明治大学付属明治中学校 入試対策
2016年度「明治大学付属明治中学校の算数」
攻略のための学習方法
「正攻法で攻めよ」明明の算数対策を一言で表わすならば、これに尽きる。
とりたててスピードも要らないし、超難問を解きほぐせるひらめきも要らない。受験算数という枠組みの、真ん中の道を進んでいけば、おのずから合格への道は開けよう。
《オーソドックスな問題》
50分で大問5題、設問15・6題という分量はきわめてオーソドックスである。上位校としては、やや少なめかもしれない。普通に研鑽を積んでいけば、時間不足になって解けないと言うことは無い。持っている力を十分に出して問題にあたれるはずだ。
また、難易度について言えば、やはりオーソドックスな難問が並んでいるという感じである。易しいとは言えないが、決して解けないレベルではない。他校に見られるような「捨て問」の類がきわめて少なく、0点から100点までで算数の力が競える。点差はつきやすくなるが、算数が得意な生徒は満点近くを狙えるし、なにより奇問・超難問によって生徒が悩むことがないのはきわめて評価できる点だ。どの問題にも既視感があり、生徒は安心して問題解法に進んでいけることだろう。
しかしながら、明明の壁は高く、そのハードルを越えるのは容易ではない。つまり、自分から見て「簡単だ」と思えるものは他者がみても同じであり、自分から見て「やりやすい」と思えるものは、他者から見てもやりやすいからだ。ここは誤解しやすいところである。明明の競争率が高いのは、テスト問題へのとっつきやすさも影響している。ある生徒が「やりやすい」と感じて選択するとき、他の生徒たちも同じ感想を持って明明を選択している。奇問・超難問を克服するよりは確かに対策は立てやすいが、いまわの際でライバルたちに差をつけなければならない困難さも理解しておこう。
《公式の応用》
では、実際の入試問題において、明明対策はどのようになされるべきか。
どの問題にも一貫して言えることは、手数のかかる問題が多いと言うことだ。大問【1】の計算問題から始まり、大問【5】最後の設問に至るまでそれは徹底している。
「公式」と言うものがある。「公式」に当てはめれば答えが出るという問題も数多く存在するが、明明ではあまり見かけない。(「公式が分れば解ける」これは簡単を意味しない。特異な公式を使えば一発で出来ても、知らないと解けないか解法に苦労するという問題はたくさん存在する)
代わりに多く登場するのが、「公式」は分っていても、それだけでは解けないという、公式の応用を試される問題である。
明明で頻出の内容に「速さ」と「割合」がある。
この2つの内容は、誤解を恐れずに言えば、公式は一つずつしかない。
よく「割合の3用法」とか「速さの3つの公式」とか言うが、1つの式の解く箇所を変えているだけである。だから、普通の受験生であれば「公式」を知らないから解けない、という分野ではない。
平 成27年度の問題にも、この2つの分野から出題はいくつも見られる。「食塩水」と「速さの比」と形を変えてはいても、使うのは「割合」と「速さ」の公式である。しかし、解ききるのは容易ではない。公式を何度も駆使して、ようやく解答までこぎ着けるというスタイルを取っている。
つまり、明明の算数では「公式の暗記量」よりも「公式の応用」に完全に重点が置かれていることがわかる。「規則性」の問題が意外に少ないのは、「規則性」の場合、その周期や決まりが分れば「公式」にあてはめて一発、という問題が多いからではないか。その代わり、「場合の数」のように、究極的な解き方は「数え上げる」という手法になる内容は多く出されている。
さらに言えば、明明の場合、「公式」にあてはめてさらっと解ける問題を避け、非常に手数のかかる、作業中心の問題が多い。
大問【1】では、計算問題は分数や小数、整数の混合算であり、逆算を要求されることもある。ここでも、「計算の工夫」一発というよりは、泥臭く計算を積み上げていくという問題が多い。一行問題には「和と差」「割合と比」「平面図形」などが多く出題されるが、やはり「公式は知っている」という前提でそれを使いこなせるかどうかが試されている。大問【1】は、式は不要で、答えだけを求めればよいという形式ではあるが、大問【2】以降とさして変わらぬ作図や式が必要となる。多少難易度が低く設定されているだけである。
