吉祥女子中学校 入試対策
2022年度「吉祥女子中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
文学的文章・説明的文章の2題の長文読解と漢字の読み書きから成る。素材文はここ数年ほどは10000~12000字ほどにもなり、文量が多くなっている。
漢字は5~6問で読みが1問含まれ、試験の最後に配置されている。総解答数は30~35問ほど。
設問は、記号選択・書き抜き・記述問題とバランスよく出題されている。選択肢問題は四択だが文字数が多く、本文の長さと相まって読む文量の多い試験であることが大きな特徴になっている。
記述問題は40~50字・80~100字ほどで2~3問出題される。
長文読解
文学的文章と説明的文章は文量も配点もほぼ均等で、同じ力配分になっている。ここ数年ほどは10000字超と特に文量が多くなっている点、要注意である。選択肢の問題も文字数が多いものがあり、設問も含めてかなりの文量を読まなければならないので、速く読める練習を十分に積んでおきたい。
文量の多さと比べて、難易度は多少抑え目である。難問もいくつか見られるが、全体としては極端に難しい問題にはなっていない。
記述問題は「具体的に答えなさい」など、文中の重要点を抽出して答えられるものが多く、選択肢問題もそれぞれの選択肢の内容がわかりやすく、あまり迷わずに選べるようになっている。ただし、80~100にもなる記述問題をうまくまとめるには相当の訓練が必要であるし、文字数の多い選択肢を的確に読み取るには注意力・集中力が求められる。本校の「量の多さ」に対する備えをしっかりしておくことが肝要である。
まずは長文読解の基本的な力を養う。
物語文であれば、場面分け。時間・場所・登場人物などに注目し、どんな場面かを簡単にまとめ、分けておく。人物の言動などからそれぞれの性格を把握し、情景も手がかりに心情を考える。気持ちに変化があった場面は特に注意する。
説明的文章であれば、段落の整理。形式段落→意味段落へとまとめ、意味段落の内容を小見出しにしてつけてしまうとわかりやすい。各段落の要点と細部を区別し、目立つようにしておく。要点をまとめ、要旨を把握する。
本校の文量の多さを考えると、一定のスピードで、キーワード・要点などの重要点を傍線・矢印などで目だつようにしたり、関連をわかりやすくしたりしておく手際の良さは大事であろう。
記述問題は、100字であれば3~4つの内容が書けると計算し、字数でまとめてうまく組み合わせる練習を繰り返す。幸い、本校の過去の試験問題を見ると傾向がほぼ一定なので、第二回・第三回の問題も含めれば練習問題には事欠かない。選択肢問題も充分練習できるであろう。
漢字・その他
ここ数年は試験の最後に5~6問、読みの問題が1問だけ含まれて出題されている。
標準レベルの問題がほとんどなので、基本~中級レベルの漢字教材をしっかりこなしておけば心配ないだろう。ことばの知識は長文問題に混じって数問出されるくらいである。
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2022年度「吉祥女子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2022年度の素材文も10000字超と例年どおりで、やはり本文の長さと設問の文量の多さ、年度により100字にもなる記述問題が時間を取られるところである。全体として速さが必要になる試験なので、あまりに時間がかかりそうな問題は断念する勇気もいるかも知れない。とにかく全体に一度は目を通せるようなペースをつかむこと。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:28分
- ★必答問題
学級委員としてクラスの先頭に立っていろいろなことを取り仕切ってきた自負を持つ主人公だったが、字やイラストの技量で自分を凌駕するむつ美や、自分が気になっている壮太が心惹かれているらしい愛季の存在に、自尊心が揺らぎ始める。
問一 ㋐ もっぱら――ある一つのことに集中するようす。
㋑ 名目――表向きの理由・口実。
問二 イラストを担当している二人の絵について、読みやすいしおりを作ろうとする気はなく、「空想の中のさらに楽しいところだけを抽出したようなイラスト」であると評している。
問三 この二人は主人公の「取り巻き」で、つねに行動を共にしているようである。クラスのリーダー格である主人公が行動しやすいように、無意識のように気を配っているのであろうと推測できる。字がきれいな主人公に清書を任せ、自分たちは下書きと消しゴムかけというように、主人公が何も言わなくてもおぜん立てが済んでいるのである。
問四 むつ美の作ったページを見せるときの「きれいにむけた果物の皮をひろげるように」紙を伸ばした「誇らしげ」な愛季の顔に、むつ美への高い評価が表れている。
問五 「文字ひとつひとつが立体的」で「バランスよくスペースが分けられて」いて「とても読みやすい」、文字は「美しく」イラストは「とてもかわいらしかった」などのほめた部分を字数以内でまとめよう。
問六 自分が清書した文字を「きれいで、読みやすい」と自負していたが、むつ美は文字に加えてイラストも上手で、明らかに自分よりも美しく読みやすいページを作っていた。主人公の自尊心は傷つき、むつ美の謙虚な態度がさらに主人公をいら立たせている。
