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吉祥女子中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「吉祥女子中学校の理科」
攻略のための学習方法

女子進学校として着実に実績を伸ばし、東大合格者数においても全国レベルの学校となった吉祥女子中。今、好調の波に乗っている学校といえよう。

そんな吉祥女子中の理科は、二面性を持ったユニークな出題傾向を持っている。
分量はやや多め、大問4つは公平に4分野から出題されるなど、とりたてて変わったところはなく、表面的には典型的な入試問題に見えるところだが、設問間の難易度に大きな差があるところが特徴になっている。
もちろんどこの入試問題においても、前半はやさしく、後半は難しいというのが普通なので、当たり前と言われれば当たり前と言える。

しかし、この学校の場合、前半は本当に「基礎的な知識」を問う問題(小4生が解いても基本問題)で、後半は女子校の中でもかなり上位にランキングするレベルなのだ。
 
平成28年度の問題を例にとれば、大問3の(1)~(4)と(5)~(7)まで、大問4の(1)~(5)とそれ以降の設問では、前半は本当に基礎的な知識を問う設問、後半は考察力や計算力を必要とする設問になっている。そして、その間を埋める設問が存在しないという設定になっている。普通は、その中間レベルで入試の勝負が決まるのだ。
受験生としては、まず初めに「基礎的な知識」をしっかりと身につけたい。分野にかかわらず、暗記用として与えられた教材をくりかえすことでこの段階を突破しよう。

ここから先は受験生によりけりということになる。
理科が得意な生徒は、前半をきっちり解いたうえで、後半の難問にも手が出せるよう過去問を利用して応用力の充実を図ろう。ただし、難問と言えるレベルなので、自信をもって取り組めるようでなければならない。無理して挑戦する必要はないというわけだ。なぜなら、前半の設問を正解しておけば、それだけで合格点に迫れるからだ。

したがって、理科を多少苦手としている生徒は、後半の難問は追わないほうが良いと思う。理科を不得意としている場合は、たいてい基礎的な知識すら不十分な場合が多い。まずそちらの充実を急ぎ、あとは算数・国語・社会などで得点を取る・貯金することを考えたほうが良い。

理科ほどのやりにくさは他の科目には見られない。
もちろん余裕があれば後半の設問に挑戦することは歓迎する。その部分にこそ吉祥女子理科の醍醐味があるわけだし、解けた時の喜びが大きいからだ。

他に言えることは、問題数に比べて問題文の分量が多いので、過去問をしっかり解いて、時間配分や問題文の量にも慣れておこう。傾向を知ったうえで十分な対策を施しておかないと、模試などの偏差値で合格ラインに届いていても、思わぬ墓穴を掘ることがあるのが入試の難しさでもあるからだ。

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2017年度「吉祥女子中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

35分で大問は4,小問は30くらいと,設問は基本的なものが多いものの分量は多めだ。したがって,設問をテキパキとこなしていく必要があり,早く解くスピードが欲しい。

また、出題されている分野は一般的でも、設問の内容には個性的なものが多く含まれており、初見の問いも少なくないだろう。

そうした設問に対応できる柔軟さや、その中に含まれている計算問題もあまり苦にしない力が求められる。総じてハイレベルの学力がないと問題への対応は難しいだろう。

【大問1】物理(酸化と還元)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

前半が「還元」の実験、後半が「酸化」の実験結果から問題を解くようになっている。「還元」とは「酸化」の反対の現象だが、その言葉を知らなくてもまたその内容を知らなくても解けるようにはなっている。設問は全般に易しいのでここで得点を稼ぎたい。

(1)(2)は基本的な問いで迷うこともないだろう。

(3)も考察力が少しでもあれば書ける内容だ。

(4)は「酸化」の実験結果からの考察だが、当たり前の結論を答えておけばよい。

(5)(7)こそは、受験生活の間に何度も解いてきた典型的な計算問題。本当に基本的なものばかりなので全問正解を目指そう。

【大問2】生物(ヒトの血液の循環)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

知識を問うているものはベーシックなものばかりだが、(3)(5)の計算問題と(7)以降突如として現われる「薬の投与」に関する設問はほとんどの生徒がはじめて解いた内容だろう。これらの設問で得点に大きな差がつく可能性があるので要注意だ。。

