武蔵中学校 入試対策
2021年度「武蔵中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向
長文読解一題と漢字・ことばの知識という出題がほぼ定型となっている。設問は記述のみで字数指定が無いのも特徴である。年度により書き抜き問題が出される場合もある。
文章ジャンルは、このところ文学的文章が続いているが、過去には説明的文章が出された年度もあった。文学的文章は、登場人物を受験生と同年代に設定したものが多く、読みやすい。説明的文章では文化を題材にした文章がよく出題されている。どちらが出されても対応できるように、油断なく準備しておこう。
長文読解
近年は文学的文章の出題が続いている。来年度も同様の傾向が続くとすると、文学的文章の読解に焦点を当てた対策が必要となる。
記述問題であっても、訊かれることは選択式問題と変わりがあるわけではない。小説や随筆の読解力が求められることに変わりはないのである。まずは読解の技術を確かなものにしよう。
文学的文章であれば登場人物の整理。2017年度にも、まさにこの点が問題で出されている。時間・場所・人物の出入りによる場面分け。そして設問で最も多く訊かれる人物の心情。言動や情景から気持ちを読み取る訓練を積もう。最後に、全体を通して描かれているテーマを読み取る。
説明文であれば、形式段落と意味段落の整理。段落ごとの要点と細部の区別。全体の要旨と要約。設問ではやはり要点を訊かれることが多いだろう。説明的文章が出題される可能性もゼロではないので、文学的文章を中心に、説明的文章でも対策を怠らないようにしよう。
記述対策
記述問題はすべて字数指定が無い。
設問の内容や解答欄の大きさから考えて、1問50~120字程度でまとめることを想定しているようである。年度によるが、全体として500~600字程度の記述量が必要となりそうである。設問によって、記述内容の条件が指定されているものと、そうでないものがある。
字数指定が無いからといって、むやみに書き過ぎるのも良くない。来年度も出題が予想される文学的文章を多く読み、設問の中心となるであろう人物の気持ちを70~100字程度でまとめる練習をよくしておこう。そして、設問で求められている事柄を的確に、無理の無い字数でまとめられるようにこつをつかんでおきたい。
素材文
素材文の文量は、6000字~8000字程度と年度により差がある。
物語文は、登場人物が受験生と同世代で、友人や家族との関わりを描いたものが多いが、恋愛がテーマの話も出題されている。小六男子には実感のともなわない分野かもしれないので、このようなストーリーも多少は読んでおきたい。まれに説明文が出題される年度もあるので注意。油断せずに準備しておくこと。
漢字
漢字は毎年出題がある。極端な難問は見られないので、標準~中級レベルの漢字教材をしっかりこなしておこう。
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2021年度「武蔵中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度は5500字ほどの論説文読解1題と漢字という構成であった。久しぶりに説明的文章が出題されたが、受験生の年齢に合わせた読みやすいもので問題量もさほど多くはない。読むスピードがあれば時間は足りるだろう。すべて記述で答えるので、書くスピードは必要である。難関校の試験としては、取り組みやすくなっている。
【大問一】論説文の読解
- 難度:難
- 時間配分:48分
- ★必答問題
無臭と芳香が求められる現代の生活では、生死といった生き物のリアルな本質を問う場面では大事な要素を欠くことになり、生物として何か致命的な状況にあるのではないかと筆者は危惧している。
問一 「田舎の香水」は、田舎ではたい肥や肥やしなど都会では悪臭とされ隠されている匂いが当たり前のように存在していることを表した表現である。しかし、生活水準が向上してゆくなかで、都会のみならず田舎でも臭いことは悪であり、無臭と芳香が求められるようになって、そのような匂いを嗅ぐことはなくなってしまった。田舎に対する差別表現だからという理由だけではなく、現実に「田舎の香水」はなくなってしまったのである。
問二 谷崎のエピソードでは二つの例が挙げられている。故郷の実家に久しぶりに帰った時に便所の嗅ぎ慣れた匂いに親しみがわいたり、とあるお屋敷の便所から雅な匂いが漂ってきたりした、と便所の匂いにも風流を感じている。「かつて風雅な人は微細な匂いの差に気づき、そこから多彩な文化の風合いを感じ取っていた」とあり、「清潔だけを目指して画一化されてしまうこと」を「惜しみ憂いていた」のだと、筆者は述べている。
問三 直前に、芳香剤に先に慣れているために本物の花の香りを芳香剤みたいだと感じてしまう今の子どもたちの現実が示されている。筆者も同様に、合成されたバラの香りしか経験しておらず、本物のバラの香りに触れた時に「ああ、本当のバラの香りは入浴剤と同じだった」という、本来とは順序が逆の「答え合わせ」をすることになるのかしれないと考えているのである。
問四 設問の条件通り、傍線部より後で味覚と比較しながら説明されている。香りが味のように「体系化できないのは、香りには基本臭がないからである」。味ならば六つの要素としてまとめること(普遍化)ができるのだが、香りはゆるい括りになってしまい数値化できない。香りはどこまでも個別的・具体的で「抽象化」できにくい。こうした「普遍化になじまない性質、抽象化できにくい在り方のせいで、嗅覚は数値化してデータ化することが困難」なので、機械技術に適合しにくいのである。
問五 Aは味覚の「要素としてまとめることができる」性質を示す語が入るので、「包括的」か「抽象的」かどちらかだが、いったん保留する。Bは「具体的」と並べられているので「個別的」、するとDが「具体的」となり、選択肢イに決定できる。
問六 戦闘シーンの映像の例に沿ってまとめよう。生と死といった「生き物のリアルな本質を問う場面」では嗅覚を取り除いて考えると「大事な要素を欠くこと」になる。だから抽象的な思考においても匂いを想像で補うことが必要になる。生き物は必ず「強い香りを放っている」からである。しかし、現代人は無臭化が進んだ生活に慣れているので、「匂いに対する感受性や想像力をも弱体化させてしま」い「そのことに気づきもしない」。疑似体験ばかりでリアルな世界に触れていないことの結果を「生命体として致命的な状況」だと筆者は感じているのである。
【大問二】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:2分
① 取捨(選択)
② 看護
③ 無下(に)――まったく問題にもならない・論外・粗末に。
④ 街路樹
⑤ あ(む)
⑥ (身を)粉(にして)――労力を惜しまず・一心に。
攻略のポイント
字数指定の無い記述は、ともすれば書き過ぎてまとまりがなくなる恐れがある。だいたいは50~120字程度が想定されているようなので、そのくらいの字数でまとめる練習を積んでおこう。
最近は文学的文章が多かったが、2018年度は論説文が出された。どちらが出ても訊かれたことを的確に、一定の字数で書けるように、過去問や類似問題で感覚をつかんでおきたい。
無理に大人向けの文章を読む必要はないので、普段の読書習慣において小・中学生向けの物語や随筆・説明文や論説文を多く読んでおこう。
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