慶應義塾中等部 入試対策
2022年度「慶應義塾中等部の社会」
攻略のための学習方法
スライド式学習
慶應義塾中等部合格に向けては、「地理」「歴史」「公民」の「知識」を確実に押さえておくことが重要。「基礎的事項」は無論、特に「地理」「歴史」では相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしなくてはいけない。そして、確実に定着させておきたい。
だが、人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。実はここに落とし穴がある。基本的に、定着させるために「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習したのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。前述のように慶應義塾中等部では「地理」「歴史」単元に含まれる全分野から多数出題される。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用してもいい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこつそり続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
いもづる式学習
定着すべき「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させておいてもほとんど意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、慶應義塾中等部で最近見られる「単元融合問題」にも対応できるようになる。
手づくり式学習
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、慶應義塾中等部に限らず上位校の入試問題ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
細部へのこだわり式学習
慶應義塾中等部で必ず出題されるといってもいい「ハイレベルな知識問題」(特に「地理」「歴史」に多い)や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるに当たって最も重要なことは、「設問内容」や「条件」をいかに正確に読み取るかということだ(それらは「ヒント」になっていることが多い)。「リード文」や「設問文」に示されていることに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには、とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。
無論、トレーニングが欠かせない。「過去問」や「演習問題」等を用いて、各事項の細かな「意味」「統計資料の数字」や「関連事項」と「設問文の内容」等の全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、問題集やテキストの「解説」に示されているので活用すること。
こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に「リード文」や「設問文」に示された着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいい。
意識継続式学習
どのような状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても単なる時間の無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。慶應義塾中等部の入試本番ではたった25分という制限時間の中で、様々な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか？ 「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。さらに、何度も指摘しているが、「慶應ボーイ・ガール」になるための「大人の常識」も「意識」すること。
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2022年度「慶應義塾中等部の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は｢歴史｣。｢建物や施設｣についての｢説明文｣からの出題｡小問は２問(解答数12)、｢選択肢｣のみ(｢位置特定｣と｢人物判別｣)。
大問２は｢公民｣｢歴史｣(｢時事的要素｣あり)。｢戦後の日本｣に関する出題｡小問は５問(解答数12)、｢選択肢｣のみ(｢時期整序｣あり)。
