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駒場東邦中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「駒場東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法

半分以上の問題は、受験用テキストに掲載されている問題がきちんと理解できるレベルまで学習できていれば解けるような水準に収まっている。まずは学習の初歩として、手持ちの問題集で理解があやふやな事項を積み残さないように演習と振り返りを徹底させよう。その際、ただ問題の正誤に着目するのではなく、設問ごとに鍵となる知識や考え方を整理し、自分の言葉でまとめるようにすると良い。記述問題への直接的な対策となるほか、論理的思考や知識の応用力を育むことで、「理科で差をつける」問題への対応力強化にも繋がるはずである。

また、知識問題についても注意が必要である。駒場東邦の入試はストレートな知識問題の比重が小さく、問われる知識も参考書に記載されているレベルを超えるものではないが、出題頻度があまり高くない分野が狙われている印象を受ける。特に生物分野では種の分類や生態、外見に関して問われる傾向にある。覚えにくい範囲なので、気をつけよう。他には、数値に関する知識も重要である。直接問われていなくても、答えを導く際に前提となる場合があるので、周期、分類、成分比に関する数字はなるべく頭に入れておくこと。

問題集の完成は理想を言えば夏休み中に、遅くとも9月までには仕上げて、過去問を含めた実戦的な演習に時間を割きたい。知識と読解を組み合わせて答えを推論する形式の問題では初見で正解へとたどり着く力が必要になる。この傾向は難関校の受験に概ね共通するので、様々な学校の入試問題を初見で解き、思考の引き出しを増やすのに役立てよう。その際、間違えた問題の考え方を「覚える」ことも必要だが、「どうすればその発想に辿り着けたか?」という視点で振り返りを行って欲しい。「出来るけどやらなかった試行作業」が見つかったなら、次に同様の設問や設定に遭遇したときに試してみることができるはずである。

また、駒場東邦の入試の厄介さは設問の難しさもさることながら、そのレベルに比して試験時間が短い点にある。ペースとしては1問あたり1分が目安となるが、当然のことながら、1分では考え切れないような問題も少なくない。確実に分かる問題の解答時間を極力短縮するとともに、時間がかかりそうな問題を一旦捨て置いて次の問題に着手する割り切りや、解くべき問題の取捨選択を正しく行う判断力が物を言う。よって、過去問演習の際には得点率だけでなく時間のかけ方や問題の取り組み順などにも留意し、「解けるはず」の問題の正答率が改善されるよう意識していきたい

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

生物分野

動植物の名前や分類だけでなく、その外見や生態まで知らなければ答えられないような知識問題が見られる。分類や生態については参考書などにまとめられている表を頭に入れておくことで対応は可能だが、代表的な生物については図鑑や動画で実物をしっかりと見ておくことを強くお薦めする。文字情報だけでは覚えにくい範囲なので、視覚情報と興味の力を借りて知識を定着させよう。他の設問は文章読解や図表の読み取りによって答えられる問題が多い。特別な対策が必要なレベルではないが、グラフや資料の読み取りに苦手意識がある場合は、そうした出題形式に特化した問題集で補強を図るのも一手である。

地学分野

難関校の天体分野は知識だけで解けないように作られており、天体の動きや見え方の背景にある物理的な原理の理解が必須である。天体の運行や光の当たり方を図上で捉え、現象を幾何的に説明できるような学習を心がけよう。地質や気象分野については、近年注目を集めている環境問題や自然災害の時事的な話題と結び付けられやすい。地震、津波、火山活動、温暖化、台風といった地学的現象のメカニズムや関連問題をしっかりと押さえたうえで、日々のニュースとその解説にも注意を払っておこう

物理分野

駒場東邦の入試問題では、出題が比較的定番の内容に収まり、未習の現象について文章を通じて理解しながら問題に答えるパターンは少ない印象を受ける。よって、まずは問題集の応用〜発展問題まできちんと仕上げ、入試において重要となる原則やセオリーを定着させることが肝要である。時間が許すのであれば、他の難関校の過去問にも取り組み、様々な問題の解法が限られた原則の応用へと収束させられることを確認できるとなお良い。その上で、物理的な原理によって理解される身の回りの現象や道具などについて、参考書や科学の解説コラムなどを通じて知識を得ておくと役に立つはずである。

