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慶應義塾中等部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「慶應義塾中等部の理科」
攻略のための学習方法

家庭環境と教養

教科書の理科の知識だけではなく、志望者の教養も合わせて問おうとする設問がある。このような設問は、慶応系列校では頻出となっている。出題の背景として考えられるのは、学校側の生徒選抜の方針として、志望者の家庭環境を試そうとしている点だろう。

例えば、【大問3】の(問3)は、小学生の身近にある植物を題材にしている。日頃から科学への興味を養い、積極的にまわりの環境を観察しているかが問われている。
また、【大問3】の(問1)は、中学受験の典型的な設問ではなく、理科の広範囲の教養を求めている。正答するためには、教科書だけではなく、図鑑・資料・実体験によって、知識を獲得していくことが理想となる。

中学受験で忙しくはあるが、家事手伝いや野外活動などにも積極的に参加して、実物を通して学習する機会を、確保しておきたい。さらに、経験豊富な家庭教師に依頼すれば、小手先の受験技術ではなく、広く科学への興味を拓く授業も、オーダーメイドで作成できる。

苦手分野の克服

苦手分野を残さないように、演習の量を確保しておきたい。さらに、演習には、さまざまな教材を用いたい。ひとつの教材だけで学習し続けるのは、おすすめできない。
慶応中等部の過去問に、一度でも挑戦すれば、あらゆる設問形式が用意されていることに、志望者は気づくはずだ。問われている内容は、いずれも標準的な難易度で、小学生の理科の範囲を、逸脱しているわけではない。しかし、志望者の得点は、伸び悩む。その原因として、1つの知識が、さまざまな角度から問われている点に注目しよう。
問われ方が変わっても、対応できるだけの演習量が、求められている。特に、テストごとに、理科の得点が乱高下し、不安定になってしまっている志望者は、気をつけたい。

答案作成力

答案を作成する能力のうち、注目したいのは、速度と判断力の、2つの能力だ。これらの能力は、一朝一夕には身につかない。単純な知識の暗記であれば(一問一答であれば)、直前の対策でも、生徒に身につけさせることはできる。しかし、答案作成能力は、短期的には伸びにくい。長期間の学習によって、少しづつ身につけていくものだ。
したがって、慶応中等部の志望者は、受験の早い段階から(理想的には小学6年生の夏前から)、本番を想定した学習を心掛けたい。
具体的には、模試や過去問の演習を多めにし、与えられた時間のなかで、答案を作成する能力を磨いておきたい。

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2017年度「慶應義塾中等部の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は25分で、得点は50点満点だ。大問数は5問で、分野ごとに整理されているのものと、混合しているものが出題される。設問数は25問で、すべてが一問一答形式になっている。過去問を解けばすぐに感じるが、時間が足りなくなる試験構成だ。

【大問1】化学分野(水溶液 酸とアルカリ)

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

慶応中等部では頻出の、細かな知識を確認する設問だ。ひとつひとつの水溶液をきちんと覚えておかないと、得点できないようになっており、消去法でいい加減に学習してきた受験者が失点するようになっている。

問2 重そうは、炭酸水素ナトリウムのことだが、生活により密着した名称として、覚えておきたい。他にもどのような水溶液が、実生活で役に立っているかをまとめておこう。

【大問2】地学分野(太陽と月 星座)

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分

問1 太陽・地球・月の位置関係を、作図できるようになっておきたい。

問4 時事問題からの設問だ。受験学年は、理科の報道に興味をもって接しておきたい。

問5 月の南中高度を考える設問だ。太陽の南中高度を求める設問が、ありふれてきたので、ここ数年は、月の南中高度を求める設問が流行している。受験直前期に、演習しておきたい。

【大問3】生物分野(生物の発生 生物と環境)

  • 難度:標準
  • 時間配分:4分

問1 小学生の早い段階から、図鑑を利用して、理科の知識を増やしておきたい。

問3 慶応中等部では頻出の、受験者の教養を試す設問だ。小学生の身の回りにある、日本の植物が出題されている。身の回りの世界をしっかりと観察して、教養のある日常を送っているかが問われている。

【大問4】物理分野(ばねのしくみ 磁石と磁力)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

問1 科学法則を理解できているかを試す設問だ。重力と磁力の2つの力が発生しているが、力を上下に方向に分けて考えると、理解しやすい。

問2 伸ばされたばねが戻ろうとする力(弾性力)は、距離に比例するので、比例を表す直線のグラフを選ぼう。

問3 磁石Bには、重力とともに、磁石Cにより上から押される力が働く。したがって、磁石Aと磁石Bの距離は、磁石Cを乗せると、それまでよりも近づくことになる。

問5 磁石の数が増えると、磁力は増すはずだが、磁石からクリップまでの距離も増加する点に注意したい。

攻略ポイント

全体として、丁寧に作業できる受験者が有利な試験構成だ。他人が解けない難問を解いて差をつけるのではなく、むしろ、どれだけ失点しないかを意識したい。言いかえれば、受験本番では、解法がわからない設問があってはいけない。知識に抜けがないか、確認しておきたい。

そこから先は、短い25分という時間で、答案を仕上げていく能力で合否が決まるだろう。特に、時間のかかる設問を解くべきかどうかの判断力は、養っておきたい。一問一問を解くというよりは、答案全体の完成度を上げるという心構えで取り組もう。

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