明治大学付属明治中学校 入試対策
2014年度「明治大学付属明治中学校の算数」
攻略のための学習方法
「正攻法で攻めよ」明明の算数対策を一言で表わすならば、これに尽きる。
とりたててスピードも要らないし、超難問を解きほぐせるひらめきも要らない。受験算数という枠組みの、真ん中の道を進んでいけば、おのずから合格への道は開けよう。
《オーソドックスな問題》
50分で大問5題、設問15題という分量はきわめてオーソドックスである。上位校としては、やや少なめかもしれない。普通に研鑽を積んでいけば、時間不足になって解けないと言うことは無い。持っている力を十分に出して問題にあたれるはずだ。
また、難易度について言えば、やはりオーソドックスな難問が並んでいるという感じである。易しいとは言えないが、決して解けないレベルではない。他校に見られるような「捨て問」の類がきわめて少なく、0点から100点までで算数の力が競える。点差はつきやすくなるが、算数が得意な生徒は満点近くを狙えるし、なにより奇問・超難問によって生徒が悩むことがないのはきわめて評価できる点だ。どの問題にも既視感があり、生徒は安心して問題解法に進んでいけることだろう。
しかしながら,明明の壁は高く、そのハードルを越えるのは容易ではない。つまり、自分から見て「簡単だ」と思えるものは他者がみても同じであり、自分から見て「やりやすい」と思えるものは、他者から見てもやりやすいからだ。ここは誤解しやすいところである。明明の競争率が高いのは、テスト問題へのとっつきやすさも影響している。ある生徒が「やりやすい」と感じて選択するとき、他の生徒たちも同じ感想を持って明明を選択している。奇問・超難問を克服するよりは確かに対策は立てやすいが、いまわの際でライバルたちに差をつけなければならない困難さも理解しておこう。
《公式の応用》
では、実際の入試問題において、明明対策はどのようになされるべきか。
どの問題にも一貫して言えることは、手数のかかる問題が多いと言うことだ。大問【Ⅰ】の計算問題から始まり、大問【Ⅴ】最後の設問に至るまでそれは徹底している。
「公式」と言うものがある。「公式」に当てはめれば答えが出るという問題も数多く存在するが、明明ではあまり見かけない。(「公式が分れば解ける」これは簡単を意味しない。特異な公式を使えば一発で出来ても、知らないと解けないか解法に苦労するという問題はたくさん存在する)
代わりに多く登場するのが、「公式」は分っていても、それだけでは解けないという、公式の応用を試される問題である。
明明で頻出の内容に「速さ」と「割合」がある。
この2つの内容は、誤解を恐れずに言えば、公式は一つずつしかない。
よく「割合の3用法」とか「速さの3つの公式」とか言うが、1つの式の解く箇所を変えているだけである。だから、普通の受験生であれば「公式」を知らないから解けない、という分野ではない。
平成26年度の問題にも、この2つの分野から出題はいくつも見られる。「食塩水」と「速さのグラフ」と形を変えてはいても、使うのは「割合」と「速さ」の公式である。しかし、解ききるのは容易ではない。公式を何度も駆使して、ようやく解答までこぎ着けるというスタイルを取っている。
つまり、明明の算数では「公式の暗記量」よりも「公式の応用」に完全に重点が置かれていることがわかる。「規則性」の問題が意外に少ないのは、「規則性」の場合、その周期や決まりが分れば「公式」にあてはめて一発、という問題が多いからではないか。その代わり、「場合の数」のように、究極的な解き方は「数え上げる」という手法になる内容は多く出されている。
さらに言えば、明明の場合、「公式」にあてはめてさらっと解ける問題を避け、非常に手数のかかる、作業中心の問題が多い。
大問【Ⅰ】では,計算問題は分数や小数、整数の混合算であり、逆算を要求されることもある。ここでも、「計算の工夫」一発というよりは、泥臭く計算を積み上げていくという問題が多い。一行問題には「和と差」「割合と比」「平面図形」などが多く出題されるが、やはり「公式は知っている」という前提でそれを使いこなせるかどうかが試されている。大問【Ⅰ】は、式は不要で、答えだけを求めればよいという形式ではあるが、大問【Ⅱ】以降とさして変わらぬ作図や式が必要となる。多少難易度が低く設定されているだけである。
本番においては、この大問【Ⅰ】40点分はぜひとも解いておきたい。
