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武蔵中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「武蔵中学校の社会」
攻略のための学習方法

問題構成

2000字ほどのリード文を読み、数問の選択式問題と記述問題に答えていく形式。資料や統計がよく用いられている。リード文のテーマは年度によりさまざまで、政治経済中心の年もあれば大部分が地理の年度もある。問題もリード文の分野に従って出されるので、まんべんなく出題されるわけではない点、注意が必要である。

記述問題は1行のものから50字程度のもの、300~400字ほど書けるものと数パターン出題されている。いずれも字数の指定はない。特に最後の論説型の記述は、かなりの経験を積んでおかないとうまくまとめられずに時間を失うことにもなりかねない。

記述問題

記述に特化した試験なので書く分量は多くなる。しかし、特別に高度なテクニックやテキストに出てこない難解な知識が求められているわけではない。記述問題といえども、書く土台となるのは基本的な社会科の実力である。まずはテキストをマスターし、補助教材で知識にしっかりと厚みを持たせよう。

その上で、類似の記述問題を多くこなし、設問で求められていることに適度な字数で的確に答えられるように練習を積む。訊かれるのは単なる知識や用語の説明ではなく、多くは事件・出来事の背景や理由である。勉強の際には、なぜそのような出来事が起こったのか、当事者の考え・意図はどうだったのかなど、考えながら覚えていこう。統計や資料の数値から、それまでの経緯や今後の動向などを類推する練習をしよう。記述問題が多いのは、社会的な物事についてよく考える習慣がついているかどうかを見たいのであろう。

それが最もよく表れているのが、論説型の大型記述である。与えられたテーマについて見たことも聞いたこともない状態では書くのにも困ってしまうので、知識量も必要とされる。社会を取り巻くいろいろな問題について考えた経験がないと、十分な字数も埋まらないであろう。深く考えられる生徒が求められている

ただし、リード文には考える手がかりとなりそうなキーワードが示されている場合が多い。2017年度を例に取れば、「里海」や「エコパーク」などの語である。出題者の想定した解答の方向性がなんとなくわかるであろう。このような文中の手がかりもうまく使って、設問で訊かれているポイントから外れずに、文章に破綻がないようにまとめられるよう、過去問や傾向の似た学校の試験でこつをつかんでおこう。

統計・資料

毎年、統計や図版などの資料が必ず用いられている。数字の持つ意味や、画像の特徴などに気づけるように、統計資料や資料集など最新のものに目を通し、見方に慣れておくことが重要である。

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2023年度「武蔵中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

本年度は人口増加による江戸・東京の上下水道の問題を取り上げ、その周辺地域への影響も含めて考えさせるという問題が出された。

2023年度では選択肢問題は出題されなかった。本文を参考に出来る問題から手際よくまとめ、自分で考える大型記述に時間を多く回したい。過去問でそうした時間配分のこつをつかんでおこう。

総合・記述問題

  • 難度:
  • 時間配分:40
  • ★必答問題

江戸・東京の人口増加による都市の水問題を題材に、その対策などについて訊かれている。

問1 政治の中心で人口も多い江戸、経済的に発展していた大阪、天皇や貴族が多く住まう京都を合わせて三都とされた。

問2 付近は0m地帯と呼ばれる海抜の低い地域で、海面より低く堤防で保護している地域もある。このような場所では地下水に海水の塩分が混じってしまい井戸などの水も飲用としては使用できない。また玉川上水などから水を引こうにも、墨田川にさえぎられて水路を造れないのである。

問3 飲用水が細菌などで汚染されて広がる伝染病・感染症(赤痢やコレラなど)がたびた

び流行した。抗生物質などの特効薬が無かった時代には、多くの人が命を落とした。

問4 (あ) 都市部で大量に発生する糞尿を専門の業者が買い取り、周辺の農家に販売する。糞尿は作物の肥料として使われ、できた作物を都市で販売する、という経済の循環が形成されていたのである。

   (い) 窒素・リン酸・カリなどの化学肥料が多く使われるようになった。

問5 それまでは自分たちの主食として麦を多く作っていたが、都市部で人口が増えるにしたがって野菜・果物などの需要が高まり、売ってお金を得るための作物に転換していった。

問6 近年、気候の変動によりかつてはあまり起こらなかったゲリラ豪雨と呼ばれる大雨が発生するようになった。短時間で大量に降る雨は都市部のアスファルトの道路では吸収されずそのまま下水や川に流れ込む。下水で流しきれなかった分が地上にあふれて冠水したり、川の下流の低い土地では洪水が発生したりなど、大雨に対する都市の脆弱さが浮き彫りになっている。

問7 都市部への人口集中がもたらす弊害としては、大気汚染・渋滞・騒音などの害や住居・公共空間の不足などの都市問題がまず頭に浮かぶ。それらのうち一つを選んで、どのような「負担」が発生するかを書けばよい。例えば人が増えればゴミも増えるが、それらの処理費用には税金が使われる。自治体によっては有料のゴミ袋の購入が必要とされることもある。また都市部ではゴミの処理施設の建設が難しく、処理しきれないゴミは周辺の自治体に委託して引き取ってもらい、その費用も税金で賄われることになる…などである。

攻略のポイント

記述問題が大半を占める試験ではあるが、背景として必要とされるのは基本的な社会科の実力である。そこにプラスして、新聞やニュースなどで社会のできごとについてよく考え、そうして培った社会に対する考察力といったものが答案を書く推進力になる。

勉強に限らず、身の回りで起きた事件や世界の情勢など、様々な出来事の原因や結果・その後の影響などをよく考え、考察力を養おう。海城中学など、傾向の似た試験も利用して、十分な経験を積んでおかれたい。

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