鎌倉学園中学校 入試対策
2020年度「鎌倉学園中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題の構成
小説の読解1題と論説文(論説的随筆文)の読解1題と漢字の読み書きという、大きくは大問3つの構成が続いている。
素材文は計8500~9000字ほど、総解答数は40~45問程度である。
設問は選択肢と書き抜きが多く、40~60字の記述問題が1題含まれている。記述問題は年度により、小説の読解で出される場合と論説文の読解で出される場合とがある。また、試験の最後にクイズ形式の言葉の知識の問題や読解問題とは傾向の違う小問が出されているのも特徴と言える。
素材文の内容については、小学校が舞台だったり、学生向けに平易な言葉遣いをしてあったりと、受験生の年齢を考慮した難しさになっているので読みやすい。
小説の読解
例年、5000字強ほどの字数の文章が用いられている。読解と合わせて慣用句などのことばの知識の問題も出されている。2020年度ではこちらで記述問題が出されている。
素材文の内容も設問の内容も無理に難しく設定されてはいないので、適切な読解力があれば十分な得点が期待できる。
文学的文章の読解の技術を高めよう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
論説文の読解
3000~3500字ほどの文量の文章が使われている。ジャンルとしてはここ数年は人文科学からの文章が多いようである。ことわざによる思考の体系化(2019年度)や日本人が自然を美しいと感じる一元論的な感覚について(2020年度)といったテーマの文章が用いられている。自然科学・特に物理学などの難解な用語が使われる文章ではないので、理科系が苦手な人にも読みやすい文章が多い印象である。2019年度ではこちらの分野で記述問題が出題された。
論理的な文章の読解のコツをつかんでおこう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
選択肢問題
選択肢1つが3~4行にも及ぶものがある。文が長ければ見落としもしやすくなるので、しっかり読み切る注意力が必要となる。文中に述べられていることかどうか、細かい文言の違いに惑わされずに見分ける力を類似問題をこなして身に付けておこう。
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2020年度「鎌倉学園中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は38問。最初の漢字・熟語の問題をまずは片づけて、読解問題に取り掛かる。7800字ほどの本文と字数の多い選択肢で、読む分量は多くなるのでスピードが必要である。
記述問題は1問だけなので、記述問題が含まれている方の読解問題を後回しにするとよいかもしれない。
【大問一~三】漢字・ことばの知識
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
【大問一】漢字の書き取り
1. 居留 2. 諸説 3. 宣伝 4. 肥(やす) 5. 群(がる)
【大問二】漢字の書き順
1. 二(短いほうが先) 2. 五 3. 五 4. 四
【大問三】ことばの知識
1. さいさん(再三) 2.さっする(察する) 3. さいく(細工)
【大問四】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
自分のいい加減な念仏のせいで父にバチが当たってケガをさせてしまったと思い込んでいた主人公は、父の見舞いに行く途中のバスで恥ずかしくつらい思いをすることでバチは自分に当たったのだと思うことができた。
問一 ア・イ 主人公のいい加減な念仏のことや悟一のケガに対する主人公の罪悪感を年子が知っているか不明である。
エ 年子は仏様の怒りを鎮めるためにお供えをするとは言っていない。
問二 父親のケガが自分のせいであるという罪悪感を持っている。楽しんではいけない用事なのだと自分を戒めている。
問三 すんなり――支障なく事が運ぶようす。
問四 自分のせいでケガをさせてしまった(と、主人公が思い込んでいる)父の見舞いに行くのに、大きな町に行けると喜んでしまっている自分を反省したのである。
問五 バスの中に自分の持っているたくわんの匂いが漂い、他の客に自分のせいであることがばれてしまうことを心配している。「匂いがだんだん強くなっている気がする」のは心配の度合いがだんだん高じていることの表れであると考えられる。
問六 1. 疑心暗鬼――疑いの心があると、なんでもないことまで怖く感じたり疑ったりすること。
問七 気が気ではない――とても落ち着いてはいられない。
問八 空欄Bの次の段落にまとまっている。「強烈な匂い」と「暑さ」に耐えるという「苦しくなるようながまん」を続けていることを自分にバチが当たったのだと思っている。
問九 アかエで迷いそうであるが、エの「罪をつぐなう機会」にはなっていない。父ではなく自分にバチが向いたのだと考えることで、父に対する罪悪感が軽減ないしは無くなったのだろうと思われるので、アがよい。
【大問五】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
日本人は自然と一体化することで美しいと感じる「一元論」的な感覚を持っていると述べている。
問一 脳内物質が出ることは科学的に確認できるが、それがなぜ「きれいという感覚」を生じさせるのかはわかっていないということである。
問二 傍線部は「芸術作品・自然などを見たときに、作品・風景に没入し感じたことを感じたままに受け入れるのではなく、その原因や仕組みを研究対象として調べたり分析してしまう」という意味である。とすると、体調不良の原因を病院で調べてもらうという選択肢イは意味が異なってくる。
問三 前の段落でたんぽぽの美しさを分析することを「興ざめ」だと述べている。
問四 「たんぽぽを見て、気持ちがやわらぐ」のは、「たんぽぽと一体となっているから、そう感じる」のである。
問五 「相手と自分を分けない」のが「一元論」である。「きれいと感じる自分」と「たんぽぽ」を分けるのではなく、「たんぽぽそのものがきれい」なのであり、そうなると「きれいなものはきれいだ」と感じるしかないということになる。
問六 一元論である「相手と自分を分けない」ことを少しあとで「自然と一体化する」とも言っている。
問七 これは二元論の行動であるから、エがよい。
問八 「なぜなら」と次の段落で詳しく説明している。「私たち自身がいつも天地自然の一部」であり、そのことをつい忘れていて「ふと気づいた時の天地自然が風景である」と述べられていることから、選択肢ウがよい。
問九 ありふれた日常の風景はすぐ忘れてしまう。「しかし」旅行では目新しい風景が目に飛び込んでくる。「しかし」毎日毎日それでは疲れ果ててしまう。
問十 一元論の見方→自然と自分とを分けて分析する。二元論の見方→自然に近づき一体化する・自分を自然の一員だと感じる。
【大問六】対話文
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
対話文を読んで、文の役割や文脈を考える。
問一 1. 善と悪という「そもそも」よく知っているはずの言葉の意味を問いかけているので、エ。
2. ふつうに考えて当たり前の事実を「なぜ」と問うているので、ウ。
3. 麻薬を例に、場合によって善と悪の意味が不確かになる例を挙げているので、ア。
問二 傍線3のように考えると、場合により立場により善と悪の定義が揺らいでしまう。善と悪の区別はどこにあるのだろうという疑問が生じたのである。
攻略のポイント
8500~9000字の文章量と選択肢の文量と、読む量は多くなるのでスピードをつけておこう。
選択肢問題がポイントになりそうなので、本文との一致や相違を正確に読めるように、類似問題を多くこなしてコツをつかんでおきたい。
漢字や熟語の問題も、合わせると配点の2割を占めるのでおろそかにできない。過去問でも全問正解できるくらいの力を持って、試験本番でも得点を稼ぎたい。
記述問題は文中の重要点をまとめて答えにできるパターンなので、50~60字で心情や要旨をまとめる練習を繰り返して慣れておこう。
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