明治大学付属八王子中学校 入試対策
2024年度「明治大学付属八王子中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は2題で各15問の計30問という構成が定型である。ここ数年は大問1に小説、大問2に論説文という順番になっている。
設問は「文中の言葉を使って」「書き抜いて」など言葉で答える問題と選択肢問題とがおおよそ各10問ずつ、漢字の読み書きは各大問で5問ずつの計10問という内訳である。いわゆる記述問題は出題されていない。
素材文の文量は計10000~12000字とかなり多い。分速600~700字くらいを目標に、速く読む練習を積んでおきたい。
[小説の読解]
登場人物や舞台の設定が学生や学校である場合が多く、受験生にもなじみがあるので理解しやすいだろう。文中の言葉を使って答える問題が多いので、読解がしっかりできていれば得点しやすい。
ただし、選択肢問題は文中の細かな表現まで注意していないと惑わされる場合がある。一字一句、また全体に渡ってよく内容を吟味し、本文との一致・相違を見逃さないように注意しよう。
文学的文章の読解の技術を磨こう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
[論説文の読解]
ここ数年は人文科学分野からの文章が多い印象である。それほど難解な用語が出てくるわけでもなく、平易な言葉で書かれているので難しくは感じないだろう。2種類の文章を組み合わせたりして(2018年度)、読み易くする工夫をしてくれているようである。
説明的文章の読解の基礎をしっかり身に付けよう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
[漢字]
2023年まで各大問の最後に漢字の問題が置かれていたが、2024年度から一つの大問として最後にまとめられた。漢字だけまず先に済ませ、残り時間を読解に充てることができるのは便利である。
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2024年度「明治大学付属八王子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2024年度は約11000字の文量で、昨年度と同じくらいだった。分速600~700字くらいで読めるようにして、問題を考える時間を確保したい。幸い、問題数は30問と控えめで記述問題も無いので、速読ができれば時間には余裕があるはずである。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:24分
- ★必答問題
主人公はお笑い芸人として芽が出ず芸人をあきらめかけた時に、かつての相方と会って話をしたことでお笑いへの思いを取り戻す。
問一 プロデューサーを紹介するような紛らわしい言い方で呼んでおいて、実際は事務所をたたむ手伝いをさせただけであり、期待してしてしまった主人公にとっては残酷なことであった。
問二 この時もう期待していた通りにはいかないのではないかと主人公は考え始めており、褒められたところで喜ぶ気にはなれないのである。
問三 もうプロデューサーを紹介してくれる気はないのだと気づいてはいるのだが、わずかな望みで確かめないわけにもいかず、つらい気持ちである。
問四 直前で吉沢さんの心中を考えている。かつては事務所の社長としてお笑いに携わり、いま夢破れて事務所を締めようとしている吉沢さんも自分と同じ無念を共有しているのだと考えた時に、自然とお辞儀をしたのであろう。
問五 ア. お笑い芸人・お笑い・売れることなど。
イ. あきらめる・やめるなど。
問六 自分を捨てた相方を見返す・あるいは不条理な世の中を……といったようにうまくいかないことを他者のせいにして、お笑いを見てくれたお客さんへの感謝の心や純粋なお笑いへの思いを忘れてしまっているのである。
問七 てっちゃんは主人公を月に例えて「お前は自分が輝いていることに気づいてない」と指摘している。その夜の弓のような月は「清らかな美しさ」をたたえており、それは主人公の笑いが好きだという純粋な気持ちの比喩なのである。
問八 一度は失いかけた笑いを純粋に好きだという気持ちを相方の言葉で気づかされて、もう一度初心に戻ってお笑いを続けようと思いを新たにした。
問九 主人公はエンタメについて、「提供するほうも受け取るほうも一緒に楽しい」と考え、自分がお笑いを好きである原点もそこにあると考えている。
問十 ア. 主人公の心の中の自分への会話や問いかけを示すことで、気持ちの動きや考えの変化を丁寧に描いている。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
どんな場面でも人を励ませる便利な言葉などないが、それでも人は言葉に励まされることがあるのだから、根気強く言葉を探し続けようと筆者は述べている。
問一 ワークショップを例に挙げて筆者が言いたかったのは、「どんな場面でも人を励ませる便利な言葉(十八字)」なんてないということである。
問二 大震災のような甚大な災害においては、「がんばれ」「負けるな」「大丈夫」などのありきたりな励まし言葉は、その苦しみの大きさの前では意味をもたないのである。
問三 「ひとりじゃない」は見方を変えれば「あなただけが苦しいわけではない(だから我慢も必要だ)」という、まったく励ますことにならない意味にも取れてしまうわけである。
問四 ありきたりの励まし言葉は誰にでも使いやすい言葉であるだけに、ひとりひとりの実情に沿っていない響かない言葉になりがちである。
問五 誰をも励ませる都合のいい言葉などないとはっきり認めたうえで、それでも人は言葉に励まされることもあるのだから地道に言葉を探していこうと、山下さんの詩を紹介しながら主張している。
問六 山下さんが亡くなった友人のことを詩にしたのは「その人が生きていたという事実」を遺したかったのだと、筆者は考えている。
問七 昔の患者はみんな詩人だったんじゃないかと山下さんは考えており、「挫けそうな心を励まし、仲間をいたわる言葉」を持っていたから、とその理由を述べている。
問八 山下さんの詩は、「どんなに困難な状況でも言葉で人を励ますことを諦めなかった人たち」がいたことを証明しているからこそ、我々の心を打つのである。
問九 簡単には見つからない・無いのかもしれないと思いながらも、それでもあきらめずあると信じて探し続けることでしか、ひとりひとりを励ます言葉にたどり着けないのかもしれないと筆者は考えている。
問十 ありふれた励ましの言葉など無力だというのが筆者の主張で、詩や文学が無力であるとは言っていない。
【大問三】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
① 童心 ② 均等 ③ 絶賛 ④ 就任 ⑤ 寸法
⑥ じゅうばん ⑦ めいしん ⑧ よけい ⑨ しょめい ⑩ しゅくしゃく
攻略のポイント
多い時には12000字にもなる文量に慣れること。速読が必要である上に、何度も読み返す時間はないので正確な読み取りが求められる。速く・正確に読めるように、同じように文量の多い女子校の過去問なども利用しながら、読解のスピードを上げていこう。
文中の要素を使った適語記入・書き抜きが多い点も意識して、重要点をマークしながら読むコツをつかんでおくとよい。
漢字が大問の最後にまとめられているという特徴にも、過去問を多くこなして効率良く解答できるように慣れておきたい。
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