大問【Ⅱ】以降では、より手作業が必要な問題が増えてくる。
「割合と比(食塩水が主)」、「速さの問題(図形上の点の移動が主)」、「場合の数」などである。
これらの内容は、大問【Ⅰ】よりも難易度が高めに設定されているがやることはさして変わらない。よく知っている、よく使ってきた「公式」や「考え方」を用いて、丹念に作業を積み重ね、正解まで持って行くという地道な努力があるだけだ。しかし、学校側はまさにそこを要求しているわけで、コツコツと作業をしていく問題が得意な生徒には向いていると言えるだろう。その代わり、男子によく見られる例で、ひらめきにかけては自信があるが、ノートに式を書いて求めていくのはイヤ(何が書いてあるのかさっぱりわからない~)という生徒、または苦手な生徒はこれから自分自身のやり方を方向転換しなければならない。この学校の姿勢がそうである以上、それに合わせて自分のスタイルを変えていくのが賢明な受験生である。
今までのことをまとめると、この学校では作業を要求される問題を多く出題し、生徒はそれに対応できるように努力するべし、と言うことになる。
《実践問題演習》
では、どのように普段の勉強を積んでいけばよいか。
まず、大問【Ⅰ】レベルの、基本ではあるが、基本の中では最上級クラスの問題の解き方を身につけることが先決だ。ここでの5問は、明明合格への競争に参加できるかどうか、という資格が問われるところだ。このレベルで苦戦しているようでは、まだ後半の問題に取りかかるのは早計である。まずは一行問題を極めよう。手元によい問題集なり参考書があるはずだ。
そして大問【Ⅰ】を突破し、大問【Ⅱ】~【Ⅴ】の問題に挑むにあたっては、過去問も含め、解く問題の分量はどうしても限られてくるので、要領よく時間を使って“合格の力”をつけたい。
大切なことは、問題の難易度に注意するということ。問題が易しすぎては話にならないが、超難問に時間を費やしても「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。自信もなくしかねない。過去問と同じ難易度を持つ他校の問題、たとえば「芝中」や「城北中」のような、男子進学校の問題を選んで解けばよいだろう。後半にある「捨て問」覚悟の難問ではなく、中盤の問題で十分だ。
また、出題範囲は限られているので、その分野の問題に絞って作業のコツなどを身につけながら力を蓄えていくのもよい。
特に、「動く点」の問題や「場合の数」の場合は、式ではなくて、表などに数値をまとめていくことが多い。ていねいに数値を数えていけるよう、普段から気をつけて作業に臨みたいものだ。
はじめのうちは時間を気にしなくてよい。納得いくまで時間をかけて問題の深みを味わおう。明明の難易度が体感できるはずだ。
秋が深まってくる頃には、大問1つを8分以内にこなせるスピードを会得し、算数で高得点が取れるよう仕上げていきたい。
算数の基本的な力を持つ生徒であれば、誰もが挑戦可能な難易度で「おもてなし」をしてくれる学校である。自分なりにテーマを持って挑戦し、合格を目指してもらいたい。
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2014年度「明治大学付属明治中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が5題、小問が15題。大問【Ⅰ】は答えだけ、大問【Ⅱ】以降は、式や考え方も解答用紙に書き込むという形式になっている。
点数配分もきまっていて、多くの場合大問【Ⅰ】が8点×5、大問【Ⅱ】以降が6点×10である。
時間と問題数がマッチした学校であり、良問も多く,、受験生は時間に追われることなく自分の力を十分出せる分量になっている。
ただし、合格までの得点を重ねることは決して容易ではない。
【大問Ⅰ】計算問題を含む、小問5題
- 時間配分:15分
最初の計算問題も□が中ほどにありやりやすい問題とは言えない。
(2)は典型的な速さの差集め算(逆比を用いて解くことも出来る)なので,さして苦労はしなかっただろう。
(3)~(5)をミス1問程度にとどめられたかどうかがポイントになる。
(3)は3:4:5の辺比を持つ直角三角形を利用して辺の長さを求めていけばよい。
(4)は速さの問題に周期をからめたものだが、「3つの点が同じ場所で重なることを調べるには、2つの点どうしの重なりを調べればよい」が分った上で、点をうまく組み合わせることが出来れば解ける。周の長さ72cmの約数になるように組み合わせをまとめられただろうか。
