「板垣退助」と定着しているはず=不適切、
(ウ)「ヨーロッパを視察」⇒明治時代初期、「大久保利通」「木戸孝允」らとともに「岩倉使節団」の一員として欧米を視察したことは周知の事実=適切、
(エ)「韓国で暗殺された」⇒そう、朝鮮の独立運動家安重根(アンジュングン)に暗殺されたので「適切」。そうではない。確かに、この内容自体は正しいが、暗殺された場所は満州(中国東北部)の「ハルビン」であって、「韓国で」は誤りだ=不適切。
したがって、「答え」は(ア)(ウ)になる。
「複数完全解答」では細部を詳細に検討して取りこぼしがないようにしたい。「神は細部に宿る」と心得よ。
<時間配分目安:1分強>
[問20] 「下線部に関連するアルファベット略語選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
「敦煌市についてのリード文」中の下線部(t)の「世界文化遺産」の「選定に関わる国連の専門機関」を答える。「世界遺産」の登録や管理を行っているのは「ユネスコ(国連教育科学文化機関)」だということは知らなくてはいけない。その「アルファベット略語」なので、「答え」は(エ)の「UNESCO」。
ちなみに他の選択肢は、
(ア)「UNEP(ユネップ)」=「国連環境計画」、
(イ)「UNHCR」=「国連難民高等弁務官事務所」、
(ウ)「UNICEF(ユニセフ)」=「国連児童基金」。尚、国連などの国際機関については、「ユネスコ」などといった「通称」、「アルファベット略語」および「正式名称」、そして、「活動内容」までをも整理して定着させておくことが肝要。
<時間配分目安:30秒>
[問21] 「下線部に関する条件付き選択肢設問」(複数完全解答/4択)。「地理」単元。
「敦煌市についてのリード文」中の下線部(u)「クリーンエネルギー」に関して、「敦煌市では主にどのようなクリーンエネルギーが発電に利用されているか」を「2つ」答える。
「条件」は「リード文中に書かれていることを参考にする」こと。
各選択肢は、(ア)「風力」、(イ)「波力」、(ウ)「バイオマス」、(エ)「太陽光」。
それぞれの発電方法は当然、知っているだろうが、「敦煌市では何が利用されているか」を押さえている諸君はいないはず。そこで、「条件」である「リード文中」に「手がかり」を求める。「敦煌市はタクラマカン砂漠の東端に位置し」と記されている。「砂漠」であれば、「答え」は(ア)(エ)だと判別できる。「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問22] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
「ワイマール市についてのリード文」中の下線部(v)の「社会権」に「あてはまらないもの」を答える。「不適切選択肢」だということをしっかりと意識して、各選択肢の正誤判別をしていきたい。
(ア)「義務教育の教科書は無償」⇒「教育を受ける権利」に基づく=適切、
(イ)「生活保護」⇒「公的扶助」で、日本の「社会保障制度の4つの柱」のひとつ(他には「社会保険」「社会福祉」「公衆衛生」)、「生存権」に基づく=適切、
(ウ)「どのような宗教を信じてもよい」⇒「信教の自由」は「自由権」のひとつ=不適切、
(エ)「労働組合をつくる」⇒「団結権」で、「団体交渉権」「団体行動権(争議権)」とともに「労働三権」のひとつ、「労働基本権」だ=適切。
よって、「答え」は(ウ)。
本問のように、唐突に「不適切選択肢設問」が現れるので、頭を切り替えることが肝要だ。
<時間配分目安:30秒>
【大問2】「地理」(「自然地名記述」、「組み合わせ選択肢」あり)
- 難度:易
- 時間配分:11分
- ★必答問題
【地図Ⅰ】「北海道地方」、【地図Ⅱ】「関東地方東部」、【地図Ⅲ】「四国地方」、以上の「3つの地図」からの出題。「自然地名記述」が必須で、他に「統計資料読み取り」などの出題がある。「地理」単元の平易なものがほとんどなので、極力、「失点」をしないことが求められる大問だ。以下、注意すべきいくつかを検討したい。
[問4] 「地図中の自然地名に関する選択肢設問」(4択)。
【地図Ⅰ】の中の「( ③ )半島に関する説明」で、「正しいもの」を答える。
