攻玉社中学校 入試対策
2018年度「攻玉社中学校の算数」
攻略のための学習方法
攻玉社中学は、東京都城南地区において、堅実な大学合格実績を出している伝統ある進学校だ。また、その入試問題も伝統の名に恥じない、立派な風格をもつ。
一時期算数の問題が平易だったこともあったが、昨年度・本年度とこの2年間は往年の難易度に迫る問題となっており、やはり攻玉社は算数だ、と思わせる仕上がりになっている。
攻玉社の算数を解いていく時間は、中学入試のまさに王道を歩む時間であり、自分の力をステージアップしてくれる貴重な時間である。
さて、良問ぞろいと称される攻玉社中学の算数。
具体的に克服するのはどうすればよいか。
テキストや問題集などに挙げられている基本問題の解き方は6年の秋までにマスターした、ということを前提にして話を進めたい。
全体として言えることは、条件の複雑な問題に丹念に取り組む時間を作ることが大切だ。
ある一定の長さの問題ばかり解いていると、短い文章の問題を解くことが出来るようになっても、長文問題を解くためのねばりや条件を整理する力が養われないままになってしまう。この学校でそれは避けたい。設問数が3~5ある、問題集で言えば「中・上級クラス」の問題を、1問につき10分前後かかってもいいので、集中して解いてみよう。
ただ、時間を要する割に問題数はこなせず、勉強の進捗度という意味ではイライラすることになるとは思うが、過去問対策も含めて何とか時間を確保したい。
次に分野別に見てみる。まず、平面・立体図形の強化に特に力を入れたい。
平面図形は相似形、立体図形には体積・表面積が問題の中心となるが、どちらにも共通するポイントは「作図力」と言うことになる。
相似形をつくり出す「補助線」、展開図から書き表わす「見取り図」など、ていねいな手作業が出来るかどうかと言うことだ(実際、図形がうまく書けない生徒は多い)。
文章題の場合は、式を書いて答えを出す、でもよいが、図形問題の場合は、模範解答を見て解くための図が書かれていても、自分で書けるという保証はなく、結局解き方を理解できてもそのための作業が出来ないことになってしまう。つまり、出来た気になったまま次に進んでしまうと言う危険をはらむことになる。
また、細かいことになるが、与えられた図に数値を書きこむときも、どこに書きこめば次の作業において邪魔にならないかを考えてみよう。
あとは、速さの総合的な問題(グラフをからめた問題)と規則性の克服だ。
速さの問題では「速さの3公式」の内容を念頭に置きつつ、それを臨機応変に使いこなせるようになることが大切で、一行問題ならどの関係を使うかは一目瞭然だ が、問題文が長くなったり条件が複数出てきたりすると分らなくなるでは困るので、平成29年度【大問3】・平成30年度【大問3】レベルの、「速さの基本・旅人算・速さの比」 などを含んだ総合問題を十分にこなしておきたい。類似傾向にある城北中学・巣鴨中学などの問題が役に立つ。
規則性に関しては、何でもかんでも「差を考 える(=)等差数列のみ」というような固定された考え方だけではなく、「平方数」・「三角数」・「フィボナッチ数列」…などもう一つランクが上の規則 性まで言及して問題の決まりを見つける力をつけたい。
次に、50分で十分に考えを張り巡らし、答えが出せるという時間面での余裕を持てるように、スピード練習をすることも大事だ。自分のペースだけを守っているのでは解く速さは学年相応の伸びしか得られない。必ず自覚的に早く解く練習をすること。これは短い問題をたくさん解くという形でもよい。早く解くという練習をすると、自分自身がどういうところで時間をロスし、結果的に解くのに時間がかかっているかが分る。
たとえば、計算の工夫・作図のスピード・字の巧拙・集中力等々。普段の勉強も、長くダラダラやらない で、多くの分量を短い時間でこなせるよう努力すること。しかし正答率とていねいさを犠牲にしてはいけない。速く、正しく解けるよう仕上げていくこと。
最後に、応用力がついてくればさらに算数は面白くなるものだ。昆虫の脱皮のように、学力の伸びというのは長期間なだらかに伸びるのではなく、グンといきなり アップして、それまで解けなかったような問題も解けるようになり、自分の立つステージが変わるものである。ぜひそういう体験を味わって欲しいと思う。
そのために攻玉社の問題は格好の材料となる。十分に力をつけ、来年度には合格して笑えるようにがんばっていこう。
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2018年度「攻玉社中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が4、小問が22。例年よりも大問が1つ減り、小問の数も微減した。それでも分量は多めであり、いくぶんかのスピードが要求される。
しかし全体に難度は高いので、時間があってもやすやすとは解き進めては行かれまい。
