鎌倉女学院中学校 入試対策
2023年度「鎌倉女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「鎌女対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。
「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れないこと。
完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。
時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年生の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。
６年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？
実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。
「地理」の比率が高く「詳細な知識」も求められる鎌女ではなおさら。そこで、独自の「復習」が必要となる。
塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。
「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。
バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。
ましてや、鎌女定番の「ちょっとした難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。
「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。
１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。
単元も無視する。
もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。
その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
無論、鎌女で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「鎌女攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。
そこから「考えるヒント」を見つけ出す。
そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。
後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
[意識継続式学習]
いついかなるときも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄だ。
その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして、何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
鎌女の入試本番では45分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。
だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか？ 「要素」は全て確認したか？ 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か？ 「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2023年度「鎌倉女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
※例年同様に本年度も全設問に対する[注意事項]として｢漢字を使用すべきところは指定されていないところも含めて、漢字で書きなさい｣と付記されているので、本校では原則的に｢全問漢字指定｣だと考えること｡
大問１は｢公民｣｡｢職場見学｣での４つの｢メモ｣からの出題。小問は全13問(解答数24)、｢選択肢｣(｢不適切｣｢複数完全解答｣、｢空所補充｣あり)､｢事項･数字記述｣(｢漢字｣｢カタカナ｣｢アルファベット｣指定あり)、｢説明記述｣(｢25字以内｣指定１問｡大問２は｢歴史｣｡｢時代区分｣に関する２つの｢会話文｣からの出題。小問は全16問(解答数24)、｢選択肢｣(｢不適切｣｢正誤判別｣｢時期整序｣｢位置特定｣、｢空所補充｣あり)､｢事項･人名･数字記述｣(｢漢字｣指定あり)、｢説明記述｣(｢10字ほど｣指定１問)｡大問３は｢地理｣。４つの地域に関する｢説明文｣からの出題。小問は全17問(解答数23)、｢選択肢｣(｢組み合わせ｣｢正誤判別｣、｢空所補充｣あり)､｢地名･事項記述｣(｢カタカナ｣｢ひらがな｣指定あり)、｢説明記述｣(｢10字以内｣と｢15～20字以内｣指定各１問)｡時間配分としては、｢説明記述｣が各1分半、他は１問あたり30秒強という超ハイペース。
