攻玉社中学校 入試対策
2021年度「攻玉社中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇分析
本校の試験は、漢字・知識の独立問題で3題、物語文・説明的文章の読解問題が2題という形が多い。
物語文は、大正~昭和前期の近代文学からの出典が多く、2020年度は久米正雄『金魚』(1924年)が用いられた。2021年度は村山由佳『約束』(2001年)という近年の作品が使われており、今後傾向が変わるかもしれないので注意しておこう。
説明的文章はかなり難度の高い言葉や概念が用いられるものがあり、問題の難易度としても物語文より難しい印象である。
2017年度では2題合わせて約12000字と最難関校をも凌ぐほどの文量であったが、2021年度は計6800字ほどで文量が抑えられた。今後の傾向に注意しつつ、おそらくは9000~10000字程度を目標とした対策が必要になると思われる。
ただし、試験全体としてみれば難易度自体はそれほど高くない。偏差値相当の実力があれば無理なく答えられる難しさである。
設問は、選択式問題・書き抜き問題が多く出題されている。
選択式問題は、五択であり文字数の多いものもあるため、やや手間がかかる。紛らわしい内容にはなっていないので、読解ができていればあまり迷わず選べるだろう。
書き抜き問題も、目当ての部分をすぐ見つけられるように、傍線などで目立つ工夫をしておこう。
〇記述
記述問題の数は、1、2題程度で、字数の多い時で100字ほど。2021年度では60字であった。文中の適切な部分を素にまとめられるものが多いので、ここもまずは読解力が求められるところである。
〇問題文
素材文の長さは、合計で8000~10000字程度。2017年度は特に多かったが、最新年度は6800字ほどでかなり少なくなっている。
物語文では、現代とは異なる時代を題材にしたものも目立つ。過去や未来の社会を扱った小説などをたくさん読み、現代とは異なる社会の様子や風俗に多く触れておくと、いろいろな設定も理解しやすくなるだろう。
説明的文章は、扱う題材や出てくる用語が難しい印象を受ける。この分野については難関校向けの高レベルの教材で慣れておいたほうがよいかもしれない。もっとも、問題自体の難易度は適切に抑えられているので、難しめの文章に目を慣らしておいたほうがよい、という意味と思っていただきたい。
〇知識
漢字・言葉の知識関連の問題は、毎年出題がある。基本レベルの問題の中に、いくつか難しいものが含まれている。問題数は多くないが、失えば他と差がつく部分でもあるので、読解と同様、手を抜かず取り組んでおくことが肝要である。
〇まとめ
素材文の長さや論説文の難しさから、難しい試験という印象を持たれるかもしれないが、問題自体の難易度は適度に設定されており、合格者平均点も五割五分~六割五分といったところなので、最初の印象にとらわれなくてもよい。意地悪な試験ではない。
国語の試験対策の王道に従い、語彙を増やし読解力をつけて、試験に臨んでいただきたい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2021年度「攻玉社中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
漢字の読み・書き取り・熟語の知識関連・物語文・論説文という全体構成である。
長文2題で合わせて6800字ほど。試験全体としての難易度はそこまで高いわけではないので、臆する必要は無い。
だが、総解答数は38問で選択肢も五択であり、全体のボリュームは大きい。スピードは必要とされるので、過去問を多くこなして速さを身につけたい。
【大問1】漢字の読み
- 難度:標準
- 時間配分:大問1・2合わせて3分
- ★必答問題
1. ちゅうすう――中心となる大事なところ。
2. あっかん――全体のなかで最も優れた部分。
3. ふぜい――風流な趣(おもむき)。
4. したた(る)――水などが雫(しずく)になって落ちる。
5. つちか(う)――長い時間をかけて育てる。
【大問2】漢字の書き
- 難度:標準
- 時間配分:大問1・2合わせて3分
- ★必答問題
1. 答弁――質問に答えて説明すること。
2. 快挙――胸のすくようなすばらしい行為。
3. 正攻法――奇策などを用いない正々堂々とした攻め方。
4. 明文化――はっきり文書で書き示すこと。
5. 群(がる)
【大問3】ことわざ・慣用句・故事成語
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
1. ウだけ「鯉」で魚。あとは「犬」「馬」「牛」「猫」で動物。
2. エは「ハチ」で昆虫。他は「鶴」「からす」「はと」「きじ」で鳥。
3. オは「虫」。他は「目」「口」「手」「足」で人体の一部。
4. ウは「隅(すみ)」。他は「もち」「ぼたもち」「豆腐」「だんご」で食べ物。
5. イは「うちわ」。他は「えり」「はかま」「そで」「ふんどし」で衣料。
