駒場東邦中学校 入試対策
2023年度「駒場東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法
駒場東邦中の理科の満点は80点、標準レベル以上の問題が並んでいる。問題の形式としては、長めのリード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、計算問題や記述問題も含まれる。また、知識だけで解ける問題も多いが、やや細かい事柄まで問われることがある。夏までに正確で幅広い知識を固め、秋以降は問題演習をしっかり積み重ねて欲しい。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。今年度見られた時事問題の対策も行って欲しい。過去問演習では本校の過去問だけでなく、同レベル他校の入試過去問に幅を広げて欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は大問ではフクジュソウについての出題で、知識問題としてはレベルのやや高い内容であった。また小問では、人のからだの働きとアゲハチョウの羽化について出題された。ここ数年では、水中の生物と食物連鎖、里山の生物、動物の骨格、昆虫などの単元から出題されている。特徴としては、今年度のようにかなり細かい知識を問う問題が多い。例えば、カイコガの卵の形状・絶滅危惧種についてなど。
この分野の学習法としては、ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。その際、図鑑・資料集などで生物の色や形など特徴を確認しながら進めて欲しい。テキストに出てくる生物すべてについて確認すべきと言っても過言ではない。
地学分野 本年度の大問では地層と化石についての出題であった。記述問題もあり、ややレベルの高い設問も見られた。小問では時事的な知識を問う内容の出題が見られた。ここ数年では、地層、川の流れの働き、気象(台風等)、天体(月食等)など幅広い単元からの出題が見られる。この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、星の名前と動き、月の動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて欲しい。月食・日食・台風・地層のボーリング調査・プレートと地震などかなり細かい知識も貪欲に吸収する姿勢が大切である。
さらに、入試直前期には時事問題対策も行って欲しい。
物理分野 本年は振り子の運動に関する出題で、比較的考えやすい内容であった。また、小問ではてこのつり合いと浮力についての計算問題が出題された。ここ数年では、浮力、てこのつりあい、密度、熱の移動、光、磁石と方位磁針、電熱線の発熱についてなどの出題があった。この分野の学習方法として、まずはばね・てこ・滑車・振り子・浮力など力のつり合いに関する計算問題の練習に時間をかけたい。電気・光・音などその他の単元についても、単に知識を覚えるだけでなく、問題演習に時間をかけて欲しい。
化学分野 今年度は物質の性質と判別についての出題で、化学計算の問題は出題されなかった。ここ数年では、中和反応、ものの溶け方などに関する出題が見られ、いずれも実験結果について考察させるタイプの出題であった。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を早い段階で固めて欲しい。いかなる問題であったても、考える上での基本知識が身についていることが絶対である。その上で中和・溶解度などの計算問題や実験考察タイプの問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2023年度「駒場東邦中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5題、小問数は35題程度で80点満点。試験時間は40分で例年通りであった。
合格者平均点は55.5点で昨年と比べると若干難化しており、7割程度の得点が求められる。
実験や観察の結果を見ながら解き進める問題が中心で、適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題と出題形式も多様。基本知識問題も見られるが、かなり細かい知識を問う問題、思考力を必要とする問題が含まれており、問題数が多いので、時間内で処理するためには、過去問等を使っての問題演習をしっかり積んでおくことが不可欠である
【大問1】 小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1) Aは胃。Bは大きな臓器で肝臓。門脈を通って小腸から流れてくる血液中の栄養をいったん蓄える。Cは左右に2つあり腎臓。血液中の不要物をこしとる働きがある。Dは脊椎であり、体を支えている。
(2) アゲハチョウの羽化の様子を選択する問題。
(3) 新型宇宙望遠鏡の名前は「ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡」
(4) 小惑星探査機「はやぶさ2」に関して。生きているバクテリアは発見されていない。
(5) この洗剤の成分である塩酸はアルミニウムを溶かす。
(6) 凸レンズの焦点距離より遠いところに物体を置くと、倒立の実像ができるので、上下左右ともに逆さまになって見える。