(5)は3種類のつるかめ算で、普通は「3つのものを2つにまとめて」と進めいくところ、平均値が分数になってしまうので計算に手間取ることになる。
明大明治(以下、明明)の場合、一行問題とはいっても、なかなか手の込んだ問題が初めから出されており、難易度も決して低くない。ただ、このあたりは5問中最低でも4問は解けるようになっておきたい。本年度のものであれば、時間内に全問解けるように調整したいものだ。
【大問Ⅱ】食塩水の問題
- 時間配分:6分
いかにも明明レベルにある食塩水の問題で、易しくもなく、かといって難し過ぎずと言う絶妙のバランスの上に成り立っている。AとBの混ぜる割合を「2:3」にしても「8:12」にしても濃さは変わらないと言うことが分れば(1)は解け、(2)もその答えを用いれば面積図までいくことなく解答が導ける。先をにらんで、ぜひあてておきたい問題である。
【大問Ⅲ】速さのグラフ
- 時間配分:8分
グラフだけを見ていると、ひどく複雑そうで気が重くなるが、ここはグラフの内容を線分図に表わすと意外と簡単に問題の意図が分ってくる。
グラフを別のグラフに置き換えたり、与えられたグラフのまま解こうとする姿勢はあまり感心しない。なぜなら、グラフをていねいに(しかもある程度)正確に書くのは大変だからだ。時間もかかる。線分図なら、大雑把なものでも、二人の速さの関係をつかみやすい。
家から図書館までの距離を、兄は10分、妹は40分かかっていることがわかれば、速さの比を出して(1)以降の解答に向かえる。(3)まで難易度の高い設問はない。あてられるよう、努力しよう。
ここまで解けていれば70点で、もう合格点を超えている。
【大問Ⅳ】場合の数
- 時間配分:8分
(2)(3)は、「場合分けをしてから、数えていく」という細かい作業が必要であり、その作業を手際よくできないと時間がかかる上に正しくない答えで出てきそうだ。同じカードが複数枚あるという問題に触れていないと、安直に「積の法則」を使って誤答を出しやすい。時間をかけて丹念に調べ上げてみよう。
この問題は必ずしも全問正解でなくてもよい。
【大問Ⅴ】過不足算
- 時間配分:8分
問題集などでよく見かける「過不足算(差集め算)」の難問と呼ばれるレベルのものであり、(2)の意味が分りにくいと思われる。
ここは(1)だけ求めておき、残った時間は見直しに当ててもさほど合否には影響あるまい。
攻略ポイント
テスト時間は50分で100点満点。受験者平均が55、合格者平均が76と、かなり点差があるのが特徴だ。合格点は65くらいとしておこう。
点差が開く理由として、明明を受験する層の広さも関係していようが、見渡しところ格段難しい設問もなく、かといって易しい出題もほとんどない。算数が得意な生徒は80点を優に超えることが出来、逆に算数が苦手な生徒は前半から時間がかかってしまい得点が伸びなかったのではないか、と想像される。
明明特有の、この“こてこて”した問題群に立ち向かうには、基本問題の徹底履修だけではダメで、基本的な公式や解き方を身につけたら、設問が2つ以上はある条件の複雑な問題にもトライしてみよう。初めは時間がかかってもよい。
また、上に挙げた頻出の分野は時間をかけて必ず得意にしておきたい。特に、「割合」と「速さ」は頑張ろう!
模擬試験の受け方も考えてみたい。
模試で、偏差値稼ぎのため、初めの方だけていねいに解いて得点を上げるといった方法は一時期置いておき、後半の難問にも挑戦していけるメンタルを身につけたい。模試では前半の平易な問題を完璧に解ければ偏差値は60くらい取れるかもしれず、それによって明明の合格可能性は高まるかもしれない。しかし、それはその場しのぎに過ぎない。ここはあえて正答率が下がってでも、難易度の高い問題への自信をつけるために模試の受け方も変えてみたい。
明明は大学附属の中でも大変人気が高い学校であり、それに比して競争率も高く出題される問題も一筋縄ではいかない難しさを持っている。しかし、日頃の演習によって十分克服できるレベルでありこの学校に入りたいという強い意志を持っていれば成し遂げられるはずである。
まずはチャレンジ精神を持って、明明レベルの問題にあたっていこう。
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