問七 (1) 壮太との会話の中に「いつもいっしょにいるさっちゃんとゆっこ」とあり、この二人が「取り巻き」だとわかる。
(2) 「美和子がいるところには、取り巻きの二人も必ずいる」ほどの関係なので、主人公がスムーズに行動できるように常に気を配っているのであろう。選択肢3の「常に美和子を恐れていて」が確認できるような場面は描かれていない。
問八 表紙も当然自分が担当すると思っていたのに、「なんでもひとりでやろうとしすぎ」などと痛いところを突かれ、むつ美に目立つ部分を取られそうになって焦っている。それ以上話を聞きたくないので、急いで席を立つ必要があったのだと考えられる。
問九 (1) 文の構成の順番を入れ替える「倒置法」が使われている。
(2) 学級員として、しおり作成委員会のリーダーとして皆を取り仕切ってきた自分に自信を持っていたが、むつ美がしおりの表紙を担当したらどうかいう話が出てきたことをきっかけに、それまで「うまくいっていた」という自負が失われつつある場面である。
問十 「堂々としていられた」「この人はおでこが狭い」など、主人公の落ち着いた冷静な目線が感じられる。それに比べて壮太は「うげえ」などと子供じみた声を上げており、二人の精神年齢の差が感じられる場面である。
問十一 直後で、その首の動きがピアノを弾いている愛季を見ていた時と同じであることが語られている。
問十二 修学旅行で自由行動を共にしようと壮太を誘ったのは、やはり主人公が壮太に多少なりとも惹かれていたからだと思われる。その壮太が愛季が同じグループにいるとわかったとたん同行を受け入れたことに、主人公は嫉妬したのだと考えられる。しおりの表紙のことも含めて、自信が大きく揺らいでいるのである。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
自分の中に「自己ルール」を作り上げる際には、他者と批評しあい「自己ルール」を交換
することで偏りに気づくことが重要である。その過程で得られる他者からの承認を人は欲
望するものであり、それは生の希望にも絶望の源にもなり得るのだと述べている。
問一 独善的――他人のことはかまわず、自分だけが正しいと考えるさま。
問二 「人間関係や社会をうまく調整するための知恵(道徳など)」を蓄えるには、「個々人がよく生きるための考えの成熟(自己了解)」があったほうがよいと考えられるので、やはり基本は後者の「自己了解の知恵」ということになる→選択肢4が合う。
問三 自己ルールを了解するには「批評する言葉」が必要だが、それはまず「批判する言葉」として獲得され、成長の過程(時間経過)で「批評する言葉(単なる好き・嫌い)」から「批評する言葉(好き・嫌いの理由を言える)」へと深まるのである。したがって空欄Ⅰは「批判する言葉」、空欄Ⅱは「批評する言葉」について書けばよいということになる。
問四 自己ルールには必然としてその人の「視線の偏差」が含まれる。それは相手と自分のルールを「鏡のように」見合わせてみないと気づけないものである。★部分の2番目の段落にそのような内容が示されているので、そこを抜き出す。
問五 感受性の眼鏡には色や歪みなどの偏りがあり、自分一人ではその偏りに気づくことはできないと筆者は述べているので、偏見について語っている生徒Bの意見が合う。
問六 自分で気づくことができない以上、その人にとってはその人の感受性の眼鏡でみている世界が(他人との比べ合いで異常に気づくまでは)「正常」なのである。
問七 他者による承認は「評価、賞賛、尊敬、配慮、愛情などの形をとる」とある。選択肢3は単に質問に答えただけなので、なんの承認にもなっていない。
問八 「取り替えられない」「唯一無二」などの類語と考えられるので「かけがえのない」が思い浮かぶ。
問九 ★部分で人間関係の基本原理は他者の承認を得たいという欲望であることが述べら
れている。しかし欲望は自分ではコントロールできず向こうから到来するものである。
それは生の希望とも絶望の源泉ともなりうる。以上のような流れから、コントロールで
きない人生に必要なものとして「欲望」と「他人」が似ていると論じているのである。
問十 自己ルールの偏りや歪みに気づかされた経験を思い出す。自分でも気づかなった思い込みや、親から教えられて無条件に信じてしまっていた行動規範など、他人と話すうちに自分の考えの狭さや方向違いに気づいた経験はだれしもあるだろう。
【大問三】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
1. 移植
2. 節穴――見る能力のない目のたとえ。物事の本質を見抜けないことを批判するときなどに使う。
3. 骨格
4. 劇薬――毒薬に次いで薬理作用の強い薬品。適切に使用しないと人体に害を及ぼす。
5. 故障
6. もんよう――装飾のためにつけられた図柄。
攻略のポイント
どの問題に限ってということではなく、全体として速さを求められる試験である。1年度3回分の過去問を活用して、読むスピード・設問を処理するスピード・書くスピードに慣れておこう。
本校の偏差値からすると問題の難易度自体は抑え目であるので、ともかく最後まで目を通し、答えられそうな問題には全て答えるようにしたい。100点を目指す必要はないので、時間がかかり過ぎると感じた問題は諦めるのも手である。文章量の多い同じ傾向の学校の過去問も利用したい。
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