明治大学付属明治中学校 入試対策
2018年度「明治大学付属明治中学校の算数」
攻略のための学習方法
「正攻法で攻めよ」明明の算数対策を一言で表わすならば、これに尽きる。
とりたててスピードも要らないし、超難問を解きほぐせるひらめきも要らない。受験算数という枠組みの、真ん中の道を進んでいけば、おのずから合格への道は開けよう。
《オーソドックスな問題》
50分で大問5題、設問15・6題という分量はきわめてオーソドックスである。上位校としては、やや少なめかもしれない。普通に研鑽を積んでいけば、時間不足になって解けないと言うことは無い。持っている力を十分に出して問題にあたれるはずだ。
また、難易度について言えば、やはりオーソドックスな難問が並んでいるという感じである。易しいとは言えないが、決して解けないレベルではない。
他校に見られるような「捨て問」の類がきわめて少なく、0点から100点までで算数の力が競える。点差はつきやすくなるが、算数が得意な生徒は満点近くを狙えるし、なにより奇問・超難問によって生徒が悩むことがないのはきわめて評価できる点だ。どの問題にも既視感があり、生徒は安心して問題解法に進んでいけることだろう。
しかしながら、明明の壁は高く、そのハードルを越えるのは容易ではない。
つまり、自分から見て「簡単だ」と思えるものは他者がみても同じであり、自分から見て「やりやすい」と思えるものは、他者から見てもやりやすいからだ。ここは誤解しやすいところである。明明の競争率が高いのは、テスト問題へのとっつきやすさも影響している。
ある生徒が「やりやすい」と感じて選択するとき、他の生徒たちも同じ感想を持って明明を選択している。奇問・超難問を克服するよりは確かに対策は立てやすいが、いまわの際でライバルたちに差をつけなければならない困難さも理解しておこう。
《公式の応用》
では、実際の入試問題において、明明対策はどのようになされるべきか。
どの問題にも一貫して言えることは、手数のかかる問題が多いと言うことだ。大問【1】の計算問題から始まり、大問【5】最後の設問に至るまでそれは徹底している。
「公式」と言うものがある。「公式」に当てはめれば答えが出るという問題も数多く存在するが、明明ではあまり見かけない。(「公式が分れば解ける」これは簡単を意味しない。特異な公式を使えば一発で出来ても、知らないと解けないか解法に苦労するという問題はたくさん存在する)
代わりに多く登場するのが、「公式」は分っていても、それだけでは解けないという、公式の応用を試される問題である。
明明で頻出の内容に「速さ」と「割合」がある。
この2つの内容は、誤解を恐れずに言えば、公式は一つずつしかない。
よく「割合の3用法」とか「速さの3つの公式」とか言うが、1つの式の解く箇所を変えているだけである。だから、普通の受験生であれば「公式」を知らないから解けない、という分野ではない。
平成27年度の問題にも、この2つの分野から出題はいくつも見られる。「食塩水」と「速さの比」と形を変えてはいても、使うのは「割合」と「速さ」の公式である。しかし、解ききるのは容易ではない。公式を何度も駆使して、ようやく解答までこぎ着けるというスタイルを取っている。
つまり、明明の算数では「公式の暗記量」よりも「公式の応用」に完全に重点が置かれていることがわかる。「規則性」の問題が意外に少ないのは、「規則性」の場合、その周期や決まりが分れば「公式」にあてはめて一発、という問題が多いからではないか。その代わり、「場合の数」のように、究極的な解き方は「数え上げる」という手法になる内容は多く出されている。
さらに言えば、明明の場合、「公式」にあてはめてさらっと解ける問題を避け、非常に手数のかかる、作業中心の問題が多い。
大問【1】では、計算問題は分数や小数、整数の混合算であり、逆算を要求されることもある。ここでも、「計算の工夫」一発というよりは、泥臭く計算を積み上げていくという問題が多い。一行問題には「和と差」「割合と比」「平面図形」などが多く出題されるが、やはり「公式は知っている」という前提でそれを使いこなせるかどうかが試されている。
大問【1】は、式は不要で、答えだけを求めればよいという形式ではあるが、大問【2】以降とさして変わらぬ作図や式が必要となる。多少難易度が低く設定されているだけである。
大問【2】以降では、より手作業が必要な問題が増えてくる。
「割合と比」、「速さの問題」、「場合の数」などである。
これらの内容は、大問【1】よりも難易度が高めに設定されているがやることはさして変わらない。よく知っている、よく使ってきた「公式」や「考え方」を用いて、丹念に作業を積み重ね、正解まで持って行くという地道な努力があるだけだ。
