明治大学付属明治中学校 入試対策
2023年度「明治大学付属明治中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は4つで長文読解1題と漢字・ことばの知識で3題という形がここ数年続いている。
長文読解については、素材文は年度により説明的文章の場合と文学的文章の場合がある。説明的文章は4000字ほど、文学的文章は7000字ほどの文量で出されている。総解答数は40問を超えるくらいである。設問はことばで答える問題が多く、書き抜きや文中の言葉を用いて答える問題と選択肢問題とは2対1ほどの割合である。
漢字を含めたことばの知識がしっかり出題されるのが本校の特徴と言える。配点で4割ほどもあるので、けっしておろそかにはできない。
[長文読解問題]
説明的文章・文学的文章ともに難解な文章は使われていないので読みやすい。文章量も多すぎることはないので、平均的なスピードがあれば読み切れるだろう。
ことばで答える問題が多いが、「文中の言葉を用いて」という指定がつくので、文中から適切な部分を見つけて組み合わせることで答えられる場合が多い。いわゆる「論説的」な記述問題は出されていない。選択肢問題も無理に迷わせるような意地悪な選択肢にはなっていない。読解力があれば正確に答えられる。
長文読解の基本をしっかりマスターしよう。
【論説的文章】
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのよう
に書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。
説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。
つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
【文学的文章】
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。
性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。
場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。
多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、
よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、
テーマをとらえる力もより付くことだろう。
[ことばの知識]
熟語の組み立て・四字熟語・慣用句・係り受けなど、文法も含めたことばの知識がしっかり
と出題されている。面倒に感じる人もいるだろうが、読解力の基礎となる部分でもある。語
彙が多いこと・文章を正確に理解できることは、読解力の根本ともいえる重要な能力である。
読書量の多い人は意識しなくてもこの部分が鍛えられている場合が多いだろうが、そうで
あっても、教材で体系的に学んでおくことは大事である。
配点も高い部分なので、専用の教材で丁寧に学習しておくべきである。
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2023年度「明治大学付属明治中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「論説文」、出典は岡本裕一朗「12歳からの現代思想」(文字数約10200字)。小問は全11問(解答数19)。「選択肢」(「空所補充」、「乱文整序」、「組み合わせ」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(1問。「空所補充」)、「説明記述」(全10問。「70字以内」指定1問の他は全て「字数指定なし」で、「20字ほど」~「70字ほど」の解答欄。設問内容は「換言説明」、「内容説明」、「理由説明」等)。問題文を13分ほどで読み切り、設問を32分程度で解きたい。大問二は「総合的知識問題」(「ことわざ」と「慣用句」)。小問なし(解答数7)。「選択肢」(「並べ替え」あり)。3分ほどで終えたい。大問三は「漢字の書きとり」(全10問)。2分程度で丁寧に記したい。
【大問1】「論説文の読解」(「説明記述」10問、「乱文整序」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:45分
- ★必答問題
「現代思想」によって差し出されているメッセージ――「環境」「性」「心」「コミュニケーション」「民主主義」……、私たちのすぐそばにあるこうした問題群をやさしく解きほぐしながら、新たなものの見方や発想へのきっかけについて論じている。本文では、「環境保護活動」では「自然」と「人間」を対立するものとして考える時代が長く続いてきたことを指摘し、現在の考え方について論じている。平易な文章なので、内容は理解できるはずだ。「説明記述」を中心として、本校らしい多様な小問が並ぶ。難易度は本校としては標準レベルだ。以下、いくつかを確認してみたい。