【大問4】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
近年、文明国の子どもたちが失いつつある「生きる力」を育てるためには、教える側の大人が自身の個性を生きながら楽しむことが大事で、そのことが子どもたちが安心して好きなことができる環境を作ることにつながると述べている。
問一 傍線④の段落に書かれている。日本が「経済大国」と言われるようになった今、これまでの「教育方針」を大いに転換しなくてはならない、とある。
問二 開発途上国の子どもたちが「実に生き生きとした表情をしている」「自殺も拒食症も起こらない」という事実から、文明国に足りないものに気づけるだろうと期待している。
問三 「文明によって便利になり快適になっている」「それを維持するための努力をしなければならない」「下手な努力をすると、自然にもっている『生きる力』を見失うことになる」。便利・快適な生活に慣れていくと本来持っている力が弱くなってしまうのである。
問四 最後から二番目の段落に「これまでは~に重点がおかれすぎていた」とあり、設問の型(「これまでの・重視して」)と字数に合致している。
問五 「生きる力を失わせるような指導や教育」の要素としては、「皆がそろって全体の平均値を上げる努力」「画一的」「知識の量」「苦しめば苦しむほどいい」など挙げられており、選択肢ア・イ・エ・オは当てはまる。
問六 続く段落で説明されている。「土壌」とは親や教師のことである。教える側の大人が自ら個性を生き楽しんでこそ、子供たちが「安心して好きなことができる」環境ができるのである。
問七 アとエ. お金がかかってしまっている。
イとオ. 楽しいのは一部の生徒だけである。
問八 「生きる力が働くのは楽しい時だが、楽しさには苦しみや苦労も伴う」という事実を、「苦しめば苦しむほどいい」と全体を見ず一部だけ重視して曲解している点を「単純」と言っている。
問九 「生きる力を育てることは知識の吸収のように目に見えたり測定したりすることが難しい」。時間をかけて培われるものであり、すぐに成績や結果として現れないのである。
問十 ウ. 「生きる力」が育つための「土壌」の話の内容と合う。
【大問5】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
- ★必答問題
友達のヤンチャを病気で失った主人公たち。助けようと作成したタイムマシンは当然のように作動せず、喪失感を増すばかりであった。
問一 b. 友人の死に衝撃を受け走り去る様子であるから、力任せに走っている感じの「ばたばた」が合う。
問二 ヤンチャの姿がないことがその死を意味することに、主人公は気づいている。強い恐怖を覚えたときの鳥肌が立つぞわぞわした感じが「毛が逆立つ」である。
問四 「退院したのではなく、死んだのだ」と伝えようとしながら、口に出すのは忍びないのである。
問五 ア. 文中に「ベッドに背を向けたが最後、何もかもが本当のことになってしまう気がした」とある。選択肢の「死という現実を受け入れまいと懸命に耐えている」と合致する。
問六 主人公たちがヤンチャを助けようとタイムマシンを作っていたことを、大人としてもちろん不可能だと知りつつ、その気持ちに対して労っている。
問八 ヤンチャの死にショックを受けていた影響もあり、タイムマシンが動くはずはないことを理屈ではわかっていながら、もし万が一うまくいったらノリオが帰って来れなくなってしまうというもう一つの恐怖に駆られ、慌ててフタを開けようとした。
問九 ヤンチャの死という現実を前にして、タイムマシンを作って助けようとした自分たちの行動が浅はかで愚かに感じられてしまい、喪失感と無力感にさいなまれている今、タイムマシンがその象徴のように醜悪なものに見えている。
問十 「ひび割れたガラス」は、ヤンチャの死・自分たちの無力さ・タイムマシンの残酷な現実などの象徴であろう。その向こうに見える「見たこともないほどきれいな夕焼け」は、人の死とは関係なく世の中は存在するという無常観ともとれるし、「見たこともないほど」に注目して、友だちの死を経験した主人公たちの未来を暗示しているとも考えられる。今は失意に沈んでいるが、やがて乗り越えて成長していくのであろうという暗示である。
攻略のポイント
最新年度は文章量も平年と同じくらいにもどり、難易度自体にも変化は無い。合格者平均点は年度により多少の上下があるようである。
物語文と比べて論説文は難解な傾向があるので、説明的文章が苦手な人は十分に練習しておくこと。
また、物語文は現代と異なる時代が題材になることが多いので、その点も留意しておかれたい。
漢字・言語事項も難しいものが含まれるので、そのつもりで学習に取り組むように。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
攻玉社中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
家庭でできること
インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。