武蔵中学校 入試対策
2023年度「武蔵中学校の理科」
攻略のための学習方法
男子御三家と呼ばれる中学の一つが、この武蔵中学だ。近年台頭する学校が増えたために以前ほどの合格難易度はないかもしれないが伝統的なアカデミックな校風は好感が持てるし、ユニークな出題として知られる入試問題は大人が解いても楽しいものになっている。もちろん、今でも十分に難関校であるが。
武蔵を受ける場合に限らず、男子進学校全般に言えることであるが、理数系の科目では難問への対応力が問われる。一問一答形式による知識の充実も必要であるが、やはり難しい問題へ立ち向かう学力、というよりパワーが欲しい。
そのためには、6年の前半まで、進学塾でいえば夏期講習くらいまでの時期は、思い切って難問に挑戦してほしい。武蔵の対策に欠くことができないのかどうかではなく、どんな問題が出てもまずは対応できるという土壌を養っておく必要があるからだ。
公開模試などで、武蔵中学の合格可能性ラインまでならば基本的な問題にくまなく答えていくだけでも到達できるだろう。基本的知識の暗記だけでもうれしくなるような合格可能性はもらえるかもしれないが、それでは6年後半の学校対策に入ったときに必ず壁にぶち当たる。
あまり要領は良くないかもしれないが、塾や家庭教師の先生と一緒に難問にトライしてもらいたい。正解できればそれに越したことはないが、できなくてもそういう挑戦したという体験が後になって生きてくる。
まずは挑戦体験と知識の十分な蓄え、これに時間を費やそう。
6年秋以降は本格的な学校対策となる。
はじめて過去問に触れた時には通常解いている問題との違いに驚くかもしれない。「こんなこと習ってない」とか「問題文が長くて読むのがつらい」とか「記述の問題がある…」などだ。しかし普段の学習と入試問題との開きというのはつねに存在する。スポーツでいえば練習と試合の違いだ。練習だけでは力が分からないやみくもに試合ばかりしても力はつかないし伸びない。
ここで夏までの難問挑戦を生かそう。
過去問に付き合っているうちにこの学校の求めているもの、その水準がおのずと見えてくるはずだ。ここまで考えればよいのか、ここまで書けばよいのか、といった具合に。
ここから先はむやみに難問挑戦はせず、武蔵中学の問題で合格点を取る勉強にシフトしていこう。誰も解けそうもない問題には触れることはないのだ。ただ、そこまで難解な設問はほとんどないと思うが。
そして武蔵を志望するならば、この学校の問題傾向を好きになり、問いていて楽しいと思えるレベルまで自分を変えていこう。そうすれば、武蔵合格はおのずからついてくるはずである。
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2023年度「武蔵中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間40分で大問は3,小問数は15、小問数は多くないが、記述問題が多く、記述にある程度の時間を要することが本校の理科特徴である。大問1と大問2の中には知識問題も見られるので、ここは確実に正答すること。また、問題文の読み取りが大きな意味を持つ設問もあるので、慌てずに落ち着いて問題と向き合うこと。大問3の記述問題はしっかり解答欄を埋めることが大切だが、ただむやみに長い文章を書くのではなく、科学的根拠が明確な文章を記述することが大切である。
【大問1】光と音の性質
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 2枚の鏡を使って光を重ねると、鏡が1枚の時よりも明るくなる。
問2 選択問題だがやや難。熱帯の海では海水面の温度が常に高く、海水の対流が起こりにくく、海水中のプランクトンが少ない。
問3 太鼓を打つ強さを変えると、音の高さは変わらないが、大きさは変化する。鉄棒をたたくと、音が鉄棒を伝わっていく。
問4 音とクジラの旅人算。(1500+10)×3÷2 より、2265m。
問5 記述問題。ハワイと東京の違いから東京で星を観測するのに不都合な点を2つ説明するという内容。
・東京は街の灯りで明るすぎる。
・空気中のちりなどがハワイよりも多い。など。
問6 記述問題。太陽は自ら光を発しているが、月の光は太陽光が月に当たり反射したもので、弱い光である。
問7 記述問題。大問1の記述問題の中で最も難。問題文中の「太陽の光の大部分は海水で吸収されてしまう」および問6の反射光は弱くなることを利用して説明すること。
光と音の性質に関する問題。問1・3は基本的な知識問題で確実に正答したい。問3の計算問題も易問。記述問題では問5・問6は説明しやすく、しっかりまとめたい。
【大問2】ドングリと動物の関係
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 (1)ドングリをつける樹木を選択する問題。クヌギが該当。
(2)常緑樹を選択する問題。ツバキが該当。
問2 (1)グラフの読み取り問題。ツキノワグマの捕獲頭数が多い年、ドングリの豊作指数は下がっている。
(2)記述問題。ドングリを食料としているツキノワグマが、ドングリが凶作のために食料を求めて人里に現れ、捕獲頭数が増えると考えられる。
問3 (1)記述問題。問題文中の「あちらこちらの場所に・・・・・食べられずに残るものもあります」を引用して記述すること。
(2)記述問題。ドングリが豊作と凶作を繰り返すことにより、リスやネズミの数が一定に保たれる。このため、食べられないドングリが残る。
ドングリと動物の関係に関する出題。問1は樹木についての知識問題で確実に正答したい。問2はグラフの読み取りと考察問題でこれも比較的考えやすい。問3は書かれてある内容を利用してまとめること。
【大問3】環状の道具についての観察と考察
- 難度:難
- 時間配分:20分
毎年恒例の「お土産問題」袋の中の『環状の道具』についての観察と考察問題。
問1では観察した状態を図で示す問題。問2はこの道具の仕組みについて文章で説明する記述問題。字数の指定はないが、図を使っての説明は許されない。奥と手前で金属の長さが違うことと、力の働き方についての記述が必要。なお、本校ホームページに入試当日に配られた道具の写真が公開されているので、確認して欲しい。
攻略のポイント
テスト時間は40分、60点満点で例年通り。合格者平均点は37.2点、昨年に比べるとかなり難化しているが、ここ10年で見るとほぼ平均的な難度である。前半の【大問1】【大問2】の中には、知識だけで解ける問題文・グラフの読み取りができれば正答できる問題も含まれており、しっかり受験勉強を積んできた生徒であればかなりの確率で正解を答えられたはずである。合格点だけを考えると、最初の大問2つにおける正答率が大きな意味を持つと言える。【大問3】だけでなく、前半の各大問にも記述問題が複数存在している。記述問題はまずはしっかり埋めることが大切だが、科学的根拠を明確にした上で、正しい言葉を選び採点者を納得させることが出来る答案を作成できなくてはならない。
本校受験者は夏までには各分野の知識を確実に固めること。その上で、秋以降は記述問題対策に力を入れたい。特に、「何故なのか?」をしっかり説明する練習が必要になる。日頃から記号選択問題であっても「何故それを選択するのか?」を明確にする姿勢で学習に取り組むことが求められる。
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