慶應義塾中等部 入試対策
2021年度「慶應義塾中等部の理科」
攻略のための学習方法
まずは、受験テキストを使って、「物理、化学、生物、地学」の4分野について、重要語句の意味や関連情報、科学現象の原理を丁寧に理解しておきたい。
言葉を答えさせる問題はわずかしか出題されないものの、言葉を知らないと考えづらかったり、言葉を知っていた方が有利になったりする問題は出題されるから、ある程度の語句を覚える必要はある。
言葉を覚えるときは穴埋めの問題や一行問題を解いたり、お家の人にクイズ形式で出題してもらったりすると効率が良い。
言葉をある程度覚えたら、科学現象の原理を知る学習をして欲しい。
受験テキストで述べられている現象がなぜ成り立つのか、学習する都度その理由を考えるのが理想だ。その際、自分で納得するまで図鑑や本やインターネットで調べたり、人に聞いてみたり、自分で図を描いて考えたりすると良い。
この段階では受験テキストの8割程度の知識を身に着ければ良いだろう。
8割程度、言葉や原理について覚えられたら、引き続き受験テキストを使って、掲載されている演習問題を自力で解けるようになるまで繰り返し解きたい。
数値を使った計算問題には主軸が置かれていないため、計算問題さえ解ければ良いという考え方は本校入試には不向きだが、標準程度の計算問題であれば解けるようにしておきたい。
言葉や原理について、実験や観察結果を通じて問うような問題は数多く練習しておきたい。
本校では文を記述させる問題は出題されないが、現象の原理を問う問題への対応力を身に着けるために、記述タイプの問題に目を通すことが有効だ。
その際に答えを記述してもよいが、答えを口に出して模範解答と照らし合わせるという方法で学習すると良い。初めにテキスト学習をする段階では記憶する知識は8割程度でよいが、上述の問題演習を通じて受験テキストに記載されている知識記憶の精度を10割に近づけていきたい。
本校の入試は時間との戦いでもある。
一通り受験テキストの学習を終えたのであれば、本校の過去問または類する傾向・難度の過去問を解き、最低でも5回は時間内に合格点をとる経験を積むのが良いだろう。
過去問演習終了後には必ず模範解答・解説を良く読み、不足している知識を受験テキストなどで確認して欲しい。必要に応じて知識をまとめた表を作成したり、図解してみたりするとなお良い。
また、そのときに、要求される知識がどの程度の細かさであるのかを併せて確認し、以後の学習時の参考にすると良い。
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2021年度「慶應義塾中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は去年の4題から変わり5題に増えた。その内訳は、地学1題、化学2題、生物2題、物理0題であり、全体では計22問だった。また、記号選択が18問、適語回答が3問、記述が1問だった。時間は25分であるから1問にかけられる時間は約1分である。
【大問1】月の見え方/地学
- 難度:標準
- 時間配分:3分
典型的な月に関する問題。多くの人が受験テキストを通じて一度は経験したことがあると思われるが、問われているものを的確に見極め、正解を導き出したい。
(1) 月の満ち欠けに関する定番の問題。地球の周りに8つの月を描いた図をもとに考えられるようにしておきたい。
(2) こちらも定番の質問だろう。この内容を納得した経験があれば容易だと思われる。
【大問2】熱と化学変化・状態変化/化学
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
前半では固体の燃焼に伴う化学変化に関する問題が出題され、後半では熱による状態変化に関する問題が出題された。定番の知識を問うものであるが、丁寧な読解と正確な推理を行いたい。
(1)(2) 食塩、砂糖、ベーキングパウダー、鉄粉の4種類の粉末を燃焼させたときの重さの比較に関する内容。それぞれを燃焼させたときに何が起こるか、整理できていないと厳しいかもしれない。与えられた表と問題文から情報を丁寧に整理する能力も問われる。落ち着いて処理したい。(1)では、重さの変化の要因になり得ないものを選択すればよい。
(2)では、表に示された結果を見て、必ず重くなるものと必ず軽くなるものを真っ先に見つけるのが得策だろう。また、問題文に書かれているCに関しての説明も視野に入れて解きたい。
(3)(4) 熱による水の状態変化についての定番の問題。結露・蒸発とビーカーの重さの変化の関係性をひもづけたい。
【大問3】哺乳類/生物
- 難度:標準
- 時間配分:5分
基礎的な知識からややマニアックな知識まで含まれていた。少し考えることで解けるものもあるから、知らなかったとしても思考停止にならず落ち着いて考えたい。
(1)~(3) 図に示された哺乳類の骨に関する問題。それぞれの特徴を見極め、論理的に推察できると良い。
(4) 知らなければ解けない問題。ウマ、サイ、バクが奇数の蹄(ひづめ)を持つ仲間として有名。
(5)~(7) 消化に関する定番の問題。確実に正解したい。
【大問4】水溶液の性質/化学
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
水溶液の液性(酸性・中性・アルカリ性)に関する問題。問題文をよく読み、落ち着いて考察したい。
(1) 実験の内容をよく読み、指示薬を特定するための根拠を丁寧に探すことが重要だろう。実験1・2ともに、①の文だけでなく、④まで目を通した上で判断すべきことに気づきたい。なお、本問で失点すると(2)(3)に影響を及ぼすため、丁寧に思考することを心がけたい。
(2)(3) (1)を踏まえ、問題文に示された液性の変化を引き起こすための物質を選択する問題。選択後、つじつまが合っているか見直しをしよう。
【大問5】樹木/生物
- 難度:標準
- 時間配分:5分
樹木に関する問題。ややマニアックなものも含まれるが、定番の内容もある。後者は確実に正答したい。
(1) 定番の問題。会話文を丁寧に読みたい。
(2) 苦手とする人が多い葉の形を問う問題だが、わりと選びやすいものが多いと思われる。高得点をとっておきたい。
(3) それぞれの樹木の様子を見た経験をしておきたい。会話文も少しヒントにできる可能性がある。あきらめてはいけない。
(4) 落葉樹と常緑樹、広葉樹と針葉樹の分類を経験しておきたい。
攻略のポイント
ものの名称・性質や現象の原理に関する知識を問う問題が大半を占めるため、学んだ知識を正確に引き出すことが重要だ。そのためにも、問題文をよく読み、問われていることを正しく把握することを意識して取り組んで欲しい。また、知識が無かったり曖昧だったりしても、与えられた文章や図を手掛かりにすることで問題の答えにたどり着ける場合があるため、その点から考えても、落ち着いて問題文を読むことが重要だ。一問にかけられる時間が短いため、スピーディに処理していくこと、解きやすいものから解いていくことも心掛けたい。
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