大問３は｢地理｣(｢一般常識｣１問混在)。｢関東地方の自然｣についての｢リード文｣からの出題。小問は５問(解答数９)、｢選択肢｣(｢複数完全解答｣あり)、｢事項記述｣(｢漢字･ひらがな指定｣｢複数完全解答｣あり)。
大問４は｢歴史｣(｢思考問題｣１問混在)。｢交通の発達｣についての｢リード文｣からの出題｡小問は４問(解答数11)、｢選択肢｣(空所補充)、｢事項記述｣(空所補充)、｢説明記述｣(２問。ともに｢20～50字｣指定)。時間配分は、｢説明記述｣に６分ほど、その他は30秒弱で１問を解くという超ハイペース。無論、メリハリのある｢戦術｣が求められる。
【大問１】｢歴史｣(｢位置特定｣と｢人物判別｣)
- 難度：標準
- 時間配分：6分
示されている６か所の｢建物や施設｣の｢位置｣と関連する｢人物｣を判別するという大問だ。｢歴史｣単元の総合力が問われているが、さほど難易度は高くない。一気呵成に解き進めたい。やや悩みそうなものだけを確認したい。
[問１･２] ｢説明文についての位置特定および人物判別選択肢設問｣(全６問。各８択)。
｢説明文｣(Ａ)～(Ｆ)が示す｢建物や施設｣を｢日本地図｣の中の８か所から特定し([問１])、それぞれに｢かかわりのある人物｣を答える([問２])。３つの｢建物や施設｣だけをチェックしておく。
(Ｃ)｢西洋の知識が取り入れられた星形の城｣⇒｢西洋の知識｣などに惑わされてはいけない⇒｢星形の城｣と｢地図｣の８か所を照合すれば、自ずと｢五稜郭｣だと分かるはず⇒｢位置｣は｢函館｣を示す(５)で、｢人物｣は新撰組の副長だった｢土方歳三｣で(７)になる。
(Ｄ)｢猫や猿、スズメなどの色鮮やかな装飾のある神社｣⇒｢猫や猿｣⇒｢眠り猫｣と｢三猿｣で｢日光東照宮｣だと特定したい⇒｢位置｣は｢栃木県｣を示す(７)で、｢人物｣は無論、｢徳川家康｣の(５)。
(Ｆ)｢福沢諭吉が本格的に蘭学を学んだ私塾｣⇒意外と抜け落ちているかも。｢蘭学｣の｢塾｣＝｢鳴滝塾｣だけでは本校には対応できない。｢福沢諭吉｣に関連しているのだ⇒｢適塾｣だと判断できなくてはいけない⇒｢位置｣は｢大阪｣を示す(３)で、｢人物｣は｢適塾｣を開いた｢緒方洪庵｣で(１)だ。実は、｢適塾｣に関しては昨年度も出題されていた。｢過去問演習｣の必要性を痛感せよ。尚、他の｢説明文｣は、
(Ａ)｢海上に社殿がある神社｣＝｢厳島神社｣、(Ｂ)｢金ぱくがはられた阿弥陀堂｣＝｢中尊寺金色堂｣、(Ｅ)｢オランダ商館が設置された人口島｣＝｢出島｣だと即決できるはず。当然、｢位置｣と｢人物｣も判別できなくてはいけない。ちなみに、｢建物や施設｣に限らず、｢歴史的事項｣については｢地図上での位置｣を確実に把握しておくことが求められる。
【大問２】｢公民｣｢歴史}(｢時事的要素｣あり)
- 難度：やや難
- 時間配分：6分
｢戦後の日本のできごとや制度｣などについて、｢リード文｣｢説明文｣等から出題されている大問。｢公民｣と｢歴史｣の単元から問われている(｢時事的要素｣もある)。いかにも本校といった感じで、平易な問題の中に｢超難問｣が唐突に現出する。いくつかをチェックしよう。
[問２] ｢人物判別の選択肢設問｣(５択)。｢歴史｣単元。
｢沖縄の返還を実現したときの内閣総理大臣｣を答える。これは(２)の｢佐藤栄作｣が｢答え｣だと即答できるはずだ。尚、その他の｢総理大臣｣は、(１)｢池田勇人｣⇒｢国民所得倍増計画｣(1960年)、(３)｢鳩山一郎｣⇒｢日ソ共同宣言｣｢国連加盟｣(ともに1956年)、(４)｢東久邇宮稔彦｣⇒｢戦後処理内閣｣(1945年)、(５)｢吉田茂｣⇒｢サンフランシスコ講和条約｣(1951年)と、それぞれ結びつけて定着させておくこと。尚、｢沖縄返還｣は｢1972年５月15日｣、今年2022年は｢50年｣の節目の年なので、来年度に向けては｢時事問題｣としても要注意だ。ちなみに、[問４]では｢日中共同声明｣のときの｢内閣総理大臣｣が問われている。｢沖縄返還｣と同じ｢1972年｣だが、こちらは｢９月29日｣で、首相は｢田中角栄｣なので注意したい。
＜時間配分目安：30秒弱＞
[問３] ｢年代整序の選択肢設問｣(５択)。｢歴史｣単元。
示されている｢戦後のできごと｣(１)～(５)について、｢古い順に並べた｣ときに｢３番目のもの｣を答える。それぞれの｢できごと｣の｢キーワード｣から｢時期｣を特定していく。
(１)｢九州･沖縄サミット｣⇒どうか？ 定着しているか？ ｢2000年｣という数字なので覚えていたい。
(２)｢国鉄の分割･民営化｣⇒流石(さすが)に年代は不明か？ ＝｢保留｣。
(３)｢1995年以来、初めての非自民党連立内閣｣⇒｢55年体制の終結｣＝｢細川護熙(もりひろ)内閣誕生｣(1993年)は覚えているはず。
(４)｢日中共同声明｣⇒もちろん、｢1972年｣。
