｢47都道府県を示した日本地図｣からの出題｡｢自然地名と都市｣、｢統計資料｣、東京の今昔の｢風景の写真｣と｢地形図｣などに関する、｢地理｣単元の多種多様な問題が並んでいる。｢自然地名の判別と位置特定｣には超難問が紛れているので要注意。また、｢図版読み取り｣の｢考察論述｣も控えている。なかなか厄介な大問だ。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみる。

[１(１)]　｢『山と標高』との組み合わせおよび『位置特定』の選択肢設問｣(４択および47択/複数完全解答)。示されている４つの｢山の名前と山頂の標高の組み合わせ｣の中で、｢正しいもの｣を選び、その｢山頂がある都道府県の位置｣を｢地図上｣で特定し｢番号｣で答える。本校で例年出題されている｢自然地名の位置特定｣のひとつ。４つの｢組み合わせ｣を確認する。(ア)｢北岳(白根山)―3193ｍ｣･(イ)｢穂高岳(奥穂高)―4810ｍ｣･(ウ)｢槍ヶ岳―4478ｍ｣･(エ)｢赤石岳―3950ｍ｣。えっ、何！ 一瞬、血の気が引いたのではないか。｢標高｣など｢富士山｣以外は定着していないに決まっている。分かるはずがない……、本当にそうか？ ｢富士山｣の｢標高｣が｢3776ｍ｣だと知っているのだから、すぐに｢正しい組み合わせ｣は(ア)だと判別できなくてはいけない、なぜって、他は｢3776ｍ｣よりも高いからだ。そして、｢白根山｣は｢赤石山脈｣に含まれるということは知っているはず＝｢山梨県｣なので、｢答え｣は｢(ア)･19｣ということになる。｢私が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えること｡そして、｢機転｣を働かせよ。尚、[１(６)]( ｢『湖沼と水深』との組み合わせおよび『位置特定』の選択肢設問｣も、本問同様に最も深い｢田沢湖｣の水深が｢423ｍ｣だと知ってさえいれば解ける。
＜時間配分目安：１分弱＞

[１(２)]　｢『山地と国定公園』との組み合わせおよび『位置特定』の選択肢設問｣(４択および47択/複数完全解答)。示されている４つの｢山地の名前と国定公園の組み合わせ｣の中で、｢正しいもの｣を選び、その｢山頂がある都道府県の位置｣を｢地図上｣て特定し｢番号｣で答える。前問同様の問題。(ア)｢天塩山地―網走国定公園｣･(イ)｢出羽山地―蔵王国定公園｣･(ウ)｢紀伊山地―石鎚国定公園｣･(エ)｢中国山地―秋吉台国定公園｣。ここでは、純粋な｢深知り知識｣が求められている。｢山地｣はともかく、｢国定公園｣は抜けている諸君が多いのではないか。(イ)が間違っていることはすぐに分かるが、他はなかなか断定しづらい。(ア)はともに｢北海道｣ではあるが、｢天塩山地｣は北海道北部で南北に連なっており、｢網走国定公園｣はオホーツク海沿岸＝不適切。(ウ)の｢石鎚国定公園｣は｢四国山地｣に含まれ愛媛県の｢石鎚山｣がその中心＝不適切。したがって、(エ)が｢正しい組み合わせ｣となり、｢秋吉台｣は｢山口県｣なので、｢答え｣は｢(エ)･35｣だ。本校では、この程度の｢深知り知識｣が｢標準レベル｣だと心得よ。
＜時間配分目安：１分弱＞

※[１(３)]は｢『火山と火山活動の内容』との組み合わせ｣だが、｢火山活動の内容｣は流石(さすが)にここまでは知らなくてもいいものだ。超難問なので｢捨て問｣で構わない。

[４]　｢統計資料についての組み合わせ選択肢設問｣(６択)。示されている｢グラフ２｣(東京都中央卸売市場におけるピーマンの月別入荷量)と｢グラフ３｣(都道府県別のピーマンの生産量割合)について、２つのグラフ中の(Ａ)～(Ｃ)はそれぞれ同じ｢県｣で、｢茨城県｣･｢岩手県｣･｢宮崎県｣のいずれかだが、｢正しい組み合わせ｣を答える。先ずは｢グラフ３｣に着目したい。(Ａ)の｢県｣が最も割合が大きい。無論、｢ピーマンの生産量｣の｢１位｣は｢茨城県｣だ。この段階で｢選択肢｣は２つになる。同様に｢グラフ３｣で(Ｂ)は｢２位｣なので、｢岩手県｣ではなく｢宮崎県｣だと判別できるはず。よって、その｢組み合わせ｣になっている(イ)が｢答え｣となる。そのことは、｢グラフ２｣で｢冬｣に(Ｂ)、｢夏｣に(Ｃ)の｢入荷量｣が多いことからも確認できる。尚、｢組み合わせ選択肢｣では、分かりやすい項目で一気に選択肢を絞り込むことが肝要だ。
＜時間配分目安：30秒弱＞

