攻玉社中学校 入試対策
2019年度「攻玉社中学校の社会」
攻略のための学習方法
形式・分野
2015年度から問題の形式が大幅に変更された。
2014年度までの攻玉社の問題は大問2~3つ、総解答数は35前後で構成され、記号選択と用語記入がほとんどで、100字ほどの記述問題が必ず1問出されていた。また、リード文が長いという特徴があった。
2015年度から、総解答数は25問前後で、単純に記号選択・適語記入と表現できないユニークな問題構成になっている。以前あった長いリード文は無くなった。
特に設問の型が大きく変わっている。3~4つの知識をまとめて問い、合わせて1問の正解になるという形が多い。またクロスワードパズルのように最終的にできあがる4文字の人名・用語を答えさせるものもあった。
ここ数年、長文の記述問題がなかったが、2018年度からまた100字の記述問題が復活している。また、最新年度では1600字ほどのリード文が復活したりと、年度により問題のパターンがかならずしも一定ではない。
問われる内容は例年と同じで基本的事項が多いが、難易度としては2018年度の合格者平均点は6割6分とやや難しくなり、2019年度は7割ほどと元にもどった。
分野別では地理と歴史の比重が大きく、政治分野や時事問題ではまとまった出題はここのところ見られない点も、例年通りである。
地理分野
総合問題形式で出題されることが多い。各地の地名・地勢・気候や産業の特色などの基本事項が多く訊かれている。
日本全体について広く問われる場合もあればひとつの地域について少し詳しく答える問題もある。
多少の細かい知識を問われることもあるので、白地図などで地域ごとに関連事項を整理しておくとよい。
地図帳もそばに置いて地名や場所を確認しながら進めること。
歴史分野
3分野の中では、歴史分野の出題が多い傾向があるので、特に念入りに学習しておきたい。
内容も、幅広い年代から出題され偏りは無いが、この分野では細かい知識を問われることは少なく、「広い範囲からの浅い」出題が多くなっている。それでも他の分野より難易度が高めである点に注意しておきたい。
人物・年代・政治・文化などについての基本的事項を訊かれる問題と、それを時代の流れに沿って整理させるような設問がよく見られるので、やはり年表の活用が有効となる。
政治・時事問題
憲法や時事関連の設問が「申し訳程度」に1~2問出されるだけの年もあり、地理・歴史と比べてかなり冷遇されている。
しかし、過去に環境をテーマにした設問(平成23年度)も見られ、全く出されないとも言い切れないので、憲法・三権の仕組みなどテキストに載っていることや直近の時事問題などは一通り頭に入れておきたい。
記述問題
出題傾向が変わって以降、長い記述問題が出題されなくなっていたが、2018年度から復活している。
以前の長文記述問題は、字数は100字前後で、書く際に「3~4つの指定された語句を必ず使い、使ったら下線を引く」「字数制限の下限に達しないものは採点しない」などのきまりで出題されていたが、最新年度では100字以内という条件だけになっている。
記述対策ということではなくても、やはり普段から新聞やニュースで社会的な問題に触れ、その背景を考えたり、自分なりの意見を持ったりと考えを深めておけば一段階上の実力がつけられるので、ぜひ心がけておいて欲しい。
さいごに
設問の型が大きく変わって戸惑いを覚える受験生も多いと思うが、問題自体は、特別な難しい知識を問われることはないので、テキスト・白地図・資料集で幅広く丁寧な勉強をしてあれば恐れることはない。また、長大なリード文が無くなったので、長文を読むのが苦手な人には楽になったかもしれない。
ただ、「4つの質問がまとまって1つの正解になる」形の場合、時間もその分かかるし、4つのうち1つミスがあると正解にたどり着けないという厳しさは出てくる。幅広い正確な知識が求められている。
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2019年度「攻玉社中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
