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駒場東邦中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「駒場東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法

駒場東邦中の理科の満点は80点、標準レベル以上の問題が並んでいる。特に今年度は昨年よりも問題の難度が上がっている。問題の形式としては、長めのリード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、計算問題や記述問題も含まれる。また、知識だけで解ける問題も多いが、やや細かい事柄まで問われることがある。夏までに正確で幅広い知識を固め、秋以降は問題演習をしっかり積み重ねて欲しい。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。今年度見られた時事問題の対策も行って欲しい。過去問演習では本校の過去問だけでなく、同レベル他校の入試過去問に幅を広げて欲しい。

<分野毎の学習法>

生物分野 本年度は大問では心臓のつくりに関する出題で、魚やワニに関する難問も含まれていた。小問ではウリ科の植物に関する基本知識について問われた。ここ数年では、フクジュソウについて、水中の生物と食物連鎖、里山の生物、動物の骨格、カイコガ、絶滅危惧種などの単元から出題されている。特徴としては、かなり細かい知識を問う問題が多い。
この分野の学習法としては、ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。その際、図鑑・資料集などで生物の色や形など特徴を確認しながら進めて欲しい。テキストに出てくる生物すべてについて確認すべきと言っても過言ではない。

地学分野 本年度の大問では星・星座・星座早見について、小問では気象についての出題であった。地層と化石についての出題であった。ここ数年では、地層、化石、川の流れの働き、気象(台風等)、天体(月食等)など幅広い単元からの出題が見られる。この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、星の名前と動き、月の動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて欲しい。月食・日食・台風・地層のボーリング調査・プレートと地震などかなり細かい知識も貪欲に吸収する姿勢が大切である。
さらに、入試直前期には時事問題対策も行って欲しい。

物理分野 本年は大問では音の速さについての計算問題、小問では電気に関する○×問題が出題された。ここ数年では、振り子の運動、浮力、てこのつりあい、密度、熱の移動、光、磁石と方位磁針、電熱線の発熱についてなどの出題があった。この分野の学習方法として、まずはばね・てこ・滑車・振り子・浮力など力のつり合いに関する計算問題の練習に時間をかけたい。電気・光・音などその他の単元についても、単に知識を覚えるだけでなく、問題演習に時間をかけて欲しい。

化学分野 今年度は大問でガスコンロによる水の温度変化をテーマとした出題され、かなりレベルの高い出題も含まれていた。小問は、ろ過の実験に関する基本問題であった。ここ数年では、物質の性質と判別、中和反応、ものの溶け方などに関する出題が見られ、いずれも実験結果について考察させるタイプの出題であった。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を早い段階で固めて欲しい。いかなる問題であったても、考える上での基本知識が身についていることが絶対である。その上で中和・溶解度などの計算問題や実験考察タイプの問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認して頂きたい。

過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。

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2024年度「駒場東邦中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は5、小問数は35程度で80点満点。試験時間は40分で例年通りであった。
合格者平均点は44.1点で、ここ何年かでは最も難しい入試であった。
実験や観察の結果を見ながら解き進める問題が中心で、適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題と出題形式は多様。基本知識問題も見られるが、かなり細かい知識を問う問題、思考力を必要とする問題も含まれている。問題数も多いので、40分という時間内で処理するためには、過去問等を使って時間を意識した問題演習をしっかり積んでおくことが不可欠である

【大問1】 小問集合

  • 難度:
  • 時間配分:4分
  • ★必答問題

(1) 電気に関する○×問題で易問。

(2) 雨量の単位はmm。たまった雨水の深さで表す。

(3) 日本国内の気象観測システムの名称は「アメダス」。
 
(4) ろ過の実験に関する選択問題。水溶液をろ過しても溶けている溶質を取り除くことはできない。

(5) ツルレイシとヘチマはともにウリ科の植物で、まきひげで茎を支える。
 
各分野からの小問集合でいずれも易問。駒場東邦受験生としてはここでは全問正答したい。

【大問2】 地学 星と星座・星座早見

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

(1) オリオン座の見え方についての選択問題。真ん中の3つ星とベテルギウス・リゲルなどその周囲の4つの星の傾き方がポイント。

(2) 夏の大三角は、わし座の「アルタイル」、はくちょう座の「デネブ」、こと座の「ベガ」。

(3) 地軸を伸ばした先にある「北極星」を中心にして星が回転しているように見える。

(4) 星座早見の東西南北の位置を答える問題。上を見上げて使うので、東西に対して北と南の位置が地図とは異なることに注意。
 
(5) 図に示された星座早見で、2月10日の0時に合わせると、3月20日の21時30分と一致する。

(6) 太陽の通り道(黄道)を星座早見に描いた図を選択する問題。北極星を中心として円を描いた図になる。

(7) 北極における星座の動きと星座早見に関する選択問題。北極では頭上に北極星が見え、星座は北極星を中心に回転して見える。見える星座は1年間ほとんど変わらない。
 
星と星座および星座早見に関する出題。(1)(6)(7)の選択問題はやや迷うかも知れないが、それ以外は易問。星座早見の使い方は実際に手に取って確認すること。

【大問3】 物理 音の速さ

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分

(1) 8分の1倍速における1.52秒は実際に葉1.52÷8より0.19秒。3m間隔で21人並んでいるので手を挙げたのは20人。この20人の先頭から最後の人まで57m。従って秒速は57÷0.19 より秒速300m。

