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攻玉社中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「攻玉社中学校の国語」
攻略のための学習方法

分析
本校の試験は、漢字・知識の独立問題で3題、物語文・説明的文章の読解問題が2題という形が多い。
物語文は、現代とは異なる時代を題材にしたものが多く、2017年度も関ヶ原の戦い直後という時代設定の小説であった。

説明的文章はかなり難度の高い言葉や概念が用いられるものがあり、問題の難易度としても物語文より難しい印象である。
特筆すべきは文章量の多さで、2017年度では2題合わせて約12000字と最難関校をも凌ぐほどの文量である。今後もおそらくは10000字程度を目標とした対策が必要になると思われる

ただし、試験全体としてみれば難易度自体はそれほど高くない。偏差値相当の実力があれば無理なく答えられる難しさである。

設問は、選択式問題・書き抜き問題が多く出題されている。
選択式問題は、五択であり文字数の多いものもあるため、やや手間がかかる。紛らわしい内容にはなっていないので、読解ができていればあまり迷わず選べるだろう。
書き抜き問題も、目当ての部分をすぐ見つけられるように、傍線などで目立つ工夫をしておこう。

記述
記述問題の数は、12題程度で、字数の多い時で100字ほど。2017年度では60字であった。文中の適切な部分を素にまとめられるものが多いので、ここもまずは読解力が求められるところである。

問題文
素材文の長さは、合計で80009000字程度。最新年度は特に多かった。
物語文では、現代とは異なる時代を題材にしたものも目立つ。過去や未来の社会を扱った小説などをたくさん読み、現代とは異なる社会の様子や風俗に多く触れておくと、いろいろな設定も理解しやすくなるだろう。

説明的文章は、扱う題材や出てくる用語が難しい印象を受ける。この分野については難関校向けの高レベルの教材で慣れておいたほうがよいかもしれない。もっとも、問題自体の難易度は適切に抑えられているので、難しめの文章に目を慣らしておいたほうがよい、という意味と思っていただきたい。

知識
漢字・言葉の知識関連の問題は、毎年出題がある。基本レベルの問題の中に、いくつか難しいものが含まれている。問題数は多くないが、失えば他と差がつく部分でもあるので、読解と同様、手を抜かず取り組んでおくことが肝要である。

まとめ
素材文の長さや論説文の難しさから、難しい試験という印象を持たれるかもしれないが、問題自体の難易度は適度に設定されており、合格者平均点も五割五分~六割といったところなので、最初の印象にとらわれなくてもよい。意地悪な試験ではない。

国語の試験対策の王道に従い、語彙を増やし読解力をつけて、試験に臨んでいただきたい

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2017年度「攻玉社中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

漢字の読み・書き取り・熟語の知識関連・物語文・論説文という全体構成である。

長文2題で合わせて12000字にもなり、文量の多さに戸惑うかもしれないが、試験全体としての難易度はそこまで高いわけではないので、臆する必要は無い。

だが、総解答数は45問とこちらも多めで、選択肢も五択であり、全体のボリュームは大きい。スピードは必要とされるので、過去問を多くこなして速さを身につけたい。

【大問一・二】漢字の読み書き

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分

難しい漢字も見られる。中級~上級レベルの漢字教材で練習しておきたい

【大問三】言葉の知識

  • 難度:標準
  • 時間配分:2分

羽→うさぎ、脚→いす、棹→たんす、門→大砲、首→和歌。2つの知識で1つの正解になるので、厳しい問題である。

【大問四】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分
  • ★必答問題

手柄を立てられずに出世の遅い侍である主人公の父親。後に意外な実力が明らかになり、大出世を遂げる。

問一 一騎当千。かつては「一人当千」という言い方もあった。

問二 他の子供は主人公のくみうちの強さを認めている様子もあるが、勇太は強く対抗している。

問四 勇太がすもうに自信を持っていたという内容は、文中には述べられていない。

問五 伝右衛門は与力という低い身分の侍で、直に殿さまに会う機会がなかったことが書かれた部分がある。

問六 家来の労をねぎらうために、給金とは別に簡素な酒席(酒さかな)を設けることがある。ここでは正則は正式な出世の辞令を冗談めかして「酒さかな」と表現している。

問七 出世できない父を恥ずかしくは思っているが、父本人は自分の働きぶりを恥じていないようなので、主人公も気が晴れたと書かれている。しかし、勇太に言い返せない悔しさは残ったともある。

問八 伝右衛門の出世は、大善が負け戦にもかかわらず生き残り→伝右衛門の主人に雇用され→伝右衛門のことを覚えていた……という幸運な連鎖があってのことである。また、物語の最後に父の出世を喜びながらも、自らの経験から他の子の父親を見下すことのないようにと自らを戒める主人公の気持ちも描かれている。

【大問五】論説文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:25分
  • ★必答問題

工芸による型の反復が、個体の知性を超えた本能としての物づくりの本来であると説いている。

問一 文中でも「生き方」という語を用いて説明している。「これに対して」と二つの生き方を対比させている。

問二 「二つの傾向」とは植物的な生き方と動物的な生き方のことである。対称的に分かれはしたが、互いに相手の傾向を含んでいることが傍線②のあとで説明されている。

問四 前段落において、上記・問二のような内容のあとで「節足動物の本能は植物的傾向に近い」→「人間は知性により動物的傾向が最高段階に達している」と述べている。しかし、傍線③で人間と同じく動物であり社会も形作る蟻や蜂にも植物的性質があると示すことで、問二の内容に立ち返り、人間にも知性を超える本能(植物的傾向)があるのではないかと続けていくのである。

問五 「個人の知性」・「個々の知性」という表現や「知性は個体ごとに勝手に働き」といった部分から、知性は個別的であると捉えられている。本能は「群れや集合にしか与えられない」ともある。

問六 前段落で、「型」の「終わりない反復、再生」が「工芸的なるもの」の本質であると述べられている。

問七 「本能の残滓」といっているので、はっきり表には現れず潜んでいる様を表現できる「水脈」がぴったりくる。

問八 「米の信仰的用途」や「米作りによる祭の暮らし」という言い方に注目。

問十 芸術は個人の知性によって技(工芸)抜きで作られるものだと書いているので、選択肢イの「無知な作者」は文意に合わない。

問十一 傍線⑧の後で、主に2点に分けて説明されている。そもそも西洋は狩猟・牧畜を主とする個人を基礎単位とした共同体で、その工芸も個人の知性を土台としていたこと。近代の機械化が工芸の技を無用化し、個人芸術を開放したこと。この二点を字数内でまとめる。

問十二 機械化が工芸を無用にした歴史が書かれているが、最後にそれでもやはり「工人の手技」は本能的なものに導かれていると結論づけている。

攻略のポイント

やはり文量の多さがひとつの壁となる。スピードが足りないという自覚がある人は、早くから訓練を積んで克服していただきたい。難易度自体はそれほど高くないし、合格者平均点も6割に満たない程度であるので、丁寧に準備してあれば恐れる必要はない。

物語文と比べて論説文は難解な傾向があるので、説明的文章が苦手な人は十分に練習しておくこと。

漢字・言語事項も難しいものが含まれるので、そのつもりで学習に取り組むようにしたい。

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