【大問１】｢公民｣(｢説明記述｣１問あり)
- 難度：やや難
- 時間配分：14.5分
(Ⅰ)｢子育て支援センター｣･(Ⅱ)｢市議会｣･(Ⅲ)｢簡易裁判所｣･(Ⅳ)｢コンビニエンスストア｣、４カ所の｢職場見学｣での生徒の｢メモ｣からの出題。｢公民｣単元のさまざまな分野からの多種多様な設問が並んでいる。いかにも本校らしく｢平易な問題｣に紛れて｢超難問｣が突然現れる。｢解答形式｣も目まぐるしく転換する。なかなか厄介な大問だ。以下、いくつかを検討する。
[問３-①] ｢下線部に関連する事項記述設問｣(｢カタカナ｣指定)。(Ⅰ)｢子育て支援センターのメモ｣中の下線部(ｃ)｢夫婦で参加できる育児教室｣に関連して、｢仕事も私生活も充実し、それらの調和がとれた状態のことを何というか｣を｢カタカナ｣で答える。日本では1990年代以降一般的になった考え方なので、知っていてほしい。｢答え｣は｢ワークライフバランス｣。｢仕事｣(ワーク)と｢私生活｣(ライフ)の｢調和｣(バランス)ということだ。
＜時間配分目安：30秒＞
[問３-②] ｢下線部に関連する空所補充の事項記述設問｣。上記下線部(Ｃ)に関連して、｢男女がともにその個性と能力を発揮できる社会の実現が目指されており、その実現に必要な基本的人権が日本国憲法で保障されている｣が、示されている｢基本的人権に関連する条文｣中の空所( Ｘ )に｢あてはまる語句｣を答える。空所部は｢日本国憲法第12条｣の中で、前後は｢この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の( Ｘ )によつて、これを保持しなければならない｣となっている。本校に限らず｢日本国憲法条文｣の｢空所補充｣は定番だが、｢第12条｣のこの箇所はなかなか曲者かもしれない。定着している諸君は素晴らしい。｢答え｣は｢不断の努力｣だ。塾などで｢覚えておくべき条文｣として指示されているものは必ず定着させておくことが肝要だ。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問５-①] ｢下線部に関連しての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。(Ⅱ)｢市議会のメモ｣中の下線部(ｅ)｢住民の暮らし｣に関連して、｢地方自治体の仕事にあてはまるもの｣を｢全て｣答える。各選択肢を慎重に｢判別｣していきたい。(ア)｢農業協同組合の経営｣⇒直接知らなくても｢協同組合｣が｢経営｣していると見当がつく＝不適切。(イ)｢条約の締結｣⇒これは無論、｢内閣｣の仕事だと知っているはず＝不適切。(ウ)｢戸籍･住民票の管理｣⇒うーん。｢住民票｣であれば｢地方自治体｣に違いない＝適切。(エ)｢上下水道の整備｣⇒｢水道事業｣は｢地方自治体｣の仕事だと習ったに相違ない＝適切、(オ)｢郵便局の経営｣⇒テレビＣＭを流しているのだから｢民間｣だと判断できる＝不適切。したがって、｢答え｣は(ウ)･(エ)になる。未定着の事項であっても、｢自らの知識｣と結びつけて類推していくこと。尚、｢複数完全解答｣では｢細部｣に十分配慮することが肝要。
＜時間配分目安：１分＞
[問７] ｢下線部に関連する数字記述設問｣。(Ⅱ)｢市議会のメモ｣中の下線部(ｇ)｢市長｣に関連して、｢有権者数が12万人の地方自治体で、市長の解職請求に必要な署名は何人以上か｣を答える。｢首長の解職請求(リコール)｣には｢有権者の３分の１以上の署名｣を｢選挙管理委員会｣に提出する必要があることは、当然知っていなくてはいけない。したがって、｢有権者数12万人｣の｢３分の１｣で、｢答え｣は｢４万(人以上)｣だ。ちなみに、｢地方自治｣における｢住民の直接請求制度｣は本校に限らず頻出だ。それぞれの｢請求｣について｢請求先｣はもちろん、｢必要な署名数｣･｢請求後の流れ｣などについてもしっかりと整理して、理解･定着させること。
＜時間配分目安：20秒強＞