設問形式が変更されてから、総問題数も25問前後と少なくなった。今年度も24問とシンプルな構成である。
ただし、いくつかの質問を合わせて1つの正解となる問題もあり、その分1問に時間はかかる。
基本的事項を問われる問題が多いのでそれほど迷うことはないだろう。
長文記述問題が昨年度から復活しているが、その他の問題は知識を答えるものが多いので40分あれば時間は足りるだろう。
【大問1】歴史分野・政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:25分
- ★必答問題
問1
(1)
A. 100年ではなく50年。
B. 3000万人は突破したが4000万人には達していない。
(2)
飲酒や喫煙はこれまでと変わらず20歳以上なので、ウが×。
(3)
板門店(はんもんてん・パンムンジョム)は境界線上に建っており、施設の中心で北朝鮮と韓国とに分かれている。
問2
(1)・(2)
北山の金閣寺や日明貿易の開始などから、3代将軍・足利義満の時代。観阿弥・世阿弥父子は義満の保護を受けて、能を大成させた。
(3)
モリソン号は日本人漂流者を救助し送り届けてくれたのだが、日本は外国船打払い令にもとづいて攻撃してしまった。
(4)
大塩平八郎が乱を起こしたきっかけは天保の大飢饉であった。
(5)
租――稲の収穫の3%を納める。
庸――労働の代わりに布を納める。
調――地方の特産物を納める。
防人――北九州の防衛にあたる兵役。
(6)
聖武天皇は仏教を敬って世の中を治めようと考え、国分寺や東大寺の大仏などをつくらせた。
(7)
山を切り開いてつくった崖に挟まれたような狭い道で、「切通し」という。
(8)
後鳥羽上皇による承久の乱。敗れた上皇は隠岐に島流しにされた。
(9)
御成敗式目は貞永式目とも呼ばれる通り、貞永年間に定められたものであるから、アが×。
問3
①明治初期なのでC、②第一次世界大戦直後なのでAということで、オが選べる。
問4
(2)北米自由貿易協定(NAFTA)。北米大陸の三か国(アメリカ・カナダ・メキシコ)の間で結ばれた。
(3)国民投票では過半数の賛成で憲法改正が認められるので、ウが誤り。
(4)ア・ウ・エは内閣の権限である。
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
問1 羽田空港は東京都大田区、成田空港は千葉県成田市にあり、アが正しい。
問3 石油ショックを経て高度成長時代も終わり、景気の悪化や物価上昇を受けて人々の意識も変わったので、イが選べる。
問4 鉄道は駅から駅まで正確な時間で比較的省エネルギーで運べるという利点があるが、土地買収や線路の敷設・車両の製造など大きな投資が必要になる。
問5 輸入された生鮮食品や冷凍食品を空港近くの保冷倉庫でいったん保管し、その後各地に輸送するという使い方である。
問6 伝統工芸品は職人の熟練した技が必要であること、天然の素材が原材料である場合が多いことなどから、機械で大量生産するようなわけにはいかないのである。
問7 航空機は輸送料金が高額で一回で運べる量も少ないことから、貴金属や集積回路など小さくて高額な商品を運ぶのに適していると言える。
問8 どこで判断してもいいのだが、Bが弘前市・リンゴなどから青森県であること、Dが牧之原市・みかんや茶・焼津港などから静岡県であることなどがわかりやすいだろう。
攻略のポイント
問題の難易度をみると、本校は中学入試の基本的レベルで安定した実力を有する生徒を望んでいると思われる。
マニアックな知識ではなく、幅広い正確な知識を問われている。
まずはテキストレベルでの確かな学力をつけるべきである。難問・奇問の心配をする必要は無い。
その上で
・歴史・地理に重点が置かれていること
・特に歴史分野で漢字を書かせる問題が多く、他分野より難しめであること。
・設問の形式により、小さなミスが失点につながりやすいこと
といった本校の特徴を念頭に置いて学習を進めることである。
出題の形式は変わっても、テキストレベルの十分な実力があれば対処できる試験なので、傾向の変化に気をもむ必要は無い。
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