慶應義塾普通部 入試対策
2024年度「慶應義塾普通部の理科」
攻略のための学習方法
慶応普通部の理科の出題は塾のテキストや問題集で学習していれば解答可能も出題されるが、生物分野を中心にかなり細かい知識が問われることが多い。また、物理・化学系の分野では、実験を通して考察させる問題が多い。「どのようなしくみなのか?」「なぜそうなのか?」を考える姿勢が大切になってくる。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年はカブトムシとシロアリを中心とした昆虫についての出題であった。カタクチイワシに関する出題であった。ここ数年の出題を見ると、大きな特徴として、カタクチイワシ・スミレ・アオダイショウ・エノコログサ と特定の生物についてテーマとし、かなり細かい点まで問われていることにある。日頃から図鑑・資料集を用いて、色・形・生態などを確認しながら学習する姿勢が求められる。顕微鏡等、生物を観察する上での実験器具の使い方についてもしっかり学習しておきたい。
地学分野 本年度は太陽の動きと影に関する出題であった。観測地点が横浜市であることが大きなポイントとなる内容であった。地震に関する出題であった。近年では、地震・気象・地層・天体と幅広く出題されている。この分野を学習する上では、テキストに書かれてある内容とニュース・天気予報など日頃の生活の中で入手する情報に結びつけて覚えたり考えたりすることを心がけて欲しい。例えば、大雨についての気象情報や災害についてのニュース、エルニーニョとラニーニャ、フェーン現象、緊急地震速報、月食や日食等で日頃から興味・関心の眼を向けて欲しい。
物理分野 今年度は電熱線の発熱についての出題であった。基本的でオーソドックスな出題が中心であり、今年度の出題においては最も得点しやすい出題であったと言える。近年では、自転車の仕組み・光・密度と浮力・振り子の運動などの出題が見られた。この分野の学習法として、まずは力のつり合い、電気、光、音などの基本を確実に身につけること。また、これらの仕組みが世の中でどう利用されているのか?についても学習の眼を向けて欲しい。
化学分野 本年度は燃焼についての出題であったが、タマネギの切り方・カレーの具材を入れる順番など燃焼とは直接関係ない設問が含まれ、一般常識や雑学的な内容を問う慶應普通部らしさの見られる内容であった。近年では、プラスチックについて・燃焼・水溶液の判別・ものの溶け方などに関する出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。実験の進め方などかなり細かい部分にも目を配らせて学習すること。
模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
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2024年度「慶應義塾普通部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問は4題で、小問数は30題程度。
試験時間は30分で100点満点、例年通りであった。
なお、今年度の合格者平均は56点であった。記号選択問題、適語を答える問題、計算問題が中心で簡単な記述問題も複数題含まれている。
試験時間の30分に対して問題数がやや多いので、できる問題からてきぱきと解答欄を埋めていくことが求められる。過去問など時間を意識した演習もしっかり行っておきたい。
【大問1】 物理 電熱線による発熱
- 難度:易
- 時間配分:7分
- ★必答問題
1 電気を熱に変えて利用する器具を選択する問題。ドライヤーと白熱電球が該当。 電子レンジは電磁波による振動で食品の温度を上げているので当てはまらない。
2 表よりD点には600mAの電流が流れているので、5A端子で計測している。
3 電熱線の長さと電流の大きさは反比例の関係にある。
4 電熱線の断面積と電流の大きさは比例の関係にある。直径が2倍になると断面積は4倍になるので、電流の大きさも4倍になる。
5 電熱線②の直径は電熱線①の直径の2倍なので、流れる電流と上昇温度は4倍になる。従って、図4の電熱線①による上昇温度と比較すればよいので、1.2×4より、4.8℃となる。
6 記述問題。発熱量が2倍になっても、切断する発泡ポリエチレンの幅も2倍になっているので、切れた長さが変わらなかったと考えらえる。
問6の記述問題では考察力が必要だが、それ以外は電流と電熱線の発熱に関しての基本的な内容を問う問題。しっかり得点を稼いでおきたい。
【大問2】 地学 太陽の動きと影
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