(1)は常識的、(2)も選択肢は多いもののやはり譲渡期の範囲で答えられるだろう。

(3)からが本番。安静時と運動時の血液量に関する問題だ。

(3)は指示通り、25×0.04=1Lと答えよう。

(4)は安静時に脳に送られる血液量を求めて(3)の答えを割り、四捨五入して答えを出す。まさかいないとは思うが、「安静時で5L、運動時で25L」という血液量を見落とさないように

(5)は表を見れば「骨格筋と皮膚」であることは一目瞭然だが、計算がなかなか面倒くさいのでミスをしないように。

(6)(5)のおまけ。

(7)はさすがに予習したことのない内容だろうから、じっくり問題文を読み理解した上で正解を求めたい。
A
を答えるにはそのあとにある「分解」という言葉に注目。選択肢の中で「分解」を行う内臓は「肝臓」だけ。
B
は「血液の流れ」をもっとも有効に使えている方法を選べばよい。

試験会場で遭遇するとヒヤヒヤする問題が、面白い問題であることは間違いない。

【大問3】物理(磁石と電気)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

磁石の知識問題はサラッと解いてしまおう。(1)から(3)までは4年生でも答えられる。

ここでも本番は(4)以降。
物質には電気を通しやすいものと通しやすいものがある、これは小学生でも誰でも知っていることだ。しかし流しにくいものであっても電気を持つことがある、あたりから中学生で学ぶ内容を受験する小学生でもわかるように問題文がリードして後半の設問に挑ませるという大変ユニークな大問になっている。

したがって、比較的とっつきやすい大問12とことなり、若干の失点は免れないだろう。
(4)(5)
は正解できるとして、(6)(7)の正解を導けたかどうか。

【大問4】地学(地球の形や大きさ)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

まず前半は、「地球がほぼ球形」であるという前提で問題を解かしている。

(1)(2)は超基本であり、間違えられては困る。

(3)の計算問題も既視感ありか。半径をPとして
P×2×
円周率×(360分の7.2)=942から逆算すればよい。算数の問題としてみれば簡単な計算問題だろう。
後半は「地球を正確な球形」ではなく、「楕円体」として扱いながら問題を解かせるように変わっている。もちろん「楕円体」などという言葉は出てこないし、知らなくても問題には対応できる。

(4)の理屈をふまえると、地球はある一定の方向に引き伸ばされたような形であることがわかり、(5)はその推測を答えさせるようになっている。「満潮・干潮」の勉強のとき教わっている可能性はあるが。

(6)(7)ではさらに扁平率を持ち出してユニーク度を上げている。太陽系の惑星の中では木星の扁平率が最も大きく、木星は太陽系最大の惑星にもかかわらず、1日の長さが10時間しかない、というのは天体ファンなら知っていることかもしれない。

地球の扁平率を計算すると(21÷6378=)0.00329なので、これを上回る惑星(火星以遠全部)は、1日の長さが地球より短い、という知識も(7)の正解とともついてくる。

やはり、吉祥女子の理科は面白い。

攻略のポイント

テスト時間は35分で70点満点
 理科の合格点は50点くらいとなる。7割超の得点が必要だ。
 吉祥女子の問題では、設問に難易の差が大きいので、理科が多少苦手な生徒は大問の前半部分に当たる知識問題をしっかりと押さえていければなんとか7割に達すると思う。逆に理科が得意な生徒は大問後半部の難問にも果敢に挑戦し、55点以上の得点が稼げれば合格するための十分な貯金源となる。本年度は計算問題が例年ほどではないために平均点がやや高くなっている。60点も狙えるかもしれない。

しかしながら合格を確実にするためには,まずは基本的な知識の定着が必要不可欠である。理科の場合,全部がイヤということはあまりなく,分野によっての出来不出来・好き嫌いが分かれやすい。ここは現実の夢を叶えるために,少し我慢することを覚えて,直前はきらいな分野の丸暗記に努めよう。テストに出て,それによって合格点が取れたとすれば,少し好きになっているに違いない。

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