しかし、学校側はまさにそこを要求しているわけで、コツコツと作業をしていく問題が得意な生徒には向いていると言えるだろう。
その代わり、男子によく見られる例で、ひらめきにかけては自信があるが、ノートに式を書いて求めていくのはイヤ(何が書いてあるのかさっぱりわからない~)という生徒、または苦手な生徒はこれから自分自身のやり方を方向転換しなければならない。この学校の姿勢がそうである以上、それに合わせて自分のスタイルを変えていくのが賢明な受験生である。
今までのことをまとめると、この学校では作業を要求される問題を多く出題するので、生徒はそれに対応できるように努力するべし、と言うことになる。
《実践問題演習》
では、どのように普段の勉強を積んでいけばよいか。
まず、大問【1】レベルの、基本ではあるが、基本の中では最上級クラスの問題の解き方を身につけることが先決だ。ここでの5問は、明明合格への競争に参加できるかどうか、という資格が問われるところだ。このレベルで苦戦しているようでは、まだ後半の問題に取りかかるのは早計である。まずは一行問題を極めよう。手元によい問題集なり参考書があるはずだ。
そして大問【1】を突破し、大問【2】~【5】の問題に挑むにあたっては、過去問も含め、解く問題の分量はどうしても限られてくるので、要領よく時間を使って“合格の力”をつけたい。
大切なことは、問題の難易度に注意するということ。問題が易しすぎては話にならないが、超難問に時間を費やしても「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。自信もなくしかねない。過去問と同じ難易度を持つ他校の問題、たとえば「芝中」や「城北中」のような、男子進学校の問題を選んで解けばよいだろう。後半にある「捨て問」覚悟の難問ではなく、中盤の問題で十分だ。
また、出題範囲は限られているので、その分野の問題に絞って作業のコツなどを身につけながら力を蓄えていくのもよい。
特に、「動く点」の問題や「場合の数」の場合は、式ではなくて、表などに数値をまとめていくことが多い。ていねいに数値を数えていけるよう、普段から気をつけて作業に臨みたいものだ。
はじめのうちは時間を気にしなくてよい。納得いくまで時間をかけて問題の深みを味わおう。明明の難易度が体感できるはずだ。
秋が深まってくる頃には、大問1つを8分以内にこなせるスピードを会得し、算数で高得点が取れるよう仕上げていきたい。
算数の基本的な力を持つ生徒であれば、誰もが挑戦可能な難易度で「おもてなし」をしてくれる学校である。自分なりにテーマを持って挑戦し、合格を目指してもらいたい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2018年度「明治大学付属明治中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が5題、小問が15題。
はじめに計算問題を含む小問が4題あり、そのあと大問が4問という並びは変化がない。
【大問1】は答えのみ、【大問2】以降は、式や考え方も解答用紙に書き込むという形式で、重要な分野も顕著であり、過去問を踏まえた上で対策しやすい学校といえる。
時間と問題数がマッチした学校であり、良問が多く受験生は時間に追われることなく自分の力を十分出せる分量になっている。本年度は全体の難易度が下がったことと超難問が見られないことから、平均点・合格点とも上がっている。
【大問1】小問5題(計算・倍数算・相似・売買損益・場合の数)
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
(1)はじめの計算問題は4年連続で□が中ほどにある逆算の問題。ここは確実に正解しておきたい。
(2)やや応用がかった倍数算。A・Bが金銭をやりとりしているだけなので、A・Bの和は変わらないことから比の大きさをそろえ問題を解いていく。
(3)直角三角形の中に接する正方形が2つ、という何度も解いてきた問題。BE:ED:DAがBF:FG:GCと同じになることがわかれば解くのはそう難しくない。
(4)売買損益の少し複雑な問題。定価を①とおいて等式を立て、①について解いていけばよい。平易ではないものの明大明治志望者であれば必ず解けるようにしておきたい。
(5)場合の数。見た目と違ってかなり難しい問題。いや、本年度で最も難しい設問ではあるまいか、と思わせるもの。B×Cの値をすべて求めた上で、AやDを決めていく。しかも数字の入れ方ではなくて答えの数なので、当然計算結果が同じものは1つと数えなくてはならない。ここは不正解でもやむを得ないか。
