吉祥女子中学校 入試対策
2018年度「吉祥女子中学校の理科」
攻略のための学習方法
女子進学校として着実に実績を伸ばし、東大合格者数においても全国レベルの学校となった吉祥女子中。今、好調の波に乗っている学校といえよう。
そんな吉祥女子中の理科は、二面性を持ったユニークな出題傾向を持っている。
分量はやや多め、大問4つは公平に4分野から出題されるなど、とりたてて変わったところはなく、表面的には典型的な入試問題に見えるところだが、設問間の難易度に大きな差があるところが特徴になっている。
もちろんどこの入試問題においても、前半はやさしく、後半は難しいというのが普通なので、当たり前と言われれば当たり前と言える。
しかし、この学校の場合、前半は本当に「基礎的な知識」を問う問題(小4生が解いても基本問題)で、後半は女子校の中でもかなり上位にランキングするレベルなのだ。
※ ただし、最新の過去問(平成30年度)ではこの傾向から外れ、全体に基本的な設問に設定が変更になっている。問題文の分量・少しユニークな設問などは健在ではあるものの個性がかなり薄まったのも事実である。
平成28年度の問題を例にとれば、大問3の(1)~(4)と(5)~(7)まで、大問4の(1)~(5)とそれ以降の設問では、前半は本当に基礎的な知識を問う設問、後半は考察力や計算力を必要とする設問になっている。そして、その間を埋める設問が存在しないという設定になっている。普通は、その中間レベルで入試の勝負が決まるのだ。
受験生としては、まず初めに「基礎的な知識」をしっかりと身につけたい。分野にかかわらず、暗記用として与えられた教材をくりかえすことでこの段階を突破しよう。
ここから先は受験生によりけりということになる。
理科が得意な生徒は、前半をきっちり解いたうえで、後半の難問にも手が出せるよう過去問を利用して応用力の充実を図ろう。ただし、難問と言えるレベルなので、自信をもって取り組めるようでなければならない。無理して挑戦する必要はないというわけだ。なぜなら、前半の設問を正解しておけば、それだけで合格点に迫れるからだ。
したがって、理科を多少苦手としている生徒は、後半の難問は追わないほうが良いと思う。理科を不得意としている場合は、たいてい基礎的な知識すら不十分な場合が多い。まずそちらの充実を急ぎ、あとは算数・国語・社会などで得点を取る・貯金することを考えたほうが良い。
理科ほどのやりにくさは他の科目には見られない。
もちろん余裕があれば後半の設問に挑戦することは歓迎する。その部分にこそ吉祥女子理科の醍醐味があるわけだし、解けた時の喜びが大きいからだ。
他に言えることは、問題数に比べて問題文の分量が多いので、過去問をしっかり解いて、時間配分や問題文の量にも慣れておこう。傾向を知ったうえで十分な対策を施しておかないと、模試などの偏差値で合格ラインに届いていても、思わぬ墓穴を掘ることがあるのが入試の難しさでもあるからだ。
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2018年度「吉祥女子中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
35分で大問は4、小問は30強、設問は基本的なものが多いものの分量は多めだ。したがって、設問をテキパキとこなしていく必要があり、速読即解の力が必要だ。
ただし本年度は問題文自体は例年並みに長かったものの、聞かれている内容は基本的なものがほとんどで時間不足に陥ることはなかったと思われる。
また、例年難度の高い計算問題が出題されてきたのでこちらもまた迅速に対応できるスピード・パワーが必要だ。
【大問1】生物(呼吸)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
(1)~(3)は生物の呼吸についての基本知識とヒトの肺の模型を用いての設問だが6年生が解くにはあまりにも基本的な質問である。
(4)(5)は気体検知管に関する設問でこちらは実験器具に詳しくないと解けないかもしれない。
そしておそろしいことに、本年度のテストではこの設問がもっとも難度が高いシロモノなのだ。吉祥女子の理科、と覚悟を決めてきた生徒たちは解き進めていきながらある意味驚いただろう。しかしここではまだその実態はわからない。
(6)~(8)は、表で数字を与えられての計算問題だが典型的な基本問題で、間違えるとしたら計算ミスくらいであろう。四捨五入の位には注意して、くらいしか注意する点がない。
【大問2】物理(水の沸騰)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問題文は長く、図なども豊富なのだが質問のレベルが基本的なので考える時間はあまり必要なく、すいすい解けてしまう問題になっている。
(6)(7)(8)の設問には少し個性が感じられるものの選択肢を吟味して解答する時間は十分にありそうだ。ただし、点差がつくとするとこのあたりの出来不出来によるものだろう。
【大問3】地学(月の動き)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
天体の問題でも、月の動きの問題は「形」「時間」ともに変化するし受験生たちの苦手とする内容の1つと数えられるのだが、そういった生徒たちに基本問題として解かせたいと思わせるのがこの【大問3】だ。
日の出・日の入り・月の出・月の入りの表は1ヶ月ぶん与えられてはいるもののなんといっても設問が基本中の基本を問うものばかりで当の受験生たちも「ずいぶん易しいな」と思いながら正解を淡々と積み重ねたのではないだろうか。
(1)~(4)で、月の入りが翌日になる話題に触れているので、月が出ていた時間を計算させる設問があってもよさそうだが、それは問われていない。解答はすべて選択型で基本的な問題ばかりだ。
(5)を誤答した生徒は即座にテキストを10回くらい読み直すこと。
(6)も三日月とわかればやはり超基本。
(7)も(5)と同様、誤答した生徒はテキストに戻る!
(8)は「月が満月でも必ずしも月食が起こるわけではない」理由を選ばせる問題で、ウ・エで迷うところだろう。差がつくとすればこの設問か。
【大問4】物理(凸レンズ)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
テストの締めは「レンズ」である。本来ならば受験生を阿鼻叫喚の渦に巻き込むような難題が続くのだろうが、本年度の問題は拍子抜けする設問が並んでいると言ってよいだろう。
(1)虫メガネでは手前側に正立虚像ができるのでアを選択する。
(2)(3)は長い問題文と裏腹に聞かれていることは基本中の基本。
(4)もまたよほどレンズの苦手な生徒でなくては間違えようがない。
[実験2]においてようやく面白い表が与えられる([考えたこと]の部分)。しかし、順番に設問を解いていくことで理解が助けられる誘導型の問題だ。(5)で(A×B)÷(A+B)の値が何を指すかを問うのはかなりのヒントだと言えよう。
(6)は算数として考えると安易な問題。
(7)は(2)(3)と同様、基本中の基本といえる問題。
攻略のポイント
テスト時間は35分で70点満点。
理科の合格点は55点くらいと考えると、8割近い得点が必要になる。
例年のような問題構成ならばこの得点はなかなか手強く、理科の応用力まで持ち合わせた生徒でないとクリアは困難なのだが本年度の問題であれば小学5年生でもとれてしまいそうな水準の問題だった。一年だけの確変なのか今後の理科の水準はこうなるのかは判断しかねるが、理科をあまり得意としていない生徒には朗報だろう。
このレベルで推移とするならば、基本的な知識だけで十分に合格点はとれる。しかし来年度問題の揺り戻しも考えられるので、過去問も含めて「ホントはこわい吉祥女子の理科」にも十分触れておく必要がある。その場合、高度な計算問題への対応力も求められる。心してとりかかろう。
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