吉祥女子中学校 入試対策
2024年度「吉祥女子中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
文学的文章・説明的文章の2題の長文読解と漢字の読み書きから成る。素材文はここ数年ほどは10000~12000字ほどにもなり、文量が多くなっている。
漢字は5~6問で読みが1問含まれ、試験の最後に配置されている。総解答数は30~35問ほど。
設問は、記号選択・書き抜き・記述問題とバランスよく出題されている。選択肢問題は四択だが文字数が多く、本文の長さと相まって読む文量の多い試験であることが大きな特徴になっている。
例年、記述問題は2~3問だったが、2024年度では5問出題された。今後増える傾向かもしれないので注意しておきたい。
長文読解
文学的文章と説明的文章は文量も配点もほぼ均等で、同じ力配分になっている。ここ数年ほどは10000字超と特に文量が多くなっている点、要注意である。選択肢の問題も文字数が多いものがあり、設問も含めてかなりの文量を読まなければならないので、速く読める練習を十分に積んでおきたい。
文量の多さと比べて、難易度は多少抑え目である。難問もいくつか見られるが、全体としては極端に難しい問題にはなっていない。
記述問題は「具体的に答えなさい」など、文中の重要点を抽出して答えられるものが多く、選択肢問題もそれぞれの選択肢の内容がわかりやすく、あまり迷わずに選べるようになっている。ただし、80~100にもなる記述問題をうまくまとめるには相当の訓練が必要であるし、文字数の多い選択肢を的確に読み取るには注意力・集中力が求められる。本校の「量の多さ」に対する備えをしっかりしておくことが肝要である。
まずは長文読解の基本的な力を養う。
物語文であれば、場面分け。時間・場所・登場人物などに注目し、どんな場面かを簡単にまとめ、分けておく。人物の言動などからそれぞれの性格を把握し、情景も手がかりに心情を考える。気持ちに変化があった場面は特に注意する。
説明的文章であれば、段落の整理。形式段落→意味段落へとまとめ、意味段落の内容を小見出しにしてつけてしまうとわかりやすい。各段落の要点と細部を区別し、目立つようにしておく。要点をまとめ、要旨を把握する。
本校の文量の多さを考えると、一定のスピードで、キーワード・要点などの重要点を傍線・矢印などで目だつようにしたり、関連をわかりやすくしたりしておく手際の良さは大事であろう。
記述問題は、100字であれば3~4つの内容が書けると計算し、字数でまとめてうまく組み合わせる練習を繰り返す。幸い、本校の過去の試験問題を見ると傾向がほぼ一定なので、第二回・第三回の問題も含めれば練習問題には事欠かない。選択肢問題も充分練習できるであろう。
漢字・その他
ここ数年は試験の最後に5~6問、読みの問題が1問だけ含まれて出題されている。標準レベルの問題がほとんどなので、基本~中級レベルの漢字教材をしっかりこなしておけば心配ないだろう。ことばの知識は長文問題に混じって数問出されるくらいである。
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2024年度「吉祥女子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2024年度の素材文は9000字ほどで、記述問題が5問と多めだった。やはり本文の長さと設問の文量の多さ、年度により100字にもなる記述問題が時間を取られるところである。全体として速さが必要になる試験なので、あまりに時間がかかりそうな問題は断念する勇気もいるかも知れない。とにかく全体に一度は目を通せるようなペースをつかむこと。
【大問一】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:22分
実際に人と接して言葉を交わす経験が減ったせいで現代の日本人はコミュニケーション能力が低下しており、訓練が必要ではないかと筆者は考えている。
問一 ㋐ 事欠かない――不足していない・十分足りている。
㋑ 潤滑油は、摩擦を減らして機械などをなめらかに動作させるための液体。物事が滞りなく進行するために必要な物という比喩で使われる。
問二 A. 共通理解事項がない人とのコミュニケーションではさまざまに配慮しなければならず、「しかも」あらかじめ準備しておくこともできずとっさの判断が必要となる。
B. 三〇年ほど前の日本でもすでに東京人は他人に無関心だという声は少なくなかった。「しかし」当時の東京では、見知らぬ人とも言葉を交わしたり、スキンシップをとったりしていた。