小問5問のうち(5)を除く4問は解けるようになっておきたい。
<時間配分目安:15分>
【大問2】食塩水の問題
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
ここは平易な出題で助かった。ぜひ両問とも正解しておきたい。
まさか(1)のような典型題を明治の大問でお目にかかるとは…ただ、受験生たちが全員出来ている可能性もあるので出来ても喜べない。
(2)食塩水が3つになっても難度がまったく上がらない設問で、5年生の食塩水対策にちょうどよいレベルになっている。こちらは受験生全員が正解とは言わないものの、100人中97人くらいは出来そうだ。
本年度のものは取るに足らないが、明大明治対策として食塩水の強化は必須だ。
<時間配分目安:6分>
【大問3】速さ(旅人算)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1)どんな設問が待ち受けているとは思えば…せめてBとCが出発する時刻をずらしてほしいもの。BとCは12分ごとに目印を通るので、あとはAが通る時間を書いて調べていく「だけ」。
(2)でついに点差がつき始めるか。Aさん・Bさんの出発地点は容易に求まるので、Cさんが出発する位置を慎重に求めていきたい。
ここも2問とも正解したい。
<時間配分目安:8分>
【大問4】図形(多角形の面積)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
与えられた図だけではなく、自分で作図する必要もあるのでそのあたりで点差がついたと考えられる問題。レベルは高くないものの、きっちりとした図を書けないと求まらない。
(1)(3)は図が書ければそのまま正解を導き出せる問いになっていて、(2)が一番難しい。
2問は正解しておきたい。
<時間配分目安:8分>
【大問5】仕事算
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
明大明治の算数にはニュートン算が出る、必ず出るので対策は必須である。そして、本年度も出た!!
…と思いきや似てはいるものの本年度は「仕事算」がラストをしめくくることになった。
(1)は標準、(2)はやや難、(3)はさらに難度がアップしており、どの設問まで食らいつけたか、算数力を見るには適した問題である。受験生ならば、最低でも(1)は正解しておきたい。
問題文をよく読み、内容を頭に入れてからしっかりと解いてみよう。
(1)では水そうの容積を273とすると、273÷91=3で、これがC-A。273÷39=7で、これがD-B。この二つの値を加えると、3+7=10がC+D-B-Aを表し、4つの管をすべてひらいた状態となる。よって、273÷10より答えが求まる。
(2)では、A,B,C,Dの比の大きさを求めなくては、と覚悟してAとBに3・5をあてはめとみると、そのままC・Dは6・12ですぐそろってしまった。あとは割り算だけ。
(3)は10分ごとに水を入れたり出したりする問いになっていて、周期算をからませた仕事算であり、比較的よく見られる組み合わせであるもののやはりきめ細かな「詰め」が必要になる。最後まで解ききれた生徒は算数で大きなイニシアチブをとれたことだろう。
<時間配分目安:12分>
攻略ポイント
テスト時間は50分で100点満点。
受験者平均が52.8,合格者平均が71.4と、かなり大きな点差があるのが特徴だが、平均点としては近年では平成26・27年度並みの高さであり、合格には70点が必要になるだろう。
【大問1】(5)とあと2・3問の失点にとどめたい。問題の水準を見るに、それはそんなに難しくない注文だろう。
明大明治特有の、条件の複雑な大問群に立ち向かうには、基本問題の徹底履修だけでは難しく、基本的な公式や解き方を身につけたら、設問が2つ以上ある,条件の複雑な問題にもトライしてみることがおすすめだ。
また、「割合と比にかたよった出題」・「図形が重視されない傾向」にあるので、その両点から向き・不向きを考えてみるのもよいだろう。
さらに、頻出の分野は時間をかけて必ず得意にしておきたい。特に、「割合と比」・「速さ」は十分に時間をかけてがんばろう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
明治大学付属明治中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
家庭でできること
インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。