1 正午における影の長さに注目すると、最も影の長い③が12月22日、最も影の短い②が6月22日、①は3月21日と9月23日となる。
2 影が長く伸びたので、マイクの影も長く(大きく)なる。
3 兵庫県明石市で太陽が南中する時刻が正午なので、横浜では正午に太陽は真南より若干西によりに見える。従って影は真北よりも少し東寄りに伸びる。図③においては、正午に影が伸びている方向の少しだけ左よりが真北になる。
4 横浜の南中時刻は正午よりも早い。日の出から正午までと正午から日の入りの時間が同じと考えると、午前6時半の方が午後5時半よりも明るいと考えられる。
太陽の動きと影に関する出題。観測地点が慶應普通部の位置する神奈川県横浜市であることが解答の上で大きなポイントとなる。
【大問3】 化学 燃焼
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
1 かなり難しい知識問題。サクラなどの広葉樹よりもスギなどの針葉樹の方が火はつきやすい。
2 木材と空気の接する面積が大きくなるように組み合わせる。また、なべを使って料理を作るという設定なので、なべを置く場所が必要となる。
3 マッチの炎は上に上がるので、マッチを上に向けると軸の部分が燃えない。また、マッチを下に向けるとマッチは早く燃え尽きるが、問題文で聞かれている「長持ちする」には当てはまらない。
4 燃焼とは全く無関係なタマネギの切り方に関する知識問題。
5 これも燃焼とは関係ない設問。ジャガイモを早く入れると形が崩れてしまう。
6 なべの外側が黒くなった理由は「すす」がついたためで、燃焼したわけではない。米・ニンジン・サツマイモが黒くなるのは、含まる糖の燃焼によるもの。
7 炭の表面が白くなったのは「灰」がついたためと考えられる。
8 ものが燃えるための3条件は「燃えるものがある」「酸素がある」「発火点以上の温度がある」。この3条件のうち1つでも無いと火は消えるが、うちわで風を送ることと新聞紙をかぶせることにはこの3条件を無くす効果がない。
燃焼に関する出題だが、燃焼とは直接関係のない知識問題が含まれており、それの方がむしろ難しい。8の火を消すための方法に関する問題は中学入試で頻繁に見かけるので、同様の問題をしっかり練習しておきたい。
【大問4】 生物 昆虫
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
1 カブトムシは完全変態、シロアリは不完全変態。トンボ・コオロギ・カマキリが不完全変態。アリは完全変態だが、シロアリは不完全変態であることに注意。
2 適語を答える問題と絵を描く問題。カブトムシの成虫は樹液をなめるのでブラシのような形の口をしている。一方、幼虫はくさった落ち葉などを食べるので、かみ切るのに適した形の口をしている。
3 頭以外の部分は鳥に食べられたと考えられる。
4 シロアリは木造家屋の柱などを食べ、被害を与えることがある。
5 かなり細かい知識問題で、いかにも普通部らしい設問。女王アリ、働きアリ、兵アリの役割と体の形を結びつける選択と記述問題。
6 油性のボールペンの臭い(シロアリの出すフェロモンに似ていると思われる)をたよりに進んだと考えられる。カイコのオスもメスの出すフェロモンに引き寄せられて近づく。
7 記述問題。カブトムシの幼虫の住む環境を考えると、枯れ葉などの量が増えたと考えればよい。
シロアリとカブトムシを中心とした昆虫に関する出題。昆虫の姿・生態など細かい知識を問う普通部らしい出題である。日頃から幅広い分野に興味を持ち、図鑑などをしっかり見る習慣が大切である。
攻略のポイント
今年度の出題は大問4題で昨年までと同様であった。問題傾向も昨年までの傾向に沿ったものが中心であった。
本校の理科を攻略する上で、絶対条件として必要なのは基本的な知識の正確さである。さらに知識としては、一般常識・時事的な内容・生物関するかなり細かい知識などが問われることが多い。また、実験や観察を通して考えさせる内容も多い。
全体として、①自然や科学に日頃から興味の眼を向けているか ②与えられた情報と持っている知識を結びつけ、素早い判断や処理ができるか の2点が問われるつくりになっている。学習する上では、生物や岩石などの色・形を図鑑や資料集を使って確認しながら進めることを日常的に行って欲しい。
問題の30分に対して問題数が多く、記述問題も見られる。できる問題から 解答欄をてきぱきと埋めていくこと。そのためにも、過去問等時間を意識した演習をしっかり行うこと。
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