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武蔵中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「武蔵中学校の国語」
攻略のための学習方法

出題傾向

長文読解一題と漢字・ことばの知識という出題がほぼ定型となっている。設問は記述のみで字数指定が無いのも特徴である。年度により書き抜き問題が出される場合もある。

文章ジャンルは、このところ文学的文章が続いているが、過去には説明的文章が出された年度もあった。文学的文章は、登場人物を受験生と同年代に設定したものが多く、読みやすい。説明的文章では文化を題材にした文章がよく出題されている。どちらが出されても対応できるように、油断なく準備しておこう。

長文読解

近年は文学的文章の出題が続いている。来年度も同様の傾向が続くとすると、文学的文章の読解に焦点を当てた対策が必要となる。

記述問題であっても、訊かれることは選択式問題と変わりがあるわけではない。小説や随筆の読解力が求められることに変わりはないのである。まずは読解の技術を確かなものにしよう。

文学的文章であれば登場人物の整理。2017年度にも、まさにこの点が問題で出されている。時間・場所・人物の出入りによる場面分け。そして設問で最も多く訊かれる人物の心情。言動や情景から気持ちを読み取る訓練を積もう。最後に、全体を通して描かれているテーマを読み取る。

説明文であれば、形式段落と意味段落の整理。段落ごとの要点と細部の区別。全体の要旨と要約。設問ではやはり要点を訊かれることが多いだろう。説明的文章が出題される可能性もゼロではないので、文学的文章を中心に、説明的文章でも対策を怠らないようにしよう。

記述対策

記述問題はすべて字数指定が無い。

設問の内容や解答欄の大きさから考えて、1問50~120字程度でまとめることを想定しているようである。年度によるが、全体として500~600字程度の記述量が必要となりそうである。設問によって、記述内容の条件が指定されているものと、そうでないものがある。

字数指定が無いからといって、むやみに書き過ぎるのも良くない。来年度も出題が予想される文学的文章を多く読み、設問の中心となるであろう人物の気持ちを70~100字程度でまとめる練習をよくしておこう。そして、設問で求められている事柄を的確に、無理の無い字数でまとめられるようにこつをつかんでおきたい。

素材文

素材文の文量は、6000字~8000字程度と年度により差がある。

物語文は、登場人物が受験生と同世代で、友人や家族との関わりを描いたものが多いが、恋愛がテーマの話も出題されている。小六男子には実感のともなわない分野かもしれないので、このようなストーリーも多少は読んでおきたい。まれに説明文が出題される年度もあるので注意。油断せずに準備しておくこと。

漢字

漢字は毎年出題がある。極端な難問は見られないので、標準~中級レベルの漢字教材をしっかりこなしておこう。

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2019年度「武蔵中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

今年度は7600字ほどの物語文の読解1題と漢字という構成であった。文章も受験生の年齢に合わせた読みやすいもので、問題量もさほど多くはない。読むスピードがあれば時間は足りるだろう。すべて記述で答えるので、書くスピードは必要である。難関校の試験としては、取り組みやすくなっている。

【大問1】小説の読解

  • 難度:
  • 時間配分:50分
  • ★必答問題

特攻隊の隊員を島を守ってくれる神だと思っていた主人公ら島民の子どもたちは、伍長の心の動きに触れて、隊員たちもふつうの人間なのだと認識を新たにする。

問一 戦争末期には戦闘機で敵に体当たりする「特攻」という戦法が取られるようになった。パイロットは当然死亡することになるため、戦闘機はすなわち棺桶であるということになる。今の貨幣価値を当時の5000倍と考えると、当時の3万円は現在の1億5千万円ほど。

問二 カミの兄は戦争に取られて死んでしまった。母親の悲しみはいかばかりだったか。しかし人員も物資もすべてが戦争のために徴用され、多くの戦死者が出ている時に、自分だけが悲しみに暮れることは許されず、「戦争だからしかたがない」と無理にでも思って自分の気持ちを押し殺すしかなかったのである。

問三 戦闘機が不時着したのがおじいさんの畑だった。伍長が運ばれるときに謝っていたのは、畑をダメにしてしまったことに対してだと、「ぼく」は思っている。

問四 女学生たちが作ってくれた人形は戦闘での成功を祈ってのものだった。しかしそれはパイロットの死を意味してもいる。笑顔で人形を渡す女学生たちがある意味残酷にすら感じられる場面であり、人形は隊員の死を願う呪いにも思われるのである。

問五 戦闘機が敵に発見されて追われたときに島から離れるように飛んだことを「ぼく」は島に被害が及ばないように守ってくれたのだと思っていた。しかし伍長の説明を聞いて、それは単に戦闘で不利にならないようにするだけの行動だったのだと理解した。

問六 伍長が運ばれる途中で謝っていたのは、畑を荒らしたことに対してではなく、特攻隊でありながら自爆攻撃に失敗して生き残ってしまったことに対してであった。
伍長は見事に自爆して「神」とされることを望んでいたが、それができなかった自分を恥じていた。
しかし、「ぼく」たちの人間としてまっとうな考えに触れて「生きててよかった」と感じられるようになった。
兵隊は死んで「神」になることが務めであるという、戦時下での非人間的な心理的束縛から解き放たれたのである。
そんな伍長のことを「ぼく」は当初、命を捨てても島を守ってくれる「神さま」だと思っていた。
しかし、隊員たちが必ずしも島を守るような行動をとっていなかったことを知ったり、伍長の涙を流して笑う姿を見たりすることで、伍長も自分たちと同じ普通の人間なのだと思えるようになった。
その伍長を見る目の変化が「もう神さまじゃなかった」という言葉に表れているのである。

問七 解答欄に送り仮名を書いてくれている点、楽である。
「火種」は大きく火を起こす元になる最初の小さな火。

攻略のポイント

字数指定の無い記述は、ともすれば書き過ぎてまとまりがなくなる恐れがある。だいたいは50~100字程度が想定されているようなので、そのくらいの字数でまとめる練習を積んでおこう。
最近は文学的文章が多かったが、2018年度は論説文が出された。どちらが出ても訊かれたことを的確に、一定の字数で書けるように、過去問や類似問題で感覚をつかんでおきたい。
無理に大人向けの文章を読む必要はないので、普段の読書習慣において小・中学生向けの物語や随筆・説明文や論説文を多く読んでおこう。

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