C. 東京人が他人と話をせず、笑顔を見せず……「つまり」、まわりとのコミュニケーションが途絶えた。
問三 「実際に人と接して言葉を交わす経験」を補完するものであっても、「そういう体験」にとって代わるものではない。
問四 2. 「明るい表情の時に良いことがあったか聞くこと」は「暗黙の了解」にはなっていない。
問五 (1). 1 (2). 2
問六 「当時のパリ」として書かれている内容から、選択肢1が合う。
問七 「共通理解事項」がない他人とのコミュニケーションに必要なものとして、第三段落二行目で「話題選び、言葉づかい~身だしなみなどへの配慮(五十字)」が挙げられている。
問八 中高年は、他人ともよくコミュニケーションをとっていたかつての日本を経験しており、慣れているのである。
問九 日本人は礼節を重んじると聞かされていたのに、実際の日本人観光客は挨拶をせずお礼を言わず笑顔を見せないので、戸惑っている。
問十 第四段落で、「周囲の人々が~駆け引きを学んだ」と、子どもの頃から自然とコミュケーションの技術を学んでいたことが示されている。
問十一 他の選択肢もまったく当てはまらないわけではないのだが、傍線の後に示されている具体例ともっとも合致するのは選択肢4である。
問十二 現代の日本では生身・対面でのコミュニケーションが少なくなり、その能力が低下している。実際に会って話をするという経験を積んで、相手の気持ちを考えたり適切な言葉を選んだりする練習が必要だと筆者は考えている。
【大問二】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:26分
- ★必答問題
転校しても友達でいようという約束が守られることなどないと思っていた主人公。図書カードの過去の書き込みを見て考えが揺れていたが、美貴たちから本気の申し出を受け約束を信じる気持ちになった。
問一 転校してもずっと友だちでいることは不可能だと思っている主人公は、弟も同じ気持ちでつらいだろうと思っていたが、約束の証のメダルを信じている弟を見てその純真さに驚いている。
問二 自分の読書力のなさを自覚している主人公は、道橋が本を勧めようとしていることに警戒し、気おくれしている。
問三 道橋は図書カードの書き込みの存在を主人公に気づかせて、転校しても友達でいることはできるのだと伝えたいと思っているので、転校してから読むのでは遅いのである。
問四 約束して期待させておいて結局は果たされないという意味で、図書カードの書きこみも弟のメダルも同じだ、とこの時の主人公は思っている。
問五 図書カードの書き込みの結末を見て、ずっと友だちでいようという約束が守られることもあるのだと知り、美貴たちと約束を交わしたいという気持ちもある一方、やはり期待は裏切られるだろうというこれまでの考えも捨てきれず、迷いが生じている。
問六 卒業メニューは六年生以外にも出されている点に注目。小学校でも同じクレープが出されていたので、小学校六年間で六回+中学一年の現在で一回の、計七回になる。
問七 箸が進まない理由を「卒業メニューが、お別れメニューのように思えてしまった」と説明している。
問八 目を丸くする――驚いて目を大きく見開く。
問九 1. クレープに手をつけていない理由に気づいた美貴が「約束」を交わそうとしていることに戸惑いや動揺があり、わざとふざけた口調で受け答えしていたが、美貴の行動が真剣であることがわかり、自分もまじめに受け止めなければならないと考えた。選択肢4も近いが、「自分の普段のふざけた態度」が正しいか判断材料が示されていない。
問十 「約束」の内容が自分の考えていた以上のものであることが美貴の返事からわかり、安堵と喜びで涙が出てしまった。
問十一 (1) 美貴・高梨(桃)・朋華・沢ちゃん、の四人。
(2) 「約束」が堅固な誓いであることを主人公に示すために、儀式ばった形になっている。
【大問三】漢字
- 難度:標準
- 時間配分:2分
1. 勤勉 2. 功績 3. 編(む) 4. 領域 5. 防犯 6. 危(なげ)
攻略のポイント
どの問題に限ってということではなく、全体として速さを求められる試験である。1年度3回分の過去問を活用して、読むスピード・設問を処理するスピード・書くスピードに慣れておいていただきたい。
本校の偏差値からすると問題の難易度自体は抑え目であるので、ともかく最後まで目を通し、答えられそうな問題には全て答えるようにしたい。100点を目指す必要はないので、時間がかかり過ぎると感じた問題は諦めるのも手である。文章量の多い同じ傾向の学校の過去問も利用したい。
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