[問10-④] ｢下線部に関連しての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。(Ⅲ)｢簡易裁判所のメモ｣中の下線部(ｊ)｢司法制度改革｣に関連して、｢裁判員になれない人｣を｢全て｣答える。はっ？ 知るはずないじゃん。確かに！ 本校お得意の｢唐突な超難問｣だ。先ずは確認しよう。各選択肢は、(ア)｢弁護士｣･(イ)｢警察官｣･(ウ)｢新聞記者｣･(エ)｢医療従事者｣･(オ)｢自衛官｣。｢弁護士｣と｢警察官｣は流石(さすが)に無理だと判別できるはず。他はどうか……。｢自衛官｣もふさわしくないのだ。よって、｢答え｣は(ア)･(イ)･(オ)になる。ちなみに、広く国民の良識を裁判に反映させるという裁判員制度の趣旨から法律専門職などが、三権分立への配慮から国会議員などが、従事する職務の特殊性等から自衛官などが、それぞれ裁判員の職務に就くことを禁止されているのだ。覚えておこう。尚、悩んでしまい時間がかかるようなら、本問は｢捨て問｣で構わない。
＜時間配分目安：１分＞
[問11] ｢下線部に関連する事項記述設問｣(｢カタカナ４文字｣指定)。(Ⅳ)｢コンビニエンスストアのメモ｣中の下線部(ｋ)｢海外から輸入｣に関連して、｢先進国は発展途上国に対して、資金や技術の援助を目的に、工場設備や機械設備などを輸出する『○○○○輸出』を行っている｣が、『○○○○』に｢あてはまる語句｣を｢カタカナ４文字｣で答える。これまた｢深知り知識｣が求められている。｢答え｣は｢プラント輸出｣｣。生産設備などのように、ひとつのまとまりをもった設備や施設を｢プラント｣といい、その輸出が｢プラント輸出｣で、技術指導を含むこともある。省資源･知識集約型の輸出で、貿易摩擦も少ないので、今後，日本の貿易の柱として期待されている。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問13] ｢空所補充の内容説明記述設問｣(｢25字以内｣指定)。(Ⅳ)｢コンビニエンスストアのメモ｣中の空所部( ｍ )に｢入る文｣を示されている｢図｣を参考にして｢25字以内｣で記述する。空所部分は｢レジを待つお客さんはフォーク並びをしており、この並び方は( ｍ )ため公平であるという利点がある｣となっている。示されている｢図｣は下記の模式図のようなものだ。これを参考にしながら、内容を考え、説明していけばいい。たとえば、
｢先に並んだ人から順に会計を済ませることができる(ため公平であるという利点がある｣(23字)といった｢答え｣になる。｢図表｣に限らず｢統計資料｣なども含めて、｢参考｣にすることが求められている設問では、そこに大きな｢手がかり･ヒント｣があると心得よ。
＜時間配分目安：１分半＞
【大問２】｢歴史｣(｢時期整序｣あり))
- 難度：易
- 時間配分：14.5分
- ★必答問題
｢時代｣の｢分け方｣と｢表し方｣に関する｢会話文Ⅰ･Ⅱ｣からの出題。｢旧石器時代｣～｢昭和時代｣における｢歴史｣単元の多種多様な事項がさまざまな設問形式で問われている大問だ。ただ、難易度は本校の例年レベルよりも低い。したがって、一気呵成に得点を積み上げていきたい。以下、少しだけ確認したい。
[問５] ｢下線部に関ついての正誤判別選択肢設問｣(４択)。｢会話文Ⅰ｣の下線部(ｅ)｢飛鳥時代｣について、示されている説明文中の下線部(ア)～(エ)で｢誤っているもの｣を答える。説明文は｢(ア)天智天皇の死後、(イ)大海人皇子は(ウ)中大兄皇子との戦いに勝利して(エ)天武天皇として即位した｡｣というもの。｢天智天皇｣→｢天武天皇｣は間違いないので、この｢戦い｣は｢大海人皇子｣と｢大友皇子｣が後継争いをした｢壬申の乱｣(672年)で決定だ。よって、｢中大兄皇子｣が誤っており、｢答え｣は(ウ)。無論、｢中大兄皇子｣は即位前の｢天智天皇｣。ちなみに、｢大海人皇子｣は｢天智天皇｣の弟で、｢大友皇子｣は子だ。尚、この時期の天皇の順序は頻出なので、曖昧(あいまい)な諸君はしっかりと確認しておくこと。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問６-①] ｢下線部に関連しての時期整序選択肢設問｣(４択)。｢会話文Ⅰ｣の下線部(ｆ)｢平安時代｣の｢できごと｣を｢古い順に並べ替え｣て答える。それぞれの｢できごと｣で、時期特定をしていきたい。(ア)｢白河上皇の院政｣⇒｢平安時代後期｣だと誰でも分かる。(イ)｢藤原道長が摂政になった｣⇒もちろん｢平安時代中期｣(｢摂関政治｣の絶頂期)、必須定着事項だ。(ウ)｢藤原純友が大宰府を襲った｣⇒｢平将門の乱｣とあわせて｢承平天慶の乱｣として知っているはず⇒｢平安時代中期｣(｢摂関政治｣の初期)。(エ)｢坂上田村麻呂が東北地方へ派遣された｣⇒無論、｢征夷大将軍｣⇒｢平安時代初期｣(｢桓武天皇の政治｣)。したがって、｢答え｣は(エ)→(ウ)→(イ)→(ア)になる。尚、｢時期整序｣は｢うろ覚えの年代｣で整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが肝要。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問７] ｢空所補充の内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし。