駒場東邦中学校 入試対策
2022年度「駒場東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法
駒場東邦中の理科の満点は80点、標準レベル以上の問題が並んでいる。問題の形式としては、長めのリード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、計算問題や記述問題も含まれる。また、知識だけで解ける問題も多いが、やや細かい事柄まで問われることがある。夏までに正確で幅広い知識を固め、秋以降は問題演習をしっかり積み重ねて欲しい。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行っていこう。今年度見られた時事問題の対策も行って欲しい。過去問演習では本校の過去問だけでなく、同レベル他校の入試過去問に幅を広げて欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は水中の生物と食物連鎖に関する出題であった。記述問題を含め、ややレベルの高い出題であった。ここ数年を見ると、里山の生物、動物の骨格、昆虫などの単元から出題されている。特徴として、かなり細かい知識を問う問題が多い。例えば、カイコガの卵の形状・絶滅危惧種についてなど。
この分野の学習法としては、ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。その際、図鑑・資料集などで生物の色や形など特徴を確認しながら進めて欲しい。テキストに出てくる生物すべてについて確認すべきと言っても過言ではない。
地学分野 本年度は川の流れの働きについての出題であった。基本的な知識とグラフや図を読み取る力が試される内容であった。ここ数年では、気象(台風等)・天体(月食等)・地層など幅広い単元からの出題が見られる。この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、星の名前と動き、月の動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて欲しい。月食・日食・台風・地層のボーリング調査・プレートと地震などかなり細かい知識も貪欲に吸収する姿勢が大切である。
さらに、入試直前期には時事問題対策も行って欲しい。
物理分野 本年は電流と発熱に関する出題で、実験結果の分析と計算力が必要な出題であった。ここ数年では、浮力、てこのつりあい、密度、熱の移動、光、磁石と方位磁針についてなどの出題があった。この分野の学習方法として、まずはばね・てこ・滑車・振り子・浮力など力のつり合いに関する計算問題の練習に時間をかけたい。電気・光・音などその他の単元についても、単に知識を覚えるだけでなく、問題演習に時間をかけて欲しい。
化学分野 今年度は重そうの性質と中和に関する出題であった。ここ数年では、ものの溶け方・中和反応などに関する出題が見られ、いずれも実験結果について考察させるタイプの出題であった。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を早い段階で固めて欲しい。いかなる問題であったても、考える上での基本知識が身についていることが絶対である。その上で中和・溶解度などの計算問題や実験考察タイプの問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認しておこう。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用しよう。
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2022年度「駒場東邦中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5題、小問数は35題程度で80点満点。試験時間は40分で例年通りであった。
合格者平均点は58.5点で昨年と同程度、7割以上の得点が求められる。
実験や観察の結果を見ながら解き進める問題が中心で、適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題、グラフや絵を描く問題と出題形式も多様。基本知識問題も見られるが、計算問題や思考力を必要とする問題が多く含まれており、問題数が多いので、時間内で処理するためには、過去問等を使っての問題演習をしっかり積んでおくことが不可欠である。
【大問1】小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1) (葉の上面1㎟あたりの気孔の数+葉の下面1㎟あたりの気孔の数)×葉1枚の表面積の計算結果で比べればよい
(2) ロゼットの姿のセイヨウタンポポの絵を選択する問題。
(3) 線状降水帯を作り激しい雨を降らせる雲は積乱雲。
(4) 水が氷になると、体積は増加する。水に浮かんでいる氷が解けても水面の位置は変わらない。
(5) アルコール温度計で沸騰水の温度を測る方法についての問題。温度計の液柱部分が沸騰して発生した水蒸気の中にしっかり入っているようにすればよい。
(6) 豆電球の明るさについての問い。電池を並列につないでも豆電球の明るさは変化しない。
(7) 火力発電についてのイメージ図を見ながら、発電のメカニズムについての文の穴埋めをする問題。
(8) 時事問題。ハヤブサ2が試料を採取したのはリュウグウ。イトカワではないので注意。
