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武蔵中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「武蔵中学校の理科」
攻略のための学習方法

男子御三家と呼ばれる中学の一つが、この武蔵中学だ。近年台頭する学校が増えたために以前ほどの合格難易度はないかもしれないが伝統的なアカデミックな校風は好感が持てるし、ユニークな出題として知られる入試問題は大人が解いても楽しいものになっている。もちろん、今でも十分に難関校であるが。

武蔵を受ける場合に限らず、男子進学校全般に言えることであるが、理数系の科目では難問への対応力が問われる。一問一答形式による知識の充実も必要であるが、やはり難しい問題へ立ち向かう学力、というよりパワーが欲しい。

そのためには、6年の前半まで、進学塾でいえば夏期講習くらいまでの時期は、思い切って難問に挑戦してほしい。武蔵の対策に欠くことができないのかどうかではなく、どんな問題が出てもまずは対応できるという土壌を養っておく必要があるからだ。

公開模試などで、武蔵中学の合格可能性ラインまでならば基本的な問題にくまなく答えていくだけでも到達できるだろう。基本的知識の暗記だけでもうれしくなるような合格可能性はもらえるかもしれないが、それでは6年後半の学校対策に入ったときに必ず壁にぶち当たる。

あまり要領は良くないかもしれないが、塾や家庭教師の先生と一緒に難問にトライしてもらいたい。正解できればそれに越したことはないが、できなくてもそういう挑戦したという体験が後になって生きてくる。

まずは挑戦体験と知識の十分な蓄え、これに時間を費やそう。

 6年秋以降は本格的な学校対策となる。
はじめて過去問に触れた時には通常解いている問題との違いに驚くかもしれない。「こんなこと習ってない」とか「問題文が長くて読むのがつらい」とか「記述の問題がある…」などだ。しかし普段の学習と入試問題との開きというのはつねに存在する。スポーツでいえば練習と試合の違いだ。練習だけでは力が分からないやみくもに試合ばかりしても力はつかないし伸びない。

ここで夏までの難問挑戦を生かそう。
過去問に付き合っているうちにこの学校の求めているもの、その水準がおのずと見えてくるはずだ。ここまで考えればよいのか、ここまで書けばよいのか、といった具合に。

ここから先はむやみに難問挑戦はせず、武蔵中学の問題で合格点を取る勉強にシフトしていこう。誰も解けそうもない問題には触れることはないのだ。ただ、そこまで難解な設問はほとんどないと思うが。

そして武蔵を志望するならば、この学校の問題傾向を好きになり、問いていて楽しいと思えるレベルまで自分を変えていこう。そうすれば、武蔵合格はおのずからついてくるはずである。

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2018年度「武蔵中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間40分で大問は昨年度より一つ多く4題、小問(答えるべき設問数)も例年より多め。60点満点のテストであることは変わりない。

本年度はなかなか変わった問いが多く受験生もいろいろと迷った部分があったと思う。ここ数年間の武蔵・理科の「一般化」「大衆化」路線から少し外れた、ユニークな問題群であったため、解法に費やす時間は意外にきつかったのではないかと判断する。

【大問1】化学(水溶液の実験)

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

ちょっと見ると2つの試験管に入った水溶液を熱したり混ぜたり、その結果をリトマス紙を使って試させたり、と、きわめて典型的問題に思えるものの、問題文を正確に読み取り正しい結果を導きながら正解を重ねていくのは容易ではないかもしれない。
というのは、ふだん行ってきた問題ではあり得ない液体の組み合わせがあったりして、生徒の判断力を迷わせるからだ。

たとえば、の「塩酸」と「食塩水」。通常の問題にこの2つが登場する場合、「塩酸」と「水酸化ナトリウム水溶液」の組み合わせで、この2つを混ぜることにより中和反応が生まれ、「食塩水」が出来ていくという風に用いられるものだ。

はじめから「塩酸(実際には気化した塩化水素だが)」と「食塩水」を混ぜてどうする?と解答者は思うかもしれない。
2つの水溶液の特徴は変わらずに残るだけだ、あたかも部分中和のように。つまり何も変化しない。もちろん変化しないことを実験から証明する問題もあるのだが、戸惑いを感じさせる問題と言えよう。

の組み合わせも同様で、聞かれていることは超基本的な知識の確認に過ぎず、多くの受験生が、「別にこの組み合わせで混ぜなくてもよいのでは?」と思いながら解答したのではないだろうか。

中学受験の問題というのはたいていの場合、生徒の学力を問うのにもっとも適切な作りになっており、この問題のように「こんなの混ぜても何も変わらないじゃん」と生徒に思わせる問題はあまり例をみない。
気持ちを素直に持って解いていくよりほかないであろう。

【大問2】物理(ものの収縮)

  • 難度:
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

水でっぽうを使っていろいろな問いに答えていく問題。

ここでは【大問1】とはまた異なり、生徒を迷わせる仕掛けで施してある。それは「こんな簡単な問題を解いてるだけでいいのか」という不安感である。問1から問3まで、選択肢も記述も当たり前の選び方・当たり前の書き方で正解できるのでそれはそれで助かるのだが、妙に深読みしてしまうと誤った答えを選んでしまいそうである。小学4年生のテキストにありそうな問題なので、その水準でシンプルに答えるしかない。

【大問3】生物(花と生物)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

武蔵らしい、知識と考察を必要とする問題で、難易度もそこそこあるのでかえって安心してしまう。

問1・2は生物に関する知識問題。問1の「メジロ」が少し選びにくいか。

問3は正解を答えるには難しい設問で、ホシホウジャクがホバリング(空中静止)しながら蜜を吸うことによって植物側がこうむる被害を考えなければならない。

問4は実験結果から考察できる分だけ根拠がありやりやすい。いつもの問題に近いかもしれない。

【大問4】チャックの付いた透明な袋に関する問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

最後は十八番、武蔵と言えば「これ」と思われるような、伝統ある格式を誇る大問。

武蔵対策を経てきた生徒たちにとってはここぞ力を振るう場所だが、問1では、作図しないで答えるという難しさが存在する。単純な仕組みを自分が選んだ「言葉」で納得のいく説明ができるだろうか。

問2は作図が可能なので、作図力によって相手をねじ伏せることが出来る。ただし作図するには、やはり与えられた虫眼鏡が必要そうだ。細かい観察眼が絶対条件といえよう。

攻略のポイント

テスト時間は40分で60点満点。
受験者平均点は31.3点、合格者平均は36.5点と僅差の勝負になっていて(理社は例年そうで、算数のみ大きな開きがある),合格点は35点くらいだろう(約58%)。

解説してきたとおり、本年度の大問は基本的な問いなのは間違いないにしても、さまざまな形でわかりにくくなっており、それが平均点の低さにもつながっていると思う。受験生たちは合理的に受験勉強を押し進めてきたと思われるが、かえって合理的な説明が出来ないような問いに悩んだのではないか。

また、記述に関しては、当たり前のことを当たり前に説明する難しさ、きっちりと言葉を選んで記述する難しさをはらんでいると思った。

表面上の難易度とは別に、少々の変化球にもついていけるタフな精神力が必要だ、と考えさせられる出題だった。典型題をこなしつつ考察する問題への耐性も育てよう。

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