攻玉社中学校 入試対策
2024年度「攻玉社中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇分析
本校の試験は、漢字・知識の独立問題で3題、物語文・説明的文章の読解問題が2題という形が多い。
物語文は、大正~昭和前期の近代文学からの出典が多く、2020年度は久米正雄『金魚』(1924年)が用いられた。2021年度は村山由佳『約束』・2022年度は北沢あたる『なつのかけら』といった近年の作品が使われており、今後傾向が変わるかもしれないので注意しておこう。説明的文章はかなり難度の高い言葉や概念が用いられるものがあり、問題の難易度としても物語文より難しい印象である。
2017年度では2題合わせて約12000字と最難関校をも凌ぐほどの文量であったが、2022年度は計7700字ほどで文量が抑えられた。そして2023年度では約11000字とまた増えて、2024年度ではおよそ6700とまた減っている。傾向に注意しつつ、おそらくは9000~10000字程度を目標とした対策が必要になると思われる。
ただし、試験全体としてみれば難易度自体はそれほど高くない。偏差値相当の実力があれば無理なく答えられる難しさである。設問は、選択式問題・書き抜き問題が多く出題されている。
選択式問題は、五択であり文字数の多いものもあるため、やや手間がかかる。紛らわしい内容にはなっていないので、読解ができていればあまり迷わず選べるだろう。
書き抜き問題も、目当ての部分をすぐ見つけられるように、傍線などで目立つ工夫をしておこう。
〇記述
記述問題の数は、1、2題程度で、字数の多い時で100字ほど。2024年度では80字であった。文中の適切な部分を素にまとめられるものが多いので、ここもまずは読解力が求められるところである。
〇問題文
素材文の長さは、合計で8000~10000字程度。2017年度は特に多かったが、2022年度は7700字ほどでやや少なめだったが、2023年度では約11000字とまた増えて、2024年度は約6700字とまた減っている。
物語文では、現代とは異なる時代を題材にしたものも目立つ。過去や未来の社会を扱った小説などをたくさん読み、現代とは異なる社会の様子や風俗に多く触れておくと、いろいろな設定も理解しやすくなるだろう。
説明的文章は、扱う題材や出てくる用語が難しい印象を受ける。この分野については難関校向けの高レベルの教材で慣れておいたほうがよいかもしれない。もっとも、問題自体の難易度は適切に抑えられているので、難しめの文章に目を慣らしておいたほうがよい、という意味と思っておこう。
〇知識
漢字・言葉の知識関連の問題は、毎年出題がある。基本レベルの問題の中に、いくつか難しいものが含まれている。問題数は多くないが、失えば他と差がつく部分でもあるので、読解と同様、手を抜かず取り組んでおくことが肝要である。
〇まとめ
素材文の長さや論説文の難しさから、難しい試験という印象を持たれるかもしれないが、問題自体の難易度は適度に設定されており、合格者平均点も五割五分~六割五分といったところなので、最初の印象にとらわれなくてもよい。意地悪な試験ではない。
国語の試験対策の王道に従い、語彙を増やし読解力をつけて、試験に臨もう。
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2024年度「攻玉社中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
漢字の読み・書き取り・熟語の知識関連・物語文・論説文という全体構成である。
長文2題で合わせて6700字ほどと、前年の11000字から2024年度は大幅に文量が減った。試験全体としての難易度に大きな変化はないので、今後の文量の増減が注目される。だが、総解答数は40問で選択肢も五択であり、全体のボリュームは大きい。スピードは必要とされるので、過去問を多くこなして速さを身につけたい。
【大問一・二】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:大問一・二計3分
- ★必答問題
【大問一】漢字の読み
1. きょうこく 2. こんく 3. ぜんぷく 4. ただ(ちに) 5. かいもく
【大問二】漢字の書き
1. 朗報 2. 公衆 3. 所作 4. 奮(って) 5. 遺失物
【大問三】俳句の鑑賞
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
「三月から九月にかけて」「江戸から奥州・北陸をめぐり美濃の大垣に至る」という旅なので、春から秋にかけて江戸から反時計回りに進んで現在の岐阜県に至る道程と考えられる。
C・ウ(晩春)→D・イ(夏・日光)→E・ア(夏・金色堂)→A・カ(秋・佐渡島)→B・オ(晩秋・美濃)
【大問四】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
