武蔵中学校 入試対策
2022年度「武蔵中学校の理科」
攻略のための学習方法
男子御三家と呼ばれる中学の一つが、この武蔵中学だ。近年台頭する学校が増えたために以前ほどの合格難易度はないかもしれないが伝統的なアカデミックな校風は好感が持てるし、ユニークな出題として知られる入試問題は大人が解いても楽しいものになっている。もちろん、今でも十分に難関校であるが。
武蔵を受ける場合に限らず、男子進学校全般に言えることであるが、理数系の科目では難問への対応力が問われる。一問一答形式による知識の充実も必要であるが、やはり難しい問題へ立ち向かう学力、というよりパワーが欲しい。
そのためには、6年の前半まで、進学塾でいえば夏期講習くらいまでの時期は、思い切って難問に挑戦してほしい。武蔵の対策に欠くことができないのかどうかではなく、どんな問題が出てもまずは対応できるという土壌を養っておく必要があるからだ。
公開模試などで、武蔵中学の合格可能性ラインまでならば基本的な問題にくまなく答えていくだけでも到達できるだろう。基本的知識の暗記だけでもうれしくなるような合格可能性はもらえるかもしれないが、それでは6年後半の学校対策に入ったときに必ず壁にぶち当たる。
あまり要領は良くないかもしれないが、塾や家庭教師の先生と一緒に難問にトライしてもらいたい。正解できればそれに越したことはないが、できなくてもそういう挑戦したという体験が後になって生きてくる。
まずは挑戦体験と知識の十分な蓄え、これに時間を費やそう。
6年秋以降は本格的な学校対策となる。
はじめて過去問に触れた時には通常解いている問題との違いに驚くかもしれない。「こんなこと習ってない」とか「問題文が長くて読むのがつらい」とか「記述の問題がある…」などだ。しかし普段の学習と入試問題との開きというのはつねに存在する。スポーツでいえば練習と試合の違いだ。練習だけでは力が分からないやみくもに試合ばかりしても力はつかないし伸びない。
ここで夏までの難問挑戦を生かそう。
過去問に付き合っているうちにこの学校の求めているもの、その水準がおのずと見えてくるはずだ。ここまで考えればよいのか、ここまで書けばよいのか、といった具合に。
ここから先はむやみに難問挑戦はせず、武蔵中学の問題で合格点を取る勉強にシフトしていこう。誰も解けそうもない問題には触れることはないのだ。ただ、そこまで難解な設問はほとんどないと思うが。
そして武蔵を志望するならば、この学校の問題傾向を好きになり、問いていて楽しいと思えるレベルまで自分を変えていこう。そうすれば、武蔵合格はおのずからついてくるはずである。
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2022年度「武蔵中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間40分で大問は3題,小問の数は与えられた時間に対しては多い方ではなく、時間は十分にかけられる。
本年度は【大問1】・【大問2】がともに平易な問題で受験生の平均点は近年で最も高いものになっている。【大問1】は正誤問題なので難易度はいくらでも上げられただろうが本当に基礎知識の確認に終始し、受験生たちは拍子抜けしたかもしれない。前半で時間をつかない分、ここだけ難問という【大問3】にも余裕を持って取り組めたに違いない。
【大問1】いろいろなことがらの正誤問題
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)から(10)まである、いろいろな説明やことがらについて書かれた4つの文のうち、あてはまらないものや間違いを含むものをすべて選び、記号で答えるという問題。すべてあてはまる場合もあってその場合は「なし」と書く。単なる選択問題ではない、正しくないものをすべて(1つか2つか3つ、4つもありうる!)ピックアップして、しかも「なし」もある。正しいものを一つ選びなさい、的な問題であればたまたま知っていて正解する場合もあるがこの問題に答えるには4つの文すべての内容について正しい知識が必要なのだ。さすが武蔵だ。【大問1】から迷わされる問題を掲げてきた…
と、覚悟を決めて(1)からおいおい見ていくと、「なんだ?この超基礎レベルの知識問題は…!」と再度びっくりする。まさに2月1日の夢かうつつか、こんなことを聞かれるために朝早くから夜遅くまでいろんな項目を暗記したわけじゃないのに…と愚痴の一つもこぼれそうな「易」レベルである。「正しくないもの」を選ぶので、そこだけは間違えないように。また、これだけ易しいと言うことは優秀な武蔵受験生のほとんどの生徒が的確に正解を重ねていくだろうから逆にまたプレッシャーにもなる。
あえて不正解があるとすると(6)の「コンデンサー」に関する正誤問題か。もちろんコンデンサーを用いた実験、問題などは経験済みだろうがかえってその基本的な性質を覚えていなかったりすることがある。コンデンサーが電気をためる機械だと言うことが分かっても「コンセントにつないで使う」などは直流と交流の盲点を突いていて間違える可能性があるのではないか?