[問一②③⑦] 「指示語換言説明記述」(全3問。全て「字数指定」なし)。傍線部②「こうした観点」、③「そのこと」、⑦「この対比」について、「指示内容」をそれぞれ説明する。「指示語換言」はどこの学校でも定番。「指示語」なので当然、前に戻りながら開いていく(「指示語が出たら前を見よ!」が鉄則)。先ずは②「こうした観点」(「50字ほど」の解答欄)⇒「段落冒頭の指示語」なので「前段落全ての内容を指し示す」(「指示語」の重要解法のひとつ)⇒「前段落の冒頭」に「この観点」とある⇒再びの「指示語」⇒「二重指示語」だ。「二重・三重指示語」は必ず全て開くこと(これまた重要解法)⇒したがって、「前々段落」と「前段落」をまとめることになる⇒たとえば、「人間が自然を支配し、欲望のままに自然に対して暴力を加えて破壊することで、自然が死滅するという観点。」(49字)といった「答え」だ。次に③「そのこと」(「20字ほど」の解答欄)⇒ここでは、直前から「そのこと」=「石油がやがて枯渇するだろうこと」だとすぐに読み取れるはずだ⇒「字数」も問題ないので、このまままとめていけばいい⇒たとえば、「石油がやがて枯渇するだろうということ。」(19字)といった「答え」になる。続けて⑦「この対比」(「35字ほど」の解答欄)⇒段落の最初から傍線部の直前までの「文脈」を読み取っていく(「指示語は段落をまたがない」は基本的解法)⇒「牧歌的自然」が「人間の自然支配」によって破壊され、「沈黙する自然」になると読み取れる⇒「牧歌的自然」と「沈黙する自然」が「対比」されていると分かるので、そのことを意識してまとめていく⇒たとえば、「『牧歌的自然』と人間の自然支配で破壊された『沈黙する自然』という対比。」(35字)といった「答え」だ。
<時間配分目安:全問で6分程度>
※尚、[問一]には本問を含めて5つの枝問があるが、全てが本校の定番である「指示語換言説明記述」だ。「指示語」に関しては、全ての「解法」を習得して熟知していることが必須だと心得よ。
[問四] 「空所補充の語句選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。「慣用句」だ。本文中にある空所 う に「あてはまる言葉」を答える。空所前後の「文脈」をチェックする。「『水俣病』で責任を持つべきは特定の企業なので、『水俣病』の原因は『人間による自然支配』だといえば、 う でしょう」となっている。各選択肢の「言葉」は、(ア)「一笑に付される」・(イ)「一目をおかれる」・(ウ)「色を失う」・(エ)「言葉を濁(にご)される」。全く悩むことなく、「答え」は「笑って問題にしないでいる」という意味の(ア)「一笑に付される」だと特定できなくてはいけない。尚、本校では「慣用句」に限らず、「故事成語」「ことわざ」「「四字熟語」なども頻出なので、確実に定着させておくこと。
<時間配分目安:1分弱>
[問五] 「換言説明記述」(「字数指定」なし、「70字ほど」の解答欄)。傍線部⑤の「あたかも『人間』が環境破壊の原因のように考えるとき、解決すべき問題を隠ぺいすることになるでしょう」とは「どういうことか」を説明する。傍線部を「換言」するわけだが、説明すべき「内容」を「同一意味段落」から読み解きたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。ここでの「同一意味段落」は、傍線部の段落と前後の段落だと判断できる。確認する。「人間によって自然環境が破壊されるにしても、それは『人間一般』ではなく、一定の社会的関係にある『特定の個々人』(企業)だ」「そのことを無視して『人間が環境破壊の原因だ』と考えると、『人間』が抽象化されると同時に『自然』も抽象化されてしまい、具体的に追及する必要がある『企業の責任』や『保護しなくてはならない具体的な自然環境』などが隠されてしまう」。こうした内容を読み解くことができるはずだ。あとは、内容を整理して「過不足なく」まとめていけばいい。その際、「あたかも」=「まるで」、「なるでしょう」=「なるだろう」(推量)といった「換言」にも配慮したい。たとえば、「特定の個人や企業による環境破壊をまるで人間一般が原因のように考えると、企業の責任追及など解決すべき具体的問題を隠すことになるだろうということ。」(71字)といった「答え」になる。「論説文」では、「同一意味段落」を正確に読み取ることが「説明記述」の鍵になると心得よ。
<時間配分目安:3分弱>
[問七] 「乱文整序選択肢」(5択。複数完全解答)。「本文中のア~オの段落を最適な順に並べ替えて」答える。本問は「乱文」ではなく「乱段落」だが、考え方は「乱文整序」と同じだ。先ずは「乱段落(文)」どうしで「順序」が特定できる組み合わせを探すことで、「選択肢」を減らしておきたい。その際は無論、「接続詞」や「指示語」が重要な「手がかり」になる。本問では、アの冒頭に「こうした」という「指示語」、ウの最初に「そこで」という「接続詞」、エの初めに「ところが」という「接続詞」と「こうした」という「指示語」、オの冒頭に「しかし」という「接続詞」がある。先ずは、どこでもいいので自分が結びつけやすいもので、「順序」を特定したい。たとえば、エの「こうした調和的な状態」は、「人間と自然が調和的に生活していた幸福な状態」と終わっているイの次だと特定できなくてはいけない(「幸福な状態」→「調和的な状態」)=(イ)→(エ)が確定。また、ウの「そこで、実践的な目標となるのは、現在の疎外状態を克服し……」には「順接の接続詞」があるので、エの最後の「『疎外』のイメージは『本来的な原初状態から疎遠になり離反していくこと』だと言える」の次につながっていることが分かるはず。この段階で(イ)→(エ)→(ウ)が特定できたことになる。そして、オの「しかし」の直後が「『牧歌的自然』と『人間によって破壊された自然』という対比そのものが、問題ではないでしょうか」となっている。つまり、オの前で「対比」に論及しているはずだが、「乱段落」には見当たらない。本文を確認すると、「乱段落」の直前に「対比」の説明があるので、オは最初だと分かる。さらに、残りのアの後半には「マルクス」が登場し、「乱段落」直後で「マルクス」を結びつけている。したがって、アが最後にくると判断できるはずだ。改めて整理すると、「答え」は「(オ)→(イ)→(エ)→(ウ)→(ア)」ということになる。「乱文(段落)整序」では、「乱文(段落)」どうしの「順序特定」が最大のカギとなると心得よ。
