鎌倉学園中学校 入試対策
2024年度「鎌倉学園中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇問題の構成
小説の読解1題と論説文(論説的随筆文)の読解1題と漢字の読み書きという、大きくは大問3つの構成が続いている。
素材文は計8500~9000字ほど、総解答数は40~45問程度である。
設問は選択肢と書き抜きが多く、40~60字の記述問題が1題含まれている。記述問題は年度により、小説の読解で出される場合と論説文の読解で出される場合とがある。また、試験の最後にクイズ形式の言葉の知識の問題や読解問題とは傾向の違う小問が出されているのも特徴と言える。
素材文の内容については、小学校が舞台だったり、学生向けに平易な言葉遣いをしてあったりと、受験生の年齢を考慮した難しさになっているので読みやすい。
〇小説の読解
例年、5000字強ほどの字数の文章が用いられている。読解と合わせて慣用句などのことばの知識の問題も出されている。2020年度・2024年度ではこちらで記述問題が出されている。
素材文の内容も設問の内容も無理に難しく設定されてはいないので、適切な読解力があれば十分な得点が期待できる。
文学的文章の読解の技術を高めよう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
〇論説文の読解
3000~3500字ほどの文量の文章が使われている。ジャンルとしてはここ数年は人文科学からの文章が多いようである。テロと戦争との相違(2024年度)や現代の人間関係やコミュニケーション(2023年度)といったテーマの文章が用いられている。自然科学・特に物理学などの難解な用語が使われる文章ではないので、理科系が苦手な人にも読みやすい文章が多い印象である。2021年度・2023年度・2024年度ではこちらの分野で記述問題が出題された。
論理的な文章の読解のコツをつかんでおこう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
〇選択肢問題
選択肢1つが3~4行にも及ぶものがある。文が長ければ見落としもしやすくなるので、しっかり読み切る注意力が必要となる。文中に述べられていることかどうか、細かい文言の違いに惑わされずに見分ける力は類似問題をこなして身に付けておこう。
〇記述問題
2022年度~2024年度では、最後に。新聞記事を読みとる記述問題が出された。今後も同様のパターンになるのか、注意しておかれたい。
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2024年度「鎌倉学園中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は38問。最初の漢字・熟語の問題をまずは片づけて、読解問題に取り掛かる。2024年度は素材文が計8000字ほどで選択肢の文量も多いので読む分量は多いのでスピードが必要である。
記述問題は30~50字ほどで4問出されている。字数は多くないので、内容をある程度まとめてから書き進めよう。
【大問一】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:大問1~3合わせて8分
- ★必答問題
1. 投薬 2. 職務 3. 貯蔵 4. 退(く) 5. 祭[祀](る)
【大問二】慣用句
- 難度:標準
- 時間配分:大問1~3合わせて8分
- ★必答問題
1 はがたた(ない)
2 ねもはもない
3 らちがあか(ない)
4 たなにあげ(て)
5 はらをわっ(て)
【大問三】熟語
- 難度:標準
- 時間配分:大問1~3合わせて8分
- ★必答問題
1. A 閉口 B 平行
2. A 期間 B 器官
3. A 再現 B 際限
4. A 大過 B 対価
【大問四】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
弟の碧郎が学校で他の生徒と接触してけがをさせてしまった。相手の子はわざとだと言い、先生や継母までもそう思っていたが、碧郎の性質を知る主人公は故意ではないと信じ、悔しくて涙を流す。
問一 底意地が悪い――表面的にはわからないが、心の底に意地が悪いところがある。
問二 イ
問三 ・怪我をした子が、碧郎がたしかに足を引っ張って自分を鉄棒から落としたと云った
こと。
・相手の子に授業中からかわれたことに碧郎が恨みを持っていると思われていること。
問四 「母親として駆けつけても碧郎はろくに口も利かず、つんけんして食ってかかってきて、先生もそばであっけにとられて」という状態で、母親としての面目をつぶされて情けなかったのだろう。
問五 碧郎も母親も「どっちも悪い人間ではないのに、ちょっと拍子が合わないと憎らしいほどの感情になってしまう」とあるので、選択肢アが合う。
問六 碧郎がからかわれたことをいつまでも根に持って仕返しを直するような性質でないことをわかっている主人公は、碧郎がわざと怪我をさせたと思われてしまっていることを不当に感じ、いらいらしている。
問七 母親は先生の挙げた動機を信じ、碧郎の行為は故意だと思っている。主人公は碧郎の性格からして故意のはずはないと信じ、碧郎を信じてやれない母親(継母)をひどいと思っている。
【大問五】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:17分
- ★必答問題
アメリカ同時多発テロに対する報復が「テロとの戦争」とされたことを、戦争とテロを比べながら論じている。
問一 A. 「言語道断」の卑劣な攻撃
C. 敵を「問答無用」で叩き潰す
問二 世界の知識生産の中心がアメリカであるため、英語を標準語としてアメリカの言説が世界の基準として「鵜呑み」にされる。
問三 エ. 提唱
問四 「ヒロシマ・ナガサキの廃墟もグラウンド・ゼロと呼ばれたが、そのことはアメリカ人の記憶にはなかったようです」とあるので、「パールハーバー・カミカゼ」のほうがアメリカ人にテロへの憎悪をかきたてたのである。
問五 テロ組織は本来取り締まりの対象であって国家の戦争相手とはならず、「テロとの戦争」は国際法の「例外状態」なのだが、アメリカは「これは戦争だ」と宣言することで国家として戦おうとした→選択肢ウ。
問六 国と国との戦争では国際法上の取り決めがあるが、「テロとの戦争」は相手が国家ではないため、国際法が適用されないのである。
問七 世界の知識生産の中心がアメリカであるため、学会やメディアで広がるアメリカの観点が世界の「標準」として盲目的に受け入れられ、その枠組みでしかものごとを考えられなくなるということになる。
問八・問九 問五と問六でも見た通り、「テロとの戦争」は国際法が適用されないため、犯罪者ではあるが国家ではないテロ集団を殲滅させる戦いとなり(問八・選択肢ア)、一定のルールもないので無制限の暴力をも使うようになってしまう(問九・選択肢イ)わけである。
【大問六】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
元号と西暦についての新聞記事を読んで答える問題。
問一 西暦は外国人にもわかり、普遍的に世界どこででも通用する。
問二 A・B両方に、元号が日本の文化的な「アイデンティティーの支え」となっているという内容が含まれている。
攻略のポイント
8500~9000字の文章量と選択肢の文量と、読む量は多くなるのでスピードをつけておこう。
選択肢問題がポイントになりそうなので、本文との一致や相違を正確に読めるように、類似問題を多くこなしてコツをつかんでおきたい。
漢字や熟語の問題も、合わせると配点の2割を占めるのでおろそかにできない。過去問でも全問正解できるくらいの力を持って、試験本番でも得点を稼ぎたい。
記述問題は文中の重要点をまとめて答えにできるパターンなので、50~60字で心情や要旨をまとめる練習を繰り返して慣れておこう。
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