化学分野

本年度は出題されなかったが、例年やや難度の高い計算問題が出題される分野である。化学反応や溶解については、テキストや過去問に掲載されている計算問題に取り組み、お決まりの処理方法に習熟しておくことが望ましい。また、知識問題も落とし穴になりがちである。特に、気体や水溶液、燃焼に関する分野では、語句や性質の知識だけでなく、物質の密度や成分比などについて、大まかな数値を覚えておきたい。性質についても、ムラサキキャベツ液の色変化など、出題頻度が低めの内容が問われる傾向にあるので、意識して学習しよう。

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2020年度「駒場東邦中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

5つの大問に対して制限時間は40分。解答箇所は全36箇所で、前年度と同水準であるが、計算問題の負荷が小さい分、時間的な余裕は増したはず。しかし、そうは言ってもじっくり考え尽くすのが難しいことに変わりはない。随所に精緻な思考を要求する問題が散在しているため、必要以上に引っ掛からないこと。

【大問1】小問集合

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

まず、実力差が反映されるのが(1)(7)である。他の問題は頻出の知識を問うものなので、ミス無く攻略できるかどうかが重要。

(1) 動植物の生態は純粋に知識の有無で勝負が決してしまう。参考書の内容や、問題集の解説にまとめられている表などの文字情報を頭に入れておくことも重要だが、まずは生物そのものにきちんと興味を持って欲しい。挙げられている生物の姿が思い浮かべられ、身の回りで見かけた記憶が辿れれば、より覚えやすくなる。

(4)② ガリレオによる落体実験のイメージを逆手に取った問題か。本来、物体の落下速度は質量や形状に左右されないのだが、それは空気抵抗の存在を無視した純粋理論である。面積の大きい物体など、空気抵抗を受けやすい物の落下には時間がかかるという実生活体験をきちんと踏まえられるかどうかが重要。

(7)② 1つずつじっくり検討していけば、駒場東邦受験生のレベルなら、もちろん答えは導けるだろう。ただ、ここでは攻略時間が重要であるから、問題の要点を簡潔に把握したい。で考えた通り、元のさおばかりで量れる最小の重さは点Cにおけるモーメントの大きさで決定される。15gよりも軽い物の重さが量れないのは、点Bで最低1×500=500のモーメントが生成されないと、はかりの左右が決して釣り合わないからである。よって、より軽いものを量ろうと考えれば、「a.Cにおけるモーメントを小さくする」か「b.Bで生じるモーメントを大きくする」ことを考えれば良い。aはおもりの重さを小さくすることによって、bは皿の重さを大きくするか、A-B間の距離が長くなるように点Aを左に動かすかすることで実現される。すなわち、いずれも正解である。

【大問2】二酸化炭素の性質

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

二酸化炭素に関する基礎的な知識を問う問題だが、(1)(4)には注意が必要。

(1) 落とし穴が仕掛けられている。燃やす前の模式図で間違える受験生はほぼ皆無だろうが、燃やした後の図を選ぶ際、「火が消えた=酸素が無くなった」と大雑把に考えてしまうと間違える。正しくは、「火が消えた=酸素が燃焼に必要な濃度を下回った」と考えなければならない。燃焼後の気体成分が酸素17%程度、二酸化炭素4%程度であることは参考書等において燃焼の単元導入時に紹介されるが、見落とされがちな数値である。しかし、入試では度々出題されるので要注意。