「( ③ )半島」=「知床(半島)」だ([問1]の「答え」)。
各選択肢の「キーワード」で正誤判別をしていく。
(ア)「日本最大の湿原」「ラムサール条約」⇒むろん、「釧路湿原」のこと=不適切、
(イ)「世界自然遺産」「観光客が増加」⇒2005年に登録されて以来、観光客が増えて生態系への影響が心配されている=適切、
(ウ)「パウダースノーの雪質」「海外からの観光客が多いニセコスキー場」⇒「インバウンド」に関連して覚えておきたい「ニセコ町」は、北海道南西部の「渡島半島」の付け根付近に位置する=不適切、
(エ)「半島内にある阿寒湖」「マリモ」⇒「マリモ」で知られる「阿寒湖」は、北海道東部で「釧路」と「網走」の中間に位置している=不適切。
したがって、「答え」は(イ)。
本校では「自然地名」が頻出だ。「地図上の位置」を含めて正確に定着させておくこと。
<時間配分目安:1分弱>
[問6] 「地図に関連する統計資料読み取り選択肢設問」(5択)。
【地図Ⅱ】に関連して示されている「統計資料」(都道府県別の「ある家畜数」の「上位5位」までを示した「表」)について、その「家畜」を答える。
「表」は、「1位」から順に「茨城」→「千葉」→「鹿児島」→「岡山」→「広島」となっている。そして、各選択肢は、
(ア)「乳牛」、(イ)「肉牛」、(ウ)「豚」、(エ)「若鶏(肉用)」、(オ)「にわとり(卵用)」。
「表」の順位だけでは判別が難しいが、各選択肢には、「都道府県ランキング」として「1位」を必ず覚えていなくてはならないものがある。確認する。「乳牛」と「肉牛」は「北海道」、「豚」は「鹿児島」、「肉用若鶏」は「宮崎」だ。結果として、残った「にわとり(卵用)」の(オ)が「答え」になる。「採卵鶏」は「上位2県」が「茨城」・「千葉」と関東地方になっている。この機会に定着させたい。尚、「選択肢設問」では当然ながら、「社会」でも「消去法」も活用すること。
<時間配分目安:1分弱>
[問7] 「地図中の都市についての組み合わせ選択肢設問」(4択)。
【地図Ⅱ】の中の(A)~(C)の「都市名」と、そこで盛んな「工業名」の「組み合わせ」で「正しいもの」を答える。
(A)は「茨城県北部で太平洋沿岸」、選択肢で(A)の「都市名」は「いわき」か「日立」、「いわき市」は「福島県」ということは誰でも知っている。この段階で、(ウ)と(エ)の「2択」になる。両者の(B)はともに「鹿嶋」なので、(C)で判別する。(ウ)は「野田」、(エ)は「市原」だ。(C)は「千葉県中部」で「東京湾沿岸」。であれば「市原市」なので、「答え」は(エ)。念のために、(エ)の「工業名」を確認する。「日立―電気機械」・「鹿嶋―鉄鋼・石油化学」・「市原―石油化学」、間違いない。「組み合わせ選択肢」では、分かりやすい事項で一気に「消去」することがポイントになる。
<時間配分目安:1分弱>
[問8] 「地図中の自然地名の空所補充記述設問」(全2問)。
【地図Ⅲ】の中の空所「( ① )川」・「( ② )岬」に「あてはまる語」をそれぞれ答える。位置を確認する。( ① )は「高知県南西部」を大きく蛇行して太平洋へと至っている。「高知県」で定着すべき「河川」は、「高知市内」を流れる「仁淀川」と「最後の清流」と呼ばれる「四万十(川)」。無論、ここの「答え」は「四万十川」だ。そして、( ② )は「四国南東部」の突端にある「岬」。さあ、ここで「潮岬」、「室戸岬」、「足摺岬」の3つを混同してしまっている人がいないか心配だ。「潮岬(しおのみさき)」=「本州最南端」(和歌山県)、「室戸岬(むろとざき)」=「高知県南東部の突端」、「足摺岬(あしずりみさき)」=「高知県南西部の突端」で「四国最南端」。よって、「答え」は「室戸(岬)」だ。尚、「四国最西端」の「岬」が「佐田岬(さだみさき)」、こちらも覚えておきたい。
<時間配分目安:全問で1分半>
【大問3】「公民」(一部「歴史」「時事」あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
【年表A】「明治時代以降の主に選挙に関係する年表」と、【年表B】「戦後の大きな制度改革となる法律制定の年表」からの出題。主として「公民」単元からの出題だが、「歴史」と「時事」からも問われている。他の大問に比して、やや難易度が高い。以下、いくつかの「設問」を確認してみよう。