大問【2】以降では、より手作業が必要な問題が増えてくる。
「割合と比」、「速さの問題」、「場合の数」などである。
これらの内容は、大問【1】よりも難易度が高めに設定されているがやることはさして変わらない。よく知っている、よく使ってきた「公式」や「考え方」を用いて、丹念に作業を積み重ね、正解まで持って行くという地道な努力があるだけだ。しかし、学校側はまさにそこを要求しているわけで、コツコツと作業をしていく問題が得意な生徒には向いていると言えるだろう。その代わり、男子によく見られる例で、ひらめきにかけては自信があるが、ノートに式を書いて求めていくのはイヤ(何が書いてあるのかさっぱりわからない~)という生徒、または苦手な生徒はこれから自分自身のやり方を方向転換しなければならない。この学校の姿勢がそうである以上、それに合わせて自分のスタイルを変えていくのが賢明な受験生である。
今までのことをまとめると、この学校では作業を要求される問題を多く出題し、生徒はそれに対応できるように努力するべし、と言うことになる。
《実践問題演習》
では、どのように普段の勉強を積んでいけばよいか。
まず、大問【1】レベルの、基本ではあるが、基本の中では最上級クラスの問題の解き方を身につけることが先決だ。ここでの5問は、明明合格への競争に参加できるかどうか、という資格が問われるところだ。このレベルで苦戦しているようでは、まだ後半の問題に取りかかるのは早計である。まずは一行問題を極めよう。手元によい問題集なり参考書があるはずだ。
そして大問【1】を突破し、大問【2】~【5】の問題に挑むにあたっては、過去問も含め、解く問題の分量はどうしても限られてくるので、要領よく時間を使って“合格の力”をつけたい。
大切なことは、問題の難易度に注意するということ。問題が易しすぎては話にならないが、超難問に時間を費やしても「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。自信もなくしかねない。過去問と同じ難易度を持つ他校の問題、たとえば「芝中」や「城北中」のような、男子進学校の問題を選んで解けばよいだろう。後半にある「捨て問」覚悟の難問ではなく、中盤の問題で十分だ。
また、出題範囲は限られているので、その分野の問題に絞って作業のコツなどを身につけながら力を蓄えていくのもよい。
特に、「動く点」の問題や「場合の数」の場合は、式ではなくて、表などに数値をまとめていくことが多い。ていねいに数値を数えていけるよう、普段から気をつけて作業に臨みたいものだ。
はじめのうちは時間を気にしなくてよい。納得いくまで時間をかけて問題の深みを味わおう。明明の難易度が体感できるはずだ。
秋が深まってくる頃には、大問1つを8分以内にこなせるスピードを会得し、算数で高得点が取れるよう仕上げていきたい。
算数の基本的な力を持つ生徒であれば、誰もが挑戦可能な難易度で「おもてなし」をしてくれる学校である。自分なりにテーマを持って挑戦し、合格を目指してもらいたい。
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2016年度「明治大学付属明治中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が5題、小問が16題。大問【1】は答えだけ、大問【2】以降は、式や考え方も解答用紙に書き込むという形式になっている。また、点数配分もおおよそきまっている。
時間と問題数がマッチした学校であり、良問が多く受験生は時間に追われることなく自分の力を十分出せる分量になっている。本年度もその流れは変わらなかった。
【大問1】計算問題を含む、小問5題
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)最初の計算問題は昨年度に続き□が中ほどにある逆算の問題。難しくはないが落とせないので慎重に解きたい。
(2)平凡なつるかめ算。1個あたりの価格を出せばすんなりと解答できる。失点するとすれば袋の数ではなく個数で答えてしまうくらいか。
(3)も「おや?」と思うくらい基本的な流水算。速さの比からかかった時間の比を出し…で問題はほとんど終わり。
(4)もまた何度も解いてきたであろう連除法を用いた公約数の問題。