(2) 「10回目」は「10回目に叩いた時間」であることに注意。190m進むのにかかった時間は10÷18 より5/9秒。従って、190÷5/9より、秒速342m。

(3) 1mの金属棒を通過するのに2/10000秒かかったので、1÷2/10000 より秒速5000m。

(4) 3.8/10000秒で1mの金属棒を1往復しているので、2÷3.8/10000より四捨五入して、秒速5263m。

(5) 金属棒をたたいてからオシロスコープの初めの山までの時間、山と山の間の時間、いずれも長くなる。

(6) ○×問題および記述問題。(4)で求めた方の数値が、純粋に金属棒の中を音が伝わる速度を測定している。
  
音の速さについての出題。3つある実験について、実験方法等の理解が第1のポイント。複数ある計算問題のうち(1)(2)は特に間違いやすいので注意が必要。

【大問4】 化学 ガスコンロによる水の温度変化

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

(1) ガスボンベ・ガスコンロについての選択問題。ガスは本来臭いがないが、安全のために臭いをつけている。

(2) ガスが燃焼してできた水蒸気ビーカーの側面で冷やされて水滴になった。点火後にくもったのだから、空気中の水蒸気ではないことに注意。

(3) 計算とグラフ作成問題。計算方法は問題文の中に書かれてある通りに。
:20.4÷8.5×7.0 より16.8  :14.3÷16.5×15.0 より13.0
グラフの縦軸を「湯が沸くガスの量」とし、計算で求めた2つの数値も利用して6本の棒グラフを作成すること。

(4) フタの有り無しでの違いに関する考察の選択問題。

(5) 記述問題。強火にしたとき、その炎が広がりすぎ、水を温めるのに使われない炎があるのに対し、中火の方が効率よく水を温めるために炎が使われたと考えらえる。

(6) 中火でフタをしているとき、水温が上がりきるまでに使用するガスは14.4g。弱火フタなしで9分間に使用するガスの量は、14.3÷16.5×9より7.8g。問題文より1.0gのガスが燃焼すると3.0gの二酸化炭素が発生するので、(14.4+7.8)×3より、四捨五入して67gの二酸化炭素が発生する。
    
ガスコンロによる水の温度変化がテーマの出題。データをまとめた表の中に「ガス使用量」「湯が沸くガスの量」など似たような用語が盛り込まれており、これらが意味するものは何か?を問題文から読み取ることができるかどうかがポイントとなる。

【大問5】 生物 心臓のつくりと働き

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

(1) 部分は左心室と右心室、部分は左心房と右心房。
 
(2) 記述問題。心臓を取り囲む毛細血管は、心臓を動かすための筋肉に酸素や栄養を運び、二酸化炭素やその他の不要物を受け取り運び去る。

(3) 心拍数と脈拍数は同じになるはず。

(4) 脈拍は動脈の動き。手首で脈拍を測るのは、動脈が皮膚に近いところを通っているからである。

(5) 魚の図の中から心房と心室の位置を答える問題。心臓から出た血液はえらに向かうので、えらにつながっている方が心室である。

(6) 魚の血液循環に関する選択問題。魚はえらで呼吸をしており、えらを通過した後の血液は酸素が最も多くなる。また、消化管で栄養を血液に取り込むので、消化管を出た直後の血液に最も多くの栄養が含まれる。

(7) ワニの心臓のつくりに関して、パニッツァ孔を流れる血液の向きを答える選択問題。

(8) 記述問題。ワニは爬虫類なので肺呼吸を行うが、水中にもぐっているときには肺呼吸ができない。従って、水中にもぐっているときには肺に血液を送る必要がなくなる。
     
人、魚、ワニを中心とした心臓のつくりに関する出題。(4)までの人の心臓に関する問題は易問だが、(5)以降の魚とワニについての問いは手ごわい。

攻略のポイント

本校理科の入試問題の特徴として、まずは正確な知識が要求されるということである。知識だけで解ける問題も意外と多いが、かなり細かい知識が問われる傾向にある。テキストに書かれてある基本知識については夏休み終了時点までにはしっかり身についていることが望ましい。その上で秋以降はその知識を運用するための問題演習に時間をかけたい。
演習の材料としては、過去問だけでなく問題集の応用問題や同傾向で同レベルの学校の過去問も活用したい。長めのリード文や実験・観察の結果を読んで考察するタイプ問題や、計算を必要とする問題の演習にしっかり時間をかけて欲しい。
試験時間は40分あるので慌てる必要はないが、問題文の読み取りや計算問題・記述問題に時間を要することを考えると、時間配分を意識した演習も十分に行う必要があろう。

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