慶應義塾中等部 入試対策
2015年度「慶應義塾中等部の理科」
攻略のための学習方法
「難易度」
慶應義塾中等部は、難関校と呼ばれるが、理科の難しさは、その他の学校とは異なっていることに注意したい。志望者が身につけたいのは、難問を解いて差をつける能力ではなく、答案を正確に仕上げる能力になる。
「暗記の細かさ」
知識問題は、中学受験のカリキュラムの中から出題されている。したがって、志望者はカリキュラムを外れてやみくもに暗記の範囲を広げる必要はない。そのかわりに、基本的な単元はすみずみまで暗記しておく必要がある。星座や動植物などは、代表的なものだけを暗記して済ましている志望者は多いが、それでは慶應義塾中等部には不足している。幸い、記述問題がないので、記述対策の時間に代えて、念入りな暗記に割り当てるような学習計画を組むと良いだろう。
「身近なものを観察しよう」
小学生の身近にあるものを題材にして、理科の法則を考えさせようという出題がされる。これらの設問には、特に対策できる教材があるわけではない。志望者は、日頃から身の回りのものを観察し、理科の法則に当てはめて考察していく習慣が求められている。
「資料問題には早めに対策を」
与えられた資料から、法則を読みとらせる出題がされる。これは一問一答のような、丸暗記では対策ができない。志望者は資料問題の演習を早めに取りかかり、ある程度の訓練を独自に積んでおきたい。くれぐれも対策なしで本番に臨まないようにしたい。
「細部まで気が抜けない択一」
過去問を一度でも解けば、志望者は時間が足りないことに気づくはずだ。その理由の一つに、択一の選択肢が細かく、設問の文章を最後までしっかりと読み切らないと、解答できないことが挙げられる。さらに普通の学校であればわざわざ問わないような内容にまで踏みこんでくる。集中力を切らさないように、答案作成の訓練を積んでおこう。
「見直しの余裕はほぼない」
解答時間が25分と短く、志望者に十分な見直しの時間は与えられていない。すべての設問を見直すことはほぼ不可能といってよく、したがって、ひとたび解答すればそのまま提出することになりがちだ。処理速度を速めることで、ある程度は対応できる。しかしできれば計算過程などを書き残し、見直しの手順を減らす工夫がほしい。そのような答案作成の技術があれば、志望者の得点を安定させられるはずだ。過去問を演習する時は、きちんと時間を計り、一問一問を解くのではなく、全体として答案を作成していく感覚を身につけておきたい。
また合わせて、判断力も磨いておこう。解ける問題と解けない問題を見分け、1つの問題にこだわりすぎて、時間がなくなってしまうことのないようにしたい。
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2015年度「慶應義塾中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は25分で、得点は50点満点だ。大問数は、例年4~5問で変動する。設問数は、今年は38問だった。時間配分を考えると、1問あたり30秒から40秒しか受験生には与えられていない。計算問題は複雑ではないが、択一問題にはすばやい処理が要求されている。
【大問1】物理分野からの出題
- 時間配分:7分
- (1)「重さと体積の関係」の理解が求められている。さらに、「10円玉」と「1円玉」という「小学生の身近にあるものの性質」が問われていることに注目したい。
(2) 「重心」の理解が求められている。
(3)「慣性の法則」の理解が求められている。与えられた法則から、推論できる能力が求められていて、慶應義塾中等部の典型的な設問だ。この設問が解けていれば、受験生はひと安心していいだろう。
(4) 前問に加えて「遠心力」の理解が求められている。慣性力と遠心力がどのような場合に発生にするのか、しっかりと見分ける力が求められている。
【大問2】化学分野からの出題
- 時間配分:7分
- (1)「熱による状態変化」と 「液体への融解」を見分けることが求められている。問われる物質は、理科の教科書にある典型的に物質にとどまらず、「ブタのあぶら」「チョコレート」などで、「小学生の身近にあるもの」を理科の目線でとらえることが求められている。
- (2)資料から正解を読みとることは難しくはないが、素早く処理しないと、時間を失ってしまう。
(3)計算が必要な問題だが、難しくはない。
【大問3】地学分野からの出題
- 時間配分:3分
(1)(3) 雲の種類と性質が問われている。受験生が暗記を怠りがちな細かな部分が問われている。失点した受験生は、暗記が不徹底だったと心を入れかえよう。慶應義塾中等部の暗記はここまで必要だという良い基準になっている。
【大問4】生物分野からの出題
- 時間配分:4分
(1) 選択肢が細かいので、あまり時間を取られないようにしたい。 ここで3分以上かけてしまうと、他の設問を解く時間がなくなる。内容は難しくないが、受験生の素早い処理能力を試される設問だ。
(2) 植物の雌雄を、絵から判断できることが求められている。名前だけではなく、しっかりと絵でも覚えている必要がある。
【大問5】生物分野からの出題
- 時間配分:4分
(1) 魚の骨格を、絵で判断することが求められている。日頃から身近なものをよく観察している受験生ならば、正答できる。
(2)(4) ひとつひとつの動物ではなく、動物を進化の流れのなかで理解することが求められている。
攻略ポイント
計算については、複雑な設問はないが、「図表からデータを読みとる」ことと、「理科の法則を推論できる」ことが求められている。これは理科に加えて算数の単元の演習によっても培われる力なので、もし受験生が苦手意識を持っているのなら、個別に対策が必要となる。
また知識については、「細かな部分まで問われる」傾向にあり、「言葉だけではなく絵でも覚えている」ことが必要だ。
記述の設問はないが、択一の設問ではすばやく正誤を答えていかないと、時間切れになってしまう。受験者は、過去問を念入りに演習し、答案作成の速度感に慣れておきたい。
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