(4) 「科学的現象の発生要因の特定は、対照実験との対比を通じてのみ可能である」という原則を確認したい問題であろう。ここで問題とされているのは、「ドライアイスから二酸化炭素が発生するかどうか」ではなく、「発生する白い煙の原因が二酸化炭素か水か」である。したがって、二酸化炭素のみが発生し得る環境(油)と、水と二酸化炭素が発生し得る環境とを対比し、水が無ければ白い煙が発生しないことを確認する必要がある。実験では二酸化炭素の発生は証明できるが、それが白い煙として存在するかどうかは突き止められない。ただ、細かいことを言えば、実験においても証明できるのは「白い煙の発生には水が必要」という事実までである。白い煙の正体が水そのものであるのか、「水との反応によって生じた二酸化炭素なのか」というレベルで要因を分離することはできない。それでも、実験と比べると「より適切」であると判断すべきなのだが、白い煙の正体が水であることを知らなければピンと来にくい問題ではあるだろう。

【大問3】骨格

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分

骨格を主テーマとする出題の頻度は高くないが、知識が不十分であったとしても、図を参考にしたり、思考力を働かせたりすることで答えの見当はつけられる。

(2) 各関節の動き方を単純に知識として記憶している受験生は少ないだろう。よって、ここで必要なのは、自分の肩および肘(膝)関節の動きと、選択肢に示されている関節の動きとの対応を正しくイメージする力である。これを単純に知識問題として片付けてはならない。

(6) ヒトと他の霊長類との違いを問う問題として頻出である。本問は違いを述べるだけなので、1を参照することで比較的容易に答えられる。しかし、知識問題として問われることも多いので、ヒトの骨格構造の特徴および直立二足歩行を行ううえでの利点については、しっかりと押さえておきたい。

【大問4】月食

  • 難度:
  • 時間配分:11分
  • ★必答問題

単純な知識問題もあるが、ひと捻り加えられている。本年度の大問では最も精緻な思考力が問われ、実力差が反映されるだろう。特に(2)(3)(5)では設問の本質を掴む力が物を言う。

(2) 解答のポイントが「影のサイズ」にあることをすぐに把握したいが、イとウの違いへの注目が足掛かりとなるだろう。月にかかっている影の円弧を拡張して正円を描くと、では月に比べてはるかに大きな円となるのに対し、では大きさにあまり差異がない円が描けるはずである。の図に関しても同様に考えるとと同サイズの円が描けることから、この2つが答えであると判断できる。

(3) この問題で測定可能なものとして確定されているのは「(地球の影の直径):(月の直径)」である。よって、12の間で「(地球の実際の直径):(地球の影の直径)」を比較することにより、「(地球の実際の直径):(月の直径)」の大小を考えることが可能になる。1では(地球の実際の直径)>(地球の影の直径)であるのに対し、2では(地球の実際の直径)=(地球の影の直径)である。よって、(1で推定される地球の直径)>(2で推定される地球の直径)となるから、2で推定される地球の直径は、実際の地球の直径よりも小さく見積もられることになる。

(4) 月食は、月が地球の影に入ることで月そのものが光らなくなる現象であり、観測地点の違いにかかわらず同時に見られることが理解できていれば、時差の無い地域では同時刻に観察されるという正答に辿り着くのは難しくない。同じ理由で、が誤りであることも容易に分かるはずである。ここでは、の誤りが正しく指摘できて欲しい。月の公転面と地球の公転面が成す角度は一定ではない(この角度によって、満月が地球の影に入るか入らないかが決まる)。よって、月の軌道のうち、地球の影に含まれる弧の長さも、その角度に応じて変化する。

