明治大学付属八王子中学校 入試対策
2018年度「明治大学付属八王子中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は2題で各15問の計30問という構成が定型である。ここ数年は大問1に小説、大問2に論説文という順番になっている。
設問は「文中の言葉を使って」「書き抜いて」など言葉で答える問題と選択肢問題とがおおよそ各10問ずつ、漢字の読み書きは各大問で5問ずつの計10問という内訳である。いわゆる記述問題は出題されていない。
素材文の文量は計10000~12000字とかなり多い。分速600~700字くらいを目標に、速く読む練習を積んでおきたい。
[小説の読解]
登場人物や舞台の設定が学生や学校である場合が多く、受験生にもなじみがあるので理解しやすいだろう。文中の言葉を使って答える問題が多いので、読解がしっかりできていれば得点しやすい。
ただし、選択肢問題は文中の細かな表現まで注意していないと惑わされる場合がある。一字一句、また全体に渡ってよく内容を吟味し、本文との一致・相違を見逃さないように注意しよう。
文学的文章の読解の技術を磨こう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその
言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もあ
る。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文
章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれる
テーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くこ
とだろう。
[論説文の読解]
ここ数年は人文科学分野からの文章が多い印象である。それほど難解な用語が出てくるわけでもなく、平易な言葉で書かれているので難しくは感じないだろう。2種類の文章を組み合わせたりして(2018年度)、読み易くする工夫をしてくれているようである。
説明的文章の読解の基礎をしっかり身に付けよう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやす
い。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えな
どは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるとこ
ろ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
[漢字]
各大問の最後に漢字の問題がまとめられている。通常、漢字だけ最初に終えてしまうことが多いが、すべて文中にあるのでかえって時間がかかってしまうかもしれない。本校の試験では、読解を進めながら漢字の問題が出てきたところで答えを書き込んだほうが良いだろう。
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2018年度「明治大学付属八王子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
10000字をゆうに超える文量に慣れておかなければならない。分速600~700字くらいで読めるようにして、問題を考える時間を確保したい。幸い、問題数は30問と控えめで記述問題も無いので、速読ができれば時間には余裕があるはずである。
【大問1】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:25分
- ★必答問題
小学生に作文の書き方を教えている主人公。生徒の直哉が文章で自分の気持ちをしっかり伝えられるようになり、自分が教えたことが無駄ではなかったと知る。
問一 正子パパの言葉使いが直哉は気に入っていたと書かれているので、そこを使う。あるいは気に入った理由
である正子パパの性格を説明した文があるので、そちらを使っても良いだろう。
問二 直前に「友達をどやしつけたことはなく」とある。作文内ならよいが、現実に荒々しいことばを使うと、
周囲の人から変に思われるのではと心配しているのだろう。
問三 少し後に、「裏目に出た」と同じような内容を表す「仇となった」がある。良かれと思って『綴方教室』
を渡したのだが、どうやらそれが直哉が粗暴な言葉使いをまねるきっかけになってしまったようである。
問四 「行動」を訊かれている。気持ちや考えの部分は答えにならない。これ以上、勉強会に出席したら学校で
問題が起こるかもしれないと心配した母親は、「どうした」のか。
問五 母親の声に滲んでいた「おびえの色」とある。「母親を不安にさせる」のエはよさそうそうである。ま
た、母親はもうかまわないでほしいとも言っているので、ウも合っている。残ったアとイだが、イの文を
よく読んでみると「作文を続けさせることで、学校でのトラブルから守れる」、つまり「トラブルから守
るために、作文を続けさせる」という意味にとれる。主人公にそんな考えはないので、イがふさわしくな
い。アの「何かあった場合」には母親の心配する内容も含まれるだろうから、合っている。
問七 直哉に「自分を表に出させ」る原動力となった「作文の効果」である。現状のべらんめえ口調は「成長過
程」であり、作文を続ければ「もっと似つかわしい彼自身の言葉」が身に付くのでは、と主人公は考えて
いる。作文にはこのような効果があると思っているのである。
問八・問九 成績が上がったことをカンニングしたせいだと疑われたときに、先生に手紙を書いて自分の気持ち
をしっかり伝えられた。
問十 ⑥補習――正規の学習ではない学習。
<時間配分目安:25分>
【大問2】論説的随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:25分
建築におけるさまざまな要素に優先順位をつけながら、職人たちの手間や施主の想いなどの目に見えない存在を大事にしたいという建築家の信念が述べられている。
問一 料理について説明した部分に字数に合った言葉がある。建築の下地作りや料理の準備が時間をかけて丁寧
になされれば、おのずと受け手に伝わるのだと書かれている。
問二 無垢材のぬくもりや味わいなど、外見にはあらわれない「よさ=美しさ」を感じたいということであろ
う。職人たちの見えない部分での丁寧な仕事も含まれる。
問四 アとエは表面的な美しさなので×。
問六 次の段落の具体例から探せる。「自然の木と土だけで」家を建てると「快適さを求める」ことが犠牲にな
る。もう少し後で「快適に過ごせる」もあり、ここも字数が合う。
問七 徹底した結果、施主は「空気の澄んだ家で気持ちよく暮らすことができて」喜んでいる。施主の重視した
点はここにあったことがわかる。
問九 「見えない美しさ」は感じたい(前半)が、「時間・お金・技術」に「優先順位」をつけないと現実には家
は建たない(後半)ことが述べられている。
問十 前半の職人や無垢材の話、後半の施主の話など、具体例を挙げてわかりやすく説明してくれている。
問十一 ⑧取捨選択。四字熟語でおぼえてしまおう。
⑩制約――制限や条件をもうけて自由に活動させないこと。
<時間配分目安:25分>
攻略のポイント
多い時には12000字にもなる文量に慣れること。速読が必要である上に、何度も読み返す時間はないので正確な読み取りが求められる。速く・正確に読めるように、同じように文量の多い女子校の過去問なども利用しながら、読解のスピードを上げていこう。
文中の要素を使った適語記入・書き抜きが多い点も意識して、重要点をマークしながら読むコツをつかんでおくとよい。
漢字が大問の最後にまとめられているという特徴にも、過去問を多くこなして効率良く解答できるように慣れておきたい。
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