昨年は無かったが今年度復活した小問集合。各分野から出題されており。基本知識が身についていれば解答できるものが中心。駒東受験生であれば、ここで確実に得点を伸ばしておきたい。
【大問2】化学 重そうの性質と中和
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1) レモン汁は酸性なので、重層によるアルカリ性が中和され、さらにレモン汁を加えると酸性に変化する。
(2) 水酸化ナトリウムはアルカリ性、塩酸を加えるとアルカリ性→中性→酸性 と変化する。BTB液はアルカリ性で青、酸性で黄色。青色リトマス紙が炭酸水により赤色に変化するのも同様の変化と考えてよい。
(3) 重そうの加熱で発生する気体は二酸化炭素。
(4) 炭酸ナトリウムが水に溶けると、重そうよりも強いアルカリ性を示す。
(5) 200gの水溶液の1/11が溶けている重そうの重さ。1/10ではないので注意。小数第1位を四捨五入して整数で答えること。
(6) 記述問題。(3)(4)が大ヒント。加熱により重そうが水に溶けやすい炭酸ナトリウムに変化したと考えられる。
(7) 胃薬の中の重そうは酸性の胃液を中和させる働きがある。
重そうの性質と中和に関する出題。計算問題が1題含まれているが典型題で難問ではない。他は知識問題と考察力が必要な問題。持っている知識を使い、問題文の流れに従って考えること。知識不足による失点は絶対に避けたい。
【大問3】生物 水中の生物と食物連鎖
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
(1) ミジンコは動物プランクトンで、植物プランクトン(クンショウモ・ミドリムシなど)を食べる。
(2) 生物間の「食べる・食べられる」の関係を「食物連鎖」と呼ぶ。
(3) 水面付近で生活する生物として、アメンボ・ウキクサがあげられる。
(4) ハマダンゴムシについての記述問題。波乗り行動をすることにより、長い距離を移動することができる、といった内容を記述すること。
(5) 脊椎動物であるカメ、クジラ、シャチを選択すればよい。
(6) 記述問題。魚が食べたエサの中にプラスチックが入っている可能性がある。
(7) 深海の底で暮らしている生物を答える問題。タカアシガニなど。これは解答が思いつかない人が多いと思われる。
(8) プラスチックごみが深海まで達した理由についての記述問題。海藻などの付着物によって重くなったことなどが考えられる。
水中生物と食物連鎖に関する出題。知識の選択肢問題は難度は低いが、3問ある記述問題と(7)の深海の生物を答える問題は難度が高い。
【大問4】地学 川の流れの働き
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1) 水の流れが岩石の表面を削るのは「浸食作用」
(2) 記述問題。温度変化によって体積の大きな変化により、鉱物と鉱物の間にすき間ができやすくなる。
(3) 上流は角ばって大きな石が多いが、流れる水の働きを受けると、丸みを帯びた小さな石が多くなる。
(4) 実験結果から粒の大きさと粒が流れ始める流れの速さのグラフを選択する問題。粒の大きさが中くらいの砂の流れ出す速さが一番遅いことに注意。
(5) 川の曲がっているところの深さを図で示す問題。外側の流れが速く深くなる。
(6) 三日月湖ができる過程の絵を並べ替える問題。
川の流れの働きに関する出題。知識問題とグラフや絵を見て考える問題が中心。記述問題も含まれるが、難問ではない。
【大問5】物理 電流と発熱
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
(1) グラフの作成問題。横軸は水の量、縦軸は温度を1℃上昇させるのに必要な時間。時間の単位が秒であることに注意すること。
(2) グラフより、100gの水を1℃上昇させるのに50秒かかかるので、水10gあたり5秒で1℃の水温上昇になる。
(3) 水温と金属の温度が等しくなるのを待ってから実験を行っている。
(4) 実験結果から、水よりも金属の方が温まりやすいことがわかる。
(5) 実験結果の水100gに金属100gを入れて合計200gにしたものを加熱した時と、水だけを加熱した時を比較してみる。水100gと金属100gでは5分間に5℃上昇している。一方、水150gを5分間加熱すると4℃上昇しているので、水120gを5分間加熱すると5℃上昇する。この結果より、金属100gが水20gに相当していることがわかる。
電流と発熱による出題で、実験結果の読み取りと考察が中心の問題。(5)は難問。(4)までは確実に正答しておきたい。
攻略のポイント
本校理科の入試問題の特徴として、まずは正確な知識が要求されるということである。知識だけで解ける問題も意外と多い。テキストに書かれてある基本知識については夏休み終了時点までにはしっかり身についていることが望ましい。
秋以降は、過去問や難度の高い問題演習を通して実践力を身につけたい。長めのリード文や実験・観察の結果を読んで考察するタイプ問題や、計算を必要とする問題の演習にしっかり時間をかけて欲しい。
試験時間は40分あるので慌てる必要はないが、問題文の読み取りや計算問題・記述問題に時間を要することを考えると、知識問題等できる問題はてきぱきと解き進めたい。
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