(５)｢初めて消費税導入｣⇒これは｢1989年｣で、｢冷戦終結｣と同じ年だということも必須定着事項だ。で、｢順番｣｡(２)は｢保留｣だとしても、最初は(４)で最後が(１)だということは特定できるはず。
そして、何とか｢国鉄の分割･民営化｣と｢中曽根康弘内閣｣が結びつけば、｢消費税導入｣の｢竹下登内閣｣以前だと判断できる。｢細川護熙内閣｣は当然ながら、その後だ。ということで整理すると、(４)→(２)→(５)→(３)→(１)の順になる。よって、｢答え｣は(５)だ。本問は相当に厄介だった。尚、｢年代整序｣は｢うろ覚えの年代｣で整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが重要だ。
＜時間配分目安：１分＞
[問５(１)] ｢空所補充の語句選択肢設問｣(全５問/５択)。｢公民｣単元(｢時事的要素｣あり)。
｢リード文｣中の( あ )～( お )の空所に｢入る語句｣をそれぞれ答える。なかなか通なものがある。
｢答え｣を確認する。
｢2021年10月４日に召集された( あ )会において、衆参両院の内閣総理大臣の( い )選挙で岸田文雄が選出され……、天皇によって( う )された｣⇒｢時事ネタ｣として｢総選挙｣直前のことだと知っているはず⇒｢答え｣は、( あ )＝選択肢(５)｢臨時(会)｣、( い )＝(１)｢指名(選挙)｣、( う )＝(４)｢任命｣だと即答できる。｢(2021年10月31日実施の)総選挙を受け、11月10日には( え )会が召集され、内閣が( お )すると、内閣総理大臣の( い )選挙(＝指名選挙)が行われ……｣⇒｢総選挙｣直後の｢国会｣は無論、｢特別(会)｣なので( え )の｢答え｣は(３)、そして、( お )だが、｢特別会｣では｢新しい内閣総理大臣を指名する｣とだけ理解していると太刀打ちできない。そのときにはそれまでの｢内閣｣が存続しているのだから、( お )の｢答え｣は(２)｢総辞職｣になる。的確に理解･定着させておきたい。
＜時間配分目安：全問で２分＞
※尚、[問５(２)]も｢公民｣単元で、｢総選挙｣の｢公示｣について問われている。テキストでも扱われていないような｢ディープな知識｣が求められている。判別できないことはないのだが、相当に手間がかかる。時間の制約を考慮すると、戦術的には｢捨て問｣で構わない。
【大問３】｢地理｣(｢一般常識｣が１問混在)
- 難度：難
- 時間配分：4分
｢関東平野を中心として、関東地方の地形や気候などの自然｣についての｢リード文｣からの出題。身近な｢関東地方｣の基本的な｢地理の知識｣についての問題のようだが、いざ解こうとすると意外と手強いものが多い(｢一般常識｣が１問混在している)。いくつか検討する。
[問２] ｢下線部に関する事項記述設問｣(｢ひらがな５字｣指定)。｢一般常識｣。
｢リード文｣中の下線部㋐｢関東ローム｣の性質によって、｢関東地方で冬に地表面から地中にかけてよくみられる現象｣を｢ひらがな５字｣で答える。はぁ～？ となるに違いない。｢関東ローム｣の性質といわれても、｢赤土｣｢火山灰土｣くらいしか思いつかないはず。だが、｢冬｣｢地表面から地中にかけてみられる現象｣という部分に着目し、｢ひらがな５字｣を｢手がかり｣にすれば、｢一般常識｣としては｢しもばしら｣という｢答え｣にたどりつく。どうだろうか？ 最近はもう｢霜柱｣をあまり見ないかも知れないので、なかなか手強い。本校ではやはり、こうした｢一般常識｣が必要になると心得よ。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問３] ｢下線部についての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。
｢リード文｣中の下線部㋑｢東京都の東部から千葉県の北西部の沿岸付近｣の｢地域について述べた文｣を｢すべて｣答える。各文の｢要点｣に着目して｢正誤判別｣していく。
(１)｢荒川とかつての利根川が運んできた土砂で形成された｣⇒｢かつての利根川｣、｢利根川｣は｢江戸時代｣に流路変更された。それまでは東京湾に注いでいたことは常識＝｢適切｣。(２)｢『海抜０メートル地帯』が広がっている｣⇒これまた誰もが知っているはず＝｢適切｣。(３)｢鎌倉時代から本格的発展｣⇒｢江戸時代｣からに決まっている＝｢不適切｣。
(４)｢関東大震災と太平洋戦争で大きな被害｣⇒｢東京大空襲｣(1945.3.10)は必須定着事項だ＝｢適切｣。
(５)｢関東ロームが分厚く堆積(たいせき)｣⇒｢関東ローム｣なのでＯＫと早とちりしてはいけない。｢関東ローム｣は｢台地｣に堆積している。下線部㋑は｢沿岸付近｣なので｢低地｣だ＝｢不適切｣。
したがって、｢答え｣は(１)･(２)･(４)になる。｢複数完全解答｣の｢正誤判別｣では特に細部にこだわることが肝要。
＜時間配分目安：１分＞
[問４] ｢下線部についての事項記述設問｣(全２問。複数完全解答)。