[問4] 「下線部についての空所補充記述設問」(全2問)。
示されている、【年表A】の下線部(d)「1946:日本国憲法」の「条文」中の空所( f )・( g )に「あてはまる語」をそれぞれ答える。「条文」は、[第七十条]「内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、( f )をしなければならない」と、[第七十六条]「すべて( g )権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」。後者に関しては、「裁判所」に属する「権限」なので、( g )=「司法(権)」が「答え」だと分かる。だが、前者はどうか?「第七十条」といってもピンとこないに違いない。内容から考えていきたい。「衆議院議員総選挙後の国会」、これは「特別国会」だと特定できる。ここでは何をするのか?新しい「内閣総理大臣の指名」を行うことは知っているはずだ。ということは、それまでの内閣は……、そう、「特別国会」が「召集」された段階で「総辞職」することになる。
よって、( f )=「総辞職」がもうひとつの「答え」となる。
尚、「衆議院で内閣不信任決議案が可決又は信任決議案が否決され、10日以内に衆議院が解散されない」場合の「総辞職」(第69条)はおなじみのはず。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問5] 「下線部に関する選択肢設問」(4択)。「時事」単元。
【年表A】の下線部(e)「2017:第48回衆議院議員総選挙」に関して、「正しいもの」を答える。「2019:第25回参議院議員選挙」であれば典型的な「時事問題」だが、2年前の衆院選についてとは、なかなか厄介な問題だ。各選択肢の「キーワード」で正誤判別をする。
(ア)「議員定数は242名」⇒この時の「定数」は「465名」(現在2020年3月時点でも同数。ちなみに、現在の「参議院」は「248名」)=不適切、
(イ)「投票率は50%に届かず」⇒「53.7%」で衆院選としては戦後2番目の低さだった(尚、これまでに「50%」を切ったことはない)=不適切、
(ウ)「『一票の格差』が3倍を超えた」「最高裁が違憲判決」⇒最大「1.98倍」で、「合憲判決」が下されている=不適切、
(エ)「自民党と公明党で憲法改正発議に必要な数を上回る議席を獲得」⇒連立与党の両党で総議員の3分の2を超える「313議席」を得た=適切。
したがって、「答え」は(エ)になる。「時事問題」に関しては、受験の前年だけではなく過去数年分を押さえておくこと。それが本問の教訓だ。特に、「議員定数の変更」には敏感であれ。
<時間配分目安:1分弱>
[問7①] 「下線部に関する説明の空所補充記述設問」(「ひらがな」指定)。
「時事」単元。示されている、【年表B】の下線部(i)「1947:地方自治法」に関する「説明文」中の空所( q )に「あてはまる地名」を「ひらがな」で答える。空所前後は「2018年、沖縄米軍基地問題に関心を持つ人々の間で、名護市の( q )が基地建設で埋め立てられることに対する賛否を問う……」となっている。無論、新たな米軍基地建設が進められているのは知っているはず。場所は名護市の「辺野古沖」だ。したがって、「答え」は「へのこ」になる。「辺野古」と「漢字」で覚えているだけでは対応できない。意外な落とし穴となるので要注意。「社会」では、「地名」などで読みづらいものが多いので「漢字」と「読み」をしっかりと定着させておくことが肝要。
<時間配分目安:30秒>
[問7②] 「下線部に関する説明内容の選択肢設問」(4択)。
示されている、【年表B】の下線部(i)「1947:地方自治法」に関する「説明文」中にある、下線部(r)「条例の制定を請求するために必要となる数」について、「沖縄県内の有権者数を約116万人として考えた場合、どのくらいの数になるか」を答える。「条例の制定・改廃」の「請求」には「有権者総数の50分の1以上の署名」が必要だということは知らなくてはいけない。それで計算すると、116万人÷50=23200人になる。したがって、「答え」は「約2万3千」となっている(イ)だ。尚、本問のような地方自治における「直接請求権」は頻出だ。「項目」と「数字」をセットで定着させておくこと。