｢10字ほど｣の解答欄)。｢会話文Ⅰ｣の空所部( ｇ )に｢入る文｣を自分で考えて記述する。空所部分は｢『飛鳥時代』、『平安時代』、『鎌倉時代』、『江戸時代』は( ｇ )が時代の名前になっているように思います｣となっている。すぐにピンとくるはずだ。｢飛鳥時代｣･｢平安時代｣には｢飛鳥地方｣(奈良県)･｢平安京｣(京都府)に｢都｣が置かれ、｢鎌倉時代｣･｢江戸時代｣には｢鎌倉｣(神奈川県)･｢江戸｣(東京都)に｢幕府｣が置かれていた。｢都｣も｢幕府｣も｢政治の中心｣ということになる。よって、たとえば、｢政治の中心の場所(が時代の名前になっている)｣(８字)といった｢答え｣だ。｢国語｣と同様に空所前後の｢文脈｣を的確に読み取ることが肝要だ。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問15-②] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢会話文Ⅱ｣中の下線部(ｐ)｢昭和時代｣について、｢日中戦争開始から太平洋戦争終結までのできごと｣を答える。｢日中戦争開始｣＝｢1937年｣、｢太平洋戦争終結｣＝｢1945年｣は誰もが知っていなければならない必須定着年代だ。この期間を意識して各できごとを判別していく。(ア)｢国際連盟脱退｣⇒｢1933年｣と知っていてほしいが、何年かは知らなくても、｢柳条湖事件｣→｢満州国建国｣→｢リットン調査団｣→｢国際連盟脱退｣という流れを考えれば、｢日中戦争開始｣以前だと判断できるはず＝不適切。(イ)｢ミッドウェー海戦をきっかけに太平洋戦争が起こった｣⇒｢太平洋戦争｣は｢1941.12.8｣に始まっている⇒だが、｢きっかけ｣は｢真珠湾攻撃｣に決まっている＝不適切。(ウ)｢日本はドイツ、イギリスと同盟を結んだ｣⇒はっ？ この時期、｢同盟｣といえば｢日独伊三国(軍事)同盟｣以外にはあり得ない⇒｢日本｣･｢ドイツ｣･｢イタリア｣だ＝不適切。(エ)｢大政翼賛会結成｣⇒聞いたことあるけど、いつだっけ？ 曖昧か？＝保留だとしても、結果として、これしか残らない。｢答え｣は(エ)になる。ちなみに、｢大政翼賛会｣は｢近衛文麿首相を中心につくった政府への全国民的協力組織｣のことで、結成は｢1940年｣だ。尚、｢社会｣であっても｢消去法｣は十二分に活用すべきだ。
＜時間配分目安：30秒＞
【大問３】｢地理｣(｢説明記述｣２問あり)
- 難度：標準
- 時間配分：16分
｢日本各地に伝わる行事や風習など｣についての４つ｢説明文｣｢からの出題。｢日本地理｣の基本的知識が主に問われている。手際よく解き進めていきたい大問だ。以下、いくつかを検証したい。
[問４] ｢文の空所補充選択肢設問｣(４択)。｢熊本県の農耕祭事に関する説明文｣中の空所( ｄ )に｢あてはまる文｣を答える。空所前後は｢……野焼きによって( ｄ )｣となっている。各選択肢は、(ア)｢森林化を促進し、林業を営んできました｡｣･(イ)｢広大な草原を維持し、放牧を続けてきました｡｣･(ウ)｢平地を広げ、住居を建てるための土地を確保してきました｡｣･(エ)｢木が増えすぎるのを防ぎ、日照を確保して果樹栽培を続けてきました｡｣。｢野焼き｣について未定着であっても、｢農耕祭事｣に関連するのだから、(ア)･(ウ)は不適切だと判断できるはずだ。また、｢木が増えすぎるのを防ぎ｣と｢野焼き｣はどう考えても結びつかないと分かるに違いない。したがって、｢答え｣は(イ)だ。ちなみに、ここでの｢野焼き｣とは｢草がよく育つようにするため、早春に草原の枯れ草を焼く作業｣のことだ。尚、｢私は知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えよ。
＜時間配分目安：１分強＞
[問５] ｢空所補充の内容説明記述設問｣(全２問。｢字数指定｣なし。｢15～20字以内｣と｢10字以内｣指定)。｢香川県の雨乞い(あまごい)踊りに関する説明文｣中の下線部(ｅ)の｢香川県では昔から水不足に悩まされてきたため｣について、示されているその｢理由｣を述べた文の空所に｢ふさわしい内容｣を｢指定された字数｣で記述する。｢理由説明｣は｢( Ｘ ※15字以上20字以内 )ので降水量が少なく、降った雨は( Ｙ ※10字以内 )のですぐに海へ流れていってしまうため｡｣というものだ。｢香川県｣で｢降水量が少ない｣のは｢瀬戸内式気候｣だからであり、｢すぐに海へ流れていってしまう｣のは｢大きな川や湖がない｣からだとすぐに分かるはず。よって、( Ｘ )＝｢季節風が中国山地と四国山地にさえぎられる(ので降水量が少なく)｣(20字)、( Ｙ )＝｢(降った雨は)大きな川や湖がない(のですぐに海へ流れていってしまう)｣(９字)といった｢答え｣になる。本校の｢説明記述｣では｢短い字数指定｣が多いので、簡潔にまとめる練習をしておきたい。
＜時間配分目安：全問で３分弱＞