[６]　｢図版の読み取りの考察論述設問｣(｢字数指定なし｣で｢60字ほど｣の解答欄)。示されている｢資料１｣(東京の｢利根川水系｣とロンドンの｢テムズ川｣の｢河川水位｣を表した模式図)と｢資料２｣(｢利根川｣や｢テムズ川｣などの｢洪水時と平常時の流量比較｣｣を表した模式図)にから読み取れることを使って、｢ロンドンに比べて東京で水害が発生する可能性が高い理由｣を論述する。２つの資料は誰にとっても初見に決まっている。だが、すぐに諦(あきら)めず何とか食らいつきたい。とにもかくにも、｢水害｣ということを意識して、資料をしっかりと読み取ることが重要だ。｢資料１｣からは、｢東京｣には多くの河川が流れており、川の水位より低い場所に市街地があるのに対して、｢ロンドン｣は｢テムズ川｣だけで｢標高｣が低いところを流れ、しかも市街地の｢標高｣が高いことなどが読み取れる。また、｢資料２｣からは、｢テムズ川｣は｢洪水時の流量｣が｢平常時の８倍｣なのに対して、｢利根川｣は｢100倍｣にもなることが読み取れるはずだ。こうした内容を｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢多くの河川が流れ、テムズ川と比べ洪水時の流量増大も著しい上に、標高が低い市街地よりも洪水時の水位が高くなってしまうから｡｣(60字)といった｢答え｣だ。｢資料の読み取り｣は、｢設問内容｣に即して正確かつ丁寧に行うこと｡
＜時間配分目安：２分半＞

※尚、[５]は｢半世紀前｣と｢現在｣の｢東京の風景の写真｣と｢地形図｣からの出題。｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。

｢47都道府県を示した日本地図｣からの出題｡｢自然地名と都市｣、｢統計資料｣、東京の今昔の｢風景の写真｣と｢地形図｣などに関する、｢地理｣単元の多種多様な問題が並んでいる。｢自然地名の判別と位置特定｣には超難問が紛れているので要注意。また、｢図版読み取り｣の｢考察論述｣も控えている。なかなか厄介な大問だ。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみる。
日本にある８カ所の｢世界遺産｣に関係する｢写真｣と、それらについての｢説明文｣からの出題だ。｢写真｣はそれぞれ、｢原爆ドーム｣･｢日光東照宮｣･｢大浦天主堂｣･｢大仙古墳｣･｢守礼門｣･｢鑑真和上像｣･｢東寺の五重塔｣･｢端島(軍艦島)｣を写したものだ。｢時事的要素｣もあり、誰もがすぐに分かるものばかりだ。小問は｢歴史｣単元についての基礎的なものがほとんどなので、一気呵成に得点を重ねたい大問。やや悩ましい２問だけを検証してみよう。

[３]　｢下線部についての理由説明記述設問｣(｢字数指定なし｣で｢30字ほど｣の解答欄)。｢東寺の五重塔｣の｢説明文②｣中の下線部｢羅城門の東西に建立された２つの寺｣について、｢平安京には造営当時、寺はこの２つだけしかなかった｣が、｢多くの寺があった平城京とは違って、平安京を造営した時代に寺が少なかった理由｣を説明する。｢平城京｣との比較が問題文にある。そこから、｢平安京｣に都を移した｢理由｣を思い出したい。奈良時代に｢聖武天皇｣などが仏教を重んじた結果、仏教勢力が強くなりすぎたので、｢桓武天皇｣は｢平城京｣から都を移し人心を一新させようとした。したがって、｢平安京｣では当初、仏教勢力をできるだけ排除しようとしたわけだ。こうしたことを簡潔にまとめていく。たとえば、｢仏教勢力を排除することが平安京に都を移した理由のひとつだから｡｣(31字)といった｢答え｣になる。本問のように、｢問題文｣を｢手がかり｣として考えを進めていくことが必要な場合がある。
＜時間配分目安：２分以内＞

[８(２)]　｢説明文についての事項記述設問｣。｢端島(軍艦島)｣の｢説明文⑦｣について、示されている｢絵図｣(｢炭鉱の仕事の様子｣を描いたもの)のような｢絵画も世界遺産とされている｣が、｢このような世界遺産は、『世界自然遺産』『世界文化遺産』と区別して何と呼ばれるか｣を答える。さあ、どうか？ ｢隙(すき)間｣をねらわれている。｢答え｣は｢世界記憶遺産｣だ。｢歴史的な文書や絵画、音楽などを後世に残すための取り組み｣だ。日本では、本問の｢筑豊の炭鉱画｣を含め７件が登録されている(2017年時点)。知らなかった諸君は確認しておくこと｡
＜時間配分目安：30秒強＞