<時間配分目安:1分弱>
[問10] 「下線部に関する選択肢設問」(4択)。
【年表B】の下線部(l)「1999:男女共同参画社会基本法」に関して、「国務大臣を務めたことがある女性、あるいは現在も在任中の女性」を答える。各選択肢は、
(ア)「林文子」、(イ)「黒柳徹子」、(ウ)「野田聖子」、(エ)「緒方貞子」。
「黒柳徹子」は女優・タレントで「ユニセフ親善大使」を務めていること、また、「緒方貞子」が「国連難民高等弁務官」を務めていたことは知っているに違いない。他の2人の女性はどうか?知らなくても不思議はない。「林文子」は現在(2020年3月時点)の「横浜市長」で、「野田聖子」は自民党の衆議院議員、これまでに「総務大臣」などを歴任している。よって、「答え」は(ウ)。まあ、こうした出題もあるということだ。「消去法」で絞り込み判別したい。
ただ、悩むようだったら「捨て問」でも構わない(なにせ、時間がないので)。
<時間配分目安:30秒>
[問13] 「年表中の条件付き空所補充記述設問」(「アルファベット2字」指定)。「時事」単元。
示されている、【年表B】「2018: ( o )実施法が制定」の空所に「あてはまる語」を「アルファベット(大文字)2文字」で答える。「条件」は、「示されている『( o )実施法に対する賛成・反対それぞれの立場からの意見』を参考にする」こと。「条件」を「手がかり」にする。「意見」には、「観光客が増え」「治安が悪化」「雇用を生み出す」「ギャンブル依存症」などといった賛否の言葉が記されている。もう分かったはずだ。「カジノ」について大きなニュースになっていた。で、制定されたその「法律」とは何か? 正確に理解、定着しているだろうか? 「カジノ」を中心とした「統合型リゾート」(IR)を整備・運営するための「特定複合観光施設区域整備法」だ。したがって、「答え」は「IR」ということになる。「時事問題」では単に「用語」だけを丸暗記するのではなく、その内容についても理解しておく必要がある。
<時間配分目安:1分弱>
攻略のポイント
- ●「制限時間」と「解答数」を考え合わせると、最大の「攻略ポイント」はやはり「戦術」。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟が必要、「捨て問」を瞬時に判別して「次の得点」を押さえることが求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。
「合格ライン」は8割弱と高い(過去5年間の「合格者平均得点率」は79.2%。本年度は、昨年度の83.2%よりは下がったが、それでも79.6%)。「取れる問題」をいかに落とさないかが「合格への近道」だ。
●数ある「設問」の中で時折、顔を出す「難問」。「捨て問」でもいいのだが、できけば「攻略」したい。どうするか?「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」を押さえておきたい。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ(必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されているので、「自らの知識」と多角的に結びつけること)。
●「時事問題の攻略」もポイント。過去1年分はもちろん、数年前からの「時事ネタ」も、細大漏らさず確実に整理して覚えておくこと。日々の「新聞」をしっかりと確認する。「見出し」「リード」は必ずチェックして、知らない「ネタ」があったら「スクラップ」しておきたい。
●「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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家庭でできること
インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。