※以下、本年度の注意すべき設問をいくつか検証してみる。

[問１(２)]　｢下線部に関連しての説明記述設問｣(字数制限なし。解答欄１行＝30～40字程度。以下、同じ)。｢地理｣。
｢主要産業を変化させながら生産力をあげてきた日本の工業｣に関連して示されている４つの｢工業別工場の分布地図｣について、｢1980年代後半｣以降増加してきた｢ＩＣ関連工場｣の｢分布｣は､｢日本全体の産業の発展において、どのような役割を果たしたか｣を説明する。本問(１)で、他の３つ(｢製鉄所｣｢石油化学工場｣｢自動車工場｣)も含めて｢分布地図｣は特定できているはずだ(これは易しいので｢正解｣で当然)｡｢ＩＣ関連工場｣が｢他の分布｣と異なっている点は一目瞭然。他の３つが｢太平洋ベルト地帯｣なのに対して、｢九州中南部｣(｢シリコンアイランド｣)や｢本州内陸部｣(｢シリコンロード｣など)にも点在している点だ。もう分かったはず。あとは｢過不足なく｣まとめること。たとえば、｢太平洋ベルト地帯以外の地域や内陸部に進出し、発展が遅れていた地方を活性化させる役割。｣といった｢答え｣になる。｢分布図｣の共通点と相違点に着目すること。
＜時間配分目安：２分半＞

[問２]　｢下線部に関連しての選択肢及び説明記述設問｣(全４問で解答数は６。｢説明記述｣は２問でともに｢字数制限なし｣)。｢地理｣。
本小問は｢千葉県佐倉市｣の｢1973年｣と｢2005年｣の｢地形図｣からの出題。様々な視点からの問題がある。本校では｢地形図｣は必出。とにもかくにも､細部を含めて｢変化｣を正確に読み取ることが求められている。尚、[(４)-(ⅲ)]は｢統計資料｣(佐倉市の｢総人口及び老年人口割合の推移｣)の読み取りをふくめての｢説明記述｣(70字ほどの解答欄)、なかなかの難問だ。いわゆる｢買い物難民｣に着眼できるかがポイントとなる。過疎化の進行で近所の商店街がなくなる一方で､郊外の大型ショッピングセンターが増えているという状況で､自動車の運転ができないなど移動手段の限られる高齢者が生活必需品の購入にも困る｢買い物難民｣の問題、｢時事問題｣としても要注意だ。
＜時間配分目安：６分以内＞

[問３(２)]　｢下線部に関連しての条件付き事項記述設問｣。｢歴史｣。
示されている｢史料(1924年に出された東京市長の宣言)｣の下線部(い)｢あらゆる困難｣について、｢具体例を１つ｣答える。｢条件｣は｢昨年(1923年)の災害｣が起きる以前の｢町の地図｣と､｢災害後の道路整備などが行われた後の地図｣を比較すること。｢1924年｣の｢昨年｣＝1923年の｢東京｣の｢災害｣＝｢関東大震災｣だということはすぐに分からなくてはいけない。その上で、｢地図｣を比較すると、はっきりと分かるのは｢災害後｣は｢公園の面積｣が大きくなり、｢道路の幅｣が広がっていることだ。何を意図したのか？　｢関東大震災｣の犠牲者の多くは｢火災｣によるものだということは知っているはず。ということは、そう、｢火災の延焼｣を防ぐためだ。なので、たとえば、｢地震で発生した火災の延焼｣といった｢答え｣だ。ちなみに、江戸時代の｢享保の改革｣での｢火除け地(ひよけち)｣｢広小路(ひろこうじ)｣なども関連して確認しておきたい。
＜時間配分目安：１分＞