｢リード文｣中の下線部㋒｢秋の終わりから冬にかけて、山地から平野に向けて強い北風｣について、｢この北風の呼び方｣を｢２つ｣答える。｢関東地方｣で｢山地から平野に向けて｣の強い｢北風｣といえば｢からっ風｣に決まっている。誰もが押さえている。が、もうひとつの｢呼び方｣とは？ 即答できる諸君は少ないに違いない。何か｢知っていること｣に結びつけたい。｢群馬県の赤城山｣⇒｢赤城おろし｣と思い浮かべば、勝ちだ。そう、もうひとつの｢答え｣は｢おろし｣だ。これまた、なかなか厄介な問題だった。｢自分が知っていること｣といかに結びつけられるかがポイントだ。
＜時間配分目安：全問で１分強＞
【大問４】｢歴史｣(｢思考問題｣が１問混在)
- 難度：やや難
- 時間配分：9分
- ★必答問題
｢江戸時代から現在までの、関東地方を中心とした交通の発達｣についての｢リード文｣からの出題｡｢空所補充設問｣と｢理由説明記述設問｣で｢歴史｣単元の平易な｢基礎的事項｣が問われ(３つの小問)、最後に｢思考問題｣としての一筋縄ではいかない｢内容説明記述設問｣が控えている。｢歴史｣単元の小問は一気呵成に得点を重ねていけるはずだ。なので、最後の厄介な問題だけを考えてみたい。
[問４] ｢内容説明記述設問｣(｢20～50字｣指定)。｢思考問題｣。
｢リード文｣中の下線部㋒｢高速道路｣について、｢関東地方では、まず東京と地方を結ぶ高速道路が東京を中心に放射状に建設され、続いてこれらの高速道路どうしをその途中から環状に結ぶ高速道路が建設された｣が、｢このとき、環状高速道路が建設されたことによって東京の都心部の環境が得る利点｣を｢20字以上50字以内｣で説明する。尚、本問には参照用として｢図｣(都心周辺の高速道路の模式図)が付されている。何やらすぐにはピンとこない問題だ。どのように｢思考｣していくか？ 参照用に示されている｢図｣を突破口にしたい。
それは、都心を中心として、｢八方位｣に向けて直線で｢放射状高速道路｣、そして、都心の周囲を輪のように囲む同心円で｢環状高速道路｣が示されている。｢図｣を注視しながら、考える。先ず｢放射状高速道路｣が建設されたということは、当初は各地方からの自動車は全て｢都心｣に向かい、集中することになる。仮に目的地が東京以外だとしても、必ず｢東京都心｣を経由して他の地方へ向かう｢放射状高速道路｣を利用することになる。それに対して、｢環状高速道路｣が建設された後は、目的地が東京以外であれば｢東京都心｣まで行く必要はなく、途中で交わっている｢環状高速道路｣を経由して、目的地へ向かう｢放射状高速道路｣へと進むことができると分かるはずだ。ということは、｢東京の都心部の環境｣という視点で考えれば、｢都心部｣に流入する自動車が減る⇒｢交通渋滞の減少｣⇒｢大気汚染｣や｢騒音｣が……、｢利点｣は明らかだ。そうした内容を｢過不足なく｣まとめていけばいい。よって、たとえば、｢都心部に集中する自動車が減り交通渋滞が減少して、大気汚染や騒音といった公害問題が軽減するという利点｡｣(50字)といった｢答え｣になる。こうした｢思考問題｣では、｢与えられている情報｣を手がかりにして、自ら｢思考｣する練習を重ねることが肝要だ。
＜時間配分目安：４分＞
攻略のポイント
●2021年度から導入された｢新大学入試制度｣を意識した｢思考力･判断力･表現力｣を問う設問、昨年度に続いて本年度も出題された。来年度以降に向けても、決して対策を怠ってはいけない。｢公立中高一貫校｣で出題されるいわゆる｢適性問題｣についての対策などを試みることが､ひとつの方法になる。
●｢25分｣という｢試験時間｣が最大のポイントで、｢戦術｣は不可欠。基本は｢取れる問題を確実に押さえる｣こと。瞬時に｢捨て問｣を判別し、次の問題に立ち向かうべきだ。配点はほぼ各１～２点(｢説明記述｣はこれまで２点程度だったが、本年度は２問ともに４点になった。要注意だ)、８割程度と推定される合格ライン(非公表)を考えると、｢捨て問｣があっても構わない。難易度から判断しても｢基礎的知識｣で合格ラインは十分対応可能だ。
●慶應義塾が求めている｢教養人｣としての備えもすること。｢大人の一般常識｣が問われる。塾のテキストでは扱われていないものが出題されるので｢対策｣といっても難しいが、そうした出題があるということを日頃から｢意識｣しておきたい。その上で、｢新聞｣や｢テレビのニュース｣は必ずチェックし、気になったことがあったらすぐに確認することを怠ってはならない。そして、周りの｢大人たちの会話｣にも｢参加｣するように心がけたい。
●｢統計資料｣も必出なので、必ず最新版で確認しておくこと。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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