ここまでは全問正解が普通で、ミスした内容に関しては反省が必要だ。
(5)平面図形の面積の問題で、ここで初めて点差が生じてきそうだ。
正方形内部にある4つの三角形に対し斜辺が重なるように合同な三角形を4つ書き込むと正方形の真ん中あたりに小さな長方形が出来る。この面積が3cm2、全体の面積が45cm2で比9(3×3)にあたるので3cm2は比0.6になり、たてが1なので横の長さは0.6、BF=FC=1.5なので、HD=1.5+0.6=2.1、AH=3-2.1=0.9。0.9:2.1=3:7と答えが出る。他の解き方も存在するがいずれにしてもようやく手のかかる問題が出されたという印象である。
最初の小問5問のうち最低でも4問は解けるようになっておきたい。本年度のものであれば、(5)以外は正解しておきたい。
【大問2】速さ…時計算
- 難度:易
- 時間配分:6分
(1)は「時計算」を習い始めた日が想い出される基礎的な設問。しかし感慨にふけっている暇はない。
(2)もまた標準的な問いで、与えられた図から長針が短針よりも264度(360-48×2)動いたときふたたび48度になるので264÷(6-0.5)=48分後。
(3)は5時台に1回、6時台以降は2回…と数えていけばよい。
「時計算」としては標準的な問題といえるが、「時計算」自体を苦手にしている生徒にとっては格好の復習の場となった。
【大問3】3種類のつるかめ算
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
(1)はAとBの本数の比からA・Bの値段を1つにまとめ、あとはおきまりの面積図…いまどきこの解き方ができないようでは「やれやれ~」だ。
(2)もまた面積図で解いていく。面積を10000円とするとぴったり割り切れないがCの本数がおおよそ27本と求まる。このままではA・Bあわせて23本となり、1:2に分けられないのでA・Bの和を24本としてCは残りの26本。なんてことない問題だ。確実に解けておきたい。
ここまでノーミスを狙いたい。そうすれば、はやくも合格ライン突破!
【大問4】ニュートン算
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
いよいよテストも終盤戦。ここからは明大明治らしい、条件が複雑で難易度が高い問題が並ぶ。
そのうちでは【大問4】のニュートン算は、この文章題が得意な生徒は一気に解けてしまうのではないかと思われる。
(1)はじめの量が900個としめされているので、式を2つ立ててA・Bの値を求めていけばよい。
900÷50=18(個)…9×4-(運び込まれるリンゴ)
900÷30=30(個)…7×6-(運び込まれるリンゴ)
(30-18)÷(7×6-9×4)=2(個)…比1あたりの大きさ
あとは自分で行おう。
(2)(1)が求まれば楽勝。
(3)では、70(30+40)分間に運び込まれたリンゴの数にも注意して問題に当たろう。
(1)が求まりさえすれば(2)(3)はおまけのようなものだが、逆に解けなかった場合全滅もありうる。本年度の合否を分けた問題となった。
【大問5】立体図形(切断と体積)
- 難度:難
- 時間配分:8分
立体図形のない明大明治が立体図形を、しかも本格的な切断の問題を出してきた。それだけでも脅威なのだが問題も難易度の高いものであり正解するのは容易ではない。捨て問として処理するのもよいが、立体図形の切断に力を注いでいる塾もあるようなので、その成果を見せる場にもなっている。
【大問4】までを自信を持って仕上げた生徒は高みの見物としゃれ込もうではないか。
攻略ポイント
テスト時間は50分で100点満点。受験者平均が44、合格者平均が61と、かなり点差があるのが特徴だ。また、近年では最も低い平均点となっている。そんなに難しいとは思わないが…合格点は55~60点と設定。
明明特有の、この“こてこて”した問題群に立ち向かうには、基本問題の徹底履修だけでは難しく、基本的な公式や解き方を身につけたら、設問が2つ以上ある、条件の複雑な問題にもトライしてみよう。初めは時間がかかってもよい。
また、頻出の分野は時間をかけて必ず得意にしておきたい。特に、「割合」と「速さ」は頑張ろう!
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