｢2024年度に新紙幣発行｣という｢時事ネタ｣を切り口とした、｢お金(貨幣)にまつわるさまざまな話題についての会話文｣からの出題。｢公民｣単元、特に｢経済分野｣からの出題、そして、｢時事｣単元、｢考察問題｣と多種多様な小問が並んでいる。さほど難解ではないが、｢考察論述｣が少し手強いかもしれない｡いくつかを検討する。

[２]　｢下線部についての空所補充抜き出し設問｣(全２問/各｢２文字｣指定)。｢公民｣単元。｢会話文｣中の下線部①の｢貨幣｣が果たす｢役割･機能｣について示されている｢説明文｣の空所　か　･　き　に｢あてはまる語句｣を、｢会話文｣中からそれぞれ｢２文字｣で抜き出して答える。｢貨幣の機能｣の問題。当然ながら、｢交換手段｣･｢価値尺度｣･｢価値貯蔵｣という３つの｢機能｣は知っているはずだ。｢説明文｣には、｢モノ(サービス)の　か　の仲立ちをする｣｢モノ(サービス)の　き　をはかる｣｢モノ(サービス)の　き　を保存する｣などとある。ということは、抜き出すまでもなく｢答え｣は　か　＝｢交換｣･　き　＝｢価値｣だと特定できなくてはいけない。尚、｢国語｣だけではなく｢社会｣でも｢抜き出し設問｣はあり得る。｢解法｣は同じなので応用すること。
＜時間配分目安：全問で１分弱＞

[４]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元。｢会話文｣中の下線部②｢ＥＵ｣について、｢正しい説明｣を答える。各選択肢の｢説明｣の｢要点｣｢キーワード｣で正誤判別していく。確認したい。(ア)｢すべての加盟国間を、パスポートなしで行き来できる｣⇒できるでしょ？ が、断言できない……＝保留。(イ)｢すべての加盟国間において、関税なしで貿易できる｣⇒できるでしょ？ が、これまた断言できない……＝保留。(ウ)｢すべての加盟国間において、共通通貨が用いられている｣⇒もちろん、｢すべて｣ではないことは知っているはず＝不適切。(エ)｢すべての加盟国間において、付加価値税(消費税)の税率が統一されている｣⇒そうかもしれないが……＝保留。なかなか判別が微妙な問題だ。しかし、｢ＥＵ｣は元来、加盟国間の｢貿易自由化促進｣が目的だったことから類推して、｢答え｣は(イ)だと特定したい。自らが｢理解｣していることから｢類推｣して｢答え｣を導くことも肝要だ。
＜時間配分目安：１分弱＞

[９]　｢下線部についての事項記述設問｣(｢４文字｣指定)。｢時事｣単元。｢会話文｣中の下線部⑥の｢ビットコイン｣のような、｢インターネット上でのみ流通する、中央銀行の管理を受けない『お金』を何というか｣を｢４文字｣で答える。典型的な｢時事問題｣だ。もちろん、｢答え｣は｢暗号資産｣だ。以前は｢仮想通貨｣と呼ばれていたが、2019年３月以降｢暗号資産｣が正式名称となったので、こちらで定着させておくこと｡尚、｢時事ネタ｣は受験前年だけではなく、過去数年間のものは確認しておくことが肝要。
＜時間配分目安：30秒＞

[10]　｢下線部についての説明記述および考察論述設問｣(全３問。全て｢字数指定なし｣で各｢30字ほど｣の解答欄)。｢時事｣単元および｢考察問題｣。｢会話文｣中の下線部⑦｢大きく変化してきているお金の未来｣について、｢キャッシュレス決済｣に関して示されている｢説明文｣中の『 』の語句を説明し、論述する。｢説明文｣は｢キャッシュレス決済の消費者にとっての『利点』、およびキャッシュレス決済に関する『課題』をそれぞれ1つ挙げなさい。また、キャッシュレス決済が普及していく中で、上で挙げた『課題』を社会全体において解決していくために、どのような『方法』が考えられますか、あなたの考える具体的な『方法』を30字程度で述べなさい｡｣となっている。つまり、｢キャッシュレス決済｣の｢利点｣と｢課題｣をそれぞれ説明し、｢課題｣を解決する｢方法｣を具体的に論述するわけだ。前の２つについては、｢時事問題｣として難なく分かるはずだ。たとえば、｢現金を出し入れする手間が省け、楽に買い物できるという利点｡｣(29字)、｢データのやりとりで個人情報が流出する危険があるという課題｡｣(29字)などといったそれぞれの｢答え｣になる。３つ目の｢方法｣については、自らが挙げた｢課題｣をどのように解決すればいいのかを、具体的に｢考察｣する必要がある。ここの例では、｢個人情報流出を防ぐ具体的な方法｣を考察する。その際、｢個人｣ではなく｢社会全体｣で解決するということを押さえておく必要がある。たとえば、｢現在よりも安全対策を強化したパスワードを義務づけるなどの方法｡｣(31字)といった｢答え｣だ。｢考察問題｣では、問題文などで｢与えられた情報｣を的確に読み解いて｢考察｣しなくてはいけない。
＜時間配分目安：全問で７分弱＞