明治大学付属八王子中学校 入試対策
2022年度「明治大学付属八王子中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は2題で各15問の計30問という構成が定型である。ここ数年は大問1に小説、大問2に論説文という順番になっている。
設問は「文中の言葉を使って」「書き抜いて」など言葉で答える問題と選択肢問題とがおおよそ各10問ずつ、漢字の読み書きは各大問で5問ずつの計10問という内訳である。いわゆる記述問題は出題されていない。
素材文の文量は計10000~12000字とかなり多い。分速600~700字くらいを目標に、速く読む練習を積んでおきたい。
[小説の読解]
登場人物や舞台の設定が学生や学校である場合が多く、受験生にもなじみがあるので理解しやすいだろう。文中の言葉を使って答える問題が多いので、読解がしっかりできていれば得点しやすい。
ただし、選択肢問題は文中の細かな表現まで注意していないと惑わされる場合がある。一字一句、また全体に渡ってよく内容を吟味し、本文との一致・相違を見逃さないように注意しよう。
文学的文章の読解の技術を磨こう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその
言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もあ
る。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文
章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれる
テーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くこ
とだろう。
[論説文の読解]
ここ数年は人文科学分野からの文章が多い印象である。それほど難解な用語が出てくるわけでもなく、平易な言葉で書かれているので難しくは感じないだろう。2種類の文章を組み合わせたりして(2018年度)、読み易くする工夫をしてくれているようである。
説明的文章の読解の基礎をしっかり身に付けよう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやす
い。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えな
どは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるとこ
ろ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
[漢字]
各大問の最後に漢字の問題がまとめられている。通常、漢字だけ最初に終えてしまうことが多いが、すべて文中にあるのでかえって時間がかかってしまうかもしれない。本校の試験では、読解を進めながら漢字の問題が出てきたところで答えを書き込んだほうが良いだろう。
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2022年度「明治大学付属八王子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2022年度は約9800字の文量で、昨年度よりは少なくなった。分速600~700字くらいで読めるようにして、問題を考える時間を確保したい。幸い、問題数は30問と控えめで記述問題も無いので、速読ができれば時間には余裕があるはずである。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:24分
- ★必答問題
互いに母親との関係に問題がある主人公とマチは、朝日を見ながら不幸に負けないよう意を強くする。
問一 多くの言葉の中から自分の関心がある言葉だけが耳に飛び込むように聞こえてきた、そのことを「拾った」と表現している。
問二 真千子について自分が知らなかった、虐待されていることや卵巣を摘出したことなどの深刻な事態を偶然耳にして、信じられない気持ちでいる。
問三 「わたしのお母さんが・お母さんなのに」と、再婚した母親にまだ主人公は気持ちを残している。そんな主人公が、母親とその娘を見かけて新たに妊娠していることにも気づいたとき、「感動」を覚えるとは考えにくい。
問四 母の視線が自分の方に向いた時の「まるで柱や壁を見るのと変わらないように」という様子が、母親の心に主人公への思いはまるでないのだという事実を表している。
問五 自分は母を思い続け忘れることはなかったが「母は違っていた」、だから自分に気づかなかったのだと考えている。
問六 朝日が昇れば、何もかも「今ここから新しく始まる」んだと、気持ちを前向きにしようとしている。
問七 真千子は母親から虐待を受け施設を出たり入ったりしており、主人公の母は離婚して新しい家庭を持ち、娘と会っても気づきもしない。二人とも、母親から愛されていないという共通点があることになる。
問八 不幸に負けずに幸せになるんだという真千子の強い気持ちに共感し、自分もそうあろうと決意している。
問九 「当時大人気だったアイドルの~」「その頃はまだ~」の二文は、このエピソードが現在の話ではないことを示しているので、どちらも正解となる。
問十 ア. 「ずっと思い続けていたから」母が自分に気づかなかった理由がわかるという意味で、願いが叶うことはないという暗示ではない。
問十一 ① きゅうとう ③ 警察 ⑤ たば(ねた) ⑩ 暮(らし) ⑫ 回収
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:26分
地球はなぜあるのかという問いに小学三年生の子供たちがどのように考えたかを紹介し、哲学からの解釈を説明している。
問一 地球は人間や生き物のためにあるという考えについて、①「空気」があるのだから地球は生き物のために作られた・②ものが存在するのはなにかのためという「目的」があるからで、地球の場合それは私たちの世界のためでしかありえない、という二つの理由を子どもたちは挙げている。
問二 いくつかの反論のまとめとして、「つまり、地球の目的は~」の文がある。最初は目的がなかったが、徐々にできていったとするものである。
問三 「それ」とは、直前で説明されていた太陽系と地球の生成過程(物理的な因果関係とあとで言い換えられている)のことである。それは理科的に正しいことなのだが、そのことと我々生き物の世界が地球にあることとの間で「なぜ地球があるのか」を考えた時に、「物理的な因果関係」では納得できずに奇跡・偶然といった言葉を子どもたちは思い浮かべるのである。
問四 目的論には反対で、科学的に説明された地球の生成過程を信じているが、それだけでは地球の存在理由に納得できないものがあり、「奇跡(偶然)」という概念が持ち出されてきたのである。
問五 考える者(人間)が存在する以前から考えられる物(地球)が存在する不思議を子どもたちは「奇跡」と感じている、とある。「人間の出現以前」には「考えられる」はずのない時間についてメスナーと子どもたちは考察しているわけである。
問六 考える「人間」が存在する前から、考えられる対象=「地球や世界」が存在していたということに違和感を持っているのであるから、選択肢ウが合う。
問七 問六でみた「違和感」の内容と同じである。
問八 最後の二つの段落に注目。神様の存在が奇跡と結びついてからが「みつどもえ」になるのだから、選択肢イの説明は時系列が逆である。また、神様さまがいるかいないか、地球は神さまがつくったのかそうでないのか、意見はさまざまなので選択肢ウ・エも合わない。
問九 エ. 「未熟である」という批判はなされていない。
問十 イ. 「地球は偶然できた」というのは科学的な地球の生成過程を信じるこどもたちの考えで、こうした子どもたちは「目的論」には納得していないので、合っている。
問十一 ① 補完 ⑤ 賛成 ⑦ 対象 ⑨ 誕生 ⑩ さっしん
攻略のポイント
多い時には12000字にもなる文量に慣れること。速読が必要である上に、何度も読み返す時間はないので正確な読み取りが求められる。速く・正確に読めるように、同じように文量の多い女子校の過去問なども利用しながら、読解のスピードを上げていこう。
文中の要素を使った適語記入・書き抜きが多い点も意識して、重要点をマークしながら読むコツをつかんでおくとよい。
漢字が大問の最後にまとめられているという特徴にも、過去問を多くこなして効率良く解答できるように慣れておきたい。
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