<時間配分目安:3分>
[問九] 「空所補充の語句選択肢」(全5問。5択)。本文中の空所 1 ~ 5 に「あてはまる言葉」を答える。各選択肢は「接続詞」か「副詞」だ。本校に限らずこうした「空所補充」は定番の問題。「接続詞」では「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認する必要がある。それぞれの空所の「答え」をチェックしていく。 1 には「例示」を表す「副詞」である(エ)「たとえば」、 2 には「逆接」の「接続詞」である(イ)「しかし」、 3 には「受容」の「接続詞」である(ウ)「たしかに」、 4 には「順接」の「接続詞」である(オ)「そのため」、そして、 5 には「並立」の「接続詞」である(ア)「また」がそれぞれあてはまると判別できなくてはいけない。「候補」はいくつかあるので、しっかりと「代入確認」してから確定することが重要だ。
<時間配分目安:全問で2分>
【大問2】「総合的知識問題」(「ことわざ」と「慣用句」)
- 難度:易
- 時間配分:3分
本年度、大問として独立した「総合的知識問題」(全7問。「選択肢」は「9択」)。「ことわざ」「慣用句」だ。示されている(ア)~(カ)の「ことわざ・慣用句」を「( )に入る数の合計が小さい順に並べ替え」、その上で、それぞれの「意味」を(A)~(I)の中から答える。基礎的なものばかりだ。本校志望者であれば「全問正解」が必須条件。「答え」をチェックしていく。(ア)「( )を聞いて( )を知る」⇒「一を聞いて十を知る」⇒合計は「11」⇒「意味」は選択肢(F)「非常に賢くて理解がはやいこと」。(イ)「( )寸の虫にも( )分の魂」⇒「一寸の虫にも五分の魂」⇒合計は「6」⇒「意味」は(C)「どんな弱いものにも、それなりの意地があるということ」。(ウ)「( )つ子の魂( )まで」⇒「三つ子の魂百まで」⇒合計は「103」⇒「意味」は(H)「性格は年をとっても変わらないということ」。(エ)「( )里の道も( )歩から」⇒「千里の道も一歩から」⇒合計は「1001」⇒「意味」は(G)「大きなことも手近なところから始めなければならないということ」。(オ)「( )転び( )起き」⇒「七転び八起き」⇒合計は「15」⇒「意味」は(B)「何度失敗してもあきらめずに努力すること」。(カ)「( )死に( )生を得る」⇒「九死に一生を得る」⇒合計は「10」⇒「意味」は(E)「かろうじて生きながらえること」。そして、「数の合計が小さい順」は、「(イ)→(カ)→(ア)→(オ)→(ウ)→(エ)」だ。以上が「答え」になる。尚、どれかひとつでも曖昧(あいまい)なものがあった諸君は猛省し、復習せよ。
【大問3】「漢字の書きとり」(全10問)
- 難度:標準
- 時間配分:2分
「漢字の書きとり」(全10問)。示されている(1)~(10)の「文中の(カタカナ)を漢字」で書く。やや難易度が高かった昨年度より易しくなった。標準レベルだ。本校志望者は無論、失点できない。特に注意すべきものを確認する。(2)「台風の(ヨハ)をうける」=「余波」⇒やや分かりづらいか⇒「風がおさまった後も、なお立っている波」のこと。(6)「与党の(ソウサイ)を決める」=「総裁」⇒「総理総裁」は知っているはず⇒要は「代表」のこと。(8)「線状(コウスイタイ)が発生」=「降水帯」⇒「線状降水帯」は「社会」の「時事ネタ」でもある。(9)「(カイコ)がまゆをつくる」=「蚕」⇒正確に記したい。尚、「画数やバランスの乱れがあった場合は不正解」(本校HP)なので,一画一画の「トメ・ハネ・ハライ」を丁寧に記すこと。
攻略のポイント
●特徴である「簡潔な設問文」、「少ない情報」の中でいかに「設問内容」を的確に把握できるかが「攻略ポイント」。受験生自らが「必要な要素」を補足して捉え、「何が問われているのか」「何をどのように答えればいいのか」を適切に判断しなくてはいけない。それによって「失点」を防ぎたい。「合格ライン」は6割弱(過去11年間平均の「合格者平均得点率」は61.3%、本年度は上がって66.3%)、当然ながら「無意味な失点」が合否を左右すると心得よ。
●出題数の多い「説明記述対策」も怠ってはならない(本年度は全10問)。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法をマスターすること。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。「字数指定」がないものが多いので、様々なパターンに対応できるようにしておくこと。尚、「記述問題中の誤字・脱字にも十分気をつける。句点のないものも減点対象」(本校HP)とあるので要注意。
●本年度は大問として独立した「総合的知識問題」も侮れない。今後はさらに、「高度な語彙力」だけではなく、「文法」も含めた「あらゆる知識」が問われることになる。本校を志したその瞬間から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。塾での学習だけでは全く不十分なので、「独習」は欠かせない。
●試験時間は50分。近年の問題文のボリュームは10000字超のこともある(本年度も約10200字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。本校HPでも「長文問題では速読速解の力が求められていますので,文章に読み慣れておく必要があります」と指摘されている。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。
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