(5) 問題の文章をまともに理解しようとすると難しい。特にについては、「地球の影と月の動く速さが異なるのは『月が地球の周りを回っている』からです」という正答文の日本語が、一見意味不明である。おそらく、「地球の影と月の動く速さが同じなら、月は地球の周りを回れない」ということが言いたいのだろうが、この2文は論理的に同一ではない。本問の最も重要な教訓の一つは、「日本語表現が多少不自然であっても、それを理由に正解の候補から除外してはならない」ということであろう。もっとも、が地球の影の動きについて言及する文であることに着目すれば、少なくとも地球の自転が無関係であることは判断できるはずである。地球がその場に留まっている限り、自転の有無にかかわらず、地球の影が動くことはないからである。
本問ではがしっかりと理解できて欲しい。まず、1からわかるように、月は進行方向から地球の影に入っていくので、進行方向から欠け始めるはずである。ここで陥りやすいのが、「月は東から西へと動くので、西から欠け始める」と考えてしまう誤りである。「月が東から西へと動く」というのは、月そのものの公転運動ではなく、地球が西から東へと自転していることによる見かけ上の動きを反映している。単純化して言えば、月が地球の周りを公転せず、一箇所に留まっていたとしても、地球上では東の空から西の空へと動いて見えるのである。しかしながら、月も地球も動いていなければ、月が地球の影を通過するという現象は起こり得ない。実際には上述の通り、月が地球の周りを公転する間に地球の影を通過する際、進行方向から欠け始めるという現象が生じている。そこで、問題になるのが月の公転における進行方向である。1を見ればわかる通り、月の公転方向は地球の自転方向と同じであるから、自転していない地球から見ると、西の空から東の空へ向かって移動することになる。よって、地球の影に入って欠け始めるのは東側であるとわかる。なお、この捉え方は地球の影が静止していることを前提としているが、実際には地球も公転するため、月の進行と同方向に影は移動する。しかしながら、月の公転が27.3日で360°のペースであるのに対し、地球の公転は365日で360°であり、月の方が圧倒的に速い。よって、月が地球の影に追いついて進行方向から欠け始めるという点に変わりはない。

【大問5】密度

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

(5)で若干の思考力が要求されるものの、全体としては初歩的な内容で答えやすい。少なくとも(1)(4)で計算ミスや不注意による失点を犯さないように。

(3) 砂糖水の方が水よりも重いので、砂糖水が下に、水が上になるように注ぐと、重さの違いによる混交は生じない。溶けている砂糖が重力とは無関係に拡散するので、最終的に2つの層は同化して均一な溶液となるが、拡散だけだと時間を要する。一方、砂糖水が上になるように注ぐと、密度の大きい砂糖水は即座に下方へと沈み込むため、2層は維持されないまま混交されてしまう。

(5) 水に入れた氷がとけるのは、水(15℃)の温度が氷よりも高く、水から氷へと熱が伝わって氷が融点に達するからである。一方、熱を奪われた水は温度が下がることで密度が大きくなり、コップの下方へと沈み込む。すると、相対的に温度の高い水が氷の周縁まで上昇するため、氷をとかすための熱が新たに供給されることになり、氷の融解が進みやすい。ところが、オレンジジュースのような水溶液は密度が大きくなるため、氷によって冷やされた水が沈降しにくい。そのため、下方からの温かい水の供給が妨げられ、氷の融解に時間がかかるようになる。

攻略のポイント

ここ数年間の傾向の推移を見ると、計算問題の比重が小さくなっている一方、初歩的なレベルの設問が増え、総合的に見れば解きやすい問題へと変化している印象を受ける。しかし、設問単位で見れば、しっかりとした思考力や理解が備わっていなければ引っ掛けられてしまうような問題が散りばめられており、高得点を取ろうとするとかなりの実力が必要になる。まず、合格のボーダーライン確保という観点から見ると、初歩的なレベルの問題で取りこぼさないことが肝要である。計算問題も「必答」のカテゴリに入れておきたい。合否の分水嶺は、知識問題や、基礎的な知識と問題文・図表から簡単な推論を要求する問題への対応力にある。特に、生物に関する知識問題は例年やや細かい知識が問われているため、対策の徹底度が得点差に影響し得る。ここまでが「合格ライン」を意識したポイントである。さらに、理科で「差をつける」ためには、文章や図表でヒントが与えられなくとも、科学的諸現象について、原理の説明や実験結果の考察ができるレベルの理解力が必要となるが、まずはボーダーラインの突破を目標に取り組むのが現実的であろう。

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