武蔵中学校 入試対策
2020年度「武蔵中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向
長文読解一題と漢字・ことばの知識という出題がほぼ定型となっている。設問は記述のみで字数指定が無いのも特徴である。年度により書き抜き問題が出される場合もある。
文章ジャンルは、このところ文学的文章が続いているが、過去には説明的文章が出された年度もあった。文学的文章は、登場人物を受験生と同年代に設定したものが多く、読みやすい。説明的文章では文化を題材にした文章がよく出題されている。どちらが出されても対応できるように、油断なく準備しておこう。
長文読解
近年は文学的文章の出題が続いている。来年度も同様の傾向が続くとすると、文学的文章の読解に焦点を当てた対策が必要となる。
記述問題であっても、訊かれることは選択式問題と変わりがあるわけではない。小説や随筆の読解力が求められることに変わりはないのである。まずは読解の技術を確かなものにしよう。
文学的文章であれば登場人物の整理。2017年度にも、まさにこの点が問題で出されている。時間・場所・人物の出入りによる場面分け。そして設問で最も多く訊かれる人物の心情。言動や情景から気持ちを読み取る訓練を積もう。最後に、全体を通して描かれているテーマを読み取る。
説明文であれば、形式段落と意味段落の整理。段落ごとの要点と細部の区別。全体の要旨と要約。設問ではやはり要点を訊かれることが多いだろう。説明的文章が出題される可能性もゼロではないので、文学的文章を中心に、説明的文章でも対策を怠らないようにしよう。
記述対策
記述問題はすべて字数指定が無い。
設問の内容や解答欄の大きさから考えて、1問50~120字程度でまとめることを想定しているようである。年度によるが、全体として500~600字程度の記述量が必要となりそうである。設問によって、記述内容の条件が指定されているものと、そうでないものがある。
字数指定が無いからといって、むやみに書き過ぎるのも良くない。来年度も出題が予想される文学的文章を多く読み、設問の中心となるであろう人物の気持ちを70~100字程度でまとめる練習をよくしておこう。そして、設問で求められている事柄を的確に、無理の無い字数でまとめられるようにこつをつかんでおきたい。
素材文
素材文の文量は、6000字~8000字程度と年度により差がある。
物語文は、登場人物が受験生と同世代で、友人や家族との関わりを描いたものが多いが、恋愛がテーマの話も出題されている。小六男子には実感のともなわない分野かもしれないので、このようなストーリーも多少は読んでおきたい。まれに説明文が出題される年度もあるので注意。油断せずに準備しておくこと。
漢字
漢字は毎年出題がある。極端な難問は見られないので、標準~中級レベルの漢字教材をしっかりこなしておこう。
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2020年度「武蔵中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度は7600字ほどの小説の読解1題と漢字という構成であった。文章も受験生の年齢に合わせた読みやすいもので、問題量もさほど多くはない。読むスピードがあれば時間は足りるだろう。すべて記述で答えるので、書くスピードは必要である。難関校の試験としては、取り組みやすくなっている。
【大問】
- 難度:難
- 時間配分:50分
- ★必答問題
母親を亡くし気力を失っていた主人公は、本屋で出会った少女(おそらくは実在ではないと思われる)に薦められた本を読むうちに元気を取り戻してゆく。
問一 第3段落・第4段落で、「世界が色を失いにおいが消え音が遠くに聞こえ触感も鈍った」「身体がいうことを聞いてくれない」と表現されている。母親を亡くしたショックで現実に対する適応がうまくできなくなり、ふだんのような気力や意欲が失われた状態なのである。特に読書については母親も本好きだったこともあり、本屋に入ることすらも母親を思い出すことにつながり、苦しく感じている様子が描かれている。そもそも読書に対して意欲がわかないことに加えて、母親を失った悲しみがよみがえってしまうので避けたい気持ちがあると考えられる。
問二 相手はたまたま本屋で一緒になった見知らぬ少女である。傍線部のような場面を彼女に見られたら、自分が彼女に興味を持っていて彼女の動きに注視していたことに気づかれてしまう。多感な中学2年生の少年には恥ずかしいことだろう。
問三 前日に少女と本屋の外で親しく話しているところを上別府に見られた。この時点では主人公は上別府の人柄まではよくわかっていないようだが、都会から転向してきたクラスに馴染まない主人公が少女と親しげに話していたら、クラスの中心人物らしい上別府を起点として、少女とのことを根掘り葉掘り聞かれたり、はやされたりするのではないかと危惧している様子が描かれている。傍線部は、はたして翌日、上別府がそのことを話し出したので自分の予想通りになったかと警戒した場面である。
問四 問三でみたように、少女と仲良くしていたことをクラスの皆に知られたりからかわれたりするのは面倒である。しかし、だからといって変に隠そうとしたり話を避けたりするのは、彼女と仲良くすることが悪いことでもしているかのような意味になり、彼女そのものを貶めることになる。なにも悪いことをしているのではないのだから彼女のためにも堂々としていなければならないと思ったのである。
問五 ①鼻が高い ②鼻につく ③鼻であしらう ④鼻をあかす ⑤鼻息があらい
問六 主人公は運動があまり得意ではないことが文中で描かれている。本人もそのことは自覚している。しかし、上別府は主人公の良い点を指摘してくれた。リーダーシップのある上別府の言葉に他の生徒も賛同してくれる。主人公としては、恥ずかしくもあり嬉しくもありといった、ないまぜの気持であっただろう。
問七 彼女が薦めてくれた本を読むことで自分の本好きを思い出すことができた。以降、彼女に薦められるままに短期間で多くの本を読んでいる。また、彼女と本のことがきっかけになり、少し警戒心を持っていた上別府が善良な気持ちのいい人間であることがわかり、「同級生たちとの距離が一気に縮まった」気がしている。読書への意欲がよみがえり、学校という実生活も今後は充実していくのだろうと予感させる流れである。
攻略のポイント
字数指定の無い記述は、ともすれば書き過ぎてまとまりがなくなる恐れがある。だいたいは50~120字程度が想定されているようなので、そのくらいの字数でまとめる練習を積んでおこう。
最近は文学的文章が多かったが、2018年度は論説文が出された。どちらが出ても訊かれたことを的確に、一定の字数で書けるように、過去問や類似問題で感覚をつかんでおきたい。
無理に大人向けの文章を読む必要はないので、普段の読書習慣において小・中学生向けの物語や随筆・説明文や論説文を多く読んでおこう。
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