明るい雰囲気を買われて駅伝の選手に誘われた主人公。実力不足に責任を感じる瞬間もあったが、皆の応援を受けて自分は自分らしく精一杯走ればよいのだと思いなおす。
問一 A. 収穫まぢかの稲穂が秋の陽を「きらきら」浴びている。
B. 逃げたくなった。「ほいほい」引き受けるんじゃなかった。
問二 「岡下にも城田にも頼んでない」「あいつら短距離だからな。三宅や安岡は?」「なんだって?」「いや、三宅はどうやって断ったのかなって」「どちらにも頼んでない。太田・渡部、それにジローだよ」「渡部の次が俺?・どうして俺?速くないのに」「ジローならやってくれるかと」「他のやつに断られるのが嫌だったのか?」……というつながり。
問三 まじめに駅伝に取り組んできた大田に、なんとか上の大会に進ませて充実した時間を少しでも長く過ごさせてやりたいと、主人公は思っている。そのために他の走者につられてオーバーペースになりそうな自分を、あせってはいけないと抑えようとしている場面である。
問四 自分のペースを守って走ろうとしている中で、慣れ親しんだ風景や季節の香りで落ち着こうと意識している。
問五 自分のペースを守ろうとしていたが、さらに他の集団に追い抜かれてこのままでは仲間のこれまでの頑張りを無駄にして、自分のせいで上の大会に進めなくなってしまうと感じ、焦っている。
問六 「ジローは明るくて楽しくて、みんな盛り上がる」と、桝井は走る速さではなくジローのもつ場を明るくさせる雰囲気を「ジローらしさ」ととらえ、期待しているようである。
問七 いつものいい調子で気楽に引き受けてしまった駅伝だが、そのおかげで苦しい練習もこなし選手として走るという新しい体験を得られた。自分らしく走ってくれればよいという周囲の思いも受けて、自分がまた一つ成長していると感じたのだろう。
問八 たとえ他の選手のように速くなくても、自分の精一杯で元気よく走ればよいのだと思いきることができて、残りの力を出し切ろうと全力で臨んでいる。
問九 自分の力を出しきったと思える走りで次の走者に襷を渡せたことに、ほっとしている。
問十 前半の落ち着いて走っている場面の感想として、Cさんの意見は本文と合っている。
【大問五】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:25分
- ★必答問題
加工・捏造ができる視覚的な美で建築を評価する時代は終わりに近づき、同一の条件で共有する体験にこそ価値があると考えられるようになったと筆者は指摘している。
問一 Ⅰ. 画像処理技術の進歩、「たとえば~」
Ⅱ. 色を変えたり、「あるいは」縦横の比率を変えたり……。
Ⅲ. 画像処理がどこまで行われているか僕もわからない。「しかし」問題はそこではなくて……。
問二 A. 以前から似たような画像処理は「日常的」に行われていた。
B. 写真というメディアによる「視覚的」な美醜という価値判断が優先されていた。
問三 ひざを打つ――思いつく・感心する
問四 真実か虚偽かを価値基準におく報道などと異なり、建築雑誌では「真実ではなく、美」が一番の問題とされ、画像処理なども当たり前に行われてきた。
問五 中心となる建築物に加工が施されているのは、写真オである。
問六 筆者は写真について同段落内で、「捏造と真実との境界が極端に曖昧」「捏造と真実の境界を攪拌する」と批判している。真実かどうかが判断しにくいのである。
問七 オ. 「報道写真として」とあるので、一切加工無しの真実の写真だけを用いるということである。
問八 建築においては、美人コンテストのように候補者を一堂に集めて実際に比べてみるということができない。本来建築物も実際に目の前に立って判断しなければならないのに、それができないので写真だけ、しかも加工し放題の状態で判断されてきたわけで、美を判断するにおいて矛盾が生じていたわけである。
問九 実例として、ものを作るプロセス自体を評価し楽しんでもらおうという傾向を挙げている。建築の過程を追体験することで価値を知ってもらおうという試みであり、従来のような加工済みの写真だけの美しさで判断させようとする時代が終わろうとしていると筆者は指摘しているのである。
問十 イ. 前半~後半の全体を通した筆者の主張が端的にまとめられている。
問十一 コンピューターによる画像処理技術が進んだがゆえにいくらでも捏造できる視覚的な美を基準とすることに意味がなくなった。画像だけで判断するのではなく、もの作りのプロセスを同一の条件で追体験することの重要性をかえって認識させてくれたという、皮肉な現実となっているのである。
攻略のポイント
最新年度は文章量が昨年より少なかったが、難易度自体には大きな変化は無い。合格者平均点は年度により多少の上下があるようである。
物語文と比べて論説文は難解な傾向があるので、説明的文章が苦手な人は十分に練習しておくこと。また、物語文は現代と異なる時代が題材になることが多いので、その点も留意しておこう。漢字・言語事項も難しいものが含まれるので、そのつもりで学習に取り組むように。
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