[問７-①] ｢下線部に関連する正誤判別選択肢設問｣(４択)。｢香川県の雨乞い踊りに関する説明文｣中の下線部(ｇ)｢瀬戸内海に浮かぶ島々｣に関連して示されている｢海洋ごみ問題｣についての説明(Ｘ)･(Ｙ)の内容に｢あてはまるもの｣を答える。(Ｘ)は｢瀬戸内海の外洋から流入したごみの方が、沿岸部から流入したごみよりも多い｣、(Ｙ)は｢産業廃棄物よりも、生活が出たプラスチックごみや空き缶の方が多い｣となっている。それぞれの｢正誤判別｣を試みる。(Ｘ)⇒瀬戸内海は｢内海｣なので、外洋からの流入はほとんどないと考えられる＝｢誤｣、(Ｙ)⇒｢海洋ごみ問題｣の中心が｢プラスチックごみ等｣ということはもはや常識＝｢正｣。ということで、｢答え｣は選択肢(ウ)の｢Ｙのみ正しい｣。｢正誤判別｣では、細部を丁寧に検討することが肝要だと心得よ。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問10-②] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢大晦日(おおみそか)の年越しを祝う『年取り魚』に関する説明文｣中の下線部(ｈ)｢長野県｣について、｢長野県が全国出荷額１位である工業製品｣を答える。各選択肢は、(ア)｢包丁｣･(イ)｢ピアノ｣･(ウ)｢洋食器｣･(エ)｢顕微鏡(けんびきょう)｣。さあ、どうか？ 特定できるか？ 直接的には定着していなくても、｢長野県｣は｢精密機械｣や｢電子部品｣などの生産が盛んだということは周知のはず(特に｢諏訪湖｣周辺)。故に、｢答え｣は(エ)の｢顕微鏡｣だ。ちなみに、｢包丁｣は｢岐阜県｣(特に｢関市｣)、｢ピアノ｣は｢静岡県｣(特に｢浜松市｣)、｢洋食器(陶磁器)｣は｢岐阜県｣(｢多治見市｣など)、｢洋食器(金属器)｣は｢新潟県｣(特に｢燕市｣)がそれぞれの｢全国出荷額１位｣だ。尚、さまざまな｢都道府県ランキング｣はどこの学校でも必出なので、必ず最新のデータで定着させておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞
[問16] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢東北地方の農業に関わる年中行事や祭に関する説明文｣中の下線部(ｌ)の｢祭｣の内、｢稲穂に見立てた飾りを掲げて豊作を祈る祭｣を答える。各選択肢は、(ア)｢仙台七夕まつり｣･(イ)｢青森ねぶた祭｣･(ウ)｢秋田竿燈(かんとう)まつり｣･(エ)｢山形花笠(はながさ)まつり｣。｢東北四大祭り｣だ(｢東北三大祭り｣では｢山形花笠まつり｣が外れる)。どの｢祭｣も写真などで見たことがあるはずだ。で、｢稲穂に見立てた飾り｣を｢掲げる｣⇒｢秋田竿燈まつり｣だと特定したい。竿燈(提灯をたくさんつった竹竿)全体を｢稲穂｣に、連なる提灯を｢米俵｣に見立てている(下の写真参照)。
尚、｢日本三(大)○○｣についての問題は頻出だ。整理して定着させておきたい。
＜時間配分目安：30秒強＞
※尚、[問８]は｢地形図｣からの設問。｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。
攻略のポイント
●｢制限時間｣と｢解答数｣を考え合わせると、最大の｢攻略ポイント｣はやはり｢戦術｣。基本は｢取れる問題を確実に押さえる｣ことだ。逆にいえば｢取れそうにない問題は潔く捨てる｣という覚悟が必要､｢捨て問｣を瞬時に判別して｢次の得点｣を押さえることが求められる。もちろん｢単純ミス｣は絶対にしてはいけない。｢合格ライン｣は７割強と高い(過去３年間の｢合格者平均得点率｣は73.2%。本年度は下がって65.0%)。｢取れる問題｣をいかに落とさないかが｢合格への近道｣だ｡
●数ある｢設問｣の中で時折､顔を出す｢難問｣。｢捨て問｣でもいいのだが、できけば｢攻略｣したい。どうするか？ ｢細部へのこだわり｣と｢知らない問題｣への｢対処法｣を押さえておきたい。前者はいかに｢細部｣に着目して｢判断｣できるかであり、後者はいかに｢知っていること｣に結びつけられるかということだ(必ず、どこかに｢手がかり｣｢ヒント｣が隠されているので、｢自らの知識｣と多角的に結びつけること)。
●｢時事問題の攻略｣もポイント(本年度は純粋な｢時事｣単元は未出だったが、油断大敵)。過去１年分はもちろん、数年前からの｢時事ネタ｣も、細大漏らさず確実に整理して覚えておくこと。日々の｢新聞｣をしっかりと確認する。｢見出し｣｢リード｣は必ずチェックして、知らない｢ネタ｣があったら｢スクラップ｣しておきたい。
●｢統計資料｣は必ず最新版を使いたい。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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