[問４(２)]　｢下線部に関連しての説明記述設問｣(字数制限なし。解答欄１行)。｢歴史｣。
示されている｢絵図(江戸時代に描かれた『織田信長と戦う一向一揆の様子』)｣について、この｢絵図｣は｢『江戸時代の人々が農民の一揆に対して持つイメージ』をそのまま描いていて、『織田信長の時代の一揆を指す図』としてはふさわしくないが、なぜ、江戸時代ではこのようなイメージに変化したのか｣を説明する。｢条件｣は｢変化のきっかけとなったできごと｣を答え､説明すること。何やらややこしいが、｢設問｣を正確に理解することが大前提。｢農民の一揆｣に対して、｢江戸時代｣には｢信長の時代｣とは異なった｢イメージ｣があったということがポイントだ。本問(１)で問われているように、この｢絵図｣で戦っている人々は｢太鼓や旗、竹やり｣の他には｢農具｣(＝本問(１)の｢答え｣)しか持っていない。つまり、｢江戸時代の人々が農民の一揆に対して持つイメージ｣にはいわゆる｢武器｣といえるものがないということだ。そして、実際の｢信長の時代｣はそうではなかったのだ。なぜか？　｢信長｣→｢秀吉｣→｢江戸時代｣という流れ。であれば、もう分かったはずだ。そう、｢刀狩り｣だ。あとは、｢過不足なく｣まとめていきたい、たとえば、｢信長の後､秀吉によって刀狩りが実施され、江戸時代には農民は武器を持っていなかったから。｣といった｢答え｣だ。｢設問内容｣を整理するとともに、｢設問どうしの関連｣にも着目すること。尚、本問にもあるように、｢一揆｣とは｢ある目的のために一致団結することを神に誓った組織(集団)｣のことであり、｢一揆｣を｢起こす｣ではなく｢結ぶ｣という表現が適切だと認識しておくこと。
＜時間配分目安：３分＞

[問６(３)]　｢下線部に関連しての図中の空所補充選択肢設問｣(４択)。｢公民｣。
｢『国民主権』についてまとめた図｣からの問題。｢国民→裁判所｣に関して、｢司法への国民参加｣の説明を答える。各選択肢を確認すると全て｢国民審査｣と｢裁判員制度｣の説明だと分かる。そこで、それぞれの説明の細部に注意しながら、不適切なものを｢消去｣していく。選択肢(ア)⇒｢裁判員制度｣について｢国民だけで｣＝｢不適切｣(｢裁判官とともに｣が正しい)､(ウ)⇒｢国民審査｣について｢すべての裁判官｣＝｢不適切｣(｢最高裁判所裁判官｣が正しい)､(エ)⇒｢裁判員制度｣について｢家族や知人のあいだで起きた争いごと｣＝｢不適切｣(｢重大な刑事裁判の第一審｣が正しい)｡ということで、｢答え｣は(イ)の｢最高裁判所裁判官に対する国民審査と、一般の国民が裁判官といっしょに罪の有無や重さを決める裁判員制度｣になる。とにかく､細心の注意を払うこと。｢合格の女神は細部に宿る｣と心得よ。
＜時間配分目安：１分＞

[問８(１)]　｢下線部に関連しての選択肢設問｣(４択)。｢時事｣(｢割合｣計算)。
示されている｢2014年衆議院議員総選挙の『投票率』および『政党別得票率』｣の表について、与党となった｢Ａ党｣と｢Ｄ党｣の政権は、｢選挙権を持つ国民全体の約何％の支持を得たか｣を答える。｢Ａ党｣と｢Ｄ党｣の｢得票率｣の単純な合計は｢46.82%｣となるが､｢投票率｣が｢52.65%｣なので、｢選挙権を持つ国民全体｣(要は｢全有権者｣)に対する｢割合｣は､｢0.5265｣×｢0.4682｣＝｢0.2465……｣｡従って、｢答え｣は選択肢｢(ア)｣の｢約25%｣となる。計算間違いには十分注意すること。ちなみに、近年の｢国政選挙｣の｢投票率｣は｢50%台｣と低調で、2016年の｢参議院議員選挙｣も過去２番目に低い｢54.7%｣だったことは押さえておきたい。
＜時間配分目安：１

分半＞