しかしあとの9題はすべて正解していただきたい。ここは点数の稼ぎどころだ、間違いない。
【大問2】動・植物の成長
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
この大問もまた、【大問1】のときと同じ嘆きを感じる設問が多々あり、まさか2月1日に不完全変態について聞かれるとは思わなかったぜ~的なものであるが、この大問もほぼ基本的に設問に終始している。計算問題もない。
問1はバッタとコウモリの成長過程を記号で選んで書き出す問題。基本過ぎて帰って新鮮かもしれない。
問2は「ヒトの誕生」で覚えておきたい言葉トップスリーを挙げたような問題。
問3で少しだけ面白くなってくる。まず、タンポポの生長を観察した図1からその数値をグラフ化する。といっても点を書き入れるだけなのでここは問題ない。ではなぜタンポポは開花したあと一度地面に倒れて、再度立ち上がるのか、どのような点で都合が良いのか、を選ばせる(2)はユニークだ。ただし、再度立ち上がった後はさらに茎が伸びて綿毛が形成されていることなどから答えのめどはたつ。
問4も聞いていることは面白いが残酷なほど基本的な設問である。
問5では、カブトムシの成長過程を体重・体長の変化によるグラフによって提示している。
それを使って設問に答えていくのだが、(1)など、逆に易しすぎてどう書いていいか迷うのではないか?思いついたことをそのまま、卵がふ化した後の幼虫時代が体重・体長とも最大でその後、さなぎ・成虫期は小さくなっている、と書いてみる。問4の生き物と比べるとこう答えるしかないがなんとこれが正解という奥の浅さだ。
(2)は少し考えさせられる問いだが、問5の文中にある「7月下旬に産みつけられた卵が成虫になるまで」という箇所を読み飛ばしたりしなければ一気に基本的な問いになる。9月下旬も1月下旬も幼虫のままだが行動に変化が現れる。が知悉のことであろう。
(3)はこれまでのことをふまえてカブトムシの一生の中で成虫の役割とはなにか、という哲学めいた記述問題である。成虫の体重や行動範囲を参考にして、とあるので幼虫時の行動範囲の狭さやその重さなどが比較の対象として上がり、それが生物として最も大切な子孫を残すと言うことにつながれば正しい答えも書けるだろう。ここができれば武蔵中学での行動範囲も広がりそうだ。
【大問3】折り曲げた針金の考察
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
最後は十八番、武蔵と言えば「これ」と思われるような、伝統と格式を誇る大問。
武蔵対策を経てきた生徒たちにとってはここぞ力を振るう場所、と毎年書いてはいるわけだが、本年度の大問は配られた真っ直ぐの針金を問題に指示に従って折り曲げ、それを実際に指の先にのせてみるとどうなるか、を図示する問題で、形としては重心の位置に関する問いと言える。これが問1・問2。
問3ではようやく計算を含む本格的問いに発展する。も、テストはここで終わりである。アの長さを4.0cmにしたときのイの長さ、アを2.0cmにしたときのイの長さ、そしてその2つからアとウが並行になるようなイの長さを見つけるという最も時間がかかりやりがいのある最終問となっている。時間はたっぷりあるので、配られた方眼紙をうまく使って出題者の納得がいく答案に仕上げてみよう。
ただ、最終題としても本年度のものはやりやすかった方ではないかと思う。数値によって結論がある程度推察されるからである。
攻略のポイント
テスト時間は40分で60点満点。
受験者平均点は39.3点、合格者平均は43.7点で、近年では最も高いものになっている。受験生の質が大幅に変わったことは考えにくいのでやはり問題が平易で特に前半ではほとんど差がつかなかったと思われる。合格するために必要な得点は40点以上(70%)だろう。例年の平均点は受験者平均が30点台前半、合格者平均が30点台後半くらいである(2015年度も本年度のように高かったが)。
ここ数年の傾向として、前半の【大問1】【大問2】は基本的な知識を問う問題になっており、しっかり受験勉強を積んできた生徒であればかなりの確率で正解を答えられたはずだ。だから、合格点だけを考えれると、最初の大問2つだけでもかなり接近できるあるいは超えることが出来るだろう。ただし、【大問3】もそうだが【大問2】には記述問題が複数存在していて、正しい言葉を選び採点者を納得させることが出来る答案を作成できなくてはならない。
したがって、記述問題対策は当然必要であり、授業などで一方的に○×△をもらうのではなく、国語の記述問題のように、良い点・悪い点を指摘してもらいながらマンツーマンで添削指導を受けることを薦める。基本的な知識を問う問題だけでは差がつくとは思えないので、記述の完成度が合否を争うポイントになるのは絶対だからだ。
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