出題傾向に挙げた分野から大問が1つずつ(平面図形と立体図形で合わせて大問一つ)、設問がそれぞれ3~5問準備され、比較的解きやすいものから考えさせるものまで、大問を掘り下げる形で出題される。
本年度は昨年度と受験者平均・合格者平均にほぼ変化がなく、難易度は安定している。
【大問Ⅰ】計算・割合と比・時計算
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(3)ではおなじみの形である上にヒントまで与えられているのだから正答は間違いないところだろう。
(4)は逆比の基本問題。
(5)は時計算で、「6回目に重なる」ところがミソだが難しいテクニックが必要なものではない。
ここは全問正解しておきたい。
【大問Ⅱ】規則性(数列)
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
設問数は5つあり、徐々に難易度は上がっていくが、せっかく勉強してきたのだからここも全問正解を目指したい。
(2)からはCに焦点をあてた問題となっているが、A・Bとの関連性よりも、Cが2つの数列によるもの(奇数番と偶数番それぞれの数列)と考えた方が一気に(5)まで解いていける。
(3)はまさにそれで、奇数番目の数列の和と偶数番目の数列の和をそれぞれ求めて加える。
(4)では、数値が大きいのは奇数番目であることに目をつけて、あとは等差数列の公式を用いれば良い。
(5)では、まず「1番目と2番目の和(=5)」「3番目と4番目の和(=21)」…で考えてみると、287はこの数列上にない数値であることがわかる。そこで次に1番目を飛ばして「2番目と3番目の和(=15)」「4番目と5番目の和(=31)」…と考えると、387はその数列において18番目の数であることがわかる。
一つ目で失敗してももう一つの可能性も試してみることが大切だ。
【大問Ⅲ】速さとグラフ
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
昨年度同様、実力差が出やすいまさに「ダイヤグラムの王道」という問題である。3人がグラフに登場するものの「旅人算」の要素はほぼなく、あくまでも速さの3公式を使って使って解いていく問題となっている。比較的平易な(3)まではきっちりと正解しておきたい。
(1)はA君とB君のかかった時間の差から、グラフを平面図形の相似に見立てて解く設問になっている。学校から郵便局までの差が1分、郵便局から公園までの差が15秒になっているので、かかった時間の差は4:1、速さを変えていないので距離の比も4:1となる。とすれば(2)はすぐに求まる。
(3)は学校から郵便局までの距離がわかれば簡単に求めることが出来る。ここまでがこの大問の第一段階で、C君をめぐる最後の(4)がなかなか面倒だ。しかし面倒ではあっても行うことは3公式に乗っ取った基本的な解き方なので、がんばってカを、できればキまで求めておきたい。ここで全問正解できていると最後の図形で得点を貯金できる。
テスト全体のカギを握る大問だ。
【大問Ⅳ】平面図形・立体図形
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
平面図形・立体図形…相似
与えられた斜めを向いた三角形を組み合わせたような図形は、(1)(2)では平面図形として、(3)では立体図形の見取り図として使われるという珍しい問題。いずれも相似の考え方を用いることによって解くことが可能だ。
(1)は相似比さえつかめれば基本的な問題で正解できるだろう。
(2)では相似比に加えて面積比も用いることになる。当然こちらの方がやや難易度が上がる。
(3)では三角すいの問題と化すが、①・②は標準レベルまでに収まる設問だ。
①では相似比・面積比を使って解けば良い。
②では、PCの長さが分数になる上に答えも分数になるので考え方は正しいと思っていてもやや不安な気持ちに。
③はこのテストきっての難問であり、ここで失点してもそれまでの得点によって十分に合格点はとれていることだろう。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。
平成30年度では受験者平均・合格者平均から見て合格点は60点くらいなので,目標を65~70点くらいに定めて勉強を進めるといいだろう。
この2年間は「往年の攻玉社算数」を彷彿させる、受験生の質・量に合わせた適切かつ魅力的な問題群となっている。
この学校のきわだった特徴は、3~4の大問に3~5つの設問が並べられているところにある(時にはもっと多いことも)。1行問題は少なくあいさつ程度のものなので、普段の勉強でも設問が多い問題を選択して解き、1つのテーマに対して粘り強く解いていく力を身につけておくとよいだろう。
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