武蔵中学校 入試対策
2017年度「武蔵中学校の社会」
攻略のための学習方法
[問題構成]
2000字ほどのリード文を読み、数問の選択式問題と記述問題に答えていく形式。資料や統計がよく用いられている。リード文のテーマは年度によりさまざまで、政治経済中心の年もあれば大部分が地理の年度もある。問題もリード文の分野に従って出されるので、まんべんなく出題されるわけではない点、注意が必要である。
記述問題は1行のものから50字程度のもの、300~400字ほど書けるものと数パターン出題されている。いずれも字数の指定はない。特に最後の論説型の記述は、かなりの経験を積んでおかないとうまくまとめられずに時間を失うことにもなりかねない。
[記述問題]
記述に特化した試験なので書く分量は多くなる。しかし、特別に高度なテクニックやテキストに出てこない難解な知識が求められているわけではない。記述問題といえども、書く土台となるのは基本的な社会科の実力である。まずはテキストをマスターし、補助教材で知識にしっかりと厚みを持たせよう。
その上で、類似の記述問題を多くこなし、設問で求められていることに適度な字数で的確に答えられるように練習を積む。訊かれるのは単なる知識や用語の説明ではなく、多くは事件・出来事の背景や理由である。勉強の際には、なぜそのような出来事が起こったのか、当事者の考え・意図はどうだったのかなど、考えながら覚えていこう。統計や資料の数値から、それまでの経緯や今後の動向などを類推する練習をしよう。記述問題が多いのは、社会的な物事についてよく考える習慣がついているかどうかを見たいのであろう。
それが最もよく表れているのが、論説型の大型記述である。与えられたテーマについて見たことも聞いたこともない状態では書くのにも困ってしまうので、知識量も必要とされる。社会を取り巻くいろいろな問題について考えた経験がないと、十分な字数も埋まらないであろう。深く考えられる生徒が求められている。
ただし、リード文には考える手がかりとなりそうなキーワードが示されている場合が多い。2017年度を例に取れば、「里海」や「エコパーク」などの語である。出題者の想定した解答の方向性がなんとなくわかるであろう。このような文中の手がかりもうまく使って、設問で訊かれているポイントから外れずに、文章に破綻がないようにまとめられるよう、過去問や傾向の似た学校の試験でこつをつかんでおこう。
[統計・資料]
毎年、統計や図版などの資料が必ず用いられている。数字の持つ意味や、画像の特徴などに気づけるように、統計資料や資料集など最新のものに目を通し、見方に慣れておくことが重要である。
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2017年度「武蔵中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
本年度は塩をテーマに、2000字ほどのリード文で製塩の技術や歴史などが示された。
問題数自体は少ないので、選択式問題を手早く終えれば、残りを記述に充てられる。本文を参考に出来る問題から手際よくまとめ、自分で考える大型記述に時間を多く回したい。過去問でそうした時間配分のこつをつかんでおこう。
地理を中心とした融合問題
- 難度:難
- 時間配分:50分
- ★必答問題
塩についてのリード文を読み、地理や歴史の問題、現代における伝統的な製塩方式の意義などを考える問題に答えていく。
問一 糸魚川市は新潟県南部の日本海側に位置する市で、北陸新幹線の駅もある。松本市は長野県のほぼ中央に位置する。塩竈市は宮城県の松島で有名な湾に面する都市。
問二 文中の説明から、かん水は海水より塩分が濃くなっていることがわかる。海水から煮詰めるより、時間も燃料も少なくて済むのである。
問三 行徳は現在の千葉県市川市であることが説明されている。塩は江戸幕府にとっても重要な製品であるため、江戸から近い行徳は安定した供給を確保するのに、保護の対象とされたのである。
問四 文中で、瀬戸内海沿岸は遠浅で塩の干満の差が激しいことが述べられている。広い塩田に海水を呼び込んで塩を取り出す入浜式に適した地形だったのである。また、瀬戸内地方は年間を通して降水量が少なく気候も温暖で、水分を蒸発させるのにも適していたのである。
問五 1904年に勃発した日露戦争は戦費の調達に苦労した戦争であった。
問六 「電気を利用して化学的に」つくるので、工場の屋内で生産できる。塩田のような広い土地は必要ないし、天候に左右されずに安定して生産できる。プラントを操作するので人手も少なくて済む。
問七 (1)この時代は高度成長期にあたる。特に工業において、エネルギーや原材料が多く必要とされた時期である。伝統的な製法の塩は主に食品向けであり、ソーダ工業用の塩は多く輸入に頼るようになったのである。
(2)塩の生産は世界的には岩塩をもとにしていると書かれていたことに注目。海水から生成するより効率よく塩を作れてコストも抑えられる。安価に大量の塩を生産できるので、価格面でどうしても輸入品が有利になってしまうのである。
問八 自分で考えて答える問題なので難しいが、「里海」や「ユネスコエコパーク」などの言及がひとつの手がかりになりそうである。
里海とは、高い生物生産性と生物多様性を有する、人と自然の中間にあるエリアで、陸における「里山」にあたる地域である。人の手で総合管理して、「望ましい沿岸海域の環境」を維持することが期待される。(環境省・里海ネット参照)
また、「ユネスコエコパーク」も自然と人との共生を目指して指定された保護区域である。昔ながらの塩づくりや塩田を残していくことは、以上のような観点からも意義のあることなのである。
あるいは、このような塩づくりの方法があると広く知ってもらうことで、自然からの恵みのありがたさや、健康に良い塩を得ることの大切さなどに目を向けてもらうきっかけにもなり、環境保全の意識を高めることにもつながるだろう。文中の手がかりをうまく利用して、十分な字数を書き込みたい。
攻略のポイント
記述問題が大半を占める試験ではあるが、背景として必要とされるのは基本的な社会科の実力である。そこにプラスして、新聞やニュースなどで社会のできごとについてよく考え、そうして培った社会に対する考察力といったものが答案を書く推進力になる。
海城中学など、傾向の似た試験も利用して、十分な経験を積んでおかれたい。
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