(7) てこのつり合いと浮力に関する問い。おもりA・Bともに体積は10㎤なので、水に完全に浸かると10gの浮力が働く。従って、おもりの左端には20g、おもりの右端には70g、ぼうの重心にはぼうの重さである10gが加わっていると考えられる。このとき、糸には100gの重さがかかっていることになる。棒の右端を支点とし、支点から糸までの長さを求めると、(40×70+20×10)÷100 より、30cmとなる。
各分野からの小問集合。(2)(3)の知識問題は日頃から自然や科学に興味を持っているかを問う問題。それ以外は確実に正答して欲しい。
【大問2】 化学 物質の性質と判別
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1) 溶け残りのない水溶液は「透明」である。
(2) 赤色リトマス紙が青く変化したことからアルカリ性。
(3) 炭素が含まれている物質を燃焼させると黒くこげ、二酸化炭素が発生する。植物は光合成を行うために二酸化炭素を吸収する。
(4) A:水溶液がアルカリ性になることから「消石灰」
D:溶け残りがあり黒くこげたことから「小麦粉」
実験①~③で判別できなかったBとCについて実験④を行った。
C:温度によって溶ける量がほとんど変わらないことから「食塩」
(5) 記号選択と記述問題。食塩の水溶液は加熱しても黒く焦げないが、砂糖は炭素が含まれており黒くこげる。
物質の性質と判別に関する出題。基本知識問題と実験結果から物質名を考察する問題。駒場東邦受験者にとってはいずれも易問。確実に正答したい。
【大問3】 地学 地層と化石
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
(1) サンゴが示す環境は「暖かく浅い海」。
(2) 示準化石となる生物の特徴として、特定の時期だけに広い範囲に生息していた
ことがあげられる。
(3) 記号選択問題。「眼・口・かたい殻・トゲ」などから、他の動物を食べる・食べられないように身を守るといった関係があったと考えられる。
(4) 絵で示された古生代の化石はサンヨウチュウ
(5) アンモナイトの化石は日本でも発見されている。
(6) 記述問題。サメの骨は軟骨であり、化石として残りにくい。
(7) 記述問題。「世界中の化石」より、食べもの・当時の環境と進化の過程・体の大きさなどを比較することができる。
地層と化石についての出題。(1)(2)(4)(5)は易問。逆にそれ以外は記述問題もあり、考察力が必要なレベルのやや高い内容。
【大問4】 生物 フクジュソウ
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
(1) フクジュソウ・ウメ・アブラナは双子葉類で離弁花。
(2) 早春に花を咲かせ初夏には葉を落とす植物は「カタクリ」。
(3) ハナアブとはたらきアリでは口の構造が違う。
(4) 花粉をえさとしている。本文中の「みつはありません」より、みつはえさにはならないことに注意。
(5) 選択肢の中から痩花を選択する問題。
(6) 記述問題。アリ以外の生物に種子全体が食べられてしまうことを防いでいる。
フクジュソウに関する出題。知識問題が中心であるが、フクジュソウはテキスト等で学習する機会があまりない植物なので、知識問題とは言っても得点しにくい問題が並んでいる。
【大問5】 物理 振り子の運動
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1) 実験結果の表より、「振り子の長さが2×2の4倍になると、10往復にかかる時間が2倍になる」とわかる。振り子の長さが45cmのとき10往復にかかる時間が13.5秒なので、27秒はその2倍、従ってその時の振り子の長さは45×2×2より180cm。また、振れ幅が変わっても10往復にかかる時間は変わらない。
(2) 最初に勢いをつけてはなしても、一度最高点に達した後は、10往復にかかる時間は表の数値と同じになる。
(3) 1秒間で考えると、Aは48÷60より0.8回、Bは60÷60 より1回往復する。5秒間でAは4回、Bは5回往復し、Bが1回多くなる。
(4) 表より、はなす高さが4倍になると速さが2倍という関係が読み取れる。はなす高さをX再下点の速さをYとすると、XとY×Yが比例に近い関係になる。
(5) 再下点ではおもりは前方に進もうとしているので、水平方向に飛び出したあと次第に落下していく。最高点に達した時は一瞬おもりが止まるので、真下に落下する。
振り子の運動に関する出題。実験結果について考える問題が中心だが、振り子の基本的な性質から外れた内容はなく、考えやすい出題になっている。
攻略のポイント
本校理科の入試問題の特徴として、まずは正確な知識が要求されるということである。知識だけで解ける問題も意外と多いが、かなり細かい知識が問われる傾向にある。テキストに書かれてある基本知識については夏休み終了時点までにはしっかり身についていることが望ましい。その上で時事問題も含めて知識の幅を広げる学習も行って欲しい。
秋以降は、過去問や難度の高い問題演習を通して実践力を身につけたい。長めのリード文や実験・観察の結果を読んで考察するタイプ問題や、計算を必要とする問題の演習にしっかり時間をかけて欲しい。
試験時間は40分あるので慌てる必要はないが、問題文の読み取りや計算問題・記述問題に時間を要することを考えると、時間配分を意識した演習も十分に行う必要があろう。
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